角松敏生プロデュースのVOCALAND、2枚のアルバムから厳選した「VOCALAND REBIRTH Extended Mix by TOSHIKI KADOMATSU」を6/26リリース
90年代に角松敏生プロデュースによる”ヴォーカリストプロデュース・プロジェクト”としてリリースされた「VOCALAND(’96年)」「VOCALAND2 〜Male,Female & Mellow〜(’97年)」。この2枚のアルバムから厳選した楽曲を角松敏生本人がNonStop Extended Mixした作品「VOCALAND REBIRTH Extended Mix by TOSHIKI KADOMATSU」が、6月26日にリリースされる。収録アーティストには、吉沢梨絵、Anna、Salaなど日本人アーティストの他に、Pauline Wilson(元Seawind)、Tamara Champlin、Philip Ingramら錚々たる世界的な実力派アーティストが名を連ねており、’70〜’80年代のAORを愛するファンにとっても聴き逃せない作品となる。
さらに「VOCALAND2」に収録されている人気デュエット曲「Never Gonna Miss You / 吉沢梨絵&角松敏生」の続編となる、その後の2人の物語を描いた新録曲「May your dreams come true」が収録。この楽曲は5月15日に発売される角松敏生のニューアルバム「MAGIC HOUR 〜 Lovers at Dusk〜」にも収録されているが、こちらの作品では同楽曲を新アレンジ、新録音にてVOCALANDプロジェクトで抜群の歌唱力を認められてデビューした吉沢梨絵が角松敏生とデュエットで収録される。
角松敏生 コメント
VOCALANDという企画が立ち上がったのは90年代半ばの頃だった。当時私は「角松敏生」という看板を一時下ろして裏方的に音楽制作を請け負うプロデューサー稼業に明け暮れていた。そんなとき、当時話題沸騰の新進気鋭の呼び声高いavexの創立メンバー取締役の方々が原宿にあった私の小さな事務所に大挙して訪ねてこられた時は驚いた。ちなみに取締役と言っても割腹のいいおっさん連中ではなく、お洒落な若者体の人たちで、これからはこういう人たちが時代を創るのかなぁなどと想った記憶がある。彼らから言われたのは「角松さんに何かやっていただきたいのです」という要請だった。具体的な何かではなく「何か」である。この依頼の仕方にも驚いたけれど同時にワクワクもしたものだった。それは昭和の少年がプラモデルを作るときの高揚感に似ていたかもしれない。とにかく潤沢な制作費を背景に好きなことをやってください、というものだった。そこで僕が考えたのは無名の女性シンガーたちを集めたコンパイルだった。すでにセールスを確立しているとか背後に大きな芸能プロダクションがあるとか、そういうことには一切関心がなくまた関わりたくなかった私は、自分しか知らない他の人が知らない素晴らしいシンガーを発掘してその人たちだけで構成する作品を発想した。さらに自分の制作したトラックを本家アメリカのシンガーに歌ってもらいたいと常々思っていたのでそれを実現させるいい機会にもさせていただいた。とにかく、潤沢な制作費に甘えさせていただいて好きなことをやり倒した。今では考えられないようなプロジェクト、それがVOCALANDだった。結局セールス的にはそこそこの結果しか出せず、関係したavexの皆さんには申し訳ない思いもあった。しかし私にとって当時の最新の技術やメソッドを取り入れて様々な実験ができた経験は大変貴重であり、今の私の制作方法につながる大きな学びともなった。当時のavex関係者の皆様には心から感謝している。
あれから30年あまりが経過した。私は4年くらい前からこのVOCALANDの完全リミックスを制作したいと考えていた。何故ならそのマルチデーターに収録されている音の数々はさながら90年代の音の博物館的なもので、非常に貴重なものばかりだ。それらは現在の若者たちが制作したり聴いていたりする音楽の出発点的なプロトタイプと言っても過言ではない。その頃の私の音の実験が記録されている貴重なものだと感じていたからだ。昨今の80年代ブームとやらはさておき、純粋に音楽家としてこの作品の再提示を望んでいた。とはいえavexさんの原盤であるVOCALANDを私が自由にできる権利はないので単なる「夢」であり「希望」でしかなかった。しかし今回、avexで当時を知る数少ないスタッフの一人からVOCALANDのノンストップミックスをオリジナル音源を使用して制作してくれないかという依頼をいただいた。今のavex制作現場で当時のことを知る人はほとんど存在しない中、貴重なお話だった。VOCALANDは1、2の二つの作品があり1は当時のavexの御家芸であったダンスミュージック的なアプローチを主軸に、2は男女デュエットを主軸にしたバラードアルバムというそれぞれ異なるコンセプトだった。今回はノンストップミックスという要請だったので1をメインに据えた作品になった。ただVOCALAND 2出身で後にミュージカルシンガーとして大成功を収めた吉沢梨絵さんとの出会いは現在の私の活動においても大変重要で、バックコーラスやデュエット相手として今なお様々な現場でお手伝いをお願いしている。そういう意味で吉沢さんは2出身ではあるが1主体の作品である今作において頭と締めは吉沢さんの作品を据えた。さらに吉沢さんとの初めてのデュエットナンバー「Never Gonna Miss You」の新たなミックス、そして新曲「May your dreams come true」を制作した。このナンバーはこの5月に発表する私の通算25枚目のオリジナルアルバム「MAGIC HOUR」に収録されている「Turn on your lights」という曲のデュエットバージョンである。30年以上の時が流れて「Never Gonna Miss You」の歌詞に登場した離れ離れになっていった男女がその後どんな想いでいるのか、そんな物語を想像して聴いていただければ幸いです。この作品が多くの方に聴かれることによって現在のavexさんのスタッフがVOCALAND1、2の完全リミックスやオリジナルのリマスタリング、アナログ盤化などの制作に興味を持っていただけたらなお嬉しいのだが(笑)いつでも引き受けますよ(lol)
吉沢梨絵 コメント
私にとってもこんなご褒美な出来事が起きるなんて!唯一新たに加えられた「May your dreams come true」は「Never Gonna Miss You」からの流れを感じる本当に素敵なナンバーで、歌いながら、時を重ねた今だからこそ味わえる深い感動をいただきました。(歌うのは難しかったけど(笑))
角松さん、本当に凄いです!!
参加された素晴らしいシンガーの皆様の歌声は、この時代にまた新たなトキメキを与えてくれることでしょう!
上記の2曲はMale、Femaleそれぞれのヴァージョンも収録されているので、ぜひぜひ一緒に歌ってくださいね!