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チ・チャンウク、初の日本ツアー・ファイナルにみた人の心を掴んで離さない魅力

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チ・チャンウク

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

『2024 Ji Chang Wook Japan First Tour-March-』2024.03.17(sun) 東京国際フォーラム ホールA

3月17日、東京国際フォーラム ホールAでチ・チャンウクの日本ツアー『2024 Ji Chang Wook Japan First Tour-March-』のファイナル公演を観た。チ・チャンウクといえば、韓国をはじめアジア圏で絶大な人気を誇るトップ俳優だが、歌手としてのコンサートツアーは初挑戦。注目度は非常に高く、1曲目「Kissing you」から熱狂的な歓声と手拍子と、全員が持っているんじゃないか?と思うほど大量のペンライトの光が客席で揺れる。みんな楽しむ準備は万端だ。

「みなさんこんにちは。お久しぶりです!」

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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爆音と共にテープを発射するキャノン砲、上下左右に配置された巨大ビジョン、そして6人編成の分厚いバンドサウンド。演出は派手で華やかだが、主役はあくまで歌だ。チ・チャンウクの歌声は、俳優としての確かな表現力で、大人っぽい低音から柔らかいファルセットまでを使い分ける独特の魅力あるもの。特に日本語で歌うオリジナル曲「僕がいたこと」「Spring Is You」の2曲は、正確な発音で歌詞の意味を噛みしめるように伝える。その裏側にある努力と人柄が透けて見えるようだ。

「ツアーが始まる前は心配もしていたんですが、みなさんのおかげで最後までたどり着くことができました。心から感謝しています」

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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1曲ごとに日本語の通訳を入れながら、コミュニケーションをとっていくのがチ・チャンウクのスタイル。曲の解説をしたり、ツアー中の思い出を語ったり、突然「今日の私、かっこいいですか?(笑)」と問いかけてみたり。真面目な中に茶目っ気を感じる愛らしいキャラクターに、場内はあたたかい歓声と笑顔に包まれる。「春にまつわるエピソード」と題したコーナーで、事前にファンから募ったエピソードを紹介しながら、ファンと直接会話して交流を深めるという嬉しい企画もあった。楽しいおしゃべりと歌で、時間が経つのがあっという間だ。

『アンナラスマラ-魔法の旋律-』オリジナルサウンドトラックからの「あなたは魔法を信じますか?」は、幻想的な遊園地の映像に、ロマンチックなメロディがよく似合う曲。『奇皇后』からの「蝶へ」は、イントロの静かなピアノの響きからクライマックスの熱唱へ、ぐんぐんとテンションを上げてゆくエモーショナルなバラード。すごい迫力だ。

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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短いブレイクをはさみ、シックな黒の衣装に着替えたあとの2曲は、より大人っぽくムーディーに。高いビルに見立てたセットの上で、満月をバックに歌う「君に会いたい夜」と、豪華な宮殿のような背景の前で歌う「愛が過ぎたら」。ここは日替わりメニューで、大阪公演では「君が好きな101の理由」を、福岡公演では「星晴(ソンチョン)」を歌ったとのこと。そして『サムダルリへようこそ』からの「夢」は、ビジョンに映る美しい海の風景を見ながら、どこまでも伸び伸びと爽やかに。さっきまでの大人の歌声が、急に少年のような透明感ある歌声に変わる。手拍子が大きくリズムを刻み、キャッチーなメロディを盛り上げる。

ここで一旦ステージを下りた主役の代わりに、バンドメンバーが気迫あふれるインスト演奏を聴かせてくれる。フュージョン、AOR、ロック、J-POPなど何でもできそうな、腕達者揃いの頼れるバンドだ。そしてチ・チャンウクがステージに戻って再開…かと思いきや、彼が現れたのはなんと2階席のど真ん中。大歓声を浴びながら一人一人とハイタッチを交わし、さらに1階席に下りて広い客席を走り抜ける。場内騒然、狂喜乱舞、嬉しい悲鳴。そこへアップテンポのロックナンバー「君と」をたたみかけ、さらにヒートアップ。白いスモークが吹きあがり、カラフルなライトがぐるぐる回る。スタッフもファンも心は一つ、この時間を楽しむために一致団結している。

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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ご存知の方はぜひ一緒に歌ってくださいーー。そう呼びかけて歌ったカバー曲は德永英明「レイニーブルー」、そして米津玄師「Lemon」。彼にとって日本語は外国語、しかも時代も曲調も違う2曲をここまでエモーションを込めて歌えることに感動せずにはいられない。特に「レイニー ブルー」のクライマックス、魂震わす歌いぶりは圧巻の一言だ。そして、ミュージカル『その日々』からのバラードの名曲「愛していたけど」の美しいメロディに合わせ、客席で無数のペンライトが揺れ、ビジョンの中では静かに雨が降る。映像美をたっぷり散りばめたドラマチックな盛り上がりを経て、いよいよ残すは1曲。

「このツアーの中で多くのみなさんに会うことができました。僕にとってとても大切な思い出になりましたし、本当にあたたかい春になりました」

心を込めた挨拶からのラストソングは、『ヒーラー~最高の恋人~』からの「守ってあげる」。包容力満点、大らかなミドルバラードのサビの歌詞はみんな歌える。大きな手振りが一体感を生む。しかしもっと聴きたい。歌い終えた主役におくられる拍手と歓声は、すぐにアンコールの手拍子に変わった。

「最後の公演なので、盛り上がって歌いたいと思います。みんなで一緒に歌ってください」

チ・チャンウク (C)JI CHANG WOOK Japan Official Fanclub

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アンコールに残していたのは、やはりこの2曲。日本デビューシングル「あなたがいてくれた」と、セカンドシングル「The Wind Of Spring」だ。「あなたがいてくれた」は最初のフレーズから大合唱になり、「The Wind Of Spring」はお揃いの振付で盛り上がる。最後のサビでもう一回、キャノン砲をぶっぱなしてテープの雨が降る。ツアーグッズのフードパーカーに着替えたチ・チャンウクが、満面の笑顔で客席にマイクを向ける。ハンディカメラで客席を映し、自撮りしてはしゃいでる。ビジョンに映る春の花たちがとても美しい。心あたたまる楽しいフィナーレ。

しかしまだ終わらない。熱烈なアンコールに引き戻されてもう一度「Kissing you」を歌い、メンバーと手を繋いで挨拶、そして記念撮影。去り際の最後の瞬間まで、笑顔で手を振る主役に向けておくられる惜しみない拍手。そしてビジョンに映る、映画のようなエンドロールの余韻。

終わってみればたっぷり2時間を超えるボリュームの中に、様々なドラマを秘めた歌たちと、楽しいトークを散りばめ、アクター&シンガーとしてのチ・チャンウクのキャリアを一望するようなコンサートだった。このツアーを観た観客は必ず次のツアーにも来るだろう。次に会う時はきっと新曲も増えて、新しいチ・チャンウクの姿が見られるだろう。3月の爽やかな風の中で、新たな季節の訪れを近くに感じる素敵なコンサートだった。

取材・文=宮本英夫

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