berry meet
berry meet 1st One-Man Live「結び」 2024.02.06(火)渋谷WWW
2月6日、渋谷WWWでberry meetのファースト・ワンマンライブ『結び』を観た。初リリースから1年で一気に大注目バンドの仲間入りしたことは知っていたが、ライブを観るのは初めてだ。会場はぎっしり満員、チケット申し込みはキャパシティの数倍の応募があったという。音楽関係者も非常に多く、期待と熱気でざわめく晴れ舞台だ。
たく(G&Vo)、いこたん(Dr&Cho)、たなかり(B)。男子1名×女子2名の若いバンドは、1曲目「嘘」からそのポテンシャルを見せる。初々しい空気、キャッチーなギターロック、そしてコーラスワーク。たく、いこたんのツインボーカルで魅せる「キリギリス」から「煌めき」へ、他にはないフレッシュな個性を振りまきながら勢いに乗る。
たく(G&Vo)
少し緊張気味に見えるたくに対して、いこたんは天真爛漫。「みんなの顔、めっちゃ見えてるよー」と元気いっぱいにライブを盛り上げる。この日、二十歳の誕生日を迎えたたなかりは二人を笑顔で見守る役割かと思ったら、自ら作詞作曲した「明日」では凛とした歌いっぷりで主役になった。メインボーカルのたくが作る物語性の強い切ないラブソングの世界観に、いこたんがキュートなボーカルを合わせ、たなかりは鋭いスラップなど正確な技術でバンドをグルーヴさせる。たくの持つ激しさや内省と、いこたんとたなかりの持つ陽のパワーが並び立つ。粗削りだが自然なバランスの良さがberry meetの特長だ。
昨日、雪が降りましたねーー。つぶやくようなたくのMCから、YouTube100万再生を突破中の冬のバラード「月が綺麗だって」へ、楽曲の世界へ引き込むタイミングもばっちりハマった。「ワンマンなので好き勝手やろうと」と、独りステージに残ったたくが、アコースティック弾き語りで「片目」を歌う。恋愛の喜怒哀楽、というより「哀」の部分に特化したような、独特の叙情あふれるナイーブな世界観。たなかりといこたんが戻り、いこたんが作詞作曲でメインボーカルを取る「わからずや」の、切なさの中にときめきを感じる曲調。「3人が曲を作れて歌えるバンド」、誰もがberry meetに注目する理由がわかる。
いこたん(Dr&Cho)
まだまだ行けますか!とたくが煽り、後半は「幸福論」から「紬」へと、踊れるロックを連ねて波に乗る。大舞台の経験はまだ少ないはずだが、ライブバンドとして会場全体を盛り上げていく意識ははっきり見える。MCではライブタイトル「結び」の意味を説明し、「私が今日二十歳になって、二人に追いついて、区切りとしての結び目の意味」(たなかり)「もう一つ、berry meetの由来はたくさんの人に会いたいと思ってもらえるバンドになれたらいいなという思いを込めてつけた名前で、今日もこんなにたくさんの人と結ばれたご縁を大切にしていきたい」(いこたん)と抱負を語る。これもYouTube100万再生を超える代表曲「図星」は、一緒に歌う人がたくさんいる。バンドとファンの縁はすでに結ばれている。
「1年前、どんな人生になるかわからなかったけど、今は胸を張って、二人とバンドをすることが人生だとそう言えます。二人のおかげ、みんなのおかげです。ありがとう」(たく)
迷いの時期を乗り越えて今に至る道のりを、一言ずつかみしめるように伝えるたく。新曲「そうじゃなくて」とファースト・シングル「あのさ」を繋げた壮大なバラード2部作は、歴史を積み重ねてさらに大きなバンドになってゆく決意表明だろう。本編ラスト「いつかの僕を」を歌う、たくの情熱的なパフォーマンス、いこたんの笑顔、たなかりの安定感、バンドはこのライブの間にも確実に成長しているような気がする。
たなかり(B)
アンコールを待つ時間を使い、スクリーンでは最新のミュージックビデオ「純情」がお披露目された。そのままアンコール1曲目も「純情」で、明るいリズムに乗った手拍子と手振りでみんなの心が一つに繋がる。「全部歌っちゃって!」とたくが叫び、最後はこの日2度目の登場となった「図星」で、ギターのチューニングを忘れてイントロをやり直したのも楽しいハプニングに切り替えて、大合唱で締めくくる、絵に描いたようなハッピーエンド。バンドの持ち味を存分に出し切った1時間40分、これがberry meetの一生一度のメモリアルなファースト・ワンマンライブ。
この日の物販でCDが初登場したファーストミニアルバム『夢の中で、夢から醒めて』の曲を中心に、バンドの未来までを示唆するベストライブ。終演後のファンと関係者の熱気を体感すると、このバンドが大きな存在になるのは時間の問題かもしれない。誰もが会いたくなるバンド、berry meetに会うのは今だ。
取材・文=宮本英夫
berry meet