ShiggyJr.
2019年9月の解散から4年半を経てのShiggy Jr.の“再集結”は、あまりにもさりげなかった。昨年(2023年)、結成日の12月5日に「2024年に乞うご期待っ!」の文字とともに脱力した手書きの予告がXとInstagramにアップ。しかも結成10周年に間に合わず、結成11周年になってしまったというマイペースぶりに、むしろShiggy Jr.らしさを見たファンも多かったことだろう。
2010年代の東京の若者の青春とライフスタイルを、グルーヴする音楽に乗せてカラフルに届けてくれたShiggy Jr.。完成度と親しみやすさを両立するかけがえのないこのバンドは、ファンはもちろん、同じだけの時間、大人になったりならざるを得なかったリスナーにとって大事な存在になるはずだ。
再集結の経緯、そして今を生きるあらゆる人に響きそうな新作EP『LIFE GOES ON-EP』について、ボーカルの池田智子とソングライターでギタリストの原田茂幸に訊く。
――全部すごくいい曲すぎて号泣してました。響く人が多そうです。
池田智子:ありがとうございます。
――SNSなどでの諸石(和馬/Dr)さんのコメントにもありましたけど、再集結のきっかけは森(夏彦/Ba)さんの結婚式だったとか。
原田茂幸:はい。最初は森の結婚式で会って。その後、Shiggy Jr.の「サマータイムラブ」を録ってくれたエンジニアの方のお葬式で会って。その時の帰り道で池田が「続いてたら10周年だよ」って話してて、その後いろいろ――池田はその時は帰っちゃったけど、お好み焼き屋さんみたいなところで俺と諸石とタイスケ(当時の所属事務所)の時のマネージャーさんとでいろいろ話してて。「やるんだったら10周年しかないよね」みたいなことを、そのマネージャーさんが言って、「確かにそうだよね。10周年超えたら次は15周年って、俺ら何歳です?」みたいな話だったりして。
池田:森さんの結婚式が解散後初めて4人が揃った場所だったんですよ。それが2022年の10月で、そのエンジニアさんのお葬式があったのは同じ年の年末だったんですよね。最初に森さんの結婚式で「久しぶりだね」って場面があって、その後に「10周年だね」っていうのがあって、年が明けて2023年になった時に茂幸くんからみんなに「なんかやらない?」みたいなラインが届いて、「じゃあやろうか」っていう流れになりました。
――アニバーサリーなら集まってもいいかな、という?
原田:そうですね。別に仲が悪くてやめたわけではないから、タイミングが合えばやってもいいし、やらなくてもいいし、ぐらいのテンション感ではずっといたというか。
――10周年というタイミングで、“再結成”じゃなくて“再集結”と呼んでいる、そのニュアンスの違いって何なんだろうなと思って。
池田:諸石くんのコメントに”集結”という言葉が入っていたんです。今、私がバンドのSNSを担当しているんですけど、4人で集まって活動することにあたっての一言なりコメントがあった方が伝わるかなと思って、コメントをくださいってみんなに言ったら、諸石くんの文章に”集結”という言葉が入っていて、「ああ、なんかすごいいいなあ」と思って。当初は10周年を記念した――結局、10周年の間に収まらなくて11周年に突入しちゃったんですけど(笑)、期間限定でもいいから1年間ライブとかリリースとか、みんなそれぞれの活動が結構あるので、やれる範囲でやろうか、みたいな話をしていたので、誰も再結成とも言わず、いつからいつまでとも言わず、みたいな感じで。今やれることをやって、色んな意味で続けられるなら続ければいいし、みたいな感じでやっていたので、“再集結”っていう言葉はそれぞれの活動がありながら、またShiggyの活動もやるっていう、今のこの状態にぴったりだなと思って、すごくしっくりきてます。
■前は日常だったことが今すごく特別に感じるんですよね。その体験ができたのがすごく良かったなって、バンド楽しいなって思います。(池田)
――10周年というきっかけがあったにしても、やってもいいな、やりたいなって思えた理由ってありますか?
原田:別にないです(笑)。
池田:(笑)。
原田:ただ時間が経って、僕は「もうそろそろやる?」ぐらいの感じではありました。「また今からやります?」ぐらいの軽い感じというか。
池田:私はやっぱり、そもそも私から解散の話を切り出したっていうのもあって、解散後も自分からはみんなに連絡できず。でも別にすごく仲が悪くなって距離を置いてるわけでもないしっていう、不思議な感じだったんですよね。友達とも恋人とも違う、離れた後の距離の取り方というか。いろんな想いが心の中にある状態。それが森さんの結婚式で4人集まれたことで、「あ、みんなと普通に喋れる」とか、久しぶりに会ったけど一瞬で元の感じに戻るんだな、みたいな体験があって。で、お正月に「やらない?」みたいな連絡をもらって。私の中では茂幸くんって一番そういうことを言わなそうな感じ? 割とこういうインタビューでもそうなんですけど、塩対応な感じの人だから。
原田:(笑)。
池田:その茂幸くんから「やらない?」って言ってもらえたことがすごく嬉しくて。私は「やります!」っていう、尻尾振ってる感じで。嬉しかったですね。
――自分からは言いづらいし、4人がたまたま会うってこともないでしょうし。
池田:そうなんですよね。なかなかなくて。森さんだけ偶然、恵比寿の駅でばったり会って。それが2020年の12月5日だったから、解散した翌年の結成日だったんですよ。で、私はたまたま恵比寿で用事が終わって電車に乗ろうと思って歩いていたら「池田!」って呼ばれて、ぱっと振り返ったら森さんとTHE 2の古舘くんの2人で歩いてて。「え? 森さん?」みたいな。解散ライブ以来会ってないから、普通に「元気?」とか喋って。「今日、何の日か知ってる?」「知らない」みたいな。「今日結成日だよ」とか言って、「ええ!?」って。で、そのままみんなで飲みに行ったんですけど。
原田:ええ?(笑)
池田:だから森さんだけ会ってたんですよね。その後、森さんの結婚式があって。だから森さんがつないでくれた感じはあるんですけど。
――すごい運命ですね。
池田:そう。だからその時も嬉しかったけど、またみんなでできるっていうのはやっぱり嬉しかったです。
――自分はバンドのメンバーだったことがないので分からないんですが、元職場なり仲が良かった友達なりとしばらく音信が途絶えた時って、どう戻ったらいいのかなっていうのは確かにありますよね。
池田:そうですね。みんなの活動とか活躍とかはSNSとかもあるので見ていて。みんながどんどんいろんな場所で演奏したり、曲を作ったりしているのはすごく嬉しく見ていたので、みんながそういう場所を持ちつつまた集まれるっていう形がよかったなあって。もしかしたら、ずっと続けているのとはまた違う音楽とかライブとか、気持ちの持ち方とかできているんじゃないかなっていうのを思ったりします。
――またやりたいなって思う時に、やっぱりShiggy Jr.だなと思ったところは?
原田:うーん、難しいですね。いろんな人と仕事をすることが多いですけど、全部アレンジとかして作り込んで、レコーディングして出来上がるもので。プレイヤーも歌もそうですけど、やっぱり組み合わせの問題で、「その人たちの組み合わせだったらこういう音楽になるよね?」みたいな。その、Shiggy Jr.的なものは当たり前ですけど、一応バンドっていう形だから、その人たちが集まってやったら、それはどういう形でもShiggy Jr.になるなというのは感じますね。
池田:私は、ソロでは音源を出したんですけど、ライブを1回もしてないんですよね、解散ライブからこの4年半。なので単純に、バンドで音を出せることがすごく嬉しくて。この前、みんなでスタジオに入ったんですけど、みんなはサポート現場とかで大きい音も聴いてるし、ステージに立ってるし、全然日常の中にあることなんですけど、私はもうひたすら一人で個人練習しかやってなかったので、大きい音を久々に聴いてすごい感動しちゃって(笑)。みんなで音を出すの楽しいな、とか。あとはみんなのライブを観に行くことがあったから、ステージの上にいるみんなを眺める、それは解散前はあんまりなかったことで。やっぱりみんなの演奏いいなって思う機会があって。そういう、みんなとまたスタジオに入ってるっていう、前は日常だったことが今すごく特別に感じるんですよね。その体験ができたのがすごく良かったなって、バンド楽しいなって思います。
――今回のEPですが、再集結なので明るいノリになるのは当たり前なんですけど、振り切ってるじゃないですか。なんでこんな振り切ってるのかなっていうぐらい元気で。
池田:なんでですか?
原田:なんでだろう? ある種、戻った感じにはなっているのかなと思っていて。たぶんインディの時の一番初めの「Saturday night to Sunday morning」(2013年11月発売)みたいなパーティーっぽい感じで、2枚目のEPの『LISTEN TO THE MUSIC』(2014年7月発売)とか、パーティー感があるものを作っていて。多分メジャーにいったタイミングから「サマータイムラブ」(2015年6月発売)とか、そういう“恋もの”みたいなものがリードになっていたと思うんですけど。それがある意味、ひとつ終わって新たに始まったという意味では、僕の一番はじめにやっていたことに戻ってきた、みたいな感じかなって思います。
――原田さんは改めて池田さんというボーカリストのオリジナリティが見えたりしませんでしたか?
原田:うーん、難しい質問ですね、すごく(笑)。Shiggyのことをやるときは、池田の声とかマインドというよりも、多分、自分的なものを作ろうとしていると思います。それが池田の声が乗ると素直に聴こえるんじゃないかなって。僕が歌うとそうじゃなくて、池田がやるから伝わりやすいんだと思うんですよ。その言い方が難しいな……。結構、声がスッキリしているから伝わりやすいんだと思うんですよね、言葉が。
――確かに池田さんが歌うとすごく誠実に伝わってきますね。
池田:ありがとうございます(笑)。
――特に今回の曲のように素直に書かれている曲だと、一歩間違うとベタに聴こえてしまうけど、池田さんの声じゃないと届かない誠実さみたいなのがあるんだと思います。多分、原田さんは言いにくいと思うので言いました。
池田:ははは!
原田:ありがとうございます(笑)。
池田:やっぱり、曲と詞を書いている人と歌っている人が違うっていうのは、すごく重要な気がするよね? Shiggyにおいて。私も曲を渡されて「詞を書いて」って言われたら多分その詞を書けないと思うんですよね。で、自分で詞を書いていたらきっと歌い方ももっと変わってくると思うし。逆にそれを任されているからこそ、歌詞がちゃんと伝わる歌い方をしようとか、曲が真っ直ぐ届くような歌い方をしようと心がけて。Shiggyの時の自分の歌い方っていうのがやっぱり自然とあって、今回はボーカルを録るの結構苦戦して、3回ぐらい録り直ししていて。なのでそこに戻るのは結構大変でしたけど、分業じゃないけど、それぞれのパートに責任を持ってできるようなスタイルが出た時に、すごく素直な形として成立する要素なのかなと思いました。
――なるほど。池田さんは活動が止まる前、Shiggy Jr.に持たれている元気で明るいイメージを背負うのがしんどいと感じる時はなかったですか?
池田:活動中はやっぱりそっち(のイメージ)がどんどん前にいっちゃう感じがあって、私の本来の明るさ以上にイメージが先行しちゃうというか、どんどん膨らんでいっちゃう感じがあって。それは多分、チームの大きさとか活動のスピード感とかもあると思うんですよね。誰かが課してくるものというよりは、自然に大きくなっちゃうというか。分かりやすさが求められる場合も多いし、そこに私が必死に着いていくみたいな感じがやっぱりあって。きちんとしなきゃ、みたいな。そこのコントロールや、自分の中での消化の仕方がすごく難しかったんですよね。年齢的なこともあって、自分もどんどん変わっていくじゃないですか。でも明るいイメージはずっと変わらずあるっていう状態を、自分でどうしたらいいのか分からない、みたいな時期があったけど、今回はそれぞれの活動を経てまた集まってるっていうところで、自分もみんなも自然と大人になってる?(と言って原田の方を見る)。それを自然にお互いが受け入れられる状態で、「とりあえず作るからなにも言わないで」みたいな感じでぽんって3曲上がってきたんですけど、それを聴いたら自分が書いたのかと思うぐらい歌詞に共感したりする瞬間が自然にあるから、やっぱり時間をおいて各々が自分を見つめる期間があったんじゃないかなって思うんですよ。だからイメージと自分の乖離みたいなところも、自然にまとまっていた感じが今回はありました。
――それは1曲目ですか?
池田:最初にデモが来たのは「LIFE GOES ON」(2曲目)かな?
原田:そうだと思う。
池田:そうだよね。でもどの曲もすごく共感できる歌詞で、これは世代的なものなのか、歌詞を書く時はなにか考えてた?
原田:(笑)。考えてもちろん書いたんだけど。
池田:自分の気持ちを書いた? それとも……。
原田:それはでも、Shiggy Jr.の曲にするにあたっては、自分のことも踏まえた全体というか、さっき池田も言ったけど、みんなが大人になってライフステージが変わっていったりしていたので、そういうのも踏まえたその感じ? Shiggy Jr.の今感みたいなもの、かつ、もとよりShiggyがやろうとしていた楽しい感じというか“なんとかなるっしょ”みたいなイメージ。メッセージじゃないですけど、そういうものを入れたいなっていうので作りますね。
池田:その“なんとかなるよ”みたいな、あっけらかんとしてる感じ? でもちゃんと葛藤してる部分も入っていて、そのバランスがすごいShiggyっぽいなって思うんですよね。100%明るいわけじゃないっていうか、ちょっと切なさとか、そういうのがちゃんと入ってるのがいいなって。
――ホーンのアレンジとかも進化してるというか。
原田:めちゃめちゃ時間がかかって(笑)。
池田:今回ホーンも弦も全部生で録ったので、音源はなかなかリッチな音がしているはずです(笑)。
――リッチですよ。「LIFE GOES ON」も「今が幸せであれ」もShiggyど真ん中っていう感じですね。原田さんとしてやっぱりど真ん中を作らないと意味がないと?
原田:結構大変だったんですよね。戻すというか。いろんな音楽を作ってて、で、Shiggy Jr.のものをやろうってなったときになかなか難しくて。何度かやってるうちに、自分の思うShiggy Jr.像みたいなものに近づいて行った感じなんですけど。だから、結構頑張って作ったって感じですかね(笑)。
――『LIFE GOES ON -EP』なんだけどやっぱり1曲目の「今が幸せであれ」がより寄り添ったメッセージっていうか。
池田:茂くんとしてはこれがリードっていう?
原田:はじめは「LIFE GOES ON」にしようっていう話をしてたんですけど、作ってからだいぶ時間が経ってからいろいろ決めていって、「今が幸せであれ」ができたときにこっちの方が“Shiggy Jr.だな”と思えるものだなと思って。それで「こっちの方が良くない?」っていうことでみんな「まあそうだね」って。
――バンドの演奏を聴いてるっていう醍醐味がめちゃくちゃあって楽しいですね。
池田:ミックスの感じもちゃんとみんなの演奏が前に出る感じがある気がして。そんなことない? なんかバンドっぽい音じゃない? 割と。
原田:全部生モノで録って、ドラムもちゃんと生だし。Shiggy Jr.のメジャー――メジャーじゃない時もそうですけど、割と打ち込みもいっぱいやっていたから。そういう意味では今回は1枚目と2枚目の間みたいな。完全に生ではなくて、色々リフとかトリガー的に足してたりもするんですけど、でも基本はバンドサウンド。
■別に誰かに急かされるわけでもないし、“作れた”っていうのはすごくいい。次に何かやろうと思った時は、結構難しそうですけどね。(原田)
――「LIFE GOES ON」の歌詞も励まされますけど、「今が幸せであれ」はタイトルまんまですもんね。
池田:うん。いい曲です。私、1日1回は聴いてる。
原田:そんなに聴いてる?
池田:聴いてる。いい曲だなって思います、やっぱり。
――肝心な時に聴きたくなる曲。そしてリズムが面白い「ウラオモテ」なんですけど、これは1曲目2曲目が素直にくる曲だから、ちょっとひねりが効いてる感じですかね。
原田:うん、ちょっと。
――どんなアイディアでした?
原田:何曲作ろうとか決めてなかったんですけど、3曲ぐらい作ろうかなみたいな感じで。で、1、2曲目が明るくてまっすぐなので、ちょっと違う感じ? 「baby I Love You」に近いのにしようかなみたいなイメージで始めた感じです。
池田:Shiggyはカップリングにもいい曲が多くて。ある意味力まずにやりたいことやってるというか。「keep on raining」っていう、デビュー曲「サマータイムラブ」のカップリングがすごく人気があったり。裏面もすごくカッコよくて、そういう曲になってる気がします。
――この3~4年で音源のリリースの仕方も変わったじゃないですか。それは今はやりやすいですか?
原田:変わったっていうのは?
――サブスクがメインになってたり、そのことが今のバンドの状態や運営の仕方に合っているとか合っていないとか。
原田:まあでも、マイペースだからいいよね?
池田:そうだね。
原田:別に誰かに急かされるわけでもないし、“作れた”っていうのはすごくいい。今回はいい状態かなと思いますね。次に何かやろうと思った時は、結構難しそうですけどね。自分で何を作ろうと思うのか。さっきの再集結の話じゃないですけど、もう集まってるけど今回だけかもしれないし、もしかしたら次もやるかもしれないし、みたいな流れで言ったら、次に音源を出す時に何をどうしたらいいんだろうっていうのが悩みだったりもするから。ディレクターさんがいたり、タイアップ的なことがあると、そこで自分が何が作りたいかでできるじゃないですか。だから今回こうやって、再集結だからできたものではあったかなって。
――確かにそれはありそうですね。ちなみ今回、再集結を発表してから6月のワンマン以外にライブをやってくださいよみたいな話はないんですか?
原田:なんかちょくちょく、ね?
池田:ちょくちょくいただいて。ですけど、なかなかみんなのスケジュールが合わなかったり、どれだけ動けるかな?っていうところもあって。ライブはできればやれたらいいなとは思っているんですけど。そもそも、最初はリリースだけって話をしていたんですけど、みんなが「せっかくだからライブもやろうよ」みたいな感じで言ってくれて、私だけ最後までゴニョゴニョ言って。「や、ちょっとブランクがありすぎて」とか言って迷っていたんですけど、みんなが「できるよ、できるよ」みたいな感じで言ってくれて、ライブをやろうってなたんです。やっぱやり始めると、こうしたい、ああしたいがいっぱい出てきて、それがどういう形になるかは6月までちょっとわからないですけど、やっぱりライブの楽しさっていうのは1回やると思い出してしまうと思うので(笑)、続けてやれたらいいなとは思ってます。
――頼もしい。早くにこのライブを発表してらっしゃるので、SNS上でもファンの皆さんもすぐ売り切れるんじゃないかと不安になっているようですが。もっとやってほしいな、みたいな。
池田:やりたいですねえ。
原田:誘ってくださいって感じ(笑)。
――ワンマンは直前までいろいろ悩みそうですね。
池田:そうですね。もうリハに入っているんですけど、まずはみんな曲を思い出すところから始まるので(笑)。やってみてどういう感じなのかっていうのと、やっぱりみんなも歳を重ねたり、いろいろと経験したりもして、合うパフォーマンスも変わってきてる気がするんですよね。特に私はボーカルで真ん中に立って、曲は変わらないけど私自身は変わってるっていう状態で、どういうパフォーマンスが一番しっくりくるかなとか、どういう見せ方をしたらいいかなとかを見つけたいなって、すごく今思ってます。
――あるがままっていうのがみんな見たいんじゃないですか? でもやっぱりShiggy Jr.のライブの記憶って、池田さんがいつも全力だったので、それを見たいような心配なようなっていう。
池田:いやでもそういう風になりたいですよね。やっぱり日常生活の中であそこまで感情を解放することってなかなかないんだなって、解散して改めて思って。逆にいうと、ライブだったらどれだけれを表現してもその場にいるみんなとお互いにそれを交換できる場所っていうか。そういうのって、エンターテイメントとかスポーツとか、日常からすこし離れた場所じゃないとなかなか……日常とは少し違う場所だからこそ、みんなライブに来てくれると思うし、音楽を聴きに行ったりすると思うんです。それを自分が観に行く側として体験して、冷静にちゃんと考えられたのはすごく良かったと思っていて。どういうライブがしたいかなとか、どういう意味を持つ場所なんだろうとか、みんなが何を求めて来てくれてるんだろう?みたいなことを自分なりに実感できたので、それをちゃんと表現できるといいなって、今は思っています。
取材・文=石角友香