ラックライフ15周年ツアーファイナルで辿り着いた想い「ありがとう。一緒に生きてくれて。これからもよろしく。」

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ラックライフ

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ラックライフ 15th Anniversary Tour『LIVE』TOUR FINAL
2023.11.30(thu) Zepp DiverCity

ラックライフの15周年を記念した全国ツアー『LIVE』のファイナル公演が、11月30日(木)・東京・Zepp DiverCityで開催された。チケットがソールドアウトしたこのライブの模様をレポートする。

SEに合わせて観客が手拍子を始めると、ステージにPON(Vocal・Guitar)、ikoma(Guitar・Chorus) 、たく(Bass)、LOVE大石(Drums)が登場。彼らが煽ると、開演を待ちわびていた人々の歓声と手拍子が一際高まる。そしてPONがギターを弾きながら歌い始めた1曲目は「Hand」。メンバーたちの演奏が合流して構築されたアンサンブルが会場を震わせる様が心地よかった。続いて「ブレイバー」と「初めの一歩」も届けられたが、躍動する歌と演奏が観客の胸の高鳴りとシンクロしているのを肌で感じた。「楽しんで幸せになって帰ろう! あなたの心に刺さって抜けない歌を歌いにやってまいりました!」とPONが言い、「サニーデイ」に突入すると、穏やかな昂揚感で完全に満たされたZepp DiverCity。「幸せであれ」「あんたが大将」「リフレイン」も披露された頃には、共に同じ空間で過ごすことをステージ上の4人と観客が心から喜び合っていた。

ラックライフ

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「今一緒にいられることが正義やと思ってます。今一緒にいられることを噛み締めながら楽しんでいきたいんですけど、大丈夫でしょうか? 握手会で握手をした時に“手が温かいですね”って言われた。そんなつもりなかったから、“俺、手温かいんや?”って思って。そういうのって言われないと気づかへん。人と触れ合うことで自分らしさを見つける。そういうのをライブハウスでたくさん教わってきました。そんな歌を歌ってもよろしいでしょうか? あなたと握手をした時に生まれた歌です」――PONのMCを経てスタートした「℃」は、温もりに溢れた歌と演奏だった。「Naru」「理想像」「走って」も浴びたことによって、さらに明るいムードとなった会場内。観客は様々な曲と出会った頃の思い出も噛み締めていたのではないだろうか。

ツアーの思い出をメンバー同士が和やかに語り合った後、ラックライフの音楽を愛してくれる人々との出会いを改めて感謝したPON。「いろんな出会い方があったわけです。そこから俺とあなたの物語が始まって、今ここに繋がってる。それがZepp DiverCityを埋め尽くすくらいいてくれる。その1つ1つが大好きで、かけがえなくて。“これが好きやなあ”って思えるから15年間バンドとして生きてこられてます。過去に貰ったものと今を生きる歌を歌います」というMCの後に届けられた「風が吹く街」と「Lily」……TVアニメ『文豪ストレイドッグス』のEDテーマが2曲続いたが、『文スト』を通じて彼らの音楽と出会った人も多いはずだ。先ほど披露された『ツルネ』のOP主題歌「℃」「Naru」などもそうだが、彼らが名作アニメを美しく彩ってきたバンドであることも、様々な場面で実感することができた。

PON(Vo/Gt)

PON(Vo/Gt)

ikoma(Gt/Cho)

ikoma(Gt/Cho)

「アイトユウ」を歌った後、15年間の活動を振り返ったPON。なかなか認めてもらえず、自分らしさを見失いかけた時期もあったのだという。「自分の心のままに歌って、周りにいてくれる人を信じる。自分のことを信じてくれる人を信じる。メンバー、スタッフ、褒めてくれるライブハウスの人、小さなライブハウスで出会ったあなた、アニメを通して出会ったあなた、YouTubeを通して出会ったあなた、何で出会ったかはどうでもええねんけど、1個1個が大事なんやなって。ほんまにありがとうって思ってる。しんどい時にたくさん思い出す。ライブハウスの景色、みんなの言葉、顔。いつもありがとう。言いたいことはまじでそれだけなのかもしれん。俺からあなたに伝えたいこと。ラックライフから今、あなたに伝えたいこと。ありがとう。一緒に生きてくれて。これからもよろしく」――このMCを経て届けられた「軌跡」と「名前を呼ぶよ」は、曲を受け止めた観客の心のざわめきが、ありありと周囲のムードから伝わってきた。大切な曲たちが会場に集まった人々にとってもかけがえのないものになっていると実感できて、メンバーたちも嬉しかったはずだ。

「俺らの音楽があなたに届いてなんか元気になってもらえたり、なんか支えられたり……音楽の力なんて“なんか”でいいと思うねん。それは“絶対”やから。あなたがそう感じたらそうやねん。そういうバンドであり続けたい。あなたの一番そばにいたい。そうあることが俺らの幸せです。あなたがいるから世界は回るんやで。あなたがいるから俺は歌えるんやで。死にたくなったらライブハウスに来いよ。死にたくなくてもライブハウスに来いよ。しょうもないこと言って、嬉しい顔してライブハウスで生きていきましょう!」――PONが想いを語ってから披露された「ファンファーレ」が本編を締めくくった。「歌ってみ。元気になるで」と呼びかけられた観客は、全力で大合唱。発射された金色と銀色のテープを握り締めたたくさんの人々の歌声は、昂揚感を滲ませつつも穏やかだった。「生きて、その先でまたライブハウスで会いましょう! ラックライフでした!」という言葉を残し、ステージを後にした4人。彼らを爽やかな歓声が見送った。

たく(ベース)

たく(ベース)

LOVE大石(Dr)

LOVE大石(Dr)

アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきたラックライフ……と書きたいところだが、なんだか様子がおかしい。ラックライフのようでいてラックライフではない4人組の名はBLUCK LIFE。PONの言葉を借りるならば“大人の本気の悪ふざけ”のバンドだ。メンバーの衣装はブラックを基調としていて、全員がサングラスをしている。彼らは忙しいツアー中に頑張って制作したのだという新曲「レディースアンドジェントルマンボーイズアンドガール」と「大正解」を披露。遊び心に溢れつつも曲にしっかりとメッセージ性があるところが、ラックライフらしい悪ふざけを感じさせてくれた。

ラックライフによるアンコールもしっかりと行われた。「ニコニコ生放送でこのライブの模様を放送することが決定」「ツアーの全18公演を凝縮した初のライブフォトブックの受注受付が12月1日からスタート」「16周年ライブを来年の3月15日に豊洲PITで開催することが決定」――観客を沸かせた発表の後、15周年ツアーの感想を語った各メンバー。そしてPONは、これから披露するタイトル未定の新曲について触れた。「世界は変えていくもんなのよ。変わっていかなきゃだめなもんやと思うねん。世界を変えるのは自分しかいない。自分で感じて、自分で思ってやってみるしかない。迷っていいのよ。それが答えに繋がっていく。迷っていること、不安に思ってることがあなたらしさに繋がっていくから大丈夫。たくさん願って、たくさん迷って、たくさん変わって、たくさん信じて、人間らしく俺らと一緒に生きていってくれますか?」。この言葉が添えられた新曲は、とても清々しく響き渡っていた。

ラストを飾ったのは、観客の大合唱を巻き起こした「僕ら」。「またライブハウスで会いましょう。大阪高槻、ラックライフでした!」――PONの力強い言葉と共に演奏がエンディングを迎えた直後、清々しい余韻が会場全体を包んだ。全曲を披露し終えたメンバーたちは、たくさんの人々がいるフロアを背景にして記念撮影。喜怒哀楽の“喜”“怒”“哀”“楽”それぞれの表情を浮かべたバージョンを撮っていたが、メンバー同士でじゃれ合う姿にほのぼのとさせられた。そんな和やかな4人の関係性も、15年間のラックライフを支えてきた大きな力なのだと思う。彼らの16周年とその先の活動に明るい希望を抱くこともできたZepp DiverCity公演だった。

取材・文=田中大

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