Reol、3年ぶりのアルバムを携えたツアーから神戸ハーバースタジオ公演のライブレポート到着
約3年ぶりのアルバム「BLACK BOX」を携え、現在全国ツアー「Reol Oneman Live 2023/24 UNBOX black/pure」真っ只中のReol。今回は初の試みとして「完全ネタバレ厳禁の黒箱。秘密主義者様推奨。」の「black」バージョンと、「都度ネタバレ上等の白箱。変化と進化を愉しめるお客様推奨。」の「pure」バージョンの2つのコンセプトで、Reol史上最長となる17公演を開催。ここでは、Reolにとって初の神戸公演となった12月10日兵庫・神戸ハーバースタジオで行われた「Reol Oneman Live 2023/24 UNBOX pure」の模様をお届けする。
オープニング映像中に“声出し解禁”のアナウンスがあり拍手と歓声が続く中、白い衣装をまとったReolが登場。前日の静岡公演に続き神戸もソールドアウトで2階席もあるライブハウスは立錐の余地もない。1曲目の「Final Call」はクールな導入から徐々に熱を帯び、続く「DetaramE KiddinG」ではステージを右へ左へ、さらにフロアとのギリギリまで動き回りながら全身で歌を届ける。「SCORPION」ではフロアに弾丸を撃ち込むようなアクションで「最高にしてくれよ、神戸」と叫び、場内の温度をさらに上げる。
あらかじめお客さんが歌うパートを指定するレクチャーが行われた「赤裸裸」。音に合わせ練習もしながら「こうやって曲のノリを指定したことないけど、コロナ禍で声が出せない期間に私を知ってくれた人もいると思うから」と声出し解禁ならではの楽しみ方を提案し、「やってる人もやらない人もステージからよーく見えてるからね!」と発破をかけてみせる。
「ヒビカセ」「TAKE OFF」「金字塔」で場内を強力な一体感で包んだ後、MCで今回のツアーへ向けた想いを語った。音楽への初期衝動、そして彼女がReolを名乗りはじめた初期衝動がテーマとなる今ツアー。その純度が最も伝わる編成として選んだのがバンドではなく1人きり、凝った演出などを行うのではなく映像を使ったステージ―Reolの表現を借りるなら「映像を背負った私とみんな、1対1のタイマン形式」のライブなのだという。「No title」から2024年で10年の節目を迎えること、その前に各地で自分の音楽を聴いてくれている人たちに会いたかったという想いを語る中で、「自分の音楽がみんなに届いていることがわかるのがライブ。もしかしたら直接話すよりも一番分かり合える時間なのかもしれない」とフロアの一人ひとりを見つめるように言葉を継いだ。9年前の夏、「まだ何者でもなかった」あの頃のReolがあふれる衝動のままに書いた「No title」は、今でも初期衝動を思い出す特別な曲だという。「一緒に歌ってほしい」という呼びかけにフロアからは惜しみない歌声と拍手、歓声が降り注いだ。
ライブ後半に差し掛かった頃。MCは前もって話すことを考えるのではなくライブの場でその時の気持ちを伝えたいというReolが、緊急事態宣言〜コロナ禍に自分を支えてくれたのは、ここにいるみんなをはじめ自分の音楽を聴いてくれる人たちがいたから、と改めて深い感謝の思いを語った。だからこそ、Reolの音楽と向き合っている時は誰もが「自分最高!」「生まれてきてよかった!」と思ってもらえたらと伝える。Reol自身、自分が一番輝けるのはステージで、その光を跳ね返すぐらいの輝きをみんなに見せてほしいと呼びかけ「綺羅綺羅」を。その勢いのまま「煽げや尊し」「第六感」とフロアを揺らすようなこの日何度目かわからない盛り上がりで本編を締めくくった。
アンコールの大声援に応え、まずはスクリーンに「ランダムソングガチャ」の文字が現れ、再びReolが登場。ランダム、ガチャの文字にどんな曲が聞こえてくるのか、期待のこもった一瞬の沈黙の後に鳴り響いたのは「煩悩遊戯」。これには地鳴りのような歓声とクラップが沸き起こる。フロアから「方言で話して」と声がかかると、大阪弁との違いや兵庫県内の地域によってニュアンスとの違いに困惑しながらも「あんたらとほんまに最高の時間を過ごせてよかったわ。知らんけど」、そして「かまへんよ」を連発。アンコールの2曲目はReolが神戸の地に選んだ「平面鏡」。この曲はスマホでの録音、撮影OK。ラストの「ギミアブレスタッナウ」は波状攻撃のような歌とラップ、ダンスに誰もが手を挙げ、揺れて歌って飛び跳ねての大狂騒が繰り広げられた。
会場全体での記念撮影を終えたReolがフロアを振り返り、「アンコールすごかった!みんなの曲だったんじゃないかと思った」と最大の感謝を込めた言葉と笑顔を残し、熱い「pure」バージョン3公演目の夜に幕を下ろした。手を伸ばせば届くような距離の近さでともに歌い、踊り、言葉を交わし合ったこの夜。その一瞬一瞬は、来年Reolが10周年の節目を迎えてもその後も、誰の胸にもかけがえのないものとして深く刻まれるに違いない。
(文:梶原有紀子)