ReN 撮影＝Yukitaka Amemiya
『EIGHT BALL FESTIVAL 2024』ReN
サウンドチェック時からループ・ステーションなどの機材の確認を行い、初見のオーディエンスにもそのアプローチの面白さを教えてくれたのはReNだ。ほぼフルサイズでの「HURRICANE」の披露やアヴィーチー「Wake Me Up」のカバーもあり、贅沢な心地の中、いよいよ本編がスタート。
ReN
「最後まで楽しんでいきましょう！」と軽やかに告げるや、原曲のデジタリックなアレンジとはまた異なる温かみに触れた「千輪花火」で口火を切る。ReNのステージングは、アコースティックギターとループ・ステーション、エフェクターを用いたパフォーマンスが持ち味。一音一音を重ね、リズムを鳴らし、豊かなサウンドウェーブを織り成す。そんな現在のスタイルを決定づけたといっていい「Life Saver」では、曲が進むにつれ高揚感は上昇する一方だ。
ReN
「めちゃくちゃみんなに会いたかったです！ 今日をすごく楽しみにしていました。いつも応援してくれている人は俺だけひとり遊びにならないようについてきてね。初めての人も自由に楽しんでいってください。そろそろ桜が咲く季節になってきました」
ReN
そう歌い始めたのは、春の情景が浮かぶ「あーあ。」だ。アーシーな歌声にセンチメンタルが加速！ 「みんなも一緒に歌ってみようか」と導いて、一層ハートウォームな空間を創出していく。さらにシンガロングを呼んだのは「Teenage Dreamers」だ。リズムパッドも駆使しての鼓動のようなリズムにのりながら、全員で声を合わせる幸福でSTRIPED STAGEは満タン！
ReN
「最高だね、岡山！ ありがとう。久々のフェスなんですよ。こんなにいろんなところから集まってくれて、それぞれのセンスを備えたみんなにこうやって僕の音楽を聴いてもらえる。すごく大きなチャンスだし、めちゃくちゃうれしいです。いろんなことがあるけどさ、楽しく全力で笑いながら、汗流して奏で合える日を楽しみに頑張っていきます。だから明日も生きていってください」
ReN
ラストに据えたのは「Lights」。＜足元を照らせるように 僕が光になればいい＞との詞を体現するような求心力たっぷりのプレイでフィナーレを飾った。演奏方法を起点に語られることが多い彼のライブだが、それは手段の一つ。この日、ReNがもたらしてくれた豊潤なエモーションは、ひとえにその地力の強さゆえだ。全身を覆う薄膜のような多幸感は、終演後もしばらく抜けることはなかった。
取材・文＝後藤愛 撮影＝Yukitaka Amemiya