ビリー・ジョエル、17年ぶりの新曲「ターン・ザ・ライツ・バック・オン」配信 リリック・ビデオ公開も

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ビリー・ジョエル「ターン・ザ・ライツ・バック・オン」

ビリー・ジョエルが、新曲「ターン・ザ・ライツ・バック・オン」の配信がスタート、リリック・ビデオも同時公開となった。

“Please open the door(ドアを開けてくれないか?お願いだから)” とパワフルな歌声で始まる意表を突く出だし。いきなりのビリー節炸裂に心を鷲掴みにされる。ピアノのみのシンプルな演奏をバックに、往年のビリー流バラードを淡々と歌い上げるビリー。サビに入ると展開される、「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」や「夏、ハイランドフォールズにて」で聞かれたギターのアルペジオを模した流麗なピアノ演奏の再来。この1番はまるで、かつてのファン1人1人とビリーとのパーソナルな音空間を楽しんでもらうかのように用意された至高の77秒間だ。

2番に入り、バンド演奏とストリングスが加わり、美しくも荘厳な調べを盛り上げる。その演奏に負けないようにビリーのヴォーカルもシャウトしていく。

間奏に入ると、クラシカルでありながらキャッチーで美しいカウンター・メロディの出現で、さらに耳を奪われる。様々な仕掛けが詰め込まれた極上のバラード。「これぞ、ビリー・ジョエル!」という素晴らしい出来栄えとなっている。

“もういちど明かりを灯(とも)すのを、僕は待ち過ぎてしまったのかな?” と歌われる歌詞は、普通に考えれば、別れた恋人もしくは妻との関係を修復しようとする男の心情が歌われているようだが、全盛期のビリーとかつてのファンとの関係に置き換えても成立し、ファンへの隠れたメッセージとして捉えることもできる。

新曲発表のニュースと同時に公開されたティーザー映像をよく見ると、冒頭に、1993年発表のラスト・スタジオ・アルバム「リヴァー・オブ・ドリームス」で最後に書かれた「Famous Last Words」の楽譜が映し出される。ピアノに対峙したビリーがその楽譜をめくり、新曲のイントロを弾く。その光景は、ビリー自身が歌詞の出だし(”Please open the door”)に呼応するかのように、長年閉ざしていたドアを開けているかのようだ。

2月1日に全世界に同時公開されたヴァージョンは「ラジオ・エディット」(3分59秒)とのことなので、イントロはカットされているようだ。アメリカで発売される限定7インチ・シングルは収録時間4分21秒のエクステンド・ヴァージョンなので、恐らくイントロも存在していると思われる。

このことから、2007年リリースの2曲はビリー的には例外の位置づけで、1993年に終えた作詞(・作曲)活動を踏襲する位置づけとして今回の作品が用意されたものと考えられる。

この曲のプロデュースを手掛けたのは、セリーヌ・ディオンやアリアナ・グランデへの楽曲提供で知られるグラミー受賞ソングライター/プロデューサーのレディ・ウェクスラー。作詞作曲にはウェクスラー、アーサー・ベーコン、ウェイン・ヘクター、ビリー・ジョエル本人があたった。

なお、ビリーは、現地時間2月4日に米ロサンゼルスで開催される第66回グラミー賞に出演し、パフォーマンスを行うことが既に報じられている。なお、ビリーがグラミー賞授賞式に出演するのは2002年以来年ぶり。新曲「ターン・ザ・ライツ・バック・オン」の世界初生披露はあるのか注目だ。