鳥取出身、漁港で働く注目のアーティスト・jo0jiが作り上げる世界観ーー「近くを照らすくらいの灯りには誰しもなれると思っている」

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jo0ji

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鳥取出身の24歳のシンガーソングライター・jo0ji。Spotifyが躍進を期待する次世代アーティストをサポートするプログラム『RADAR: Early Noise 2024』にも選出されるなど注目を集めているアーティストだ。漁師の父親のもとで育ち、自身もアーティスト活動の傍ら、地元の漁港で働いている。友人のために制作した「不屈に花」をYouTubeに公開し活動をスタート。2023年9月に自身初のEP「475」(よなご)、1月31日(水)には新曲「ランタン」がリリースされた。今回FM802の『BRIGHT MORNING』(毎週金曜日 6:00~12:00)に初登場し、DJ 内田絢子音楽のルーツや曲に込めた思いを番組でたっぷりと語った。FM802で昨年からオンエアしたところ、Xで「今の歌声は誰? 気になる!」とリスナーからの反響が多く、今回初登場となった。

内田:FM802『BRIGHT MORNING今日のゲスト、今年に入ってから毎週のように曲をお届けしてきましたが、ここで番組初登場。遂にお会いすることができました。自己紹介お願いいたします。

jo0ji:jo0jiです。よろしくお願いします。

内田:シンガーソングライターのjo0jiさん、今日はスタジオにお迎えいたしました。今日は鳥取から車で来てくださったということだったんですけど、ここまでの道のり、いかがでしたか。

jo0ji:大阪まで全然すぐでしたよ。友達と来たので、くっちゃべってたらすぐ着きました。

内田:良かったです。今日は802のスタジオに初めて来てくださったということで、色々教えていただきたいなと思っています! よろしくお願いします。jo0jiさんの音楽と出会ったキッカケというのは、実はimaseさんだったのです。802で大晦日にお届けした番組『802 BINTANG GARDEN -アーティストが選ぶ2023年音楽大賞!!-で、imaseさんが2023年嫉妬したアーティストとして、jo0jiさんをご紹介くださいました。今日は802のスタジオに初めて来てくださったということで、皆さんも気になっている歌声、jo0jiさんに、聞き惚れしたというメッセージなどもたくさんいただいているんですが、今日はもうjo0jiさんのお言葉で色々教えていただきたいなと思っています。

jo0ji:めちゃくちゃ嬉しい!

内田:imaseさんは≒」(ニアリーイコール)をピックアップされてたんですけど、とにかくこの曲に嫉妬したと。こんな曲をいつか僕も作ってみたいと、かなり惚れ込んでいらっしゃる感じで。

jo0ji:本当ですか!? LINE知ってるんですけど、何も教えてくれなかったですね、imaseさん。

内田:LINEを知ってるということは結構親交もあるんですか?

jo0ji:そうですね、ご飯食べに行こうとか、東京に行ったタイミングとかで言ってるんですけど、大体、彼が忙しすぎて会えなくって……。今度こそみたいな感じにはなっています。

内田:元々、imaseさんとjo0jiさんの出会いのキッカケは何なんですか?

jo0ji:imaseさんが聴いてくれてたみたいで、「不屈に花」をリリースした時に、インスタでメンションつけてストーリーズに上げてくれて、そこからの繋がりなんです。

内田:そんなimaseさんが、jo0jiさんをFM802のリスナーさんに届けてくれて、今日はついにお話ができます。jo0jiさんは鳥取出身、現在24歳ということで、お父さんが漁師さんで、jo0jiさんも漁港で働いていらっしゃるという。普段はどんな生活スタイルを送ってらっしゃるんですか?

jo0ji:朝、漁港に行って働いて帰るみたいな感じです。配達をしながら、せりの帳面に何円ってのを書いてます。

内田:漁港でお仕事をされる中で、ライフスタイルはどうやって音楽に出会ったのかなというのが気になります。

jo0ji:小さい頃から音楽は聴いてて、YouTubeもそうですが、親がレコード聴いてて、昔のフォークソングを聴いてました。吉田拓郎さんとか中島みゆきさん。あとRCサクセションも聴いてました。あと小2くらいの時に母親の実家にあったピアノがやってきたので習い始めました。

内田:なるほど。吉田拓郎さん、中島みゆきさんの音楽が流れていて、ピアノを習う環境があって、そこから音楽作りを始めようと繋がっていったんですか?

jo0ji:全然作ろうとは思ってなかたんですけど、2、3年前に友達がラップを始めて、その影響で自分も作れるかもなと思って、パソコン買って作ってみた感じなんです。

内田:じゃあ始めはラップから?

jo0ji:そうでもなくて(笑)。最初はそのラッパーの子にトラックを作ってあげようみたいな感じだったんです。4小節くらいループするみたいなのが面白くなくて、AメロとかBメロ、サビある展開の方が作ってて楽しいなと思ったんで、じゃあ自分で作るかという感じで作った感じなんです。

内田:そこからパソコンとピアノ使いながら?

jo0ji:そうですね。パソコンで大体打ち込みで作ってますけど、作詞作曲する時はピアノで先に作っちゃってからです。

内田:歌詞はどんな時に書くことが多いですか?

jo0ji:最初は周りの悩んでる友達とかを元気づける内容にしようと思って作ってたんです。あと友達の恋愛とかのエピソードがあったりとか、自分の身の回りで出来事が起こるので、それをネタにそのまま作ってます。

内田:周りの友人の方々や、大切な方との間で湧き上がってくる感情というのが、曲の中に込められてるんですね。初めて作った曲というのが今お話してくださったお友達への楽曲。

jo0ji:そうですね。一番最初に作った曲が「不屈に花」です。

内田:曲ができた時の気持ちって覚えてますか?

jo0ji:最初、友達だし笑わせてやろう的な感じでギャグに走って作ろうと思ってたんですよ。なんですけど、友達が作った時点で、もう面白いから、ここは逆に思いっきりカッコつけたほうが、大爆笑かっさらえるだろうなと思って、カッコ良い感じで作って聴かせたら、「カッコ良い」と感想がきちゃったもんで、思ってた反応と違うなと思ったんですけど、「結構沁みるわ~」と言われて、「あ、ありがとう……」と、ちょっと照れちゃって、何も返せなかったですね。

内田:素晴らしいメロディです。jo0jiさんの歌声は痛みに寄り添ってくれる声でメロディーはすごく希望に導いてくれるなと私は感じていて。そのお友達は「カッコ良い」という感想以外にも何かおっしゃっていましたか?

jo0ji:何て言ってたかな……? でも、サビは常に口ずさんでましたね。あと「この喧騒の中ではあなたの声が届かない」というフレーズのところが気に入ってるみたいで、そこが流れ始めると大合唱してくれますね。

内田:いつも曲ができた時は届けたいなと思ってる人に聴いてもらうことが多いですか?

jo0ji:そうですね。地元の友達にLINEとかで「こんな曲できたけど、どない?」みたいな。

内田:じゃあみんなから聴いた感想がダイレクトに届くわけですね。「不屈に花」もそうですが、誰かに届けたいという明確な人というのが曲を作るときにはあったりするんですか?

jo0ji:届けたいというよりかは、「この人を題材にしました」みたいなモデルはしっかりありますね。そこを材料にしないと俺が作る意味ない気がしていて。なので、なるべく実体験とか身の回りの人たちを想って作るようにはしてます。

内田:「不屈に花」も収録されてる1st EP「475」は、昨年9月にリリースされて、全5曲収録されていて、それもいろんな人がモチーフになっているとお聞きしました。

jo0ji:1曲目の「明見」という曲は、父親がモチーフで、父親の船の名前が「明見丸」という船で、そこから取って「明見」にしたんです。漁師って漁に出るまで、魚が取れるかよくわからないじゃないですか。そういう確証がないと不確かなところを仕事と生業としているの人なので、EPを作るとなった時に、どこの誰に届くかも分かんないようなものを今から作るってなった時に、験を担ぐ意味で縁起がいいかなと思って父親の船の名前をつけました。なんて言うんでしょうね、向こう見ずなところもあったりとかして。

内田:なるほど。明見丸からの「明見」、とてもたくましい姿が浮かぶ1曲でした。続いて2曲目の「言焉」はいかがですか?

jo0ji:これは幼馴染の友達がいて、そいつがヤンキーだったんですけど、どんどん優しい人間になっていって、でも優しくなるにつれて、弱くなっていったというか……、その彼に向ける言葉というか、その時の自分に対してもだし。不器用で優しさ故に傷つく彼に向けて作った曲なんです。

内田:この曲を聴いて大切な人への思いが溢れ出てくる瞬間があるなと思ったのは、その親友という存在だからなのかもしれないですね。ちょっとカントリーっぽい感じのテイストも新鮮でした。

jo0ji:カントリーが好きでずっと聴いてたんですよ、自分が。友達はそんなにJ-POPとか聴かないやつだったんですけど、俺が聴いてたカントリーの曲だけは歌えるくらい聴いてくれていて。なので、唯一2人の共通の好きな音楽がカントリーだったんです。

内田:今、すごい2人が楽しそうに音楽を聴いている姿が目に浮かびました。そして3曲目は「不屈に花」で、4曲目の「≒」はいかがでしょう?

jo0ji:この曲は自分が曲を作り始めて、東京の人から連絡が来て、一緒に何か作っていこうみたいな感じになったタイミングで、これから色々動き出すんだろうなという感覚が自分の中でもあって。その中で多少なり絶対変わってはいくんだろうけど、地元の友達たちと仲良くやってて、自分のことを好いて一緒に遊んでくれてる人たちが見てくれてる自分の良いところはなるべくなくさずに生きていった方が絶対良いことなんだろうなと思って。これからできる曲もそこを持ち続けていくべきなんだろうなというふうに思ったんで、今の友達と自分の良いところとか、そういうの変わんないように、変わっていくのは仕方がないけど、ほんとに大事なところは忘れてくれるなよという意味も込めて、この曲を作ったんです。だけどもしかしたら自分に向けてですかね。

内田:その気持ちはどんな時でも≒」という曲があり続ける限り、どんな環境でも思い出させてくれると思います。周りの友達への感謝の気持ちも詰まっているんだろうなと思いますし、大事にしてほしいですね。そして最後5曲目「cuz」。

jo0ji:この曲は、亡くなったおばあちゃんの曲なんですけど、両親が共働きで夜も遅かったから、おばあちゃんに小学校中学年くらいまで育てられたんです。そのおばあちゃんが死んじゃって、悲しいなと思って、悲しいお別れの曲をずっと聴いていても、どの曲もしっくりこなくて。そのタイミングで、お通夜が始まった時に、おばあちゃんの親友が来て、おばあちゃんに向かって喋った言葉が悲しいとかそういうことじゃなくて、「情けねえな……」みたいな感じで、「順番だけ待っとれよ」みたいなあっさりした別れをして、そそくさと帰っていったんです。それがおばあちゃんらしくて、「あ、この人はあっさりしたお別れの方がいいんだろうな」と。そういう曲があんまりないなと思ったので、すんなりお別れするみたいな曲を作ってみようと。

内田:jo0jiさんのおばあちゃんへの気持ちと、ちゃんと笑ってお別れしたいという気持ちが、この曲を聴いている途中に浮かんできました。

jo0ji:あとこのEPを作るとなった時に、テーマを「地元」をルーツにして作ろうとなってたので、自分の育ての親みたいなところもあるし、すごく褒めるおばあちゃんで、自分は何でもできるような気がしてるんすけど、そういう考え方を手に入れたのが、おばあちゃんに育てられたおかげだと思ってるんで。ほんとルーツ中のルーツということで最後の曲にしました。

内田:収録されている5曲はjo0jiさんの周りで支えてくれてたり、そばにいてくださる人への大切な気持ちが曲の中からもめちゃくちゃ伝わってきたので、改めて1st EP「475」もじっくり聴いていただきたいと思います。あと新曲「ランタン」が1月31日(水)にリリースされて、jo0jiさんならではの表現で届けられてるなと思いました。

jo0ji:この曲を作った時、自分の身の回りで別れが多くて、突然人が亡くなったり、会えなくなったことが多くて受け止めきれない現実に下を向きたくなったんですけど、常に上を向いて歩いてる人に自分は勇気づけられてきたので、そんな時に気持ちが楽になるような曲を作りたいなと思って作った曲です。

内田:タイトルが「ランタン」というところも、優しさを曲に入れたいという思いが伝わってきました。

jo0ji:光が燦然と輝くみたいなことは難しくても、近くを照らすくらいの灯りには誰しもなれると思っているので、その灯りに照らされてる自分がいて、その灯りはすごくありがたいことなんだよというのを伝える曲ですね。

内田:その光というのは自分自身も誰かの存在が柔らかな光にもなるし、jo0jiさんの歌声がその存在にもなると思います。柔らかな光にみんなが集まってきたり、その光がどんどん大きくなっていくような感情も抱きました。あとこれミュージックビデオがすごく素敵で、木々に囲まれた森の中でピアノを弾くjo0jiさんがすごく良くて。

jo0ji:良いですよねミュージックビデオ。Margtというクリエイティブチームが作ってくれたんですけど、この曲のことをすごく気に入ってくれて。命を題材にしてるのでランタンに見えてるのは灯篭で、死者を伴うみたいな意味が灯篭にはあるから、たくさんの灯篭に囲まれる状態で、その光を受けてひかってるjo0jiというのは出来ないだろうかと言われて出来たミュージックビデオで。

内田:その中で歌う気持ちはいかがでしたか?

jo0ji:めちゃくちゃ綺麗でした。あの中で歌うのはすごく気持ち良かったです。

内田:是非、ミュージックビデオもあわせて御覧いただきたいし、今日たくさんお話してくださったjo0jiさんのエピソードを想像しながら、鳥取の海も想像して聴いていただきたいなと思います。jo0jiさんの周りにいらっしゃる人たちの温かさがこの曲たちには詰まっているんだろうなと思います。今日はたくさんお話してくださってありがとうございました。

jo0ji:ありがとうございました!

取材=内田絢子(FM802)

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