スーパーテノール、ロベルト・アラーニャがソロコンサートを開催 魅力を伝えるコメントを紹介

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ロベルト・アラーニャ

ロベルト・アラーニャ      (C)Sony Music Entertainment

2024年6月9日(日)サントリーホール 大ホールにて、『アラーニャ、降臨 ~待ち焦がれたテノール、ロベルト・アラーニャ ソロコンサート~』が開催される。

この度、本公演の魅力を語った、オペラ・キュレーターの井内美香氏のコメントが届いたので紹介する。

待ち焦がれたテノール、ロベルト・アラーニャ来日!

何と18年ぶりの来日だ。6月9日(日)、サントリーホール 大ホールにロベルト・アラーニャが降臨する。しかもこれは今回、日本におけるアラーニャの唯一のコンサートなのである。

タイトルは〈THE GREAT PUCCINI 〜プッチーニ没後100周年 スペシャル・プログラム〉。曲目は全てプッチーニのオペラ・アリアで構成されることになる。ジャコモ・プッチーニは、イタリア・オペラらしい極上のメロディーと、ドラマチックなオーケストラが魅力の作曲家だ。

このプログラムに決めた理由をアラーニャ自身が教えてくれた。「東京におけるコンサートのプログラムを考えた時、最初に思ったのはフランス・オペラとイタリア・オペラからのアリアの夕べです。最後の方に有名なオペラの、もしくは気軽な感じのアリアを持って来る、というような形の。でもこれはよくある内容で、テノール歌手は皆やっていることです。それゆえ、少々オリジナリティーに欠けているように思えました。次に考えたのはオペラ・アリアによる世界旅行です。様々な言葉のアリアを歌うのです。ロシア語、ドイツ語、ポーランド語、イタリア語、そしてもちろんフランス語。それにもしかすると英語やスペイン語も。この音楽による旅行、というアイディアは私にはとても気に入りました。ただ、その後に思い出したのは、2024年は偉大なるプッチーニの没後100年だということです。そこで全てプッチーニのアリアというコンサートはどうだろう?と思いました。プッチーニは歌手に対して要求の多い作曲家ですから、彼のアリアばかりを歌うというのはとても大変です。でもプッチーニは聴衆がもっとも愛する作曲家でもあります。彼の音楽には何といっても心を打たれますし、広く知られていますから。こうして、ジャコモ・プッチーニに捧げる演奏会に決めました」

プッチーニは現在、アラーニャの活動の中心となっている作曲家でもある。昨年の夏は古代の遺跡を使った野外オペラ、アレーナ・ディ・ヴェローナで《トスカ》と《蝶々夫人》、今年は4月にニューヨーク、メトロポリタン歌劇場で《トゥーランドット》、7月にもミラノ・スカラ座で《トゥーランドット》に出演する予定だ。日本でもぜひオペラに出演してほしいものだが、このコンサートのように、プッチーニの様々なオペラから、一番の聴きどころであるアリアばかりをアラーニャで聴くことが出来るのもゴージャスな機会であるといえよう。

昨年公開されたフランス映画『テノール!人生はハーモニー』にも、有名テノール歌手という彼自身そのままの役で出演したアラーニャ。日本でも好評だった映画だ。パリでシチリア系の両親から生まれ、若い頃ナイトクラブで歌いながら勉強して世界的なオペラ歌手になったアラーニャは、人との垣根を作らない気さくな性格の持ち主で、それがこの映画でも感じられ大きな魅力となっていた。またやはり昨年フランスで、『アル・カポネ』という新作ミュージカルに題名役で出演し、45回公演というヒットを飛ばしている。ヨーロッパ各地でのコンサートも精力的に行なっており、長いキャリアの中でも彼が今、とても充実した活動を行なっていることは間違いない。

6月のサントリーホールにおけるコンサートは共演者にも注目だ。オーケストラはオペラ・アリアのコンサートで常に高い評価を得ている東京フィルハーモニー交響楽団、指揮はイタリア・オペラにも造詣が深い三ツ橋敬子。きっとアラーニャとの素晴らしいハーモニーを奏でてくれるだろう。日本での一度だけのコンサート。ぜひ体験してみてほしい。

オペラ・キュレーター:井内美香

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