写真左から:内田直孝(Rhythmic Toy World)、MAMI(SCANDAL) 撮影=森好弘
SCANDALが11枚目のオリジナルアルバム『LUMINOUS』を3月20日にリリースする。ここからは私たちが発光するという意味でこのタイトルがつけられた本作は、本来は10曲で終わる予定だったが、アルバム11作目ということから1曲を後から追加。その11曲のなかで要となっている曲に、SCANDALというバンドのこれまでのヒストリー、その17年間に光を与え続けてきてくれたファンへの感謝の気持ちを綴った「あなたへ」という楽曲がある。この曲では、SCANDALの人気曲「声」に続いてギターのMAMIがボーカルを担当。SPICEでは、MAMIと「あなたへ」の作曲、アレンジを担当したRhythmic Toy Worldから内田直孝(Vo,Gt)を招き、2人の対談を実施。対談を通して「あなたへ」が誕生した背景、SCANDALとしてのバンドの決意を探ってみた。
――まずは、お2人が出会ったきっかけから思い出してもらえますか?
MAMI:これ絶対聞かれるから思い出してみたんだけど。共通の知り合いがいて“同じフェスに出るからそこで会うかもね”と言われてて。私がそのフェスでケーターリングのご飯を取ってたら、後ろからうっちー(内田)が声をかけてくれたというが最初の記憶です。
内田:まったくそう。俺も鮮明に憶えてる。前から僕らの楽曲を聴いてくれてるっていうのを友達から聞いて知ってたので、これは挨拶せなと思って、ご飯をよそってる瞬間を狙って“まみたすさんですよね?”って声をかけさせてもらって。友達を介してお互い知ってたから“ねーっ”て。やっと本人同士で。
MAMI:“会えた!”っていう感じでした。
――では、そもそもMAMIさんがRhythmic Toy Worldの音楽に興味を持ったきっかけは?
MAMI:普通に好きで、聴いてたんですよ。リズミックの楽曲や、このバンドを知りだしたときから、自分たちに通じるものがあるなと思っていて。メンタル、精神性が似てるなっていうのを感じてたんですよね。でも、まずは単純に音楽がカッコいい。私が初めてリズミックを聴いたのは「とおりゃんせ」あたりですけど。1曲のなかに何曲も曲があるみたいな展開だったり、歌もメロディーというよりかは、ラップではないんだけどリズムみたいな感じで。“バンドなのにちょっとバンドじゃない”みたいな感覚がめちゃくちゃ新しくて。元々バンドの音楽が好きでやり始めた訳ではなくて、出会ってきた人たちの音楽を聴きながら育ってきたから、リズミックに出会ったときは“めっちゃ新鮮!”って最初に感じたんですよ。そこからいろんな曲を聴いていくと、言ってること、鳴らしてる音にシンパシーを感じるようになっていきましたね。
――最初におっしゃっていたマインド、精神性の部分まで惹かれていったと。
MAMI:自分たちもそうですけど、進むことを諦めてない前向きさがすごくあって。ポジティブなんですよ。いまプラス、もっと未来を見ているというか。過去にあまりとらわれてなくて、暗くないところも好きで。自分もそうありたいよなって思ったんですよね。
バンドをやりたくて東京に出てきたのに、まだバンドもできてなかったから、そのときは劣等感みたいなものを少し感じたりしてました。(内田)
――内田さんはSCANDALの音楽はご存知だったんですか?
内田:当たり前ですよ! 僕は2008年に大学に入学して、三重から上京したんですけど。最初は音楽雑誌で見たんです。年齢的に僕よりも少し下の女の子4人組が、自分がずっと憧れてた音楽雑誌に載ってるのを見て“うわっ、ええな~”、“めっちゃ羨ましい”と思ったのが最初ですね。自分はバンドをやりたくて東京に出てきたのに、まだバンドもできてなかったから、そのときは劣等感みたいなものを少し感じたりしてましたね。
MAMI:その頃はその雑誌に出ることにどれだけの価値があるのか、本当に分かってなくて。バンドと同じように、音楽雑誌を見て育ってきた人間ではなかったから、いま考えたらあれは凄いことで、めちゃくちゃいい経験をさせてもらってたんだなと思いますね。私たちの共通の知人も当時コンビニでバイトしてたとき、高校生でデビューした私たちの楽曲が流れてきて“悔しかった”って言ってたので。同じような感情を抱いたバンドマンは結構いると思うんです。当時は分からなかったけど、いまは自分たちがやってきたことの価値や凄さも分かるから、17年続けてきてよかったなと改めて思います。あのときすぐ辞めなくてよかったって。
――では、そんな風に出会った2人が、時を経て、SCANDALのアルバム『LUMINOUS』収録曲「あなたへ」でコラボしたきっかけは?
MAMI:きっかけは、私がただただリズミックの音楽が好きで、リズミックのメロディーを歌いたかったため?(笑)
――だはははっ。本当に?
MAMI:はい。うっちーの作る曲を私が歌いたい、っていうのが動機。でも、さっきも話したように、似てるところがあるなってずっと思ってたから、それも含めて、改めてここでお願いしてみようかなっていうのもあったし。『LUMINOUS』を作るときに、自分たちだけじゃなく、外部の人にもお願いしてみようというのをメンバーで話してたので、ベースのTOMOちゃん(TOMOMI)が(「Plum」を)EOWとやったり。過去にも共作はしてますけど、今回のようにこんなにガッツリやったのはないから、そうやって新しいエッセンスを入れたいというのもあって、という感じですかね。
――内田さんはオファーを受けたときどう思ったんですか?
内田:友達の会話の流れで普通に“曲を一緒に作るのとかあり?”って言ってきたから“面白そうやん! ええで”とすぐに返して。“じゃあやろう”ってなった後に一応マネージャーには報告しました。そこから“どういう曲にしていこうか?”というのを話して制作に入ったんですけど。
うっちーの作るメロディーをなによりも歌いたかったので、私が歌うというのは最初から決めてました。“私が歌うから”って。(MAMI)
――MAMIさん側から曲についてオーダーしたこととは?
MAMI:まず、いまのバンドの状況や今回のアルバムの話をさせてもらって。コロナ以降、自分はあまり曲を作れなくなっていたこと、なかでも特にバンド4人だけで完結させられる楽曲を作るのが難しくなっていたので、まず、そういう曲を書いて欲しいと。そこでリズミックやSCANDALだったらこんな感じの曲かなっていうのをイメージとして伝えて。あと、うっちーの作るメロディーをなによりも歌いたかったので、私が歌うというのは最初から決めてました。“私が歌うから”って。
内田:そうそうそう! 僕が知る限りでは、まみたすが歌うというだけで伝家の宝刀感があったので。歌詞もメロディーもなにもないなかで“私が歌うから”というのがあったので、まみたすが歌うんやっていうのを念頭に、曲を作るとき、メロディーを作るときもまみたすの歌声に変換して作りました。
MAMI:過去に自分がメインボーカルをとった(SUPER BEAVER・柳沢亮太提供曲)「声」を出したとき、それをみんながすごく気にいってくれて。
――ベスト盤『SCANDAL』のファン投票で2位にランクインしたんですよね。
MAMI:それの第2弾じゃないですけど、もう1曲ぐらいあったらいいなと思って。「声」と同じぐらい人気になる曲を作りたいんだよね、というのも伝えて作ってもらいました。
キラッとした部分に隠れがちかもしれないけど、彼女たちの音楽に対してクソ真面目で頑固で真剣な部分は(キーを)下げたほうが出る気がした。(内田)
――では内田さんに質問なんですが、バンドでやる楽曲と今作のようにSCANDALが演奏してMAMIさんが歌う楽曲。創作の仕方に違いはあったのでしょうか。
内田:明らかに違うのは、自分が歌う前提ではないというころなんですけど。でも、まみたすから僕が作るメロディーが好きだという思いは真っ直ぐに伝えてもらってたので、それを100%信じて、僕が自分でも歌いたいメロディーにしようというのは意識しましたね。誰かに楽曲を提供するときはメロディー感やキー、譜割、僕は詰め込むのが好きなんですけど、それが苦手な方もいるので、その人に合うものを考えて作っていくんですけど。今回はそれを1回外して、僕がカバーしたとしても、めっちゃ歌ってて気持ちいいのというのをまず優先して。だから僕の癖感、節を込めて作りました。そうしたら“めっちゃリズミックやん!”って言ってくれて。
MAMI:あはははっ。
内田:曲って、そういうファーストインプレッションが大事やなと思うので、つかみはよかった(笑)。期待には応えられたかなと。
MAMI:だから、歌ったときも“うわー、このサビの後半とかめっちゃあるよね、リズミックに”って感動しました。
内田:だはははっ。
――ということは、歌入れも楽しくできたと。
MAMI:普段の自分では考えない、他のメンバーも思いつかないような、自分たちのなかにはないメロディーだから、聴くのと歌うのでは全然違うんですよ。
――そうなんですね。
MAMI:はい。聴いてる分には歌えるかも感はあったんですけど、実際に歌ってみると自分が想像していたよりも全然難しくて。いろいろキーを下げてもらったり、言葉の詰め具合とかも調整してもらいながら歌っていきました。
内田:仮歌を録って感じたことをこっちにフィードバックしてもらって。キーを下げてみたら“これすごい力強くてブレイバーな気がするな”ってなって、僕は“これのほうがええかも”って思ったんですよ。SCANDALのライブでの立ち振る舞いとか、キラキラしててシャイニーなものが出てるから楽曲もキラッとしたほうにキーを設定したんですけど。本人たちの芯の強い部分は、キラッとした部分に隠れがちかもしれないですけど、彼女たちの音楽に対してクソ真面目で頑固で真剣な部分は(キーを)下げたほうが出る気がして。それやったらキラッとした部分を出すのは僕らじゃなくて、僕らと一緒にやるんやったら、普段SCANDALが表立って出せへん心の強い部分、熱い部分を出せる曲のほうがいいかもなって、そのときにすごい思ったので、そっちにシフトしていったんです。
――リズミック節炸裂の裏で、そこまでSCANDALのマインドに踏み込んで楽曲を作ってくれていたんだというのを知って、いま感動しました。
MAMI:嬉しいですよね。だから、そういうことも含めて、最初に“歌えるかも”って軽く思った自分はとても生意気だなと。申し訳ございませんでしたという思いで、頑張って歌わせてもらいました。
この歌を歌うたびに“これは当たり前じゃないんだな”と再認識できるものになったらいいなと思って、みなさんへの感謝を詰め込みました。(MAMI)
――歌入れのときはどんなことを心がけて歌ったんですか?
MAMI:とりあえず全力!! 自分は歌うときに裏声に逃げがちなんですけど、出せるところは頑張って地声で出したり。ちょっとしたエモーショナルな部分を大事にして歌いました。逆に歌詞的に抜いていいところは裏声にしたりして。難しかったですけど、いい感じに苦しくも聴こえず、かといって軽すぎない歌が録れたかなと思います。
内田:ボーカルディレクションとしてレコーディングには僕も立ち会わせてもらったんですけど。まみたすの歌い方って、僕からしたら難しい方の歌唱法なんですよ。ひょんなところで裏声になったり地声に戻ったりというのを普通にやるんですけど。それをスムーズにできる人のほうがたぶん少ないので。むずい歌い方のほうが楽なんやっていうのが僕的にはちょっと面白かった。
MAMI:はははっ。普段、ずっと歌ってるボーカルじゃないから、そういうのは分からないんですよね。でも、自分のなかでは新鮮なものが録れたと思います。
――楽曲のアレンジのポイントはどんなところだったんでしょうか。
内田:曲を作ったときからコード感、イントロとかギターの細かいフレーズのイメージは自分のなかにあったので、うちのギタリストの岸(明平)にそれを渡して。ギター2本あって、こっちは何を弾くか、みたいな細かい部分のアレンジはやってもらいました。
MAMI:SCANDALは自分がリードギターを弾いて、コードはHARUちゃん(HARUNA)でっていう感じなんですけど。歌いながらだと私がギターでできることは限られてくるし、HARUちゃんがギターで弾けるフレーズも限られてくるので。そこの配分は、やりながら相談していった感じですかね。
――歌詞はMAMIさんですけど。これはどんなテーマで書いたものなんですか?
MAMI:歌詞は、去年(同一メンバーによる最長活動女性ロックバンドとして)ギネス世界記録認定されて、その記録を達成したこともそうだし。ここまでいろんな人たちが応援してくれてたどりついた17年だったので、改めて感謝を伝える曲を書けたらいいなと思って書きました。ファンの人たちがいて、ライブする場所があって、バンドができる、というのが当たり前ではないこと。コロナになってからそれをヒシヒシと感じたんですね。当たり前に感じてたものもいつかはなくなっちゃって、1回また休まなきゃいけないときがどこかで来るかもしれない。そういうことを考えると、いままでツアーしたいときにツアーをして、曲を出したいときに出して、というのができていたことは、めちゃくちゃありがたいことだなと思ったし。お客さんがいてくれることは当たり前じゃないんだってことも、改めて感じたので。それを忘れないためにも、この歌を歌うたびに、ちゃんと自分たちのなかで“これは当たり前じゃないんだな”と再認識できるようなものになったらいいなと思って、みなさんへの感謝を詰め込んで歌詞を書きました。今回は、自分のなかではこういう言葉遣いはしないだろうなっていうようなルールも取っ払って書いたのもあって、生々しいというか。
忖度なしに言うと、これは歌詞というよりも恋文に近いものを感じたんですよね。本人がちょっと照れくさいけど一番言いたいことを詰め込んだ。(内田)
――よく言えば、分かりやすいですよね。ストレートに書いてるから。
MAMI:そうですね。いままでだと比喩を使ったり、誰かの話にしてたんですよ。だけど、今回は完全にSCANDALの話だから、これをファンの人が読んだときにどう思うだろうってことも、うっちーに相談して。“これってどう?”って聞いたり。
内田:ははっ。そうだね。“ちょっとストレートすぎるかな?”とか聞いてきたんですけど、僕も10年以上作詞をやってきて、忖度なしに言うと、これは歌詞っていうよりも恋文に近いものを感じたんですよね。
MAMI:うんうん。
内田:ラブレターやなと。それを届ける相手であるファンの方々の気持ちを考えると、普段ステージに立ってるときやメディアに露出してるときって、カッコつけてなくてもカッコつくんですよ。日々の努力があるから華やぐんですよ。でも歌詞においてはカッコつけんでおいて欲しいなというのが漠然とあったなか、“ストレート過ぎひんかな?”(恥)みたいな雰囲気で言ってきたから(一同笑)、エッセンスとしてはこれで100点満点やなと思いました。本人がちょっと照れくさいけど一番言いたいことを詰め込んだ。これって他の作詞家には書けないんですよ。これはこの人にしか書けへんなというのを直感的に感じたので、僕はマジで胸が熱くなって“俺、この歌詞めちゃくちゃ好きやわ”ってメッセージを送りました。自分にも照らし合わせて“これ、いままで公にして言えへんかったよな”っていうのを、僕が作る楽曲でさらけ出しにいってくれてる感じは、一緒にやったことの化学反応を感じたところでもありました。
――なかでも、内田さんが特に胸が熱くなったパートをあげてもらうとしたら?
内田:僕はね、《でも 迷いや後悔が ずっと蘇るあの日々を思い返すと 私は私を許せる日が来るのかな》の一節。ここがすごくよかったです。
MAMI:そこはバンドに関わらず、いろんな人が思ってることかなって思うけど。
内田:普遍的なことかもしれへんけど、僕は過去を気にしてないふりをしてるだけで、じつは気にしてたんかなっていうのを掘り返された感じで、すごく刺さったんですよね。“やめてー、そこ掘り返すのは”って。
MAMI:はっはっはっ。あと、今回はバンドの話に自分の気持ちも入ってたりするので、“これをSCANDALとして私が歌っていいと思う?”っていうのもメンバーに聞きました。自分のいままでのルールを取っ払って書いたものだから確信が持てなくて、歌詞に関してはそうやってみんなに相談しましたね。
ライブとか泣けて歌えるのかしら。お客さんが目の前にいらどんな顔して歌ったらいいんだろう。ずっと目つぶって歌おうかな。(MAMI)
――メンバーに聞いたときの反応はどうだったんですか?
MAMI:“分かるよ、私もこういうこと感じたことがあるから”とか“これって4人の17年間の話だよね”と言ってくれましたね。だから、これを歌うことを許してくれたメンバーにも感謝だなと思ってます。
――TOMOMIさんが歌詞を書いた「ファンファーレ」もそうですけど、バンドとしての未来に向けての覚悟を感じる歌詞でもありましたね。
MAMI:「ハイライトの中で僕らはずっと」もそうですけど。覚悟を決めたりするタイミングがたくさんあったんですよね。なので、そういうタイミングだったからこそ、普段は言わないけど、忘れるときもあるけど、でも忘れちゃいけない。それをSCANDALというバンドをやってる間にみんなに伝えておきたいという気持ちなので、「あなたへ」は。その思いを出すのはこのアルバム、この曲で終わりって、自分のなかでは決めてるんです。だから、今後はもっと明るい楽曲が生まれていくと思います。すごくいい節目でありスタート。そういう1曲をアルバムのなかに残せたなというのは感じてますね。
――ファンの方々は「あなたへ」を聴いたら、改めてSCANDALを応援してきてよかったという気持ちで大泣きしてしまうと思いますよ。
内田:こんなんを本人の口から言われたらね。
MAMI:でも、ライブとか泣けて歌えるのかしらって、自分でもすでに思ってます。会場で、お客さんが目の前にいてってなったらどんな顔して歌ったらいいんだろうって。顔、ぐちゃぐちゃになりそう(笑)。ずっと目つぶって歌おうかな。
内田:小学生が緊張するから、目つぶって歌うみたいな感じで(笑)。でも、それはそれで泣けそうやけどな。
――分かります。エモくて泣けますね。
MAMI:それで、みんなが泣いてるの見ちゃったらもうダメ。泣いちゃうから。
内田:それはそうよね。
MAMI:どうしよう……。
まだ光にはたどり着いてないけど、光をちゃんと見つけられた。今作を通して新鮮な風が吹いているSCANDALを感じてもらえたらなと思います。(MAMI)
――ではアルバム『LUMINOUS』が完成してみて、「あなたへ」はどのようなポジションになる曲になったと感じていますか?
MAMI:バンドだけで完結する曲が入ってくると、一気にバンドのアルバムになるなというのは感じましたね。あとは、BPMはSCANDALのなかでいうと、最近はミドルの範囲に入るものが自分たちのテンション的に多く生まれてきてたんですけど。そのなかで疾走感があるこういう曲がくると、バラエティー豊かになって、アルバムをカラフルに彩ってくれる。そういう1曲になったなと思います。めっちゃいい感じでピースがはまったなと感じてます。
――それでは、曲でのこのような熱いコラボができた訳ですから、この続きは?
MAMI:なんかやりたいよね。
内田:ライブですか? そりゃあもちろんやりたいですけど。やってくれるなら。
MAMI:やりましょう。てか、やろう!
内田:僕はとりあえずいち早く「あなたへ」のパフォーマンスを現場で目撃したいんですよ。
MAMI:ツアーに観に来るってこと?
内田:うん。行くときはうちわ作っていくよ。
MAMI:“ファンサ”とか書いてあるやつ。
内田:そう。周りの人に怒られるかもだけど、温かい目で見てねと。
――それでは、今作を含むアルバム『LUMINOUS』、SCANDALにとってどんな作品に仕上がったと感じていますか?
MAMI:前回『MIRROR』というアルバムを出したときは、そんなつもりはなかったんだけど、無意識に暗闇の中でもがいてる感覚になってた気がするんですよね。コロナもあって、ツアーができなかったところからようやく動けるようにはなってきたけれども、それでもいろいろ上手くいかない。そういう中での制作だったこともあって、苦労した感じが滲み出た作品になってたと思うんで。そこからようやく一歩抜け出して。まだ光にはたどり着いてはいないけど、光をちゃんと見つけられた。そんなアルバムになったと思います。重たい気持ちで前作は聴かせてしまったかもしれないけど、今回はもっと軽やかな気持ちで聴けるアルバムになってると思うので、ギネス世界記録を取らせてもらった後の記念すべき一枚。今作を通して新鮮な風が吹いているSCANDALを感じてもらえたらなと思います。
――そうして、このアルバムを提げたツアー『SCANDAL TOUR2024 ”LUMINOUS”』が4月からスタートします。今回、前半はかなり小さめのライブハウスからZeppクラスのハコまで細かく巡るツアーになってますね。
MAMI:はい。昨日セトリを組んだんですけど、かなり新しいものができました。いい感じに小さなハコでも大きなハコでも映えるライブができそうだなと思ってますので、期待してて下さい。
取材・文=東條祥恵 撮影=森好弘