10年越しの夢とともに日本武道館へ 『GIOVANNI DREAM GIG』松本梨香や宮迫博之など、総勢12組が集う夢のライブ

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『GIOVANNI DREAM GIG』

『GIOVANNI DREAM GIG』

3月6日(水)、無名の事務所主催による初となる日本武道館公演『GIOVANNI DREAM GIG』が行なわれた。平日にもかかわらずたくさんのファンが早い時間から列を作るオリジナルグッズ特設テントの横を通り過ぎて、会場の正面に辿り着いた時、何とも言えない感慨が早くも沸き起こった。そこに堂々と掲げられていた“GIOVANNI DREAM GIG”と書かれた大きな看板、そしてそこに並ぶアーティストの写真。“ついにこの日が来た!”ということを改めて実感した。

この公演の開催までには、並々ならぬ努力があった。なにせこの公演の主催は無名の事務所、そして、所属アーティストたちも誰一人として有名ではない路上アーティストだからだ。2022年9月28日に始まった、365日で「日本武道館サポーターを15,000人集めたら武道館を予約する」というプロジェクト。全てはここから始まった。自らの足で武道館に立つのだと路上ライブを始めて10年、信じ続け、たくさんのファンを巻き込み、そうしてやっとの思いで勝ち取った武道館への切符。その思いに「夢は叶えるために見る!」そんなキャッチコピーがとてもマッチする。

日本武道館公演当日、この日が株式会社ジョバンニ、そして所属アーティスト「4年2組」「女子独身倶楽部」「-SETSUNA-」の快進撃の幕開けとなる。

総勢9組の豪華ゲストが華を添えるライブとなった今回の日本武道館公演は、きっとここまで一緒に信じ続けて来たファンと一緒に作る最高に暖かい公演になるのだろうと実感した。

午後5時、開場とともに駆けつけたファンの群れに身を任せながら会場に入ると、そこには大きなステージと、たくさんの客席が広がっていた。続々と埋まって行く客席とともに、徐々に上がって行く熱量。まもなく開演、というタイミングで、少し早めに照明が落ちる。

始まったのは出演アーティスト総出の影アナ映像。それぞれの場所からそれぞれのテイストで「本日はご来場くださり誠にありがとうございます!楽しんで行ってね!」と客席にメッセージを送る。ファンにとっては嬉しいアプローチだ。いよいよ開演、アーティスト全員がマルチ画面に映し出され「それでは、GIOVANNI DREAM GIG、スター、、、、」ザザっと映像が乱れ警鐘音が鳴る。場内がサイレンと赤い光に包まれる中、正面ビジョンにはAI”ジョバンニ”、そして総合司会のYURI(結梨嘉望)がステージに登場した。「地球から元気エネルギー減少中」ジョバンニの警告にYURI(結梨嘉望)が「皆さん武道館で盛り上がって、地球を救ってくれませんかー??」と問いかける。ファンの声援を受けて「一緒に盛り上がって行くために最強の英雄たちを召喚しました!」と本日出演するアーティストたちが続々と紹介された。いよいよGIOVANNI DREAM GIGスタート!

トップバッターは和音(ニギオト)合唱隊総勢371人を引き連れて壮大なステージを見せてくれた物部彩花。1階席のスタンドまでを使って会場を巻き込む合唱の迫力とそれに負けない物部彩花の歌唱力が武道館に足を運んだファンを迎えてくれた。

大きな拍手とともにステージが入れ替わり、2番手に登場したのは総フォロワー200万人超えの謎のアーティスト集団、六地蔵。「とにかく人を信じて行こうぜ、仲間集めじゃないか人生は」と呼びかけ、会場中のペンライトが左右に振られ盛り上がった。仮面の中の素顔を想像させるようなとても気さくな、そしてウェルカムな空気で会場に一体感を与えてくれた。

続いて六地蔵の呼び込みで登場したのは-SETSUNA-。

2022年にデビューして、最短で武道館に立つアイドルとして堂々としたステージを見せた。「恨んでもいいですか?」と笑顔で歌うさまはなんとも異様な光景で、エンディングでは等身大の藁人形にナイフを突き刺す。しっかりと印象を残したステージで後半のステージにつないだ。

暗転の中ドラムカウントが入りかっこいいイントロが流れる。「行けるか武道館ー!!」と叫んで登場したのは虹色侍ずま。バンドメンバーのかっこいい演奏に乗せて歌い上げる姿にレーザーが飛び交う。2曲目にはずまの紹介で呼び込まれた4年2組が一緒にステージを盛り上げた。

ステージにはかわるがわるアーティストが登場する。これだけたくさんのアーティストが出る中で、 2−3曲ずつ入れ替わって行くスタイルの公演はテンポがよく、見続けることができる。 

三部構成で作られた今回のイベント、一部のトリを飾るのはカウアン・オカモト。一部の出演者の 中で一番メッセージ性が強く、届けたいメッセージは心に強く刺さる。「愛」とは赦しを持って初めて完成する。そんな魂のこもったステージを披露した。

第二部、紹介されたのは櫻庭露樹&小野マッチスタイル邪兄。なかなか音楽の公演では見ることがないトークセッションからスタートした。「開運系YouTuber」として人気を博す彼らのトークの内容には4年2組がYouTubeチャンネルに楽曲提供した「全捨離」という考え方にも触れ、来場者に一つでもメッセージを持ち帰っていただきたいと、熱いトークを繰り広げた。

トークセッションからのアーティストライブの一番手は4年2組。櫻庭露樹のメッセージを受けアッパーな楽曲「全捨離」で会場を盛り上げた。

2曲目の「Shake it!!」では櫻庭露樹、小野マッチスタイル邪兄を呼び込み全員で会場を盛り上げる。「俺らがShake it!と言ったらいぇ〜〜い!!!って言ってくれよな」と声をかけ、会場全体を巻き込んでタオルを振り武道館を一体化させた。

続くアーティストは一部の一番手を飾った物部彩花 with 和音合唱隊。

人数も去ることながら、歌声のボリュームで会場全体を包むパフォーマンスは何度見ても感動を隠せない。これまでに武道館公演でこれだけの人数がステージに立ったことがあっただろうか。圧巻のパフォーマンスを目に焼き付けステージが入れ替わって行く。

ステージ中央、スポットライトに照らし出されたのは宮迫博之。芸人やYouTuberのイメージが先行するが、楽曲が始まればそのイメージを払拭するほどの歌唱力。「ラヴ・イズ・オーヴァー」を熱唱してステージに観客の視線を釘付けにした。そして「過去に一世を風靡した楽曲を、、」と披露した2曲目はくずの「全てが僕の力になる!」。この楽曲では4年2組、女子独身倶楽部、-SETSUNA-のメンバーも一緒にステージに参加し盛り上げた。

続いてステージに上がったのは元気の押し売りアイドル、リアルピース。ダンサー6名を引き連れ武道館のステージを余す所なく使い倒した。リアルピースのことを知らない来場者も巻き込むテンションで目の前の観客全員と一緒に振りを踊る。ペンライトが勢いよく揺れる会場、溢れる笑顔。さすが元気の押し売りと銘打つだけあるパフォーマンスだ。最後には誰よりも長いお辞儀で来場者に感謝を伝え、続く-SETSUNA-にステージを渡した。

暗転の中からシルエットが映し出されイントロが始まる。-SETSUNA-の中でもテンポの速いナンバー「どうせ、匿名希望」はキレのいいダンスで観客に可愛いだけではないと-SETSUNA-の一面を見せつける。第二部のトリを飾る-SETSUNA-は、2曲目手前、伝えたいことが溢れMCが飛ぶというハプニングに見舞われながらも堂々としたパフォーマンスで観客に-SETUNA-の存在をアピールした。

いよいよ第三部。トップバッターには数々の名作アニメの主人公を総なめにし、国内外問わず多くのファンに愛されるパワフルシンガー松本梨香。仮面ライダー主題歌で会場を盛り上げ、最後にはポケモン主題歌「めざせポケモンマスター」で待ってましたと言わんばかりの歓声を浴びる。4年2組のパフォーマーRAY、HIROKiのダンスコラボでは今までにないパフォーマンスと歌でステージ全体でファンへアピールした。

いよいよ武道館公演も終盤、ここからは10年越しの武道館公演への思いを乗せ4年2組がパフォーマンスを披露する。コール&レスポンスで始まったステージは、ボルテージ最高潮で会場全体を引っ張って行く。バンドにはブラス、和太鼓と今までにない編成でまさに武道館でしか見れない特別なステージとなった。1曲目が終わりMCになると、メンバー自ら夢の武道館への思いを語る。「俺ら何ももってないけど、ずっと応援してくれていたクラスメイトがいたから続けることができ夢がかなえられた。」「でも一番伝えたいのは、ここにいるあなたも夢を叶えることができる!それを伝えたかった。」そう語るのはリーダーかんご。誰よりも長く武道館への思いを持って10年もの間路上ライブを続けてきた。この公演が一つの集大成になることは間違いがない。そんな思いを乗せ最後の曲へ。、、、と思いきや、メンバーが2名いない。状況確認しているとモニターにメンバーの顔が映る。武道館の外にいるようだ。この武道館を記念にバリカンで髪を切る、と。本番の時間も忘れ高揚した気持ちが抑えられずバリカンの刃が入った。そんなメンバーをよそに最後の曲が始まった。最後の曲は「ふたりぼっち」。いよいよこの曲がラストナンバー。ファンを巻き込みながら左右に腕を振り盛り上げていく。まもなく曲もエンディング、二人のメンバーは間に合うのだろうか。そう思った矢先、ホール後方から自転車に乗ったメンバーが現れ会場を周遊。ファンの間を通り抜け、武道館を満喫する二人の顔はやんちゃな子供のようで、いつまでも青春を忘れないメンバーの気持ちが詰まったステージとなったことを実感した。

4年2組からステージを引き継いだのは女子独身倶楽部。この武道館公演を4年2組とともに10年の間目指してきた。その思いをこのステージにぶつけるべく女子独身倶楽部らしい、ロックでポップなそしてどこよりも盛り上がるステージを披露した。1曲目は「We as No.1」。女子独身倶楽部のライブには欠かせないステージと会場を一つにするナンバー。そして、歴史ソングの「清水寺」へとつなぐ。盛り上げリーダー加藤樹里果がステージを所狭しと端から端まで駆け回り、元警察官アイドルりーちゃんこと竹之内理沙も警棒を振り回して参戦する。このグループのこのアンバランスさをまとめるのがメインボーカル高橋エリの存在だと改めて感じながらステージを楽しむ。

会場を一つにするべくコール&レスポンスを挟み、よりボルテージをあげて行く。流石の盛り上げリーダーだと痛感しながら、あれよあれよと女子独身倶楽部の世界にひきこまれてもう気がつけば終盤である。高橋エリがポロリと話し始めた。「私は生まれてから一度もお父さんに会ったことがありません。」10年の間、武道館を目指しながら、武道館のステージに立ったらお父さんに見つけてもらえるかも、そんな思いもあり武道館を目指し続けてきた。「お父さん、来てますか?」そう叫ぶ高橋エリの顔には10年越しの思いが詰まっていた。「来ていても来ていなくても、産んでくれてありがとうを伝えたかったです」そう言って、会場を見渡す。会場からは拍手が起こり、高橋エリとしての一つの集大成となったと感じた。

さて、空気が一度落ち着いた会場を、どんな曲で締めくくるのか、そんなことを考えていたのも束の間。ここからは盛り上げリーダーが舵を切り直して、そんな高橋エリの気持ちも乗せた大切な楽曲を届けますと、最後の曲にテンションを上げていく。女子独身倶楽部はしんみり終わるようなグループではない。最後の曲は「尊尊がなしっ!!」としっかり盛り上げナンバーを持って来て会場との一体感を作った。10年越しの夢が一つ形になった瞬間だった。

この日本武道館公演を締めくくるのは、オープニングから迫力のステージを披露してくれた物部彩花と和音合唱隊のメンバーだ。

ここまでに出演したアーティストたちの思いを全て受けて音楽に乗せるような、そんな迫力のステージとパフォーマンスで2曲を披露した。1曲目は総合プロデューサー兼作家の立石賢司が楽曲を制作した「Stay with me~戦いの果てに(We are the one)〜」。本邦初公開のこの曲は「命を張ってこの国を守ってきてくれた人に向けての楽曲ってないと思わない?」そんな問いかけから生まれた。今この瞬間を楽しむことができる、当たり前に思いがちの時間があるのは、私たちの知らない所で犠牲を払ってくれたご先祖様の存在があってこそ。そんな思いで楽曲を披露した。

「I wanna be stay with me here この空の向こう 君が まだ生きてるのなら
I wanna be stay with me here この場所で待ってる ずっと
I will not give you up stay with me…」

この公演が最後に伝えたかった思いは、この楽曲に詰まっているのではないか。そんな思いで聴き入っていた。

最後の曲は「Tith is Me」。この曲で会場全体を盛り上げるべく物部彩花が「このGIOVANNI DREAM GIGはお祭りです!皆さん立ち上がりませんか?」と問いかけると会場全体が立ち上がり体を動かし始める。曲間にはお祭り囃子も聞こえてきて和太鼓と笛が空気を作って行く。「らっせーららっせーら」「さんささーさんささー」まつりの掛け声とともに会場全体が体を動かし一体となる。

GIOVANNI DREAM GIGの締めくくりはまさに全ての人が主役となる、そんな公演となった。10年の思い、そして、やり抜いてきたアーティストのパワーを乗せて次のステージに進むための一歩となったことは間違いない。

文=関口なお

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