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hide、27回忌「hide Memorial Day 2024」のオフィシャルライブレポート到着

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今年2024年は、hideの27回忌、そして12月には生誕60周年を迎える。彼が1998年5月2日に空へ旅立ってから、どれだけ多くの人が空を見上げてため息をついただろうか。しかし、時が経つにつれて、その何万ものため息はいつのまにか笑顔に変わってきた。毎年5月2日に開催されるメモリアルイベント「hide Memorial Day」と、12月13日近くに開催される「hide Birthday Party」。会場のCLUB CITTA’に集まり、hideの音楽を全身で楽しみ、仲間たちと思い出を共有することができる恒例のこの楽しい空間が、hideを思う多くの人たちのため息を笑顔に変える大きな原動力となってきた。

今年は27回忌であり、生誕60周年という節目の年であることから、「hide Memorial Day」は2日間開催された。1日目の5月1日は過去に公開されたhideの映画の中から3本を特別上映、2日目の5月2日は同じ空間に集まったアーティストとオーディエンスが共にhideの名曲を歌う「Sing along Live “Hi-Ho!”」である。

1日目に映画館CINE CITTA’で上映されたのは、hide 50th anniversary FILM「JUNK STORY」(2015年)、hide 20 th Memorial Project Film「HURRY GO ROUND」(2018年)、「TELL ME 〜hideと見た景色〜」(2022年)の3本。昨年のhide with Spread Beaver、25年ぶりワンマンライブ集結のきっかけとなった「TELL ME 〜hideと見た景色〜」の上映前には、hideの共同プロデューサーであり、hide with Spread BeaverのI.N.A.がスペシャルトークのゲストとして、登壇。映画化の話を最初に聞いた時や、実際に映画館で完成した作品を見た時の感想を、MCのDJ浅井博章を相手に率直に話してくれた。曰く、I.N.A.役を演じた俳優の塚本高史をスクリーンで見た時、「自分が出てるんじゃないか」と思うくらいの再現度に驚いたそう。また、5/1にリリースされたhide生誕60周年記念スペシャルBOX「REPSYCLE〜hide 60 th Anniversary Special〜」に入る3rdアルバム「Ja,Zoo」を、2024 Remaster &REPSYCLE version としてhideが思い描いた作品に近づける作業の苦労談など、人柄がにじみ出るあたたかくて楽しいトークを展開した。

2日目は会場をお馴染みのCLUB CITTA’に移して、ライブイベント「Sing along Live“Hi-Ho!”」である。2020年のコロナ禍の頃(この時は配信開催)からSing along(一緒に歌おう)スタイルを取り入れているhideのイベント。ステージ上でhideにゆかりのあるアーティストがプレイする楽曲に合わせて、会場のオーディエンスが踊ったり歌ったり叫んだり思い思いに自由なスタイルで楽曲に参加する。演奏曲目はもちろんhideの楽曲オンリーで、「やっちゃって〜!」というhideの声が聞こえてきそうなパワフルな会場の一体感は素晴らしく、この日のチケットも早々にSOLD OUTになっていた。

開演時間になると場内が暗くなり、「hide Memorial Day History」のオープニング映像が流れる。幼少期からサーベルタイガー、X JAPAN、ソロの懐かしい写真や、今までのhide Memorial Dayの様子が、ステージ中央のプロジェクターに次々と映し出される。Sing along Liveではヴォーカリストが楽曲によって次々と変わっていくため、演奏はホストバンドとしてこのイベントには欠かすことのできないdefspiralのMASATO(G)、RYO(B)、和樹(Dr)が担当。hideに見出されたことがきっかけで音楽シーンにデビュー、精力的にアメリカツアーなどにも参加してきた実力派バンドである。

DJ浅井博章が出演アーティストを紹介した後、defspiralの演奏でインスト「PSYCHOMMUNITY」が始まる。「これからイベントが始まるんだ!」というワクワク感がいっぱいのこの曲でライブへの期待が高まっていく。2曲目「Beauty &Stupid」は、木村世治(ZEPPET STORE)、CUTT(SPEED OF LIGHTS/shame)、TAKA(defspiral)から成るヴォーカリスト3人組のSTC。3人ともhideに見出されたことがデビューのきっかけという共通点があり、hideのイベントのレギュラー出演陣。ステージでの共演をきっかけに意気投合して3人でツアーをしたり、独自の活動を繰り広げている。観客が一緒に歌えるように、プロジェクターには楽曲にゆかりのある映像と共に、歌詞が大きく映し出されているのもSing along Liveの大きな特徴である。

STCとして3人一緒に会場をあたためたあとは、一人ずつ曲を歌い継いでいく。今年、結成35周年のアニバーサリーイヤーを迎えるZEPPET STOREの木村世治は、ちょっと意外なチョイスで「子 ギャル」。普段のイメージとは違うポップでアバンギャルドな楽曲を、軽快に楽しそうに歌っている。「この春、慶應大学に一発合格。娘さんが同級生、現役大学生アーティスト」と紹介されたCUTTは、「大学生になりました、CUTTでございます。みんなで一緒に歌いましょう」と「限界破裂」を歌唱。持ち前の明るいキャラクターで、ハードな楽曲を爽快に歌いこなし、「最高の限界破裂でした!」と手を振りながらステージを去った。数々のhideイベントやSing along Live”Hi-Ho!” には第1回目から出演しているTAKAが歌ったのは「BACTERIA」。STCのTAKAと紹介されていたが、いわずもがな演奏の3人と共にdefspiralのメンバーである。常日頃一緒に活動しているメンバーならではの、阿吽の呼吸のうちにハードでダークな「BUCTERIA」の世界をステージ上に構築していた。

そして、姿をあらわしたのは、X JAPANの弟分バンドとして知られるLADIES ROOMのSEXX GEORGE。YOSHIKIが設立したエクスタシーレーベルに所属し、「hideさんからサーベルタイガー号を譲り受けて、1週間後に事故で廃車にした男GEORGEです。それでもhideさんは「怪我は? 大丈夫か?」と。いい人でした」と、hideとの思い出を交えて自己紹介。ステージ中央にアコースティックギターを抱えて立ち、パワフルに「FLAME」を歌い上げる。地声で「楽しんでけよー!」と客席に声をかけてステージを去った後は、同じくエクスタシーレコードのバンド、東京ヤンキースのベーシストAMIが登場。最近はBLOTTO ROCKERSのヴォーカルとして活動していて、defspiral MASATOのアコースティックギターにのせて「GOOD BYE」を切々と歌い上げる。スクリーンには、エクスタシーサミットでhideとお揃いの特攻服を着て、二人並んで生き生きと演奏しているシーンが映し出されている。そこにカップ(アルコール入り?)片手のSEXX GEORGEがあらわれ、旧友のヴォーカルにさらりとコーラスを加える。エクスタシーレコードの暴れん坊二人が続けて、まさかのアコースティックである。AMIは、「hideちゃんのお客さんは優しいね、ありがとう。来てよかった」と演奏のdefspiralとハグして、ステージの袖へと歩き去った。

次に登場したのは、「神戸の暴れ猿」の異名を持つ4人組ロックバンドKNOCK OUT MONKEYのw-shun。「遊ばしてください。騒いでいいんですよ」のMCで始まったのは、zilch(hideが結成した多国籍バンド)の「SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN」。海外でも活動するw-shunはヘヴィな歌声を披露し、途中で黒のパーカーを脱いで観客を煽る。ラストは客席の中に入って観客に支えられながら歌い、「hideさん、ごめんなさい。やっちゃいました」との言葉を残し、清々しくステージを終えた。初っ端から個性的なシャウトでインパクトのあるヴォーカルを披露したのは、PENICILLINのHAKUEI。前回はThe Brow Beatとして出演していて、「Sing along Live “Hi-Ho!”」には2回目の登場である。アップテンポでアグレッシブな「DICE」を熱唱し、豹柄のコートに黒い帽子というファッショナブルな衣装、高身長と長い手足を生かしたステージアクションで観客をインパクトを残した。

前半が終了し、DJ浅井博章が登場し、「テンポよく進むでしょ? セットチェンジがないからね。大変なのはdefspiralだけど」と客席に語りかけたあと、次に登場するDJ-INAを紹介。(以下I.N.A.)I.N.A.がステージ上でセッティングをしている間に、5月1日に発売されたボックスセット「REPSYCLE~hide 60th Anniversary Special Box~」に入っている「Ja,Zoo」は、発売当時とはかなり内容が違っていると説明してくれる。そしてスタートしたDJタイムで、I.N.A.は「REPSYCLE」バージョンの「PINK SPIDER」「子 ギャル」「HURRY GO ROUND」を含む5曲をプレイ。あまりDJブースにはいないでステージをあちこち歩き、観客にマイクを向けたり煽ったりしている。お助けマンとして登場した桃知みなみとパンザブロウの二人を従え、「子 ギャル」では振り付けも披露。ちょっとはにかみながら踊るDJ-INAのキュートな姿に、観客は大喜びだった。

後半戦の最初に登場したのは、本日の出演者の中で唯一の女性アーティスト、chay。モデルとしても活躍しているので、白いブラウスに黒いフレアースカートというクラシカルなスタイルがとても映える。女性が歌いこなすのは難しそうな「FLAME」を力強く透明感のある声で歌い、ステージにしっかりとつめあとを残した。続いて「ever free」の演奏が始まると、チェックのスーツにサングラス、金髪のリーゼントというお馴染みのルックスで、氣志團の綾小路 翔がくるくる回転しながら登場した。元気いっぱいのパフォーマンスはさすがで、目まぐるしい照明の中、拳を突き上げ、ステップを踏み、一気に会場の中の空気を一つにまとめ上げる。歌い終わるといきなり「あ〜、緊張した〜、だって、楽屋にHAKUEIさんがいるんだよ?」と友達に話しかけるようなフレンドリーな口調で話し始める。「話していいの?」と確認したあと、hideへの想い、TAKURO(GLAY)やSUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)から聞いたhideのエピソードなどをトーク。最後は、「俺たちはずっとhideさんの伝説を語り継いでいかないといけない仲間だから。どうかずっと元気でいてね!なので、約束してほしい。今年中にみんな人間ドックに行くこと!」と翔やんならではの笑いで締めくくった。

ギターを持ってステージにあらわれたのは、EXILE SHOKICHI。EXILE、EXILE THE SECONDとして活動する傍ら、精力的にソロ活動も展開。2019年に音楽を知るきっかけとなった「ROCKET DIVE」をカバーした経験があるが、今日は「ピンク スパイダー」をプレイした。力強い一方、甘さも感じさせる緩急のある歌い方と傑出した存在感で、観客を魅了。ラストは「ピンク スパイダー」を繰り返しながらギターをかき鳴らし、圧倒的な熱量でパフォーマンスを終了した。綾小路 翔に続いて、彼も演奏後にhideへの熱い想いを口にした。「hideさんと一緒に歌えたんですよ!hideさんに憧れて憧れて憧れて憧れて好きで好きで好きで好きでしようがなかったバンドマンの14歳の僕に伝えたいです」と、嬉しさを爆発させていた。そして、赤い髪とhideと同じ迷彩柄の衣装で登場して、「ROCKET DIVE」を熱唱したSOPHIAの松岡 充。2022年にパシフィコ横浜国立大ホールで行われた「Sing along Live “Hi-Ho!”」でも、その再現度の高さに度肝を抜かれたが、今回はさらに進化を遂げていた。動き方、走り方、歌い方、声の出し方までhideを踏襲。その一つ一つにhideへのリスペクトが感じられる。そのうえ、しっかりと松岡 充らしさも魅せるという抜群のパフォーマンスだった。ラストは空を指差して、「一緒に飛ぶよ!hideちゃんに届くように、ジャンプ!」と観客を巻き込んで、笑顔のジャンプで締めくくった。

ノイズで始まるダークなサウンドは、defspiralの「POSE」。「みなさんの声に出演者全員感無量です。今日は、最初からみなさんが主役です」とMCをしたあと、彼らが演奏したのは「HURRY GO ROUND」。TAKAはときどき歌うのをやめてマイクを客席に向けて、観客に一緒に歌うように促す。どんどん歌声が大きくなり、会場の一体感と幸福感が増していく。

「素敵な歌声でした。素晴らしい最高の光景でした」とSing alongに参加した観客を称えたあと、「イベントも終盤になってきました。そろそろあの方を呼び込みたいと思います」との声でステージに登場したのは、hideの盟友であるPATA。STC、SEXX GEORGE、AMIも呼ばれて、「CELEBRATION」の演奏が始まった。それまでアンプ前の定位置からほとんど動かなかったdefspiralのRYO(B)とMASATO(G)も、伸び伸びとステージ前に出て演奏している。MCでPATAが「来年はあいつも60歳になるので、応援してやってください。あ、今年か。来年は俺が60歳だ」とボケ、「なんだか、だんだん空気がエクスタシーみたいになってきたな」と笑う。セッティングを待つ間にAMIが「暴れろよ〜!」(東京ヤンキースのヴォーカルUMEの定番MC)と叫んだり、MCを無茶ぶりされたPATAが「てめー、なんかいったか?」と笑いながらすごむ等、ステージ上の和気あいあい感はまさにエクスタシーレーベルのイベント「エクスタシーサミット」を彷彿させるものだった。

I.N.A.が参加して「TELL ME」、全出演者が登場してメインヴォーカルをリレーで繋ぐ「Hi-Ho」とイベントはエンディングに向けて加速しながらヒートアップ。客席では多くのhide人形が踊り、光るブレスが揺れ、銀テープが舞い、観客はステージ上のアーティストと一緒に歌い、会場のボルテージは最高潮に達する。ステージの上も下も関係なく、一人のアーティストを思う人が集まり、同じ曲を歌って気持ちを一つにする唯一無二の素晴らしい空間だ。ラストは、大きなhideの写真パネルと観客をバッグにして、全出演者が記念撮影。ハートウォーミングな空気とたくさんの笑顔で会場はいっぱいとなり、イベントは終了した。

今年の「hide Birthday Party」は、12月8日に開催が決定。また、イベントの最後にhideの実弟であり、マネジメント事務所代表取締役のヘッドワックスオーガナイゼーションの松本裕士氏から「本当はまだ言えないけど、来年5月に何かやります」とファジーな発表があった。今年〜来年にかけてhide生誕60周年を記念したプロジェクトが続々と展開予定とのこと。次々と予定が決まっていくのは、嬉しい限り。詳しい発表を楽しみに待ちたい。

(文:大島暁美 / 写真:LINKSOLU Inc. 堅田ひとみ 粂井健太 上野宏幸)

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