Kanna 撮影=大橋祐希
ヒップホップ育ちのNouchi(MC)とロック少年だったKoshi(Gt)からなるZ世代のミクスチャー・ロック・ユニット、Kanna。2022年に『FUJI ROCK FESTIVAL』の「-ROOKIE A GO GO-」と『SUMMER SONIC』の「-出れんの!? サマソニ!?-」という2大大型フェスの新人ステージに異例の同年出演を果たしたことが話題になった彼らはその翌年にリリースした『& Boys』と『Youth』という2枚のEPを経て、現在、さらなる飛躍を目指している真っ最中だ。そのステップとなるのが3月27日(水)に地元である名古屋のライブハウス、ell.SIZEで開催する「ONE MAN LIVE “SHOWCASE”」。
今回のインタビューでは、Kanna初のワンマンライブとなる同公演の意気込みはもちろん、結成の経緯から今現在取り組んでいる新たな挑戦まで、NouchiとKoshiに語ってもらいながら、Kannaの過去・現在・未来に迫る。3月20日(水)には、Nouchi、Koshiともに「振り切った」と語る新曲「Peace Out」も配信リリースされた。前述のワンマンライブを経て、この4月から活動拠点を東京に移すKannaの今後の活躍から目が離せない。
2人の出会いと確信、そしてそれぞれのルーツについて
ーー今日はKannaとは何者なのか、多くの人に知ってもらうためいろいろ聞かせてほしいと思います。早速ですが、NouchiさんとKoshiさんがどんなふうに出会って、Kannaを始めたのか、その経緯から教えていただけますか?
Koshi:出会いは高校1年生の時でした。元々、メンバーは4人いたんです。最初、その中のドラムの子と僕が知り合って、スタジオに入ってセッションしてみようかってなったんですけど、ドラムの子が他にも誰かいたほうがいいだろうって同じ高校に通っていたNouchiを連れてきたんです。そこからバンドをやろうってことになったんですけど、4人で活動していた時期を経て、受験やら何やらあって、気づいたら2人になっていました。
ーー最初にスタジオに入ったとき、お互い何か感じるものはありましたか?
Koshi:うーん、どうだろう? Nouchiの服装がめっちゃイキりちらかしていたことは、はっきりと憶えてますけど(笑)。服装と言うか、見た目ですね。めっちゃロン毛だったんですよ。しかもパーマロン毛じゃなくてストレートの。ほんと、『SLAM DUNK』のミッちゃん(三井寿)みたいな。それで学ランを着てて。
Nouchi:高校生だから、学ラン着るじゃないですか。
Koshi:その学ランの下に柄シャツを着てたんですけど、カッターシャツなんか着ないみたいなスタイルで、もうバチクソイキりちらかしているって印象でした。
Nouchi:(高校の)校則が緩かったんで。
Koshi:一応、合法だったんだ(笑)。
ーー逆にKoshiさんの第一印象はいかがでしたか?
Nouchi:小柄だなって。
Koshi:おい!
Nouchi:でも、ギターはうまかった。同年代で、そんなにうまい奴はいなかったんで、当時からずば抜けているとは思ってました。
Koshi:それだけでいいやろ。小柄はいらない。
Koshi(Gt)
ーーKoshiさんは小学生の時にヴァン・ヘイレンに憧れてギターを始めたそうですね。それはご両親の影響だったんですか?
Koshi:いえ、YouTubeでたまたま見つけて、CDを聴いたらめっちゃかっこよかったんです。
ーーその後、中学生になると、90年代のUKロックやUSロックも聴くようになったそうですが、その中で一番ハマったのがジョン・フルシアンテだった?
Koshi:そうですね。でも、難しいな。一番ハマったのはジョン・フルシアンテだけど、一番練習したのはスティーヴィー・レイ・ヴォーンかもしれないです。もちろん、日本の音楽も好きでした。ヒップホップは通らなかったんですけど、日本のバンドは80年代も90年代もけっこう聴きました。
ーー90年代のバンドって、たとえばKannaの曲名にもなっているSuper Junky Monkeyとか?
Koshi:あぁ、はい。大好きですね。でも、一番好きなのはJUDY AND MARYでした。曲を作るとき、ギターのアレンジはJUDY AND MARYを参考にしてるかもしれないです。
ーーどんなところを?
Koshi:ギターがありえんぐらい目立つところですかね。歌の裏でも全然、弾きまくるっていう。ボーカルに負けないくらいギターが前に出てくる感じっていうのは、すごく参考になるなと思ってます。
ーー 一方、NouchiさんはSEAMOさんを聴いて、ヒップホップに目覚めたそうですね。
Nouchi: SEAMOさんをはじめ、主に名古屋のヒップホップを、親の影響でちっちゃい頃から聴いていたんです。Kannaを始めた時はラップじゃない曲もあったんですけど、試しにラップしてみたら、こっちのほうがハマるってなって。なので名古屋のヒップホップは、僕のルーツの中で大きな割合を占めていると思います。
ーーじゃあ、ロックはそんなに聴いていない?
Nouchi:ほんとにちょっとだけしか聴いてなかったですね。親が好きだったMr. Bigとか、ボン・ジョヴィとか。でも、それもロックというジャンルとして聴いていたわけではなく、家で流れてた音楽の1つがそれだったっていう感じで。
ーーヒップホップを通っていないKoshiさんと、ほぼヒップホップばかり聴いてきたNouchiさんという組み合わせがおもしろい。果たして一緒にできるんだろうかとは思いませんでしたか?
Koshi:むしろラップの裏だったら何でもできると思いました。どんだけギターが暴れても、どんだけギターが目立っても、ラップだったらのせてくれるだろう。このスタイルだったら、やりたいことをやれるかもしれない。本当に好きなようにギターを弾けるかもしれないと思えたので、一緒にできるんだろうかっていう不安は全然なかったですね。
ーーそうか。いわゆるミクスチャー・ロックももちろん聴いているんですよね?
Koshi:そうですね。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンをはじめ、定番のバンドを聴いていると、やっぱりラップの裏でギターがすごい暴れているから、ラップとロック・ギターの組み合わせ、かっこいいじゃんって普通に思ってました。
Nouchi(MC)
ーー逆にNouchiさんは?
Nouchi:いやぁ、バンドを組んだ時は、何も考えてなくて、とりあえずおもしろそうだからやってみようかなぐらいのテンションから始めたんで(笑)。しかも、その当時、僕はミクスチャー・ロックを知らなかったんです。だから、Kannaを始めてからミクスチャー・ロックを聴き始めて、あぁ、これもありなんだって思ったことは、すごく記憶に残ってますね。
ーーそれにもかかわらず、YouTubeにアップしているKannaのMVに対して、90年代にミクスチャー・ロックをリアルタイムで聴いていたと思しき人達がかっこいいと言っているのがおもしろい。
Koshi:ありがたいですね。たぶん、その世代の人達が聴いていたミクスチャー・ロックって、それを目指したのではなく、おのおののルーツや好きな音楽が混ざり合った結果、ミクスチャーになった。僕らもミクスチャー・ロックにめっちゃ憧れてと言うよりは、自分達が好きなことを混ぜているだけって感覚なので、そこを感じ取って、90年代のミクスチャー・ロックを連想させるとか、かっこいいとか言ってくれてたらいいなって思います。
ーーところで、Kannaというユニット名は、どこから付けたんですか?
Koshi:諸説あるんですよ。大工道具の鉋(かんな)ってあるじゃないですか。その鉋で音楽という1本の木を丁寧に磨いていこうみたいな。
ーーそれ、後付けですよね?(笑)
Koshi:バレた(笑)。僕ら、名古屋が地元なんですけど、「やらなあかんな」って、ぽろっとNouchiの言った名古屋弁から決まったみたいな説もあったりとか。
Nouchi:それも嘘ですね。今んとこ全部嘘(笑)。
Koshi:でも、Kannaって出てきたとき、めっちゃいい!と即決でKannaになったんです。ただ、最初の頃はめっちゃ女性シンガー・ソングライターと間違われましたけど。
ーーじゃあ、諸説あるってことにしておきましょう(笑)。さて、『FUJI ROCK FESTIVAL』、『SUMMERSONIC』に出演した2022年頃から認知度もぐっと上がって、 活動に勢いがつき始めました。そして、2023年には「& Boys」と「Youth」という2枚のEPをリリースしてきましたが、今現在、自分達の状況については、どんなふうに捉えていますか?
Nouchi:知名度が若干上がってきているからこそ、がんばらなきゃいけないという気持ちはあります。その意味で言うと、自分達にできる曲のジャンルは、一旦やっちゃったというところもあるので、何か新しい入口を探して、曲に繋げていきたいってことは、すごく考えてます。自分達のルーツになってる音楽ジャンルから生まれた楽曲は、いっぱい出してきたけど、せっかくユニットという形で、究極、バンド・サウンドじゃなくてもよくてってところでやっているんだから、それ以外のところからもアプローチしていきたいと思っていて。
ーーその新しい入口を、今、探しているわけですね?
Nouchi:そうです。だから、最近のデモも、ちょっとR&Bっぽかったりとか、すごくJ-POPに寄せてみたりとか、そういう新しいところから切り拓いていきたいっていうのは、すごく考えてます。
ーーKoshiさんは、いかがですか?
Koshi:『フジロック』と『サマソニ』という大きいフェスに2つ出させてもらって、Kannaに関わる人も増えてきたんですけど、まだまだやっぱり自分達の思ってるステージには全然遠いところにいるなとすごく感じますね。今までは未知の世界だったんですよ。いわゆる売れてる人達の世界って。でも、売れてる人達とも多少関わる機会もあったからこそ、その距離の遠さも見えてきたと言うか、今まではなんとなくしかわからなかったものがはっきりとわかっちゃったので、現状としては、もっともっとがんばって、もっともっといい曲を作って、もっともっといいライブやってという気持ちがどんどん、どんどん強くなってきていますね。
Nouchi:Koshiは心配性すぎるんですよ。
Koshi;念には念を、と考えながら生きてるんで。
Nouchi:僕は自信しかないですけどね。基本そういう生き方をしてきたんで(笑)。
Koshi:彼は何を言われても全然くらわないし、そんなの気にしなきゃいいやんみたいなスタンスなんです。だから「そのうち売れるっしょ。大丈夫」「2年後、3年後は億万長者でしょ」ぐらいのテンション感で。逆に僕は「2年後、3年後どうしよう」みたいな感じのユニットになってます(笑)。
ーーでも、いいバランスなんじゃないですか?
Kosh:ほんとそんな感じで。ちょっと食らってるとき、Nouchiに話したり、LINEしたりすると、楽観的な言葉が返ってくるんで、めっちゃ助かります。それぐらいの考え方と言うか、それぐらいゆるく自信を持って生きていいんだなって気にはさせてくれますね
Nouchi:ギリ、ディスられてるみたい。
Koshi:ディスってない。褒めてるよ。本当に助かってる。
ミクスチャー・ロックをお茶の間まで届けたい
ーー「& Boys」と「Youth」を聴いて、それ以前のシングルよりも自分達というものを曝け出してきた印象がありましたが、曲を作る上で心境の変化もあったんでしょうか?
Nouchi:その2枚のEPと、その2つ前の「Kick Ass Machine」と1つ前の「Birth」っていうシングルぐらいから、サポート・メンバーありきじゃなくて、 俺達2人がちゃんと中心になってレコーディングも進めていくっていうふうに変わったこともあって、どちらのルーツにも全振りした曲を作れるようになったっていうのはありますね。
Koshi:あと、その2枚のEPは僕らが初めてまとまった曲数を一度に出した作品だったんですけど、それまでにリリースしてきたシングルをまとめたわけじゃなくて、コンセプトを立てて1曲1曲作ったんですよ。もちろん、フェスに出させてもらったことも含め、いろいろ心情の変化も反映されているとは思うんですけど、それよりも、ただいい曲を出すだけでいいのかみたいなことも考えて、この曲とこの曲を一緒に出したら相乗効果があるよねみたいな曲の出し方も意識したことのほうが大きいかもしれないです。
ーーなるほど。では、「& Boys」と「Youth」それぞれにどんなコンセプトの下、作っていったんでしょうか?
Nouchi:「& Boys」はタイトルそのままなんですけど、1回、少年の気持ちに戻りました。結成した当時の曲を改めて作り直してみたりもしたんですけど、聴いているだけで楽しいということをコンセプトにして、リリースが夏前だったから、騒げるような曲や夏の夕暮れ時に聴きたくなるような曲を意識しながら作って。「Youth」は「& Boys」からの続きみたいな感じで作ったんですけど、少年時代を経た青春と言うか、思春期と言うか。季節も冬だったんで、ちょっと哀愁もあると言うか、肌寒さとか、何か不安になることがあるけど、それでも前に進んでいこうよみたいな。何か、はっきりと言葉に言い表せない、中高生が感じる特有の焦りみたいな気持ちを曲に落とし込んで。
ーーそういうコンセプチュアルな作り方をしてみて、どんな手応えがありましたか?
Nouchi:シングルを作るのとはまた違って、一貫したストーリー性を作るって、なんかすっごい音楽やってるなって感じました。
Koshi:それと、何もない状態で「じゃあ、いい曲を作って。かっこいい曲を作って」と言われるよりも、コンセプトという枠が1つあるほうが逆に曲の方向性も見出しやすくて、作りやすいっていうのも感じました。
ーーところで、「Youth」収録の「Dive」と「Make My Day」のリリックが対照的と言うか、「Dive」は強気でオラオラな感じで、「Make My Day」は自分の弱いところを曝け出しているという、その両極端な感じがおもしろかったんですけど、そこにはリリックを書いているNouchiさんの素直な気持ちが表れているんですか?
Nouchi:「& Boys」からの続きで、「Dive」のような楽しくて、強気な曲を聴いてくれる人はいると思うから、Kannaとして絶対やっていくべきだと思うんです。ただ、ヒップホップってラッパーのパーソナルな部分を歌ってることが割と多いから、そういうパーソナルな部分も出していきたいよねってことで、「Make My Day」は作りました。「& Boys」の「那味」もけっこうパーソナルな部分を歌っていて、その延長で、いい感じに2曲ぐらいずつ楽しい曲とパーソナルな曲を作ってみたかったんです。ロック好きも含め、フェスやライブハウスで騒げる曲が好きなリスナーも、割と心で聴くタイプの人も、どっちも楽しめるようにみたいなところは意識して作りましたね。
ーー「Dive」の<母ちゃんもDance yeah お茶の間のBoogie><父ちゃんもDive(booo!) ちゃぶ台をSpin>というサビのリリックはユーモラスなところも含め、とてもキャッチーで。
Koshi:深いですよね(笑)。
ーー自分達と同世代のリスナーだけではなく、老若男女にも届けたいという気持ちが伝わってきます。
Nouchi:ミクスチャー・ロックをお茶の間まで届けたいという意味で、そのリリックは書きました。今の時代、ちゃぶ台がある家がどれだけあるのかっていうのはちょっと疑問ではあるんですけど。
Koshi:「Dive」の歌詞には、おもしろい話があって、<Fujiにサマソニ 紅白>というリリックがあるんですけど、これ、『フジロック』と『サマソニ』に出る前に書いた歌詞なんですよ。
ーーえっ、そうなんですか!?
Nouchi:そうなんです。
Koshi:リリックに書いたら、現実になったんで、次は紅白。これも近いうちに(笑)。
Nouchi:書けば叶うっていう。
ーー『フジロック』と『サマソニ』に出てから書いたんだとばかり思っていました。
Nouchi:次は、『コーチェラ(・フェスティバル)』って書こうかな(笑)。
Koshi:俺が億万長者になって、幸せな結婚するって書いて。
Nouchi:それはいいかな。
ーー「Dive」はギター・ソロも聴きどころですね。
Koshi:ありがとうございます。自分がこれまで影響を受けてきたギタリストっぽさを前面に押し出してみました。自分のテクを見せることよりも、聴いていて、いかにおもしろいかってことを意識しながらフレーズを考えました。
ーー「Youth」ではいろいろ新しい挑戦もあったと思います。たとえば、「Freefall」はラップもありつつ、メロディーを歌うボーカルパートが大半を占めています。それも含め、ここまでポップでダンサブルな曲は新境地だったんじゃないでしょうか?
Koshi:そうですね。トラックを作った時点では、可愛いポップ・ロックが1曲あったらおもしろいかなと思っていたんですけど、それをNouchiにいろいろ噛み砕いてもらって、こうなりました。
Nouchi:ヒップホップにもいろいろあるじゃないですか。その中でメロウなヒップホップも僕は好きだったので、最初はメロディーの中で韻を踏んでみたいなことをやりたかったんですけど、このテンポ感だったらそうじゃないだろうってなりました。
Koshi:ラップを載せるにはテンポが速いですよね。
Nouchi:でも、やったことがなかったらおもしろかったです。曲の幅が広がりました。
ーーそして、「Wolf」はKanna初のラブソングだそうですね?
Koshi:全面的にラブソングっていうのは初めてですね。
Nouchi:失恋ソングみたいなのはあったんですけど、幸せなラブソングっていうのは初めてかもしれないです。
ーーこれも最初に立てたコンセプトの中で、こういう曲があったらいいんじゃないかというところから作ったんですか?
Koshi:これは、とある番組のテーマソングのコンペがあって、しめきりは3日後だけど、試しに応募してみようってなって、トラックを2人でイチから作ったんですよ。本当に電話で話しながら、こんなのがいいんじゃないか、こんなのがいいんじゃないって、もう一晩でがんばって作ったんですけど、その番組の要素が強めの曲ができて。そこから噛み砕いて、今の自分達だったらどうやって作るかなみたいに膨らませていった曲ですね。
ーーじゃあ、リリックはその番組のテーマに寄せているわけですね。
Nouchi:そうですね。番組をリスペクトしつつ、でも……。
Koshi:自分の価値観は入ってるよね。
Nouchi:もちろん。自分が思ってることや、自分だったらこうするよみたいなことはちゃんと、特にサビはそうですね。だから、恋愛に対する自分の考え方を書いているところはあります。
ーーなるほど。お話を聞きながら、テーマがある曲作りが得意ということがわかってきました。
Koshi:テーマがあるほうが作りやすいですね。もちろん、テーマにもよりますけど、ドラマとか、映画とか、アニメとかの曲だったら、感情移入もしやすいし、作りやすいかもしれないです。
Nouchi:リリックもテーマがあったほうが、そこに関連付けられますからね。たとえば、映画だったら、その作品の、あるシーンを言葉遊びで描写するみたいな遊び方もできるだろうし。やっぱり、2人組で、しかもミクスチャー・ロックで、何やってもいいみたいなね。自由度が大きすぎて、「じゃあ、何か曲を作って」と言われて、野に放たれるよりは、ある程度囲われてたほうが、曲作りのきっかけを見つけやすい。見つけやすいし、ここからひっぱってこようみたいなこともやりやすいと思います。
「Kannaのライブって楽しいよね」と思ってもらいたい
ーーさて、3月27日(水)に地元である名古屋のライブハウス、ell.SIZEでワンマンライブ『Kanna ONE MAN LIVE “SHOWCASE”』がまもなく開催となります。そのワンマンライブはKannaにとって、どんな位置付けになるんでしょうか?
Koshi:僕らにとって初のワンマンです。僕ら、この3月で大学を卒業するんですけど、その意味でも節目にもなるってことで、1個またレベル上がったよねって言われるようなライブにできたらいいなと思ってます。
ーーここを期待してほしいというところはありますか?
Nouchi:それこそ2枚のEPからできるかぎり全曲やろうと思っていて。これまではやっぱり30分尺とか、40分尺とかの中で割とライブ映えする曲ばかりを集めて、セットリストを組んできたんですけど、いつも来てくれているお客さんもライブで聴いたことがない曲があると思うので、それを楽しみにしてほしいですね。あと、今回、ライブのポスターとか、手売りのチケットとかも自分達で作っているんですけど、ライブ以外のところでも僕らが作ったものを楽しいんでほしいというのがあるので、そこも楽しみにしてもらえたらと思います。
ーーKoshiさんは何かありますか?
Koshi:ちょっと前までは、やっぱり思春期だったので(笑)、かっこよく見られたいとか、モテたいとか、クールなキャラでやってたんですけど、最近は来てもらった人に「Kannaってライブ楽しいよね」って思ってもらいたいと思っていて。もちろん、音源を聴いてかっこいいと思ってほしいし、かっこいいと思ったらライブに来てもらって、ライブでもかっこいいと思ってほしいんです。そこにプラス「楽しいからKannaのライブまた行きたい。Kannaのライブが来月あるからがんばれる」みたいに言ってもらえるように楽しませたいんです。だから、世界観うんぬんって言うよりは、もうその場の雰囲気をみんなで楽しめたら、そんなふうに1つになれるようなライブを作れたらなと思っているので、そこを楽しみにしていただけたらと思ってます。
ーーそんなワンマンライブ以降の展望としては、どんなふうに考えているんでしょうか?
Koshi:もちろんライブは今までどおりと言うか、今まで以上にがんばっていきたいと思ってるんですけど、さっき Nouchiが言ってたように制作の面でも今いろいろと新しい試みをしていて、「Kanna振り切ったな」って曲も含め、今までとはちょっと違った試みをどんどんことやっていこうと思っているので、そちらも楽しみにしていただけたらなと思ってます。
ーーその振り切ったという曲、楽しみです。
Koshi:実はワンマン前に新曲「Peace Out」をリリースして、ワンマンでもやるつもりなんですよ。
Nouchi:今までのKannaを知っている人は、「そっち来たか!」って思ってくれると思います。
Koshi:「そっち来たか!」もやりたいし「こっち来たか!」もやりたいし、ミクスチャーらしく、いろんなことをやっていきたいですね。
取材・文=山口智男 撮影=大橋祐希