しゅーず
Shoose Birthday Live 2024 “DEAR”
2024.5.4 Zepp Haneda(TOKYO)
歌い手・しゅーずが、2024年5月4日に自身初となるバースデーワンマンライブ『Shoose Birthday Live 2024 “DEAR”』を東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて開催。2024年は記念すべき活動15周年イヤーであり、この日は2日前に誕生日を迎えたばかりのタイミングである。しゅーずは心尽くしの公演で、“親愛なる”リスナー(ファン)の心を満たしてくれた。
待ちかねた1曲目は、2024年4月に動画公開した「クネクネ」だ。ダンサーとともに、後ろ向きからくるりと振り返ったしゅーず。白のTシャツ&パンツに柄シャツを合わせて、艶やかな歌声も、すらりと伸びる手足が映えるしなやかなダンスも、挑発的な表情も、すべてが<世界を狂わせる>ほど美しい。
しゅーず
続けざま、たたみかけたのはレーザー光線が派手に飛び交う中で高揚感に拍車がかかった「[A]ddiction」、しゅーずのイメージカラーであるブルーのペンライトを振るオーディエンスのコールが大きく響いた「Accident」。ダンサー2人と見事にシンクロしたしゅーずの隙のないパフォーマンスにも驚かされる。
「やっとお会いできましたね!」と挨拶をしたしゅーず。冒頭からダンスナンバーが続き「ちょっとしんどい(笑)」ともらしつつも、「体調は絶好調です。イヤモニを突き抜けてみなさんの声が聞こえてきて嬉しいです!」と笑顔を見せれば、客席から大歓声が上がる。単独公演としては約1年ぶりのライブ、とても心地よい一体感が生まれているのだ。
マゼンタのライトに照らされ、歌い出しから惚れ惚れさせたのは「ハレンチ」。がなり声からファルセットまで自在に操りながら、一筋縄ではいかない女心を鮮やかに描いていく。
しゅーず
タイトルそのまま赤裸々な<暴露>と容赦ない復讐劇に狂気さえ感じる「暴露」では、<お前も味わえ>と歌いながらフロアを指さす場面も。<逃げ出そうなんて無理じゃん>と繰り返す「Highway Lover」にしても然り、しゅーずとみきとPが描き出す“二番手の女性”の盲目的でついには歪んでしまう愛、抑えがたい情念は、あまりにも生々しい。不道徳な恋にのめり込んでしまう女心をこれほどまでに深く表現できる男性シンガーはそうそういない、と毎度のことながら思い知らされる。
しゅーず
7年前の5月4日に動画投稿した「背徳シュガー」で背徳感に溺れさせたあとは、再びMCへ。「(「背徳シュガー」で)突然クラップを煽ってもやってくれて、曲に入るたびに歓声が聴こえて、本当に嬉しいです」と客席を愛おしそうに見つめるしゅーず。「僕も水飲むからみんなも飲んで!」という言葉に従ってオーディエンスが水分補給すると、「本当に従順な子たち!(笑)」と顔をほころばせて、実に温かなムードだ。
圧巻の歌唱力でとんでもない破滅願望を表現してしまうのは、2024年4月に動画投稿した「プロポーズ」。<君>への執着、<歯止めのない妄想 暴走>が、音源に増して苦しくて切なくて儚い。
しゅーず
さらに「よくばり」「ファーストレディー」で不健全街道をまっしぐらに進んだかと思うと、柄シャツを脱いだホワイトコーデで意表を突いたのは「ファンサ」だ。ダンサーとともに軽やかに躍動しながら、「いくよ!」と満点アイドルスマイルのしゅーず。<次も次もまた会えるよね?>と約束の指切りで小指を差し出されたら、誰だって彼の虜になってしまう。
「このイントロなんの曲かわかりますか? 盛り上がるところたくさんあるので大きな声出してください!」と呼びかけた「キャットアイメイク」では、しゅーずが驚くほどのボリュームでオーディエンスが全力コール。<お邪魔します>でさらに踏み込んでオーディエンスのハートを鷲づかみにした、振付ありの「崩壊ホークアイ」。ミニフラッグを手に<イタダキマス><ゴチソウサマ>でも沸かせた「マンティス▽クライシス」。怒濤の本編終盤には、“親愛なる”リスナーととことん楽しみたい、ひとつになりたい、というしゅーずの強い想いがにじんでいたように思う。
しゅーず
オフィシャルライブグッズTシャツに着替えて登場したアンコールでは、「みなさまの声をたくさん聴けて本当に嬉しかったです。ありがとうございます!」と、まずは感謝の言葉を口にしたしゅーず。あらゆる境界を越えられるもの、それが<恋だろ>と真っ直ぐに言い切るラブソング「恋だろ」に、柔らかだけれど芯の通った歌声がよく似合う。
グッズ紹介コーナーでオーディエンスと楽しいやりとりをしたあと、あらためてリスナーへの愛と感謝を言葉にしてラストナンバーにつながるのかと思ったら……バンドメンバーによるバースデーソングのピアノ伴奏と、すぐに察したオーディエンスの歌声が響き、ステージ中央に立派なバースデーケーキが運ばれてきたではないか。「ありがとうございます!」と喜びながらも動揺を隠せないしゅーず。スタッフとオーディエンスによるバースデーサプライズ、大成功である。
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そして、ラストナンバーは「タイムマシン」。<戻ってくるよ>は、リスナーにとっての希望のフレーズでもある。色気があって、かっこよくて、かわいくて、楽しくて、心優しいしゅーずをたっぷり浴びることができるのが、単独公演の醍醐味。しゅーずの過剰摂取なら、いつだって大歓迎だ。
文=杉江優花
撮影=堀卓朗[ELENORE]