俳優として活躍中の藤原大祐の音楽プロジェクト・TiU(ティーユー)。2022年11月にNulbarichのJQプロデュースでリリースされた1stシングル「HAPPY HUMAN」で突如音楽シーンに現れ、それ以来1年間覆面アーティストとして活動。2023年10月4日、自身が10代最後の日にリリースした1st EP「SHOW TiME」でその正体を明かすと同時にメジャーデビューした。音楽への並並ならぬ情熱を湛え、努力を重ねてきたTiUとチームは、さらに活動を加速している。今回SPICEでは、昨年12月から3ヶ月連続でリリースされたシングル「Baby Mind」「Human Melody」「HERO JOKER」について、3月1日(金)にZepp Osaka Baysideで行われるライブ『TiU POP SHOW Ⅱ "We Are HERO We Are JOKER"』について話を訊いた。
1年の覆面期間を通して気づいたこと
ーー正体を明かして約4か月経ちましたが、周りの反応はどうですか?
TiU:もともとTiUとして知ってくださっていた方が「役者やってたんだ」というパターンもあれば、藤原大祐として知ってくださってた方が「覆面でやってたんだ」という逆のパターンもあって。より興味を持ってくださる機会が増えたので、すごく相乗効果で良い感じです。
ーーやっぱり正体を明かすと、活動の楽しさは増しますか?
TiU:弾き語り動画を上げたり、ライブをやっていけると考えると、表現の幅が広がったので良いなと思いますね。何かやりたくても、本当に何もできないんですよ。顔を出せないから。
ーー早く明かしたいというお気持ちもありつつ、活動されてたんですよね。
TiU:そうですね。「役者が音楽始めた」と言われたくなくて、音だけで勝負したいというところから覆面を選んだんです。実際に覆面期間に入ったら、弾き語りも顔を隠さないでやりたいし、ライブもしたいし、ちょっと歯痒い気持ちもありましたけど、覆面の1年間を通してTiUの土台ができあがって、指針ができた気がしていて。あとは1人のリスナーさんやファンの嬉しさを改めて知れましたね。SNSのフォロワーが0人から1人に増えた時、チームですごい喜んだんですよ。「1人来たよ!」みたいな。その感動をこれからも忘れずに、1人1人の人に曲と想いを届けていきたいなと思いましたね。
ーー新人アーティストの頃で、自分でそれだけできたら、「自分を表現したい」と自分にベクトルが向きがちなのかなと思いますが、最初から対リスナーに意識が向いているのはすごいですね。
TiU:曲を書く時はそんなにリスナーさんのことは考えてないですね。「POP SHOW(EP『SHOW TiME』収録)」に関しては、ライブで盛り上がるための曲として書いたのでファンに向けた曲ですけど、他の曲はそれぞれテーマがあって、テーマごとに違う「自分と相手」がいる曲になっているので。ただ活動を通しては、僕はやっぱり1人の方に届ける意識が大切なのかなと思っていて。次はZeppで1000人を超える人を前にライブをしますが、1対1000じゃなくて「1対1」と思って音を届けていきたい。その方がリスナーさんは嬉しいじゃないですか。そういう意識でやっていきたいなって、覆面期間を通して改めて気づけましたね。
ーー気づいたタイミングは、じわじわとですか?
TiU:コメント数が1だったり、いいねが1だった瞬間を改めて知れたんです。正直役者の方ではその瞬間がなかった。何人が見てるかわからない状態でテレビに出てお仕事をしていたし、フォロワーが10人、20人、100人ということがあまりなかったので。
ーーいきなりどんと増えたんですか?
TiU:そうなんです。だから下積みとまではいかないけど、覆面期間はアーティストとして本当に応援してくれてる10人、20人のために発信していたので、良い意味でその大切さを知りました。
ーー俳優として活動している時と、TiUとして活動している時は、表現の仕方や意識は違いますか?
TiU:役者は役をいただいてお仕事をしているのと、自分で生み出したものじゃないので、たくさんの方に支えてもらいながら用意していただいた役を全うして、その中に自分の色をできる限り足していく。だけど、あくまで他の人の生を借りて表現してるお仕事なので。一方でTiUは、自分の内側にこもって、内側から出てくるものをゼロから音に作っていく。そういう意味で言うと、よりクリエイティブになってくるので、感情のベクトルが違うかなと思いますね。内に潜っていくのが音楽で、外にある役を捕まえにいくのが役者。だから、意外に似ているようで似てないのかな。
Nulbarich・JQとの出会いが、TiUのスタンスを決めた
TiU – HAPPY HUMAN (Official Video)
ーー曲作りは日常的にされてるんですか?
TiU:ずっと作ってますね。今アルバムに向けて曲を増やしているのと、これからも定期的にリリースしていきたいので、いっぱい作ってます。
ーー楽曲を書くのは好きなんですね。
TiU:曲ができなくて悩んでる時はめちゃくちゃ辛いんですけど、出来上がった時の「できた!」という幸福度は半端ないですね。
ーーYouTubeの『TiU TALK』で、1回できたと思ってもチームに送る直前で「違う」となったら1回壊すというお話を拝見しましたが、こだわりはお持ちなんですね。
TiU:そうですね、結構壊しちゃいます。「これじゃない」と思って送ったものでチームがOKになって、自分が「嫌だ」となるのが嫌なので、自分が良いと思うものを送りたいんです。
ーーNulbarich・JQさんのプロデュースから始まり、梅田サイファー、ブラスバンド・MOSといった他のアーティストさんと一緒に曲を作る機会もある中で「お任せできるものはお任せする」というスタンスをお持ちなのもすごいなと感じたんです。それはドラマや映画でチームでものづくりしているところも関わってきますか?
TiU:やっぱり最初は全部自分でやりたいというか、「納得のいくのものを自分で」と思っていたんですけど、JQさんに出会って変わりましたね。JQさんが本当にチームに全部任せてるらしくて。曲を作って投げて、チームが良いと言ったらそれでいく。自分の独りよがりじゃなくて、むしろ全部任せちゃうぐらいラフにいこうよというスタンスなので。それを間近で見て、俺もそれがいいかもとなって、それからは曲を作ること以外は、チームの皆さんにかなりお任せしてる感じですね。
ーーコロナ禍で曲作りを始められたそうですが、最初は分析をされていたとインタビューで拝見しました。結構ロジカルに曲を作ってるんですか?
TiU:最初はロジカルで基礎知識を手に入れて、今は全くロジカルじゃないです。やっぱりロジカルを知らないと本当に作れないので。まずはコード進行とは何か、ギターの入れ方のパターンやベースの弾き方を勉強して。今はもう本当に感覚で「この音欲しいな」って打ち込むことをやってますけど、最初はちゃんと分析しましたね。
ーー基礎を積み上げて、今は応用の段階ということですよね。しっかり自分のものにされているのがすごいですね。
TiU:頑張りましたね。
ーー努力家なんですね。突き詰めたいタイプなんですか。
TiU:僕、始めたら本当に突き詰めちゃいますね。
ーー情熱がありますよね。
TiU:音楽は本当に好きなので。
ーーちなみに正体を明かすまでは、TiTi(TiUの相棒)がTiUを追いかけて冒険をしてきましたが、その旅は今も続いているんですか?
TiU:TiTi、今、何してるんですかね(笑)。TiTiは僕の影なので、いつもTiUのそばにいるはずなんですよね。だけどTiTiは気づいてなくて旅をしてたということなんで、今は一緒に歩いていると信じたいですね。
20歳初めての楽曲は「子どもに帰ろう」
ーー昨年12月からの3ヶ月連続リリースシングルについてですが、3か月連続リリースをしようと思った理由はありますか?
TiU:ちょうど役者としてドラマ(『リビングの松永さん』)に出たりするタイミングで、TiUの活動を止めたくないというところと、1番はライブの曲数を増やしたいのがメインです。ライブをフルサイズでやるのに今だと曲数が足りないので、まず3曲リリースしようという想いですね。
ーーどんな3曲にしようと考えてらっしゃったんですか?
TiU:メジャーデビューEP『SHOW TiME』は10代最後の作品で、「Baby Mind」が20歳最初の曲になったんですけど、20歳最初の曲は何かなと思った時に、あえて子どもに帰ってみようと思って。ちょうどリリース日が12月25日で、「クリスマスって皆子どもになるよな」というところを掛け合わせながら曲を作りました。
ーーでは、1曲ずつ作っていった感じなんですか。
TiU:3曲にシリーズがあるというよりかは、そうですね。大まかに見ると全部「子ども心」がテーマにはなってるんですけど。
ーーカセットテープを止めるイントロから始まって、シンプルなピアノ弾き語り、最後はホーンやコーラスも入って明るくなっていく構成は、どのように作られたんですか?
TiU:前に出したEP「SHOW TiME」が本当にショーマンらしい派手なEPになったので、1回落ち着いた曲が欲しいなと思ったのもありますし、あと「子ども」が連想されて、オルゴールとか色々頭の中に湧いてきて。本当に声と小さい音だけで紡いでいくような曲にしたい、言葉がより立つ曲にしたいなという想いで作りましたね。
ーー個人的には20歳で<真心に帰ろうよ>と言えるのがすごいなと感じたのですが、歌詞で伝えたかったことや、気に入っているところはありますか?
TiU:それで言うと、<真心に帰ろうよ>とか割と良いですよね。
ーー良いですよね。いや本当、どうなって出てきたんですか。このフレーズは。
TiU:そういう意味の言葉を入れたいなというところから始まって。「初心に返ろうよ」「綺麗な心を思い出そうよ」みたいなところから、TiUだったら何て言うかなと思った時に、頭の中で考えたというよりかは、真心に帰ったんですよね。
ーー<他に揺らされないで そのままでいいんだよ>が最後にあるのも良かったです。
TiU:そこもね、結構悩んで出したやつだったんですけど。チーム的には<他に揺らされないで>はどうなんだろうとなって。でも僕が「多分これでいいと思います」と言って。これは韻とかも気にせずに、ほとんど降りてきたまんまの言葉で、自分に向かって歌ってる曲なんですよね。
ーーなるほど。子ども心って大人になると忘れていくから、どんな人にも響きそうな感じはしますね。
TiU:そうですね。
全ての歌詞を1回疑って読んでもらえたら、より楽しめる
ーーそこから派生して、第2弾の「Human Melody」は人間らしい音を大切にしていこうという楽曲ですが、どのように作っていかれましたか?
TiU:これはサビのメロディーと歌詞が、シャワーを浴びてたら同時に降りてきて、そのまま作ったんですよ。いきなり<だから歌うよ>という言葉から始まったので、じゃあ自分が音楽活動をする意味、アーティストである意味と、そこから連想させられる音を感情に置き換えて、自分らしい音を奏でることや、自分の感情を無理せず出していくところをメタファーしながら作っていけたら面白いだろうなと思って作りました。
ーーTiUの本音が表れた曲ですね。
TiU:そうですね。「Baby Mind」に近いんですけど、僕の本音 x 綺麗なだけじゃない感情や、皆が隠しちゃうような、ちょっと汚い人間らしい感情も出していこうよというのを音に捉えて、自分の活動の意義とメタファーしていった感じですね。これも本当に降りてきたままの言葉を使っています。
ーー冒頭の<おぼれたいな 無償の愛に のぼせたいな 人のぬくもりに>は?
TiU:そこら辺は音にハマるように考えました。欲望をまず言いたいなと思って。
ーー人は本能的に愛を求めるというか。TiUさんの場合、曲の原動力は感情になるんですか?
TiU:曲を作る時、僕はわりと内容とかどうでもいい人なんですよ、実は。僕はEDMとかも好きな時期があったので、まずは音として楽しめて、体が揺れられればそれでいいと思っていて。自分で曲を作り始めてから歌詞にこだわりたくなって、歌詞を聴いてもらいたくなったけど、僕の初期衝動は本当に「音」。正直、他の人の歌詞なんか見たこともなかったし、音として好き、楽しみたいというのが僕の音の捉え方なので、音が気持ち良いようには作ってます。ただ最近、特に「Baby Mind」以降は歌詞を重視してて。頭を使って考えるよりかは、本当に出てきたまんまのオーガニックな言葉を大切にしていこうと。後から見て「ん?」と気になったとしても、でもこれは出てきた言葉だからというので、あえて残してる言葉は結構ありますね。
ーー<魂の方向>という言葉も降ってきたんですか?
TiU:サビのメロディーが降ってきて、コード進行を確かめるために1回弾き語りをして、「これどうしようかな、転調しようかな」と色々考えてた時に、何となく最後はもう一周しようと思って、歌ってたら出てきました。何で俺<方向>という言葉を知ってたのかもわかんないです。「方向ってどういう意味だっけ?」と思って調べたら「ああ、大丈夫だった」ぐらい、感覚で作ってますね。
ーートータルでメッセージ性のある楽曲になってると思いますが、1人のリスナーさんにどう捉えてほしいと思いますか?
TiU:表面だけで捉えないでほしいなと思いますね。文面上は僕が音楽をやりたいということが出てくると思うんですけど、実は届けたい内容はそこじゃないというか。もちろん表面上はそうだから、それでいいんですけど。歌詞で言うと、<音>と書いてあることは本当に音のことなのか。全部の言葉を1回疑って読んでもらえたら、より楽しめるのかな。僕の楽曲はこれまでも全部そういうふうに作ってて。「一見聞いたらこうだけど、このことなのかもしれない」って。実は僕たちの中では答えがある状態でリリースしてます。まあ、ほとんどの場合は届いてないんですけど。
ーー読んだままを捉えてしまいがちですもんね。
TiU:そうそう。歌詞をちょっと疑ってみてほしいなというのは、全部を通してあります。例えば「Baby Mind」の<日を跨いで 目を開いて あぁもう来ないのか>がサンタのことなのかどうか。
ーー サンタのことだと思っていました! 解釈が広がってほしいと。
TiU:それぞれの中で答えができた時に、曲が初めて完成する気がしてて。ただ、僕が100%の状態で曲を出していると思ってないので。僕たちは90%ぐらいで投げてて、10%の最後を埋めるのは聴いてくださった方。悲しい曲でも、その人が幸せな気持ちになったらそれは幸せな曲なので。曲は届いたらその人のものかなと思ってますね。
ーーTiUさんも、他のアーティストさんの楽曲を「ここはこうなのかな」と思いながら聴いたりされるんですか?
TiU:それこそさっき言ったように、オリジナルを作り始める前は歌詞を見ていなくて、カラオケで歌って覚えてるぐらいでした。ただ始めてから、人の歌詞も見るようになって、めちゃくちゃ疑っちゃいますね。
ーーそれはアーティストの気持ちがわかるようになったからでしょうか。
TiU:そうですね。
「音で楽しもう」というところに立ち返った「HERO JOKER」
ーーここまでのお話を踏まえて、第3弾の「HERO JOKER」は、本当に考えを刺激される楽曲だと思いました。あとイントロから80年代のシンセサウンドで、こんな表情も見せてくれるのかと驚きました。どんな楽曲にしたかったんですか?
TiU:この曲は挑戦の曲です。まずは全編英語詞というところ。日本のファンの方が多いので、あえて英語にした理由がいくつかあって。1つ目が、この曲はライブのための曲なんですよ。次のライブのタイトルが『We are HERO, We are JOKER』というのもあって、音で楽しんでほしいという僕の想いが詰まってるんですよね。歌詞に集中するんじゃなく、音を直感的に楽しんでほしい。そういう意味でのリフがあって、英語詞で発音が音として入ってくる。日本語だと意味が入ってきちゃうけど、英語はイージーリスニングできるというか、簡単に体を揺らせる。英詞にすることで表現への理解を遠くしたかったんです。例えば<I am weak>という文章を<僕は弱いんだ>と日本語で言うと、直接的に伝わっちゃうじゃないですか。だけど<I am weak>と言うことで、英語のフィルターが1個入る。僕はその先に歌詞があることに意味があるなと思って作ってて。少し間接的に届けたかったんですよね。実はMVでは日本語のテロップがついてるんですよ。そこで答え合わせができるようになってて。普段楽曲を聴く時は音として楽しめるけど、MVでは歌詞のヒントが出てくる。でもこれもちょっと甘めな日本語訳になっています。本当にどういう意味なのかは、ご自身の中で捉えてほしいんです。
ーーなるほど。
TiU:そしてMVも結構謎の映像になってるんですよ。僕も撮ってる段階で「これ誰なんだろう」と思うようなもので。登場人物は全部僕だけど、見た目がちょっと違うんです。「この曲のYouって誰なんだろう」とか「途中からiが変わってる?」とか「サビは繰り返しだけど立場が違ってる」とか、そういう見方ができるようになってます。最初は音として楽しんでもらって、その後意味を考えて、MVを見てもらって、その人の中に謎が生まれたらいいなという。
ーーそこまでの流れを考えて、曲を作られたんですか?
TiU:もともと英語詞の曲は出したいなと思ってて。ただ海外で活動してるわけじゃないので、英語の曲にちょっと拒否反応を起こす人もいると思うんです。じゃあ英語の曲を日本語の曲と対等にするにはどうしたらいいかなと考えた時に、英語の曲ならではの強みがあるなと。意味がわからないからこそ面白い。そこから、MVと連動させて考察してもらいながら、MVで軽く答え合わせできるのは、エンターテイナーになるし、そうしたいなと考えてそうしました。これまで2曲、結構しっかり心に寄り添う系の日本語曲が出たので、ここで1発TiUとして、音で楽しもうというところに立ち返りました。
ーーある意味での原点回帰ですね。
TiU:「HERO JOKER」も子ども心からできたんですけど。やっぱり小さい頃ってヒーローものが好きで、相手のラスボスがいて。でもそれって自分の中にもいるなと思って。皆の中にヒーローとジョーカーがいる。善悪だけじゃなく、二面性はみんなにあると思ってて。その二面性を「僕とお客さん」に置き換えたりして、ライブでは盛り上がれたらいいなと。
ーーTiUさんの歌詞の根底に「世の中は表裏一体」があるそうですが、それも関係していますか?
TiU:ヒーローとジョーカーを暗喩して、色々表現しているところはありますね。
ーーそれこそおっしゃったように歌詞の中で主人公が入れ替わるというか、<You are Hero, I am Joker>という歌詞もあれば、<I am Hero, You are Joker>で、最後は<We are HERO, We are JOKER>になりますもんね。
TiU:これが、主語や人が変わってるのか、同じ人の意見が変わってるのか、人によって捉え方があると思うので。だから「僕はこう思って作りました」とは言いたくないんです。その人が「こう思った」でいいんですよ。正解はないので。
TiU – HERO JOKER (Official Video)
ーーサウンド面で力を入れたところは?
TiU:次のライブで新しい楽器のショルダーキーボードを使いたくて。だからシンセリフを入れたかったのと、ライブで盛り上がるために疾走感も欲しいなというので、ああいうサウンドになりましたね。
ーー何かリファレンスにした楽曲はありました?
TiU:やっぱり80'sの時代のニュアンスはありますよね。
ーー聴いた瞬間、タイムスリップしたかなと思いましたよ。
TiU:僕はオールドスクールな曲が大好きなんですけど、意外にオールドスクールな曲って、僕も含め、現代の若者からすると新しかったりするんですよ。だけど先輩方にとっては懐かしいサウンドでもある。そこが良いなと僕は思ってて。幅広い層に聴いてもらえると思うので、TiUの曲は全部若干古いんですよ。今回のベクトルは80’sにいきました。
ーーすごく考えて楽曲作りされてるんですね。面白い。
TiU:ワクワクさせたいんですよね。ただ曲を出すよりかは、全部エンターテイメントとして「こいつおもろいことやってんな」と言われたいんです。
ーーここまで作品を作られてきて、最初に活動を始めた時と今でご自分の中に変化はありますか?
TiU:活動を始める時は、一気に売れて、デカいとこでライブやりたいみたいな、夢物語なところはあって。今もその気持ちは変わってないんですけど、ひとりひとりを大切にして、1人でも多くの方に曲を届けられたら、少しずつライブのキャパが大きくなっていけばいつか夢の武道館、アリーナ、ドームに繋がっていくのかなと。ゴールは変わっていないけど、プロセスが夢物語から現実になってきました。今もファンが1人でも増えるたびに嬉しいし、ちょっとでも曲の再生数が伸びたら嬉しい。1歩1歩を踏みしめて大切に活動していきたいという気持ちが、今は強いですね。
ーー次のZeppツアーはまさにその1歩目だと思います。大阪は初ライブで、梅田サイファーのお3方(peko、KOPERU、Kenny Does)もゲストに出られるということで、東京とはまた違う雰囲気になると思います。最後に意気込みをお願いします!
TiU:TiUは「ショーマン」というテーマを掲げていて、ライブを軸に活動していきたいと思っているので、ここで1発フルサイズのライブをバシッと決めて、「TiUとはこういうアーティストだ」ってみなさんに見てもらいながら、自分たちの中でも1個自信に繋げていきたいなと思ってます。地域によってお客さんの雰囲気が違うという噂も聞いているので、そこを楽しみながら。初めてTiUの生演奏を見る方も多いと思うので「生の方が良い」と言ってもらえるように頑張りたいです。
ーーライブアレンジもされたりするんですか。
TiU:ライブアレンジはもう作ってて、かなり盛り上がるものになってます。「This is Show」という感じでやっていこうかなと!
取材・文=久保田瑛理