白井 圭
2024年3月6日(水)大阪・あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールにて、白井圭による『孤高なるソロ・ヴァイオリンの世界』が開催される。
この度、NHK交響楽団ゲストコンサートマスターを歴任したことでも注目を集めたヴァイオリニストの白井 圭が人生初の無伴奏リサイタルに際して、メッセージを寄せた。
無伴奏プログラムに寄せて
この度、一晩を一人でとのお話をいただき、これまでずっと逃げて参りましたが、独奏のコンサートをさせていただくことになりました。
僕にとってはアンサンブルが至福の時間なので、孤独な戦いとなることでしょう。
プログラムには、バッハの中で最初に弾いた作品と、これまで何度もトライしては挫折してきた至高の名作である、ソナタハ長調。
そして、いつも譜面台の上でスタンバイしつつも、なかなか形にならないパガニーニ。またいつか真面目に取り組みたいと思っていたバルトークを並べてみました。
是非このチャレンジを「独り」と感じない様、多くのお客様にサポートしていただきたいと願っています。
こういう機会がなければ、完成度を求めて練習しないと思った作品たちです。
パガニーニは、作品としては大好きなのだけれど、それを本当に魅力的に演奏するのは至難の業です。ただの超絶技巧作品と思われてしまうことが残念です。
24曲で一つの物語としても成立するのではないかと思っていますが、欲張らずまずは最初の一歩を踏み出したいと思います。
バッハのパルティータは演奏会の幕開けにふさわしいとは、思って選びました。恐らく人生で初めて演奏した無伴奏作品、練習曲的なカプリスは以前このフェニックスでも弾かせていただきましたが……。
バッハのソナタは、この長大な素晴らしいフーガの魅力を感じたのも随分最近のこと、作品として全部をまとめたことがありません。
ヴァイオリン一挺でこの世界は果たして表現できるのだろうか、と苦しむことになると思いますが、その先には素晴らしい世界が待っているのではないかと望んでいます。
大好きな作曲家バルトークは芸大の卒業試験で取り組んだのち、ミュンヘンのコンクールでも演奏しました。
しばらく疎遠になっていますが、その間に他のバルトーク作品は演奏する機会もあったので、また新しい見え方があるのではないかと期待しています。
皆様と、この自分にとって意欲的な時間を共有出来ることを楽しみにしています。
白井 圭