グソクムズ × 新東京が大阪で共演、2024年の飛躍を予感させた『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.7~』レポート

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『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.7~』

『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.7~』 撮影=桃子

『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.7~』2023.12.22(FRI)大阪・梅田Shangri-La

2023年12月22日(金)、大阪・梅田Shangri-Laにて『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.7~』が行われた。『OSAKA NIGHT PARADE』は、“音楽・芸術の力で大阪のネオンサインのように世界をちょっと明るく!”をテーマに掲げ、2021年にローンチ。これまでに注目のニューカマーを数多く招いてきた。もちろん今回も、新東京とグソクムズという今波に乗る2組が出演。ともに2023年のライブ納めとなったステージの模様を紹介する。

新東京

2021年結成のギターレスバンドは登場から耳と目を奪う。田中利幸(Key)、保田優真(D)、大倉倫太郎(B)が音を鳴らし出してカーテンが左右に開く。およそ3分かけて彼らの自由な音楽を会場に広げると、いよいよ杉田春音(Vo)が合流。「Cynical City」から中盤までノーMCで突き進む。すでに観客は体を揺らして没入しているが、踊るピアノの旋律でアーバンなサウンドを生む「ユートピアン」、弾ませつつも夢幻を描く「Heavy Fog (Organic)」、メロディアスで優美な雰囲気をまとう「The Few」と立て続け、変化する豊かな音像でワクワクを持続。

すると次の「sanagi (Organic)」ではアカペラから歌声を最前面にして耳心地よく焼きつけ、「ポラロイド」ではさわやかにポップな一面も見せて跳ねる。と、ここでようやく小休止に。杉田は制作中のアルバムが一段落ついたことを明かし、「自分で聴いて感動してる(笑)」(大倉)、「良過ぎて感極まってました(笑)」(杉田)と報告したら、「Metro」でスパート開始。

ラップ的なボーカル、3人のソロリレー、杉田がレクチャーして全員でそろえる変拍子の手拍子と、盛りだくさんな内容にフロアは一層沸き、「2024年も躍動の1年にしますので!」(杉田)という誓いを経て、「36℃」と「Morning」へ。ロングトーンや叫びにも似たキーボード、トップスピードで迫るアンサンブルや畳みかける歌。大倉もガッツポーズをキメ、全開放してライブは締めくくられた。

変幻自在で伸びやかなパフォーマンスは満足度100%。MCでも触れられた、2024年2月7日(水)発表の自身初となるフルアルバム『NEO TOKYO METRO』だけでなく、同年3月2日(土)の大阪公演では今日の会場・梅田Shangri-Laにカムバックするという全国ツアーにも期待が高まるばかりだ。

グソクムズ

2023年12月17日(日)に全国ツアーを終え、その最終日の初ホールワンマンでメジャーデビュー決定を発表したばかりの4人は、翌18日(月)リリースの新曲「眩しい日々へ」でライブスタート。ギミックも潜ませた美しい旋律と気持ちのいい8ビートから「道の途中」、「冷たい惑星」につなげ、70’sの香りを放つキャッチーなポップでフロアをリラックスさせたり、物語る語感やひとクセを残す響きで静ひつな光景を映し出したり。そんな音楽に自然と誰もが身を委ね、MCもファンとの会話を入れながらアットホームに。

また堀部祐介(B)が「今日、誕生日なんです。30歳になりました」と、お祝いムードもプラスして、次は大寒波が近づく夜に「冬のささやき」をセレクト。きらめく音の重なりで少しセンチメンタルなグッドミュージックを奏でたら、今度は「獏に願いを」と「夢が覚めたなら」へ。やわらかな歌声や、思わず口ずさみたくなる耳なじみのよさは観客をバウンドさせ、テンポアップしてハッピーに届ける「ステンドの夜」ではミラーボールも回ってご機嫌。ギターには浮遊感も漂う。

すると、再び誕生日の話題で、たなかえいぞを(Vo.G)が「生まれてきてくれてありがと!」と堀部とイチャつき、見る側もニヤけさせてからメロウに「夢にならないように」を。4人のサウンドが寄り添ってはかなく響けば、「いつか渚へ」ではどこか懐かしいフレーズたちを勢いよく。「朝陽に染まる」でも晴れやかなプレイで楽しさを増幅させ、メンバーが向き合い上昇気流のなかフィナーレに。

そしてアンコールでも、「アー写はここ(Shangri-La)の屋上で撮った写真なんです」(たなか)という裏話をゆるくはさんで、最後は「すべからく通り雨」で彼らの真骨頂。全方位をノーガードにする軽やかで穏やかなシティフォークでがっちりと心をわしづかみにしていった。今夜体感した居心地のいい約50分間に、来春に控えるニューアルバムの到着が待ち切れなくなった人も多かったに違いない。

なお、『OSAKA NIGHT PARADE ~vol.8~』の開催が早くも決定しており、2024年3月29日(金)、大阪・心斎橋Music Club JANUS にて、ego apartment、DURDN、紫今、離婚伝説が集結する。2024年の音楽シーンをザワつかせるであろう4組の競演をお見逃しなく。

取材・文=服田昌子 撮影=桃子

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