Tele TOUR 2023「祝 / 呪」ファイナルZepp DiverCity、心臓を鷲掴みにするような熱演の先にみた生への渇望

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『Tele TOUR 2023「祝 / 呪」』 2023.12.01(fri) Zepp DiverCity

9月28日に札幌PENNY LANE 24からスタートした谷口喜多朗のソロプロジェクト・Teleの全国ツアー『Tele TOUR 2023「祝 / 呪」』が、12月1日にZepp DiverCity(Tokyo)で開催された追加公演にて閉幕した。人気や知名度を着実に高め続けているTeleだが、その結果はライブの動員にも着実に反映されており、現時点での彼の最大キャパとなるこの日のZepp DiverCity(Tokyo)を含むツアー全日程がソールドアウトを記録。来年6月1日にはキャリアにおけるハイライトになるであろう日本武道館公演も決定している中で、今回のツアーファイナルはその前哨戦に相応しいものになるであろうことは予想に難しくなかった。

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定刻を過ぎた頃に会場が暗転すると、シンプルなピアノの音色に乗せてステージを覆う紗幕に映像が映し出され、Teleによるポエトリーリーディングが始まる。そして、バックトラックが徐々に盛り上がりを見せていくと同時に、ポエトリーが放つ熱量も上昇。クライマックスで再び静寂が訪れると、今度は激しいビートに乗せて「祝い! 呪い!」の激しいシャウトがリピートされ、「ことほぎ」のスタートに合わせて紗幕が下されライブが本格的にスタートした。

音源よりもダイナミックでグルーヴィーなバンドアンサンブルに乗せて、Teleはギターを激しく弾きながら素直な歌声でメッセージを届ける。その姿勢は間髪入れずに始まった「夜行バス」でも同様で、静と動のコントラストが効いたアレンジのストレートなロックチューンでもより活きることとなる。そして、一度ギターを置いて「ロックスター」に突入すると、「東京、ずっと会いたかったぜ! かかって来いよ!」と客席に向けて叫び、軽やかなビートに合わせてステージ上を所狭しと動き回る。Teleは満員の客席に向けて視線を送りながら、熱量の高い歌とともに一体感を高めていき、ライブは早くもこの日最初のクライマックスを迎えた。

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MCでは「今日ここから始まる僕の“これから”に、あんたら全員を引きつれるために今日ここに来ました! 祝いも呪いも提げて、どこまでも一緒に来てくれるのか、東京!」と、オーディエンスを煽り続けるTele。そんな彼の問いかけに、ありったけの声援で応えるオーディエンス。互いの思いが改めて共有されたところで、クラップでさらなる一体感を作り上げていく。そこからライブは「私小説」にて再開すると、Teleは激しくギターを弾きながらエモーショナルな歌声を響かせる。そのノリは続く「Véranda」へも引き継がれ、観客は心地よいビートに合わせて手を左右に振ってライブに華を添える。さらに、「東京宣言」ではパーカッシヴに刻まれるアコースティックギターによって、より大きなグルーヴが生み出されていった。

曲を重ねるごとに会場の熱気が上昇し続けていたが、Teleがアコギを爪弾きながら音源化されていない新曲「花筏」を切々と歌い出したところで空気が一変。バンド演奏が加わると、ダイナミックなアンサンブルによりより大きなグルーヴに包み込まれていく。そんな中、Teleは繊細さと力強さを併せ持つ歌声で、この曲を見事に表現してみせた。続く「new born ghost」はアコギの弾き語りで披露され、伸びやかなTeleの歌声が会場中に充満されていく。続く「鯨の子」ではその穏やかな空気を引き継ぎつつも、軽やかなリズムに乗せて真っ直ぐな歌声をフロアに届ける。

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そこからアップビートの「金星」へと移行すると、ライブは再び熱を帯び始める。「ホムンクルス」でさらにエネルギーが放出されると、「花瓶」ではTeleがビートに乗せて「最高。めちゃくちゃ美しいぜ、この光景」と口にする一幕も。オーディエンスとのシンガロングでステージ上とフロアの思いが交差する中、「死ぬまで楽しもうぜ!」の一言からアッパーな「comedy」でライブは終盤戦に突入する。ロックバンドならではのカタルシスが伝わるパフォーマンスを前に、観客はこの日一番の高揚感を覚えたのではないだろうか。そこから「今日はみんなの死んだ日です。そして、明日から生きていく日です!」のメッセージとともに「バースデイ」へと突入し、盛り上がりは最高潮に到達。本編ラストは、歌と演奏のエモーショナルさが際立つ「ghost」。序盤こそギターをつまびきながらしっとり歌っていたが、曲が進むにつれて放出される熱が次第に高まっていき、アウトロではサイケデリックでノイジーな演奏で観客を圧倒させる。逆光によるドラマチックな演出も加わる中、よりカオティックさが強まったサウンドで会場中を包み込んだところでライブは一度締めくくられた。

観客がひとつになって「ことほぎ」の一節を歌いアンコールを求める中、再びTeleがステージに姿を現し、「すべて助けられています」と感謝の言葉を伝える。「これからも素敵な毎日を過ごせるように、心の底から楽しんで生きていきましょう」のメッセージとともに最新曲「初恋」を披露。音の隙間を効果的に使ったアレンジが印象的なこの曲で、フロアは多幸感で充満されていく。作品を重ねていくごとにTele独自のポップセンスがさらに磨かれていく様が、この最新曲からも十分に伝わったことだろう。

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再びMCへ移ると、6月1日の武道館公演を皮切りに新たな全国ツアーが決定したことが告げられ、客席からは歓喜の声が湧き上がる。新潟、宮城、広島、香川、福岡、愛知、大阪、北海道と全国9都市をまわるこのツアーは、彼にとって過去最大規模と言えるもの。そんな新たな旅の幕開けを前に「これからもよろしく」と挨拶すると、Teleは「18歳のときに書いた曲です」とラストナンバー「生活の折に」を、ギターを弾きながら歌い始める。伸びやかで素直な歌声が徐々に熱を帯びていくと、バンド演奏が加わったところでそのエモーショナルさが急上昇。心臓を鷲掴みにするような熱演で観る者を魅了すると、ムーディーなインストゥルメンタルナンバーに乗せてステージにエンドロールが投影されるという映画のような演出にて、ツアーファイナルは完結した。

「祝 / 呪」という相反するようで、実は表裏一体のワードを並べたタイトルが印象的な今回のツアー。ライブを観終えたあとに感じた、どこか心が浄化されたかのような心地よさは明日からの日常への活力につながっていくことだろう。誰もがネガティブさとポジティブさを併せ持ち、ちょっとしたきっかけでどちらか一方に片足を突っ込んでしまう毎日において、Teleのこのライブからはそのすべてを飲み込むことで生まれる生への渇望がダイレクトに伝わってきた。このムーブがさらに多くの人たちへと広まっていき、来年6月の武道館公演では祝祭の歌が高らかに響き渡ることになるのでは……だからこそ、ここからの彼の一挙手一投足が楽しみでならない。

 

取材・文=西廣智一

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