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UCHUSENTAI:NOIZ現体制ラストLIVEにみた希望”スペースヒーローたちは決して死なない” 

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UCHUSENTAI:NOIZ

UCHUSENTAI:NOIZ

UCHUSENTAI:NOIZ 2024 LAST TOUR -BORN TO BE SPACE HEROES- ☆TOUR FINAL☆
2024.02.02(fri)赤羽ReNY alpha

ついにこの日が来てしまったがまるで実感が湧いてこない。2023年2月2日、赤羽ReNY alpha、無期限活動休止前のラストライブ。とんでもない人口密度でフロアを埋め尽くした隊員たちも、たぶん同じ気持ちのような気がする。この15年間、この5人がUCHUSENTAI:NOIZとしてそこにいるのが当たり前だったから、今日のラストシーンにどんな思いが駆け巡るのか誰にも予想がつかない。バンドの大転換点になる歴史的ライブ、いざ開演。

UCHUSENTAI:NOIZ

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いつものように幕が開き、いつものように熱烈歓迎コールを受けた5人が変身ポーズを決め、「METEORS」が始まった瞬間にフロアが沸騰する。床が揺れる。赤羽ReNY alphaが誇る高性能ビジュアル設備と、バンドが持ち込んだスペイシーでカラフルで壮大な映像ががっちりかみ合って、3D映画を見ているような凄い迫力だ。間髪入れずに「World End SUPERSTAR」「CIVERE CRIME」へ、NOIZが誇るヘヴィロックとダンスロックの強力なミクスチャーサウンドが火を噴き、ノンストップでぶっ飛ばす。2024年宇宙の旅。これはヤバいライブになる。

「今日は、一人一人を強く抱きしめる勢いでやるからね。覚悟しててよ。ベストアルバムを作るならこれかな?というセットリストですよ。絞りに絞った濃いめのセットリストで、おまえらを抱きしめるぞ!」

ANGEL-TAKAが叫び、「拳を上げろ!」とMASATOが煽る。エンジェルが旗をぶんぶん振り回して盛り上げる「FLASHBACK FLAG」から、MASATO&エンジェルのツインボーカルでぶち上がる「Beam bing“Bambino”GANG」へ。冒険とロマンを乗せた海賊船の映像をバックに、二人がお立ち台で揃い踏みする姿はひたすらかっこよくてとにかく映える。さらに間奏のヘドバンタイムが圧巻の「CRY」からストレートなビートロック「コールアウト」へ、NOIZの曲は本当にメロディがキレイでキャッチーだからどんなにヘヴィでも耳が疲れない。スクリーンに映る無限の大宇宙がとてもビューティフル。

UCHUSENTAI:NOIZ

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ライブが続くと爪が削られるMASATO、爪が硬くなる呼太郎、シンバルで指を切って血まみれになるYAMATO、なぜか左手の人差し指がどんどん短くなる叫。他愛もない話が絶妙のボケとツッコミ合戦で明るい笑いに包まれる、NOIZは音楽と笑いの神に祝福されたバンドだ。「BELIEVE」の髪振り乱しパフォーマンスがフロアに風を巻き起こし、MASATOと呼太郎のツインリードがステージに嵐を呼ぶ。エイトビートの「MAGICAL DIVE」はエンジェルのボーカルが優しさとロマンを伝え、ハードコア→四つ打ち→ポップへと進化する「Jewel」では叫がステージ前へ飛び出して猛々しいベースを響かせる。「Happy tied」は優しさしかないエンジェルの歌詞に泣き、呼太郎の超絶ソロに心が荒ぶる。大きく言えば「楽しい」なのだがその中に実に繊細な感情のグラデーションがある、だからUCHUSENTAI:NOIZの曲は癖になる。

YAMATO(Dr)

YAMATO(Dr)

叫(Ba)

叫(Ba)

中盤のお楽しみコーナー、YAMATO、叫、MASATO、呼太郎の「セッション」は今日も凄かった。ファンキーなビートに乗った白熱のギターソロ合戦に火花が散り、戻って来た黒い網シャツ姿のエンジェルが火に油を注ぐ。エンジェルとMASATOがステージから身を乗り出して煽る「CUBE」、大量のスモークと激しいヘドバンで盛り上がる「Bad Music Freaks」から「re:member」、さらに「Igni+ioN」でステージもフロアも狂乱のお祭り状態へとなだれこむ。マイクを握った「ラッパー・MASATO」の、熱いのにクールなたたずまいはいつ見てもかっこいい。フロアが揺れ動くほどの熱狂ぶりだが、エクササイズやゲームにも近いというか、暴力や危険の匂いはまったくしないのがNOIZらしい。なんと言えばいいだろう、ここには愛がある。

MASATO(Gt)

MASATO(Gt)

呼太郎(Gt)

呼太郎(Gt)

「ソールドアウトに慣れてないから(笑)」と自虐をかましながら、ぎゅうぎゅう詰めのフロアに感謝を伝えるエンジェル。そろそろ2時間が経とうというのに終盤の気配がないまま、シンセ仕掛けのビートロック「Everything For My Love」はフロント4人がステージ前に飛び出して圧をかけ、叫のスラップが炸裂する「CHROMOSOME SIX」は隊員たちが揃いのステップで素敵な一体感を作り出す。スモークマシンも元気いっぱいに稼働中だ。「R.A.M FISH」は強力ダンスビートに乗ったエンジェルとMASATOのツインボーカルでぐいぐい盛り上げ、隊員たちも負けじと大きな手振りで応える。ステージの上も下も、どっちを見ても楽しい。それがUCHUSENTAI:NOIZのライブ。

ANGEL-TAKA(Vo)

ANGEL-TAKA(Vo)

「このメンバーとのライブは今日でラストです。でも毎回思い出話をして湿っぽくなってツアーを廻るののは俺ららしくないから、愛いっぱいのツアーを廻らせてもらいました。今日も最高に楽しい思い出を持って帰ってもらおうと思ってライブしてます」

愛を込めて、聴いてくださいーー。エンジェルの一人語りでようやく「ああそうだ、今日が最後か」と思い出したところに「SO LALALA」は心に沁みる。歌詞とメロディだけでなく、広大な海と空と地球が浮かび上がる映像の美しさが目に沁みる。遥かな叙情と壮大な宇宙時間に彩られた、UCHUSENTAI:NOIZ にはこんな素敵な曲がたくさんあるんだ。一転して明るくポップでダンスな「BRAND NEW WORLD」は、華麗なソロを決める呼太郎の雄姿を目に焼き付ける。そして「Thank you for the MUSIC」の激しくめまぐるしいリズムチェンジは残った体力を図るバロメーター、しかし脱落者は一人もいない。「まだ行けるか!」とエンジェルが吠え、「かかってこい!」と叫が叫ぶ。この日の22曲目「F」はもはや無礼講、カオスまみれの明るい騒乱状態の中、エンジェルが手持ちのスモークマシンで所かまわず白い雲をぶちまける。サンキュー!とエンジェルは何回言っただろう。「愛してるぜ、地球のベイベー!」。エンディングのSEが流れ、ポーズを決める5人。そしてハンド・イン・ハンド。これで終わり。本当に?

UCHUSENTAI:NOIZ

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「15年間、毎日が青春みたいで、宇宙最大の、最っ高な15年を過ごすことができました。本当にUCHUSENTAI:NOIZで出会って良かったです。出会ってくれて本当にありがとう。心から愛してます」(呼太郎)

「みんなありがとう!」(MASATO)

呼太郎は、言葉をかみしめながらしっかりと。MASATOはたった一言。すすり泣きの声があちこちで聞こえる。万感の思いを伝え終え、大量のスモークで目の前が真っ白になり、雲が晴れたステージにはもう誰もいない。「UCHUSENTAI:NOIZは地球を離れ、次の星に移動しました。宇宙からも引き続き、みなさまを愛し続けるでしょう」――まるでSF映画のエンディングのようなナレーションと、宇宙へと帰ってゆくロケットの映像がスクリーンに残される。場内が明るくなっても、あきらめきれない「おかわりコール」はその後10分以上続いたが、5人が戻って来ることはなかった。

UCHUSENTAI:NOIZ

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この5人で作り上げたUCHUSENTAI:NOIZの旅は終わった。最後の瞬間は涙になったが、笑いと勇気、高いスキルとバンドマジック、ロック愛と連帯感を存分に伝えてくれた素晴らしいフィナーレだった。無期限活動休止がいつまで続くか、先のことはまったくわからない。今はただ呼太郎、MASATO、ANGEL-TAKA、叫、YAMATO、そしてすべての隊員に感謝と祝福を。少しだけ感傷に浸ったら前を向こう。スペースヒーローたちは決して死なない。

取材・文=宮本英夫

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