krage アーティスト名の由来、創作活動への想いとは

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日本人の父、中国人の母を持ち、多国籍な音楽が常に流れる家庭環境の中で自然と音楽に魅力を感じて育ったというkrage(クラゲ)。現在放送中のTVアニメ『天官賜福 貮』日本語吹替版のED曲「春想」、TVアニメ『俺だけレベルアップな件』のEDテーマ「request」を2月28日に同時リリースする彼女に、新曲のこと、アーティスト名の由来、創作活動への想いを訊いた。

──そもそもkrageというお名前はどういったところからつけたんですか?

本名が、漢字で海月と書いて“みつき”なんですよ。なので、小さい頃から“くらげちゃん”ってあだ名で呼ばれていて。そこから取りました。

──ご自身でも好きな名前だったりします?

好きです。母が中国人なんですけど、出身が海南島というところで、言ってみたらハワイみたいな感じというか。ベトナムのすぐ横にある離島なので、暖かくて、海の透明度が高くて綺麗なんです。それで、海の上に浮かぶ月のように、綺麗で広くて大きな心を持った子になってほしい、みたいな願いから“海月”ってつけたんですけど。なんで父の家系の人は誰もツッコまなかったんだろう?とは思いつつ(笑)、気に入ってますね。漢字が綺麗なので。

──お母様の地元には行かれたことはあるんですか?

3、4年に1回ぐらいは行っていたんですけど、コロナがあってからはまだ1回も行けていないので、そろそろ行きたいです。海南島出身の芸能人はあまりいないらしくて。みんな地元が好きすぎて、あまり外に出ないみたいで(笑)。だから、これから音楽で繋げられたらいいなと思ってます。 

──幼少の頃からご両親の影響でピアノを始められたそうですが、いわゆる音楽家系だったんですか?

というよりは、クリエイター家系っていうんですかね。父が元々ベーシストで、今はゲームのプロデューサーをやっていて。母は元々ジュエリーデザイナーで指輪を作っていたので、普通の仕事というよりは、何かを作る家系でした。あと親戚に、有名ではないんですけどオペラ歌手がいたりとか、ちょっと特殊な仕事の人が多くて。そういった中で、何か習い事をやりましょうとなったときに選んだのが、ピアノと英語でした。最初は歌にあまり興味がなかったんです。

──そうだったんですね。

シングルマザーで、母のところで育ったんですけど、家では中国のドラマや映画の主題歌を集めたCDがずっと流れていて。J-POPにはまったく触れてこなかったんですけど、中学2年生のときにレディ・ガガさんとかケイティ・ペリーさんとか、洋楽の女性歌手が大ブームだったんです。それで、レディ・ガガさんのライブの弾き語り映像を観て、英語だし、ピアノだし、やってみようかなって、ちょっと興味が湧いて真似をしたことが、歌を始めた最初でした。

──歌には興味がなかったけど、ピアノは好きではあったんですか?

ピアノが好きというか、実は歌が苦手だったんです(笑)。全然歌ったこともなかったし、日本語の曲も分からないし、カラオケにもあまり行ったこともなくて。小学校や中学校で、合唱コンクールってあるじゃないですか。合唱したくないがゆえに、3年間伴奏をしたんです。歌よりピアノがその時は興味があったので。

──苦手だった歌を歌ってみてどんな感覚になりました?

最初は人には聴かせていなかったんですけど、初めて親族の前で歌ったとき、母が反応してきたんですよ。“意外と上手くない?”みたいな。そこで“私って歌えるんだ”みたいな気付きを初めて得て。そこから友達とかも“そんなに歌えるんだ?”みたいな感じで、ザワザワし始めて。自分では全然自覚がなかったんですけど、そんなに言われるんだったら歌もちゃんとやってみるかと思って、バンドをやったり、DTMをやったり、いろいろ手をつけ始めました。

──ご出身は北海道ですよね。

はい、札幌です。

──最初は札幌で活動していたんですか?

そうですね。デビューしてからも半年ぐらいは札幌にいました。

──バンドをやっていたそうですが、始めたきっかけというと?

高校生のときに、ピアノの弾き語り動画をSNSにちょっとあげたりしてたんです。それを見たソニーの新人開発の方が声をかけてくださったんですけど、それと同時期に、4、5歳ぐらい上の人たちから“俺らのバンドでボーカルやらない?”っていう話が来て。そのことを新人開発の方に話したら、“バンドで契約してもいいよ”と言われて、そこから4年ぐらいやってましたね。ギターボーカルで、王道のJ-ROCKみたいな感じの曲でした。

──音楽のために何かをすることに関しては、あまり苦労を感じない?

ギターを始めるときはちょっと抵抗があったんですけど、ピアノをやっているからナシではないかって(笑)。やっぱり音楽をやっているということがアイデンティティではあったので、挑戦してみることに抵抗はなかったです。

──ちなみに、音楽以外で好きなものというと?

いまつけているネイルも自分でやってるんですけど。あとはアクセサリーとか、普段から結構凝ったものを自分で作ったりしますね。髪もブリーチして自分で染めていて、エクステも自分でつけてるんですよ。なので、DIY系は一通り、わりと人並み以上にできます。

──確実に人並み以上だと思います。

美術部だったのもあって、昔から何かを作るのが好きでしたね。そこは両親のこととも繋がっているんですけど、普通の仕事というよりも、何かを作る方が向いているんだなっていうのは昔から感じていました。気が付いたら全部の趣味が、手先を器用に使う系になっていました。小学3年生ぐらいからネイルをやったり、裁縫も小学生のときに編み物とかミシンとか刺繍とか、結構マスターしちゃって。多分、今でもやれと言われたらできると思います。

──すごいですね。

アクセサリーを作る工具も、ネイルの工具もあるので、最近家がちょっと狭くなってきました(笑)。

──はははは(笑)。音楽に関しては、DTMもやられていたとのことですが。

ビートを作るのはまだやったことがないんですけど、宅録してMIXしたりはある程度、自分でできます。音楽を作るときは、発注したビートとか、フリーのトラックを引っ張ってきて、そこにメロディを乗せることが多いですね。

■普段の生活では素直に語れない分、寝る前の瞑想中の自分が代弁してくれている感じがあって、年々キツい言葉が引用されたりしてますね。

──歌詞を書き始めたのはいつ頃でした?

バンドをやっていたときに書いたのが最初で、それまでは全然書いたことなかったです。

──歌詞を書くという行為に関して、昔と変わらない部分や変わった部分はあります?

昔から変わっていないところは……本音を語れないタイプなので、小さい頃から携帯のメモに、ムカついたこととか悲しかったこととか、その日に思ったことを、寝る前の意識がボーっとしている状態のときに書いていたんです。で、朝起きて“こんなこと思ってたの……?”みたいな衝撃を受けるというのをずっと繰り返しているんですけど。いざ歌詞を書くときは、そのメモから引っ張ってきてます。バンドのときは、メンバーとかいろいろな人の意向も入っちゃってるんですけど、年々自分のインサイドな部分を引き出せていると思います。メモにも、小さい頃に比べたらだいぶすごいことを書いてたりして。

──すごいこと?

寝る前じゃないと思いつかないことというか。「金持ちも貧乏人も等しく恋愛に悩む」とか、普段生活していてあんまり思わないことを書いていたりしますね。「人間だからしょうがないよね」とか。たぶん何かあったんだろうなって(笑)。

──確実に何かあった言葉ですね(笑)。

はははは(笑)。普段の生活では素直に語れない分、寝る前の瞑想中の自分が代弁してくれている感じがあって、年々キツい言葉が引用されたりしてますね。

 

──僕、「東京Longing」の歌詞がすごく好きで。あの曲は上京したときの心境を書かれていると思うんですが。

そうです、上京した後に作りました。

──孤独感や未来への漠然とした不安が綴られた歌詞と、アンビエントR&Bなトラックのマッチングもいいし、すごく素敵な曲ですね。

ありがとうございます。私は、歌詞に嘘を書けないタイプなんです。歌うときに歌詞に感情移入をしやすいタイプなので、自分が思ってもいないことを書いてしまったら気持ちが入らないので。なので、私としては本当のことを書いているし、「東京Longing」は、上京して思った本当のことをそのまま書いてるので、同じような心境だった人とか、新生活の時期に出していたので、先のことが不安な人にはめちゃくちゃ届いたんじゃないかなと思います。

──あと、krageさんは、日本語と英語と中国語を使い分けて歌詞を書かれていますけど、それぞれの言語を選ぶのはどんな瞬間なんですか?

いつもメロディから考えるんですけど、日本語だと素直に伝わりすぎてちょっと恥ずかしいところを、別の言語に変えてフィルターをかけたりとか。あと、どうしてもメロディ的に日本語だとのっぺりしちゃうところは、パッと思いついたフレーズ的にハマりがいいほうを採用してます。歌詞が大事なのはもちろんですけど、聴いていて変に引っ掛かってしまうのは嫌だし、リズムを意識して作っているので。

──そのなかでも、英語と中国語が向いている場面ってあったりします?

中国語は同音異義語がすごく多いので、狙わなくても韻を踏めるというか。ひとつの漢字に対して四声で区別するので、無理やり合わせなくても、思った気持ちそのままでハマりがよかったりするので、同じフレーズが繰り返されるところに使ったりしますね。英語は、それこそ伝わりすぎると恥ずかしい部分とか、メロディが続くところは、英語で言ったらカッコいいかなって(笑)。

──(笑)。なるほど。

個人的な印象なんですけど、日本語って母音と子音がびったりくっついているから、速く歌うときにはっきり発音するとカクカクしちゃうんですよ。そこをはっきり発音せずに歌う方法もあるんですけど、私としては、日本語は日本語としてしっかり聴き取れるものにしたいんですよね。なので、めちゃくちゃ早く言葉を詰め込まなきゃいけないところは、英語か中国語でいい感じにすることが多いです。

 

──お話を聞いていて、改めて気になったのが「Xu」という曲で。日本語も英語も中国語もあって、それこそ本音を濁しながら書いた曲だと思うんですけど。

そうですね。

──ああいったネガティブな感情も、これが本音ではあるから書いてしまおうと。

基本的にはポジティブな人間ではないんです。ネガティブ思考だし、最初に出てくるのは暗いワードが多いんですよ。「Xu」に関しては、結構刺々しいというか。だいぶ尖っていた時期に書いていたのかなと思います(笑)。

──ただ、濁してはいるかもしれないけど、それでも生々しい葛藤が伝わってきて、すごくよかったですよ。

ありがとうございます。 

 

──では、ここからは2月28日に2作同時でリリースされるシングル「春想」と「request」のお話に行こうと思います。「春想」はアニメ『天官賜福 貮』、「request」はアニメ『俺だけレベルアップな件』(「俺レベ」)と、どちらも今期放送されているアニメのエンディングテーマになっていて。ワンクールに2作同時で担当するというのは、いろいろなタイミングもあったと思いますが、そのお話を聞いたときにどう思われました?

そんなことがあっていいのか……!って(笑)。新人の私でいいんですか? 大丈夫ですか? って。最初はそう思ったんですけど。ただ、似たような作品ではないんですよね。自分と親和性のある中華系の『天官賜福 貮』と、新境地というか、私がまだ一度も踏み入れたことのないジャンルの『俺レベ』だったので、全然違う作品のエンディングを2つ同時にやるというのは、すごく大きな出来事というか。どちらの層にもアプローチできるから、ありがたいことだなと思いました。

──まずは『天官賜福 貮』のED曲「春想」からお聞きできればと。柔らかな雰囲気がありつつも切なさがあって、壮大なスロウナンバーになっていますね。

壮大でありたいけれど、心にすっと入ってくるようなメロディーがいいなと思ってました。作曲された方(福島章嗣)は、日本人の方なんですけど、マカオ在住らしくて。なので、中華圏の曲の雰囲気を知っているのか、元々中国の音楽を聴いていた私からすると、中国にもありそうな曲というか、向こうの人も受け入れてくれそうな感じがしたので、めちゃくちゃいいなと思いました。

──歌詞はkrageさんが書かれていますね。

はい。日本語版と中国語字幕版の1期を見て、小説も読んで、とにかくまず世界観を頭に入れることから始めたんですけど、内容が結構難しいんですよね。作品の内容がものすごく壮大で、出てくる用語も結構難易度の高いものが多かったりして。たとえば、“長明燈”とか“銀の蝶”とか、作品に関係するものを入れて、雰囲気ソングにするのもありかなと思ったんですけど、やっぱりこの作品で一番大きいのは、800年その人を思い続けたという気持ちの部分であって。そこに完全にフォーカスしたほうが伝わるんじゃないかなと思って、あえてシンプルに、気持ちだけを前面に出した歌詞にしました。

──歌ってみていかがでした? Aメロとかかなり低いですよね。

〈長い夢から覚めないのでしょう〉というところが一番低いんですけど、ここは2つぐらいパターンがあって。出るけど籠って聴こえるから、新しいパターンを考えてくださって、今のメロディになったりとか。結構試行錯誤した曲ですね。暗い夜更けみたいな状態から、サビで気持ちがさらに募っていくというか、進むにつれて、感動のゲージが高まってくるような曲にできたと思います。

──そもそもの話ですが、krageさんってアニメは結構好きですか?

はい。私が見始めたときは、中華系はそこまでなかったんですけれど、それこそ『俺レベ』の劇伴をやられている澤野(弘之)さんの曲が好きなので、担当されている『ガンダム(シリーズ)』だったり、『ギルティクラウン』、『甲鉄城のカバネリ』、『進撃の巨人』とか、その辺りは全部見てます。基本的にはファンタジーとか、テーマが重たい作品ばっかり見てますね。『Re:ゼロから始める異世界生活』とか、最近だと『葬送のフリーレン』とか『薬屋のひとりごと』とか。本当にたまに味変で、『この素晴らしい世界に祝福を!』とか『はたらく細胞』を見ます(笑)。重すぎると気持ちが引っ張られちゃうので。

──何も考えずに観たい!っていう。

そうです(笑)。最近は『マッシュル-MASHLE-』も好きです。痛快系なので。

 

■憧れの存在なので、がっかりされたくなくてちょっとカッコつけて歌いそうになっちゃったりしたんですけど(笑)、いや、そうじゃないんだよなって。

──話を戻しまして、もう1曲の『俺レベ』のED曲「request」について。こちらは凛として時雨のTKさんがプロデュースされていますが、それこそkrageさんは、「unravel」(TK from 凛として時雨)のカバー動画で注目を集めた経緯があるわけですけども。

私の中で好きなアーティストのツートップが、澤野さんとTKさんなんですよ。それで、まず澤野さんが『俺レベ』の劇伴をやられているという情報を聞いて驚いたんですけど。TKさんが曲を書いてくださるとなったときに、もう衝撃が大きすぎて言葉を失ってしまって。それこそJ-POPを全然聴いてこなかった私が、ほぼ初めて日本語の曲に触れたのが中学2年生のときで、『東京喰種トーキョーグール』のアニメが始まったんです。当時はアニメも興味なかったんですけれども、友達に勧められて見てみたら、曲がもう衝撃的すぎて。だから「unravel」が、私と日本の音楽とのファーストコンタクトだったんです(笑)。

──また凄まじい曲がファーストコンタクトになりましたね。

そうなんです。展開がものすごくて理解不能なんだけど、こんなにカッコいい曲があるんだ!って。そんな衝撃的なファーストコンタクトをしたアーティストさんが作ってくださった曲を歌う日が来るとは思っていなかったので、最初はドッキリなんじゃないかと思いました(笑)。とにかくもうサプライズが多すぎたので、常に驚きつつ、とにかく目の前のことに一点集中して、必死にやってました。

──「request」は緊迫感のあるアップテンポナンバーですが、歌ってみていかがでした? メロディラインはTK節炸裂といった感じですけども。

まず、めちゃくちゃ難しくて(笑)。最初はサビが2バージョンあったんです。いまよりもうちょっとだけトップノートが高いバージョンと、明るく聴こえるバージョンと。それで、TKさんのスタジオで一緒に制作させていただいたときに、“低い声がカッコいいから、サビは少し低めに始まって、ダークにしてもいいんじゃないかな”という提案をいただいて、このサビになったんですけど、とにかくどこを取ってもカッコいいというか。最初から最後まで全部聴かせどころみたいな曲です。

──まさにですね。

あと、歌詞はもちろん主人公の気持ちを歌ってはいるんですけど、私のネガティブなところとか、葛藤している部分をすごく表してくれてる感じがして。すごい感情移入しやすかったですし、私みたいなちょっとネガティブ気質の人間が歌うことで、より作品に対して感情移入できるんじゃないかっていうのもすごく思いました。

──確かにその親和性はすごくありますね。TKさんとの作業はどうでした?

やっぱり憧れの存在なので、がっかりされたくないっていう気持ちがあったんです。レコーディングのときも、ちょっとカッコつけて歌いそうになっちゃったりしたんですけど(笑)、いや、そうじゃないんだよなって。この曲はとにかくエモさが大事だと思ったので、“すみません、もう1回トライしていいですか?”とか、何回も歌っていたら、TKさんも“いまのエモくていいですよ”と言ってくださったりして。気持ちが爆発してるセクションが多々あるので、良かったかなと思います。

──でも、ただ気持ちを爆発させるだけじゃ歌えない曲というか。

そうなんですよねぇ。仕上がったときのみんなの感想が“この曲、誰がカラオケで歌うんだろうね?”だったので(笑)。

──ぜひ挑戦してもらいたいですね。そして、3月には『1st Live Tour「Welcome to My Tone」』を開催されます。東京、大阪、地元の北海道の3ヶ所を廻られますが、いまはどんな心境ですか? 緊張したりします?

昔から緊張はそんなにしなくて。なんか、変な子供だったんですよ。絶叫マシーンとかホラー系も全然怖くなくて。恐怖とかそういう感情が結構欠落している子供だったので(笑)。バンドで初めてステージに立ったときもあんまり緊張しなかったし、今もそんなに緊張はしないですね。わりとお客さんのことを見ながら歌えるタイプです。

──ちなみに、恐怖の感情が欠落しているkrageさんが怖いものというと?

なんだろう……人?

──まぁ、怖いですよね(笑)。

このあいだちょうどメモに書いたんですけど、「他人のことを知りすぎると疲れるからほどほどに」って(笑)。

──絶対に何かあったじゃないですか(笑)。

はははは(笑)。心を開くまでに時間がかかるタイプではありますね。

──どういうツアーであり、ライブにしたいですか?

ツアータイトルにある『My Tone』は、“私の音色”という意味で。私の楽曲はジャンルが幅広かったりするので、一曲一曲でいろんな表情を見せることによって、krageはこういう一面もあるし、また別の一面もあるんだよっていうのが伝わるといいなと思ってますね。あと、ワンマンが初めてなので、どんなお客さんが来てくれるんだろうと思って。そこもすごく楽しみにしています。

──先ほど、ものを作るのが好きとおっしゃっていましたが、たとえばライブの衣装やセットを作ってみたいとか、そういう願望もあったりします? 実は3月のツアーでそういうものがステージ上で見えたりする構想があったりとか。

私は色へのこだわりが結構強くて。寒色が好きなんですよ。青と緑がテーマカラーなんですけど、あとは黒とかシルバーとか白とか。なので、衣装とかも“krageといえばこれだよね?”みたいなものを作ってみたりとか、照明もめちゃくちゃ寒色にしてみたりとか。そういうのも興味あります。

──こういうアーティストになりたい、と描いているビジョンみたいなものはありますか?

私はAimerさんが好きなんですけど、いろいろな作品の主題歌を担当されている中で、壮大だけど儚くて、独特の世界観を持っていらっしゃいますし、私も基本的には壮大なものが好きなので、そういう曲をいっぱい供給できる人になりたいです。あと、今回実現できたんですけど、「request」には英語バージョン、「春想」には中国語バージョンがあるんです。私はいろんな地域の人に届けられるアーティストになりたいですし、特に「春想」に関しては、私が日中ハーフと謳っているのもあって、中華系の作品だったらkrageに任せておけばぴったりな曲を持ってくるし、なおかつ中国語バージョンもやってくれるじゃん!みたいな(笑)。中華系作品の中で最強になりたいっていうのはありますね。

──他にも夢はありますか? それこそ澤野さんに曲を書いてもらいたいとか。

澤野さんとコラボもしたいですし、Aimerさんもそうなんですけど、miletさんも好きなんです。お2人の曲はほとんど聴いていて、何かタイミングがあったらご一緒できたらすごく嬉しいですね。あと、私は冬にタイアップの発表とか、リリースやライブが多いせいで、夏はすごくおとなしい人だと思われてると思うんですよ(笑)。なので、夏も精力的に活動していきたいですね。あと、北海道出身なのもあってか、極寒ロケが多くて(苦笑)。

──それ出身地関係あるんですか?(笑)

わからないんですけど(笑)、デビュー曲の撮影が3月の富士山の麓で、ノースリーブで裸足だったんです。アー写の撮影も悪天候の海辺で、海風を浴びながら、超寒いんですけどみたいなところで撮ったりとか。このあいだ撮影したMVは、伊豆にある廃墟みたいなところだったんですけど、そのときも超薄着で。だから、ロケで温かった記憶がないんです(笑)。寒くてずっと凍えているので、もうちょっと温かい時期に何かしたいです!(笑)

取材・文=山口哲生

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