2024年2月8日(木)~13日(火)名古屋・東京・大阪・福岡で開催される『ラ・ラ・ランド シネマ・コンサート2024』。今回の日本ツアーでは、本作の作曲を担ったジャスティン・ハーウィッツが来日し、自ら指揮をとる。来日に先駆け、ジャスティンからメッセージが届いた。また、ソウル五輪シンクロナイズドスイミングメダリストで『ラ・ラ・ランド』の音楽が大好きという小谷実可子からの推薦メッセージも到着。小谷は、昨年の世界マスターズ選手権で『ラ・ラ・ランド』の「Another Day of Sun」を選曲し、金メダルを獲得している。
2017年に日本で公開され、アカデミー賞(R)6部門、ゴールデングローブ賞(R)7部門、グラミー賞(R)2部門など数々の賞を総なめにし、日本中に興奮と熱狂を巻き起こしたミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。『ラ・ラ・ランド シネマ・コンサートは、オリジナルのミュージカル映画を、大スクリーンでの映画全編上映とオーケストラ+ジャズバンドによる生演奏の音楽で体感できる、新感覚のハイブリッド・コンサート。日本でも過去3度開催し、大好評を博している。今回は、本作の作曲を担ったジャスティン・ハーウィッツが自らタクトを振る、貴重な機会となっている。
ジャスティン・ハーウィッツ インタビュー
ジャスティン・ハーウィッツ
――2022年にも来日・指揮をされていますが、日本にどのような印象をお持ちですか?
日本のミュージシャンは素晴らしく、お客さんも熱狂的だったことを覚えています。 (私の)両親も一緒に来てくれて、素晴らしいお寿司を“おまかせ”で食べました。 今回は、もっと素晴らしいお寿司を食べたいし、他の日本料理についても学びたいと思ってます(笑)。
――映画『ラ・ラ・ランド』の大ヒットについて思うことは?
映画関係者なら誰もがオスカー受賞を夢見るものだと思いますが、この映画がこれほどまでに文化的なインパクトを与え、それが何年も経った今でも続いているとは想像していませんでした。
――『ラ・ラ・ランド シネマ・コンサート』を色々な国で上演・指揮されていますが、今は、ほかにどのようなお仕事をされているのですか?
『ラ・ラ・ランド』のシネマ・コンサートをプロデュースするのはとても楽しいことでした。 2017年に映画版の楽譜を生演奏用にアレンジするために多くの労力を費やしましたが、私は完璧主義者なので、オーケストレーションをより良くしたり、ショーのあらゆる要素を観客にとって最高のものにするために、調整し続けるのはとても楽しいことでした。『セッション』のシネマ・コンサートも手がけていて、同様に世界中で上演して楽しんでいます。
新たに、ミュージカル(舞台)版『ラ・ラ・ランド』にも取り組んでいます。新しい音楽も必要だし、古い音楽のアレンジも多いからとても作業量が多いんです。映画音楽の仕事は、デイミアン・チャゼルが次回作を書くのを待っているところです。
(R), TM &(C)2024 Lions Gate Entertainment Inc. and related companies. All Rights Reserved.
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――ご自身の音楽ルーツや『ラ・ラ・ランド』の音楽的背景について教えてください。
耳に入ってくるすべてのものが私たちの中に残り、創作に何らかの役割を果たしているように感じるので、名前を挙げるときりがないほど多くのアーティストや作曲家に影響を受けていますが、『ラ・ラ・ランド』の音楽に大きな影響を与えたと言えるのは、ミシェル・ルグラン、ジョルジュ・ドルリューなどのフランス・ニューウェーブの作曲家たち、チャイコフスキー、ザ・ビーチ・ボーイズ、そしてエスキヴェルのようなラテン系アーティストたちです。
ザ・ビーチ・ボーイズは『アナザー・デイ・オブ・サン』のヴォーカル・アレンジに非常に大きな影響を及ぼしましたし、ビートルズは歌のメロディに常にインスピレーションを与えてくれます。ビートルズのように、キャッチーかつ意外性のあるメロディーを書く人はほかにいません。
――プライベートではどのようなライブ・コンサートを鑑賞されますか?
たくさんのライブを観ますよ。テイラー・スウィフトやビヨンセ、エド・シーランのような大きなショーから、小さなミュージッククラブでのショー、あるいはロサンゼルスのLAフィルを観に行ったり。私はいつも音楽を楽しんでいますが、特に大きなショーでは、技術的な面でどうやって成り立っているのかを、つい考えてしまいますね。
――デイミアン・チャゼル監督との出会い・関係性、仕事の取り組み方について教えてください。
デイミアンと私は18歳のときに出会い、すぐにどんな映画を撮りたいか、映画の中でどれだけのことができるのかというビジョンを共有しました。 彼は、私が一緒に仕事をした唯一の(映画)監督です。私たちは良い友人でありながら、自分たちの作品に夢中になっているので、話すことはほとんど映画のことばかりです。
私はたいてい、脚本を読むことから始めます。それからデイミアンと音楽から何を感じたいかを話し合います。 まず心情について話し合うんです。そして、サウンド、楽器、音楽のテクスチャー、効果について話し合います。テーマを作曲するときは、ほとんどピアノでデモを作りますが、『ファースト・マン』のようなプロジェクトでは、面白い音風景を見つけることも重要だったので、デイミアンがまだプロジェクトを練り始めている早い段階から、エレクトリック楽器や音楽制作のアイディアをいろいろと試していました。
過去公演写真
――『ラ・ラ・ランド』サウンドトラック(劇伴)レコーディング時の思い出を教えてください。
エマ・ストーンが 『オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)」を歌う場面で、ピアノを弾いたのですが、とても緊張したのを覚えています。エマがカメラの前で、生で歌う、全てワンカットの撮影だったので、1回の演奏できめなければならなりませんでした。私はピアニストとしてそこそこ弾けますが、プロのレベルではないので、エマが疲れてしまう前に数回しか歌えないという状況で、ミスをしてテイクを台無しにしてしまうのではないかと怖かったのを覚えています。
――映画のサウンドトラック制作とシネマ・コンサート用の編曲・調整の違いについて教えてください。
映画のサウンドトラック(劇伴)をレコーディングするときは、音楽の各パートを正確に仕上げるために、中断しながらバラバラにレコーディングしていきます。通常、数日から数週間にわたって行われるものです。
シネマ・コンサートの場合、映画は最初から最後まで一気に上映されるので、すべての音楽を止めずに1テイクで演奏しなければなりません。 そのため、各楽曲が流れるように、かつ次の曲へと繋がって演奏できるように、さまざまな工夫・調整が必要になります。
過去公演写真
――ご自身でオーケストラを指揮することをどのように感じていますか?
シネマ・コンサートで指揮をすることは大好きです。映画と音楽を深く愛してくれるファンの方々と間近に接することができるからです。指揮をしていると、客席からのエネルギーを感じることができますし、笑ったり泣いたり、時には曲の後に拍手も聞こえてきます。ファンの皆さんと一緒にいると、私は作品とつながり、私たちが映画を作るために一生懸命になる理由を再認識することができるんです。
かたや生演奏にはリスクも伴います。中断してやり直すことはできないし、うまくいかないこともあります。私が最も恐れているのは、指揮台の前に設置している(映像と音楽を合わせるための確認用の)映像にトラブルが起きてしまうことです。 そういうことが一度か二度起きたのですが、復旧するまでどうにか乗り切らなければなりませんでした。まるで計器のない飛行機を操縦するようなものです。
――『ラ・ラ・ランド シネマ・コンサート』の見どころ・聴きどころと日本のみなさんへメッセージをお願いします。
『ラ・ラ・ランド』のシネマコンサートが他のシネマ・コンサートと違う点は、その音楽のほとんどがオーケストラとバンドのために書かれたものでありながら、数箇所、ジャズバンドが即興をする機会がある点です。そのため毎回、コンサートが少し違うものになります。注目してみてください。
2度目の訪日をとても楽しみにしています。 この映画を応援してくれてありがとう!
ぜひコンサートでお会いしましょう!
小谷実可子 推薦メッセージ
小谷実可子
この度、『ラ・ラ・ランド』のシネマコンサートが上映されるとの知らせを聞いて、
まさにラ・ラ・ランドの映画を見た時のように、心の中がキラキラ躍動しました。
楽しかったり、ワクワクドキドキしたり、切なかったり…
映画を見たときの感動が蘇りました。
私は素敵な映画やミュージカルを見たり、音楽を聴いたりすると、
すぐにアーティスティックスイミングの演技に結び付けて振り付けや演出を考えてしまうのですが、『ラ・ラ・ランド』の曲は大好きです。
自身が主催するシンクロのチームでも何度も使用しました。
そして昨年行われた世界マスターズ選手権でも、デュエットフリーで藤丸真世さんとともに、『ラ・ラ・ランド』の中から「Another Day of Sun」を選んで泳ぎました。まさに、映画の中のダンスシーンのように躍動感を感じながら、楽しく泳ぐことができ、金メダルを獲得することができました。
今回、曲を作曲したジャスティン・ハーウィッツ氏が来日し、自らタクトを振って生演奏と映画のコラボということで、きっと大きなスクリーンの中の世界に引き込まれ、全身で音楽を感じることができると思うと、とても楽しみです。
曲に合わせた振り付けが体に染み付いているので、演奏中に手足が動き出さないように注意しながら公演を楽しませていただきます