春野、初の海外ワンマンツアー中国公演オフィシャルレポート  ネットからオーバーグラウンドへと活動を変化させてきた彼ならではのメッセージ

アーティスト

SPICE

春野 北京公演

春野 北京公演

3月20~24日に行われた春野の中国ツアーより、ファイナルの上海公演のオフィシャルレポートが到着した。


ボカロPとしてキャリアをスタートさせ、R&Bシンガーソングライター・プロデューサーとして活動する春野の中国ツアーが2024年3月20~24日にかけて行われた。初ライブは2022年夏、実にライブ活動歴約1年半にして初めての海外ワンマンツアーとなる中国ツアーの開催を発表した春野。

広州

広州

「深昏睡」などボカロP時代の楽曲や、2021年にリリースした「Limbo」は、中国の動画サイトBiliBiliで多くのカバー動画が作られており、近年ではNetEase Cloud MusicやQQ音乐をはじめとする中国の音楽配信サイトで楽曲リリースのたびに、日本語の楽曲チャートに上位ランクイン。直近の「Saint」もKuwo Musicでは日本語チャートで7日間連続1位ランクインするなど、海を越えファンを持っている。今回の『春野 2024 CHINA TOUR』は、深圳、広州、北京、そして上海の4都市を巡るツアーで、上海公演はチケット販売後1秒で即完。そのほか広州・北京公演も完売させ、開催前からファンの期待の高さを感じさせるワンマンツアーとなった。今回はファイナルの上海・新歌空間公演のライブをお届けする。

広州

広州

SEに1st アルバム『The Lover』1曲目に収録されているインスト「Iron」が会場に流れ、大きな歓声と拍手の中、春野とHISA(Gt.)が登場。春野がキーボードの前に座り「Like A Seraph」でライブが始まる。ディスコビートで、オーディエンスと音に乗り、ミニマルなリズムが心地よい「I’m In Love」で観客の身体を揺らす。続いてイントロが流れた瞬間に、大きな歓声が上がったのは「D(evil) feat. yama」。春野はハンドマイクに持ち替え、キーボードの前から立ち上がり、客席に近づく。「サビ、みんな歌えますか!」と手を振りながらシンガロング。一気に会場のボルテージをあげる。

広州

広州

歌い終わり「你好!春野です。みんなのことが知りたくて、今日は日本からきました!」と挨拶。日本語を理解しているファンの姿も多く、フロアからは大きな声援が。「今夜はまだまだ長いから一緒に楽しんで行きましょう!」と笑顔で投げかけ、ステージが暗転し、HISAのリバーヴがかったギターが鳴り響き始まったのは「Buddha」。春野の中でもダークトーンで妖艶な雰囲気が漂うナンバー。低音とハイトーンの裏声をシームレスに切り替え表現するこの曲は新たな魅力を感じさせる。続く「Dance At The Moonlight」「KID」は春野1人でのパフォーマンス。「Dance At The Moonlight」ではグルーヴィーなサウンドに乗りながら会場を巻き込み、「KID」はしっとりとピアノソロから曲に繋がるアレンジで聴き入らせ、異なるパフォーマンススタイルで魅了。

広州

広州

HISAが入り「Los Angels」を披露。祈りを込めるよう、丁寧に言葉を紡ぐボーカルに見惚れさせたのち、またしてもイントロで大きな歓声が上がったのは「Limbo」。YouTubeのみならず、中国の動画サイトBiliBiliや現地の音楽配信サイトでも多く再生されている人気曲だ。「みんな歌ってくれますか?覚えてきたよね?」と春野が声をかけると、フロアからは大合唱が。サビだけでなく、言葉数の多いBメロもシンガロング。中国の待ちかねたファンの熱量と、国境と言語を超えて生まれた一体感に心が打たれる光景だった。

広州

広州

歌い終わりMCでは、「楽しい? 开心吗?(楽しんでますか?)」と中国語で呼びかけ、「今日は初めての中国ツアー、最後の日です。4ヶ所まわってきたけど、1番良かったライブを上海にしたいです。みんなが大きい声で歌って、盛り上がってくれないと僕東京帰れないんだよね。なので、1番盛り上がってください!」と煽ったのち、「summer」「U.F.O」と柔らかな曲調で会場を包む。曲が終わり、次の曲のピアノの1音目を春野が鳴らすと歓声が。2音だけ、3音だけ、、と焦らしながら弾き始めたのは「Love Affair」。ゆったりとした曲調だが、歌い出しからシンガロングするオーディエンスの姿が印象的だ。続けて「MIST」「Kidding Me」を披露。少し湿っぽい気候の上海に、穏やかな空気を運びMCへ。

広州

広州

「今日16時くらいに来て、そしたら既に並んでくれてるお客さんがたくさんいて。その前をバレるバレる!って思いながら走って会場入りました(笑)」と、ハプニングで笑いを誘う。客席から『春野大好き!』と叫んだファンに対して「僕も大好き!皆に会いたくてきたんだから、愛してるに決まってる!我爱你!(愛してるの意) 」とレスポンス。「少し話しちゃったけど、次の曲は皆んなの言葉が入ってるんだ、一緒に歌ってくれる?」と話し、続けたのは「Venus Flytrap feat. 佐藤千亜妃」。 “ばっかみたいに うぉーあいにー”と、中国語の” 我爱你”というフレーズがサビに入っている本曲。大きな声で” 我爱你”を叫ぶファンに、ハンドマイクで近づき楽しそうに踊りながら歌う春野。最後の曲、「Angels」では「今日は本当に会えてよかったです、大好きみんな!」と声をかけ、大歓声のもとライブを終えた。

北京

北京

大きな声援に応えた、アンコールでは「楽しすぎて、最後あと2曲ですとかいうのを忘れてしまいました(笑)最後にやった「Angels」は去年の日本のツアーでも、今回の中国ツアーでも最後にやっていて、「時々は〜」とか、「これから会おうよ」ってみんなで言うのがお気に入りのパフォーマンスなんです。」と明かした。
「昔の曲なんだけど知ってるかな?」と言い始まったのは、「ターミナルセンター-Tomggg Remix」。おもちゃ箱のようなポップなRemixが原曲と異なった良さ放ちながら、オーディエンスとシンガロングし多幸感が溢れていた。

北京

北京

「今日、4公演あったツアーの中で1番みんなの手とか声とか口とかの動きが大きかったです!優勝おめでとうございます!」と盛り上がりを喜びながら、「みんなと違う言語なのに、こうやって曲覚えてきてくれてるの涙が出そう。簡単なことじゃないし、みんな勉強して、今日僕MCも日本語で話してるけどみんなついてきてくれてて、嬉しいです。」と感謝を述べた。「上海のチケットは1分で売り切れて、チケット買えないんだけどっていうDMもたくさんきました(笑)来年はもっと大きい会場で戻ってきます!約束!ゆびきりげんまん!」とまた帰ってくることを約束をした。「みんなが盛り上がってくれたので、僕がBiliBiliでボーカロイド上げてた時の曲を少しだけ。みんな歌ってくれますか?」と声をかけ、ボカロP時代に発表した「nuit」のワンコーラス、サプライズで披露。

上海

上海

「僕は元々自分で歌ってなくて、ボカロPをやっていて。顔を出して歌うのって怖いし、ミクの方が上手く歌えることもあるし。けど「深昏睡」や「nuit」のセルフカバーをBiliBiliやニコニコ動画にあげたときに皆んなが反応してくれて、少し自信がついて。それでも顔は出せなかったんですよね。でも、EP「25」から顔を出し始めたんです。僕は韓国のHIPHOPやR&Bのアーティストが好きで、その人たちを見て“音楽がかっこよければいいんだ”って思ったんです。」と活動を通して変化していった心境を明かし、「みんなも恥ずかしくてできないことってあると思う。だけど、もう僕はみんなに恥ずかしい姿見せたから、みんなも怖がらないで挑戦して欲しい。僕はその勇気与えたいと思ってます。」と、ボカロPからR&Bアーティストへ、ネットからオーバーグラウンドへと活動を変化させてきた春野ならではのメッセージを観客に投げかけ、最後に最新曲の「Saint」を披露。

日本とは異なる音楽市場の中国という土地で、初めての海外ワンマンツアーを成功に納めた春野。7月に開催される日本でのワンマンも発表され、本ツアーでの経験を経たさらなるパフォーマンスに期待したい。

上海

上海

 

関連タグ

関連タグはありません