NightOwl
折原伊桜、百城凛音、雨夜憧、長谷川嘉那からなるQOOLONG所属の4人組アイドルNightOwl。昨年9月に開催された渋谷eggman公演ではグループが止まる程の状況であったことを吐露、お互いぶつかる事を恐れずそんな危機を乗り越え、今年4月に自身最大規模となる恵比寿LIQUIDROOMに挑む。最高の景色へ向けて真っ直ぐに進む彼女らに、悩みぬいた2023年の裏側にも触れながら、今の想いを存分に語ってもらった。
――NightOwlの2023年を振り返ってというところで、お話をお聞きしたいのですが。まずは年末、12月22日が百城さんと長谷川さんのお誕生日だったということで、生誕ライブのお話から。長谷川さんは大阪、百城さんは東京でそれぞれ生誕を行って。百城さんの生誕では、初のソロ曲「Freedom」の披露もありましたが。自身が主役の生誕をやっての感想はいかがですか?
百城:私、もともと引くくらい音痴だったんで。ソロ曲を歌わせていただけるなんて夢にも思っていなくて、すごく嬉しかったです。みんなに祝ってもらえたのも嬉しかったですし、みんなもニコニコしてくれていたので。これまでの生誕の中でも一番ハッピーな空間を届けられたかな? と思えて、本当に幸せな時間でした。
長谷川:私は今年で3回目の生誕で、いままではすごいマイナスな自分を見せる回みたいになってたんですけど(笑)。前回の生誕で、「NightOwlをダンスで引っ張っていきます!」と宣言して1年経って、ダンスも含めた色んな面で成長出来たところを見せられたんじゃないか? と思ってます。今年、私が振り付けをさせてもらった、後輩グループのJINKSも一緒に出てくれてコラボをしたり。お客さんからも「殻を破った姿が見れて嬉しかった」と言ってもらえたりして。いままでで一番楽しい生誕になったと思ってます。
折原伊桜
折原伊桜
――11月には折原さんの生誕があって、1月には雨夜さんの生誕が控えていて、生誕続きのNightOwlですが(笑)。折原さんの生誕はどんな感じだったんですか?
折原:私はこの1年、NightOwlと平行してソロでも稼働していて。ワンマンやって、ディナーショーを2回やって。生誕ライブのソロパートでは総まとめ的な感じで、ちょっとリラックスした感じでやらせていただいて。この1年の流れがあったんで、そこで世界観を完成させるみたいな感じだったんですが。会場が真っ赤に染まって、異様な光景のライブになって。お客さんと作り上げたその世界観を見て、「この1年やってきたからこそ、このライブも出来たんだ」って達成感もあったし、楽しかったし、すごく充実してました。
――生誕ライブでソロでの活動がひとつ形になったんですね。
折原:いままで、あまり言ってなかった夢の話をこの1年、ハッキリ言ってきてて。それは「アニソン歌手になりたい」という夢なんですけど、いままではNightOwlがグループとして成功しないと言っちゃいけないのかな?と思ってたところがあったんですけど。自分の夢もグループの夢も、両方大事にして進んで行きたいなと思うようになって。自分の夢もしっかり発言して進み始めたのが、この1年だったから。まだ、スタートを切ったばかりという気持ちで。ここからみんなと一緒に歩んでいけたらなと思います。
――うん、すごく良いと思います。1月に生誕を控えた雨夜さんは、2023年を振り返っていかがでしたか?
雨夜:なにか色んなことが動いた2023年だったんですけど、ちょっとやっかいなのが、体調が良くないことで。持病が発覚したりと、健康運だだ下がりの1年で。上手く動けない時があるのはうっとうしいけど、生誕ライブも控えてますし。その後のツアーのこととか、楽しいことを考える時間が増えて、メンタル的にはすごく前向きなので。いまは身体と時間と戦っています。
百城凛音
百城凛音
――個々のお話を聞くと、いまやりたいことややるべきことが見えていて、すごく充実してる感がありますが。NightOwlとしての2023年はいかがでしたか?
折原:NightOwlとしては、正直言うとシンドかったかも知れないです……。遡ると、2022年10月の代官山UNITのワンマンの時。ソールドアウトを目標に、「本当に売りたい」という気持ちを全面に出して頑張って売って。ライブ前日にギリギリソールドアウトして、ワンマンは成功したんですけど。それ以降、大きな目標をなにも見つけられなくて、なにも出来ていない気がして。9月の4周年ツアーファイナルのeggmanのMCでは“解散”ってワードが出てきたりして。今年1年は色々悩んだし、考える時期だったかも知れないですね。メンバー同士でも何度も話しました。
――それがどれくらいのタイミングだったんですか?
百城:話し合っていたのは、4周年ツアーの頃だったんですけど。それまでも突っ走ってるというより、足踏みしている感覚があって。「私たち、このままでいいのかな?」ってモヤモヤしている期間はわりと長かったです。
――でも最終的にはみんな前向きな気持ちになれて、一致団結することは出来て?
折原:はい。一致団結して前に進むことを決めたんで、LIQUIDROOMという大きな会場でのワンマンに挑戦することになりました。自分たちの現状で挑めるレベルじゃなくて、もう一個上に進みたいから。ちょっと背伸びをした目標を立てて、そこに向けて走ることを決めました。あの時はライブについて話し合うことも多くて。「夜行迷路」とか「ロンリー・ナイトパレード」とか、明るい曲をベースにした方がいいのか? それとも、メッセージ性のある浸れる曲をベースにした方がいいのか? というのも迷っていて。きっと迷いがステージに出ていたと思うんで、それも良くなかったですね。
――2023年リリースの楽曲を見ると、「夜行迷路」に迷いが見えて、「グッドバイバイ」になったかも知れない時期を経て、「ヨルウタゲ」で開き直ってと、現状とシンクロした物語性を感じます。
折原:ファンの方にも考察されました。「<サヨナラ>ってどういうこと?」って(笑)。
長谷川:むしろグッドバイバイは悩むばっかりで前に進まない私たちへそんな自分にお別れしなさいって渡された前向きな曲なんですけどね (笑)。
百城:「夜行迷路」や「ヨルウタゲ」は初めて見る人も一緒に楽しめるし、ライブに参加出来る曲になっていて。そこで私たちを知ってもらって、NightOwlを見る姿勢になってくれたら、私たちのライブをもっと楽しんでもらえるだろうなと思ってて。昔は意味を深めようと思ってライブをしていて、「暗い」って言われることも多かったんですけど。最近はみんなで盛り上がる明るい曲もやりつつ、シリアスな曲もやってという感じなので。上手くバランス取って、どちらもやっていければ良いなと思ってます。
折原:私たちがシリアスな曲もハッピーな曲も共通して思ってるのが、“他人ごとでなく、自分ごととして受け取って欲しい”ということで。曲調関係なくお客さんと目が合って、届いてる感覚がある時はやっぱり「良いライブ出来てるな」と思うんで。そこは一貫して思っているし、変わらずやっています。
NightOwl
――2023年、それぞれ特に印象に残ってるライブはどれですか?
折原:私は4周年ツアーの名古屋公演ですね。「5年目にしてはちょっと狭いんじゃない?」という声もあったんですけど、狭くて距離が近いからこそ、お客さんの熱が直に伝わってくるんです。MCで振り返りの話をした時、長く応援してくれる人と最近知ってくれた人が入り混じってるのもよく分かって。「いま大事にしないといけない人たちがここにおるんや」と思ったら、グッときちゃって。私、名古屋で結構泣くんですけど、その日も泣いちゃって。あの日、あの距離感だからこそ感じられたことがたくさんあって、すごく印象に残るライブでした。
雨夜:私は5月にclub asiaでやったライブなんですが、その日はステージの上で耐えられなくて泣いちゃって。それはUNIT以降、自分の中でこうしていきたいというのを考えてたのに、全然形に出来ずに5月まで来て、気持ちがはち切れちゃったんですが。その日、自分を応援してくれてる人たちが私の異変に気づいてくれて。特典会の時、「ずっと言わずにいたけど、自分はこういう思いで応援してるよ」と伝えてくれたのがすごく印象的だったし、その頃からちょっとずつ自分が変わってきて。5月以降も喉を痛めて歌えない時とか、持病が発覚した時とか、みんなに心配かけることがすごく多かったんですけど。「心配くらいさせてくれ!」って怒るくらい応援してくれる人もいて。私はアイドルだから、みんなにプラスの感情を渡さなきゃいけないという気持ちが強かったんですけど、それが崩れて、「みんなに頼ってもいいんだ」と思った時に分かったこともたくさんあって。そんな気持ちもあったからこそ、みんなでライブを作って行きたいって気持ちが強くなった1年でした。
長谷川:私はやっぱり4周年ツアーラストの東京公演ですね。それまでメンバーでいろいろ話をして、自分の中でも覚悟を決めてステージに立ったんですが。お客さんを見て、「この人たちを絶対に幸せにしなきゃいけない」という気持ちもより一層強まって。その日は「絶対、泣かない」って決めてたんですけど、お客さんが大号泣したり、肩を組んで歌ってるのを見たら、感極まって涙が出てしまって。「NightOwlを選んで良かったと思わせなきゃ!」という気持ちがより強まったし、特典会で「絶対に信じてるから、ずっとついていくから」って強い言葉をかけてもらって、みんなに支えられてるありがたさも感じて。アイドルやってて良かったと思ったし、NightOwlで良かったと改めて思えた一日でした。
百城:私は解散の話まで出たメンバーでの話し合いの直後、8月20日の新宿BLAZEのライブなんですけど。ヤバい、泣きそうになる……(涙をこらえながら)あの時は「もう終わるんや」と思っちゃって。いままでステージに立つのがこんなに怖いと思ったことは無かったし、ライブの空間が居心地悪いと思ったのが初めてで、すごく印象に残ってるライブです。でも、そこで「終わるかも」と思ったことで、それ以降のライブはお客さんがいてくれることのありがたみをすごく感じられるようになって。「このままじゃダメだ!」と思ったし、「まだ終わりたくない」って気持ちや「やっぱりこの4人がいい」って気持ちがどんどん強くなって。「どうせ終わるなら、NightOwlで良かったと思って終わりたい」って気持ちでステージに立てるようになって、自分の意識を変えてくれたライブでした。
雨夜憧
雨夜憧
――それぞれ感情が溢れる瞬間があったり、意識が変わる瞬間があったり。NightOwlにしっかり向き合えた1年だったんですね。では、2023年にリリースした楽曲たちで、ライブや自分たち自身に大きな変化を与えてくれた曲はありました?
折原:話の続きでいうと、そんな色々があった後に作られた、最新曲「七日間戦争」。まさにその時にあったことを曲にしていて、“いつか笑えたらいいね”というテーマで作られた曲なんですけど、私の中ではまだ整理が出来ていなくて。まだ七日間戦争の中にいるような感じがあってうまく笑えないし、心がギュッとなるんです。この曲の本当の狙いとしては、明るく表現するべきなんやと思うんですけど、それが上手に出来ないし。結構、課題ですね。
雨夜:私は逆に弱い部分も隠すことが無くなって、背伸びしない現在の気持ちが歌えているので、「七日間戦争」はしっくり来てるんです。<いつかは終わりが来るのなら 後悔は少ない方が良い>って歌詞を歌ってるんですけど、本当にその通りだなと思うし。これから、もっと成長していく曲だろうなって思ってます。私が「この曲どうしよう?」と思ったのは、「Shooting Star」で。みんなへの気持ちやいままでの景色を思い浮かべる大切な曲になるはずなんですが、良い曲すぎて眩しすぎて。「私、笑って出来るのかな?」って、練習段階ではずっと不安だったんですけど。いざお客さんの前で歌ってみて、初めて曲の意味が分かったんです。自分の中で大事にしてきたお客さんへの気持ちとか、メンバーと積み上げてきたものとか、曲を通してイメージしても、ずっと実感が無かったんですけど。ステージに立って歌った時、それが実感として分かって、大好きな曲になって。いまは超笑ってやれています。
長谷川:私は「グッドバイバイ」ですね。この曲は振り付けも関わらせてもらったんですけど、振り付けをした時の感覚とステージに立った時の感覚が全然違って。あの曲に込めた自分自身の決意みたいなところに、振り付けの段階では全然気付けていなかったんです。そこで振り付けも一掃して、NightOwlについてたくさん悩んで、戦ったから表現出来るものがあるってことに気づいたら、この曲がすごく好きになって。いまはSpotifyで一番聴いてるくらい大好きです。あと、「Shooting Star」はお披露目してすぐの段階で、憧がお休みになって。しばらく3人体制でやってたんですけど、「この曲は憧がいて4人じゃないと成立しない」ってことで。
雨夜:え、その話聞いてない。
折原:「Shooting Star」をセトリに入れるか入れないか? 3人ですごい話したんですけど。配信してすぐだったから、全くやらないのも違うなと思って、3人でやったのが2~3回で。あとは極力やらない方がいいなって話になって、やらなかったんだよね。
長谷川:そう。やっぱり憧にしか出せないものがあって、「Shooting Star」をやってる時にメンバー2人を後ろから見て、「やっぱり憧がいないと違うかも」と思いながら歌ってたし。4人に戻った時、「やっぱりこれや」と思ったし。
雨夜:嬉しいですね……(涙)。
長谷川:私は3人体制の時の「Dear, Night」のを見て、「この曲は3人じゃないとダメ」というのも見ていたので。私が入って4人になって、「4人じゃないとダメ」という曲が出来たのがすごく嬉しくて。この曲をリキッドで披露した時、横に3人が踊ってるのを見たら泣いちゃうかも知れない(笑)。あと、「ヨルウタゲ」もそうだけど、今年出た曲はどれも4人じゃないと出来ない曲ばかりなので、どれも感情がこもってるという感じです。
折原:「ヨルウタゲ」は周年をお祝いする夏を盛り上げる曲で。TIFとかに新曲を持っていくのは勇気がいるんですけど、音を聴いただけで楽しくなれるし、声も出せるし踊れるし。すごい心強い曲が出来て嬉しいです。
百城:ライブで一番メンバーの笑顔が見れる曲で、爆笑に近いくらいの笑顔が見れる曲なので、私も大好き。
雨夜:うん、2023年を振り返るとシンドい話が目立っちゃうけど、普段は変なことを言い合って、アホみたいに騒いでるんで。そんな私たちの日常に一番近いのが、「ヨルウタゲ」かも知れないね。
折原:ただ、<ソイヤソイヤソイヤ>って、掛け声を入れるパートがあるんですけど。まだ、みんなが全然声を出してくれないんで。「みんな、もっと声出して!」ってここで言いたいです(笑)。
長谷川嘉那
長谷川嘉那
――あはは。では最後に4月6日に控えた、恵比寿LIQUIDROOMのワンマンに向けての意気込みを聞かせて下さい。
雨夜:私はいま4月6日までのことしか考えられないくらい、リキッドのワンマンに賭けてて。NightOwl史上最大のキャパということもありますし、そこに立つだけじゃなくて「ずっとこの時間が続けばいいのに」と思える夢のような時間を作りたいと思ってるし。そのために、4月まで切磋琢磨していきたいなと思っています。
長谷川:リキッドに来てくれた人には「NightOwlのリキッドに行くって決めて良かった」と思って欲しいし、他では感じられないくらいの幸せを感じてもらいたいと思うし。そのために出来ることを全部やりきって、全部出しきって、リキッドに臨みたいと思います。
百城:リキッドを発表してから、いままでにない活動もしていて。配信をやったり、いままでないチケットの売り方をしたり、みんなの意見を聴きながら一緒に作ってる感がすごくあって。リキッドにみんなで集まった時、「ここまで一緒にやってきて良かった」と思って欲しいし。絶対に忘れられない夜を一緒に作りたいと思います。
折原:あとはリキッドのワンマンまでに新曲もリリースしますし、当日は新衣装もお披露目するので、それも楽しみにして欲しいのと。UNITのワンマンの時、会場の奥まで光でいっぱいになった景色を見て、すごく感動したんです。「あの景色を超えるくらいの光が見れたら良いね、夢みたいな夜になればいいね」と話してて。“夜”をコンセプトにしたグループだからこそみんなに光を照らしてもらって、夢みたいな夜を一緒に作れたらいいなと思ってます。NightOwlのこれからが楽しみになるワンマンにしますので、遊びに来て下さい。
取材・文=フジジュン 撮影=松本いづみ
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