UCHUSENTAI:NOIZ、”ありがとう”と”愛してる”が溢れた20周年ツアーFINALでみせた最高のミクスチャーロック

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UCHUSENTAI:NOIZ

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UCHUSENTAI:NOIZ 20th Anniversary FINAL TOUR 2023
☆GALAXY CROWN☆ →RE:BOOT↑ 2023.12.08(fri)川崎CLUB CITTA'

ロックスターと戦隊ヒーロー。好きなものだけを信じて走り続けた20年、なんて幸せなバンドだろう。UCHUSENTAI:NOIZの20周年ツアーファイナル、クラブチッタ川崎に降臨した幸せなメンバーと、フロアをぎっしり埋めた幸せなファンたち。コロナ禍のもろもろで、実はもう23年目なのだが細かいことは気にしない。地球の平和を守るため、いざ発進。

巨大な星型トラスの上昇、メンバー紹介ナレーション、5人揃って決めポーズ、閃光、爆音、そして大量のレーザービーム。息をも付かせぬド派手なオープニングから、1曲目「オ・ノ・マ・ト・ペ」に突入した瞬間、すでにフロアは宴もたけなわだ。どっしり構えるYAMATOと叫を発射台に、呼太郎とMASATOが左右から爆音ギターで攻め立て、ANGEL-TAKAがお立ち台をひらりと飛び越え花道へ駆け出す。初期曲「メリーゴーランド」から「CHROMOSOME SIX」へ、トランス、メタル、パンク、ラップ、ビートロックをゴチャマゼにしたNOIZ流ミクスチャーロックに合わせ、誰もが一糸乱れぬステップと手振りで踊りまくる。フロアを見ているだけで楽しくて仕方ない、これがUCHUSENTAI:NOIZのロックパーティー。

UCHUSENTAI:NOIZ

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「年の瀬の忙しい時にありがとう! 20周年ツアーファイナルへようこそ。特別な夜にしようぜ!」

地上からではなく天井から逆噴射の火花が降り注ぐ「BLAZE IN BEAT」からレーザーの雨降り注ぐ「ライカ」、さらに大量のスモークの中で炎がばんばんぶち上がる「WORLD END SUPERSTAR」へ。言ってはなんだが、この会場でこんなにド派手な演出の連発は初めて観る気がする。ここまでやらなきゃ俺らじゃない、という気迫もびんびんに伝わる。フロアの全員がオルゴール人形のようにくるくる踊る。呼太郎の美しいリフが紡ぐスペイシーな浮遊感と、センチメンタルなメロディを兼ね備えた「SO LALALA」の、激しいだけじゃない、泣かせるような叙情も彼らの得意技。ライブは早くも中盤だ。

「“ありがとう”と“愛してる”は、何回言っても足らないね。ありがとう! 愛してるぞ!」

ANGEL-TAKA(Vo)

ANGEL-TAKA(Vo)

思い切り撃っちゃっていいかな? バキューン! お約束の銃撃ごっこからの「BAD MUSIC FREAKS」。燃え盛る炎の中を、強力なデジタルビートロックに乗って呼太郎が花道へ飛び出し、MASATOは中央で仁王立ち。TAKAはスクリーム、フロアはヘドバンで大暴れ。明るくポップなメロディで疾走する「ORANGE GRADATION」はANGEL-TAKAの独壇場で、花道に飛び出し、寝転がり、飛び跳ね、やりたい放題でがんがん盛り上げる。そのまま一気に突っ走るか、と思ったところに「ロスト」をぶちこみ、重くシリアスなメッセージで胸を熱くさせる。思いのこもったMASATOのラップは圧巻だ。UCHUSENTAI:NOIZは実は詞がすごい。もちろんみんなわかってる。

MASATO(Gt)

MASATO(Gt)

呼太郎(Gt)

呼太郎(Gt)

呼太郎の見せ場は全曲にあるが、特に「ラストワード」の速弾きソロには参った。すごいスキル、すごい気合だ。ANGEL-TAKAの見せ場も全曲にあるが、「ピープル・ノート」に込めた優しさと力強さは格別だ。本当の声を聞かせてよ。祈りのように願いのように、手を伸ばして宙を掴む姿がスポットライトに映える。そしてMASATOの見せ場は「Igni+ioN」だ。ギターを外してマイクを握り、ヘヴィなラップメタルのリズムに乗って飛び跳ねながら歌う姿は、そこらのミクスチャーバンドの歌い手の存在感をはるかにしのぐ。TAKAとのスリリングな絡みもばっちりハマってる。

叫(Ba)

叫(Ba)

YAMATO(Dr)

YAMATO(Dr)

まだまだ行くぞ。TAKAを除く4人のセッション曲では、叫とYAMATOの見せ場もたっぷりある。MASATOと呼太郎のかけあい、そして呼太郎の驚異のソロとライトハンド奏法。楽器好きにはたまらない至福の時間のあと、ケンタウロスの着ぐるみで戻って来たTAKAの姿に全員が大笑いでずっこける、この落差もまた彼らの得意技。「マッスルドッグ試作型001」で尻尾フリフリ、馬の下半身をひきずりながら歌いまくるTAKAを、なぜかドラム台から下りて来たYAMATOが支える。もはや何でもありのカオス状態の中で、炎とレーザーにまみれたヘドバンソング「ADVANCE」へ。馬を脱ぎ捨てたTAKAの引き締まった肉体が激しく躍動する。クライマックスはもうすぐだ。

UCHUSENTAI:NOIZ

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メランコリーと激情が見事に融合した「THE PARADOX IN IDEOLOGY」は、スモークとシャウトとヘドバンとジャンプで大騒ぎ。「踊れるかい?」と叫ぶTAKAの煽りに応えて、全員が踊りまくる四つ打つダンスチューン「Ritardando」。七色にまたたく、YAMATOのドラムに仕込まれたLEDライトがまぶしい。そしてラストチューンはスペイシーな浮遊感と壮大な空間の中で、トランシーなビートに導かれて踊りまくる「METEORS」。これが最後。手を上げてくるくる踊るオーディエンス。くるくるとギター回しの妙技を披露する呼太郎。「愛してるぜ川崎ベイベー!」と叫ぶTAKA。誰もが笑顔の中でラストはお馴染みの決めポーズ、一人ずつステージを去る姿に大歓声が鳴りやまない。すごい熱気だ。

「もっともっと愛し合おうぜ!」

UCHUSENTAI:NOIZ

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アンコール、熱烈な「おかわりコール」に呼び戻された5人が、五者五様の言葉で感謝の言葉を届けてくれた。笑いにまぎれてはいるが、20年間の愛情に対する思いの深さはちゃんと伝わる。YAMATOはこの日のためにドラムキットを増やし、呼太郎は久々にMesa/Boogie (アンプ)を引っ張り出して最高のサウンドを聴かせてくれた。ラストはキラキラポップな「Thank You For The Music」と疾走感みなぎるビートロック「Ouranous」で、もうお腹いっぱいだ。

しかし鳴りやまない「おかわりコール」に応えて、まさかのダブルアンコール。「もう退館時間なんだよ!」(TAKA)と焦りながらもファンのために、「Everything for my love」を全力でプレーする5人の姿がまぶしい。余った炎とレーザーを使いつくすようなド派手な演出が楽しい。呼太郎がとんでもない速弾きを決め、MASATOが客席に飛び降りてハイタッチ。サンキュー、ありがとう、また会おう。20年、いや23年経っても未だにみずみずしい、これがUCHUSENTAI:NOIZのミクスチャーロックだ。

UCHUSENTAI:NOIZ

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既にアナウンスされている通り、呼太郎とMASATOの脱退により2024年2月からUCHUSENTAI:NOIZは活動休止期間に入る。残されたライブはあとわずか。しかし湿っぽさのかけらもなかったこの日のライブを見る限り、23年間の歴史の中で今のバンドが最高の状態にあることは間違いない。初期のファンも現在のリスナーも、しばらく離れていた人もたった今知ったあなたも、集え同志よ。ロックスターと戦隊ヒーローを愛して走り続けた5人の雄姿を目撃せよ。ライブハウスで会おう。

取材・文=宮本英夫

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