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ka-yu、ソロアーティストとして新たな一歩を踏み出した『ka-yu BACK TO THE LIVE』レポート

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ka-yu BACK TO THE LIVE -January 2024-
2024.1.21 Spotify O-WEST

時は満ちたり。長いこと表舞台からは遠ざかっていたあの彼が、遂にソロアーティスト・ka-yuとしての新しい一歩を今宵ここに踏み出すこととなった。

Janne Da Arcのベーシストであっただけでなく、これまでにはソロプロジェクト・DAMIJAWと、松本和之のソロ名義でも音楽活動を行ってきたka-yu。ただ、ここ数年はライブ活動から離れており、その間は2006年に起ち上げた自身のアクセサリーブランド・Solid Beatにて作品展開などはしてはいたそうだ。もちろん、そんな彼が“再びステージでパフォーマンスする姿”を求める向きはきっと多かったはず。

そうした中、昨年12月30日にはSolid Beat EXHIBITION(展示会)において無料招待制のミニライブが開催されていたものの、このたびka-yuの誕生日=1月21日にSpotify O-WESTで行われたのは、待望となるフルサイズのワンマンライブ。そして、そこには『ka-yu BACK TO THE LIVE -January 2024-』という堂々のタイトルが冠されていたのである。

《狂気の夜始まるぜ!》という象徴的な歌詞が含まれる「Angel,you're not a devil」(DAMIJAW)をいきなり1曲目に持ってきていたあたりからして、ka-yuがこのライブにどれだけの“想い”をかけていたのか?ということは瞭然で。そのうえ、フロントに立って歌いながら5弦ベースを弾きこなす、あの往年のスタイルをここに復活させたこと自体がソロアーティスト・ka-yuとしての意思表示そのもの、だったのではないかと思われる。

ちなみに、今回のライブでka-yuをサポートしていたのはソロ初期時代からの深い縁がある原田喧太(Gt)、元NoGoDの凄腕プレイヤー・Kyrie(Gt)、Omega Drippをはじめとする各バンド活動と並行してZIGGYから長渕剛まで多彩なライブ現場でも名を馳せるCHARGEEEEEE(Dr)の3人で、いずれも百戦錬磨で超ヤバな猛者ばかり。

とはいえ、最強な布陣の陣頭に立ったka-yuがこの場で誰よりも苛烈な激闘ぶりをみせたのは間違いなく、2曲目の「ダーミー城の吸血悪魔を愛したダリア(哀)」(DAMIJAW)ではka-yuのベースから繰り出されるヘヴィ&アッパーな音や、ka-yuのアタック感を持ったヴォーカリゼイションに煽られるかたちで、オーディエンスがこぞってワイルドなヘッドバンギングに興じ始めたのも当然の流れであったと言えるだろう。

ただし、コンポーザーとしてのka-yuには“じっくりと聴ける美しい曲”を生み出す一面もあり、かつてJanne Da Arcの「桜」や「Dear my…」でもそれは具現化されていた部分だ。このワンマンライブでは、松本和之の名義で2007年にリリースされた音源『Solid Beat』に収録されていた「Wherever」や、まっさらの新曲であるにも関わらず聴き手側の胸中にしっとりと染み渡っていった「紫陽花」を通して、ka-yuの持つ歌心を活かした作曲センスを我々はたっぷりと堪能することができた。しかも、それをヴォーカリストとしても見事に歌いあげてみせるのだから、ka-yuというアーティストの備えている表現力には恐れ入る。

なお、8曲目のグランジロック感漂う「The Shadow」(松本和之)からはka-yuがベースを5弦から4弦のものに持ち替え、本編後半に向けてより機動力を重視した本格的臨戦態勢へとシフトチェンジ。

「Hey,渋谷! とりあえず、最後まで楽しんで帰ってください!!」(ka-yu)

手短な挨拶をはさんでから始められたのは、疾走感あふれるドライブチューン「BREAK OUT」(松本和之)で、またもの新曲であると同時にドラマティックな雰囲気が印象的だった「Kagerou」、ここぞというタイミングでの「ダーミー城の吸血悪魔が愛したマリア(泣) 」(DAMIJAW)、さらには読んで字のごとくなシンガロングが場内から沸き起こった「WOW!WOW!」(DAMIJAW)で、本編は無事締めくくられることに。

「アンコール、ありがとうございます! 声かからんかったらそれはそれでまぁいいかと思ってたんですけど、一応こうして物販のグッズを着てきました(笑)。では、アンコールをもらったので今日はSNSとかにもあげてない、新曲をやろうと思います」(ka-yu)

このka-yuからの言葉を受けて奏でられたのは、力強くも叙情的な「I LOVE YOU」と名付けられたロックバラードだった。この場で咄嗟に聴き取ったに過ぎないが、歌詞中に何回か《come back to me》なるフレーズが出て来ていたことを考えると、この曲には“ka-yuがまたこうして歌い出した理由”が少なからず込められているようにも感じられた…というのは、あくまでも筆者による邪推に過ぎない。でも、おそらくこの曲は今後ソロアーティスト・ka-yuにとってかなり重要な存在となっていくに違いない。

「おまえら、死ぬ気でアタマ振れよ!!」(ka-yu)

アンコールのラストでは、アグレッシヴな「Jaw」(DAMIJAW)でハジけきったこのライブの成功をもって、ka-yuはまさに“BACK TO THE LIVE”を有言実行したことになる。

そればかりか、早くも4月14日の東京・渋谷REX公演『ka-yu THE LIVE -April 2024-』と、5月4日の大阪・南堀江knave公演『ka-yu THE LIVE -May 2024-』まで既に大決定しているというではないか。

今のところは決して多くの情報が明かされているわけではない一方、それだけにこれからka-yuが一体どのような活躍をみせてくれることになるのかが、非常に気になるところだ。ka-yuが繰り広げる、満を持してのあらたなソロワークスにここは期待していよう。

取材・文=杉江由紀
撮影=TOSHIO KAWABATA

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