2000年11月に初演が行われた『MILLENNIUM SHOCK』以来、堂本光一が国内ミュージカル単独主演記録を更新し続ける『SHOCK』シリーズ。2024年は4・5月の帝国劇場を皮切りに、梅田芸術劇場、博多座、11月に再度帝国劇場で上演する。帝国劇場が建て替えのための休止に入ることもあり、作・構成・演出・主演の堂本光一から今回の公演をもって『SHOCK』シリーズ終幕となることが宣言されている。
公演初日を前に、堂本光一、佐藤勝利(timelesz)、中村麗乃(乃木坂46)、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)、松崎祐介(ふぉ~ゆ~)、前田美波里、島田歌穂による会見とゲネプロが行われた。
(左から)佐藤勝利、堂本光一
――まずはラストイヤーの初日に向けた意気込みを教えてください。
堂本:ここまでいつも通り稽古をし、いつも通り劇場入りして、いつも通りやってきました。いつも通り幕が開くんじゃないかと思っています。ライバル役3人が同時に稽古場に来てくれることもあり、楽しみながらやりましたね。勝利もギリギリまで舞台があった中で頑張ってくれて、素敵な稽古になったと思いますし、いい形で初日を迎えられると思います。
中村:参加させていただくのは2回目です。最後というタイミングで出演できるとは思っていなかったので光栄です。素敵な公演となるよう、私も全力で頑張っていきたいと思います。
前田:私は2013年からオーナーを演じさせていただいています。今回は初心を忘れず、毎公演丁寧に演じたいです。寂しいです。
――美波里さん、すでに泣いていらっしゃいますか?
堂本:松崎が泣いてます(笑)。
松崎:この通りです!
越岡:どの通りだ! すみません(笑)。
すかさずボケる松崎祐介(右)と越岡裕貴(左)
島田:私は2022年の博多座公演から参加し、昨年、今年と出演させていただいています。前人未到の歴史を刻もうとしている作品に携われることに感謝でいっぱいです。寂しいですが、一回一回目に、命に焼き付けて頑張ります。
越岡:4・5月は僕ら2人ですが、11月からの帝劇公演では7年ぶりにふぉ~ゆ~が揃います。エモい気持ちになりつつ、大阪公演の方にいいバトンを繋げられるよう毎公演務めていきたいと思います。
松崎:個人的な話になりますが、ふぉ~ゆ~になる前、M.A.D.で初めて出演しました。そして、こうして25年目のラストイヤーに参加しています。当たり前のように帝国劇場に立っていますが、これは当たり前ではないということをもう一度しっかり自分自身に問い詰めながら公演を頑張っていきたいと思います。よろしくお願いしました!
一同:(笑)。
越岡:ずっとなんか薄い(笑)。
堂本:面白いこと言うのかと思ったら言わない。まあ松崎らしい(笑)。
佐藤:僕が15歳の時に初めて見たエンタメが『SHOCK』でした。その時は右も左もわからない状態でしたが、そこから光一くんにずっと憧れてきて、ラストイヤーで肩を並べるライバルを演じられるのが光栄です。一生懸命頑張りたいと思います。
(左から)中村麗乃、島田歌穂
前田美波里
――いつも通りとのことでしたが、ラストイヤーということで思うところもあるのではないでしょうか。
堂本:不思議な感覚です。2000年に打ち上げ花火が上がるように始まり、最後はまた打ち上げ花火のようにたくさんやらせていただけます。何よりこういう場を用意してくださった皆さんに感謝しています。まだ実感はありませんが、帝劇に入っていつものように身も心も引き締まる感じがしますね。稽古についても、みんな忙しいので日数が足りないんじゃないかと危惧していましたが、始まってみたら皆さんが協力してくれました。みんなと一緒にすごくいい稽古ができたと思います。
――最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
堂本:自分としてはまだまだラストイヤーの実感が持てていません。でも、お客様もそうですし、自分も、この景色や一つひとつのシーンを噛み締め、目に焼き付けながら、みんなとの時間を大事にしながら、いつも通り『SHOCK』の世界で生きることを大事にしたいです。この作品を皆さんと共有できるのを楽しみにしています。
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◼︎ゲネプロレポート
会見で、ラストイヤーを特別意識しているわけではないと語っていた堂本。
冒頭から“いつも通り”熱量たっぷりでキレのあるパフォーマンスを披露する。ステージ上ではカリスマ性を放つ一方、ショウリをからかう姿はイタズラ好きな少年のようだったり、オーナーと“この先”について話す様子は若者らしい焦りや迷いが見えたり。決して完璧ではないが、それが却ってコウイチという人間を魅力的に見せ、圧倒的なパフォーマンスを引き立てている。
佐藤演じるライバル・ショウリは、これまでの公演よりも対抗心が前面に出ている印象を受けた。周囲がコウイチについていく中で、トップを狙うギラギラした姿が目を引く。強気な言動の裏に隠された本心がところどころに覗いており、二人の衝突やすれ違いにさらなる説得力が生まれていた。
中心にいる二人の苦悩がひしひしと伝わってくるぶん、ラストに向かう中で披露されるフライング、和太鼓演奏やダンスの迫力や美しさも増している。情熱や確固たるプライドが感じられるパフォーマンスに、ゲネプロながら大きな拍手が起きていた。
ヒロイン・リカを演じる中村は、少女らしい無邪気さ、凛とした強さを持つ女性の両方の顔を繊細に表現する。パフォーマンス中に見せる溌剌とした笑顔、曲やシーンに合わせた多彩な衣装を着こなす姿もチャーミングだ。コウイチとカンパニーを見守るオーナー(前田美波里)は、あたたかさと哀愁を感じさせる佇まいが魅力的。コウイチや娘のリカと一緒に歌うシーンの、包み込むような優しさも印象深い。
越岡と松崎は、安定感ある芝居、時折見せるお茶目さやコミカルなシーンでほっと和ませてくれる。さらに、スタイリッシュなパフォーマンスや手堅い殺陣で魅せ、ハードなダンスナンバーでも笑顔を見せる姿は貫禄すら感じさせる。
寺西はシリアスなシーンを丁寧に演じ、ラストに向かう登場人物たちの心の動きや物語の流れを作っていく。高田、松尾、尾崎はセリフこそ多くないものの立ち位置や表情で個性を表現。6人がコウイチとショウリをしっかり支え、パフォーマンスの魅力を底上げしていた。
また、和太鼓の演奏やアンサンブルキャストによるダンス、アクロバット、次々に登場する豪華なセットや衣装など、見どころが盛りだくさん。キャスト一人ひとりに注目できる少数でのパフォーマンスから、華やかさ満点のユニゾンまで幅広く披露され、様々なエンターテインメントを思う存分楽しめる構成になっている。
本作は2024年4月11日(木)~5月31日(金)まで帝国劇場で上演された後、2024年7月・8月に梅田芸術劇場メインホール、2024年9月に博多座、2024年11月に再度帝国劇場で公演が行われる。
全国ツアーでは、ライバルを佐藤と中山優馬、リカを中村と綺咲愛里がWキャストで演じるほか、コウイチを支える仲間として林翔太や室龍太、原嘉孝、ふぉ~ゆ~の福田悠太、辰巳雄大も参加する。11月の帝国劇場では上田竜也がライバルを演じ、コウイチの仲間役にふぉ~ゆ~が4人揃って登場。多彩な組み合わせによる化学反応と、各地での公演を通したさらなる進化に期待したい。
取材・文・撮影=吉田沙奈