『MEET THE WORLD BEAT』
5月18日(土)に万博記念公園にて開催された、FM802主催の野外音楽フェスティバル『MEET THE WORLD BEAT』のオフィシャルレポートが到着した。あわせて6月9日(日)、16日(日)21:00から、『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” MEET THE WORLD BEAT 2024 SPECIAL』と題して、アーティストのインタビューも収録されたライブ音源特番が放送されることも発表された。
5月18日、FM802が主催するコンサートイベント『FM802 35th ANNIVERSARY ”Be FUNKY!!” MEET THE WORLD BEAT 2024』(以下、MTWB)が大阪・万博記念公園自然文化園「もみじ川芝生広場」で開催された。「ラジオで音楽を伝え、ライブでアーティストを伝える」をコンセプトに、毎年FM802と縁の深いアーティストが多数出演。1990年の誕生以来、様々な伝説を生む野外音楽イベントとして人気を集めてきた。開局35周年を迎える今年はimase、UNISON SQUARE GARDEN、Da-iCE、TOMOO、フジファブリック、SUPER BEAVER、東京スカパラダイスオーケストラの7組のアーティストが登場。雲ひとつない清々しい五月晴の下、会場には1万4千名の観客が集結。開局35周年のイベントキャッチフレーズにある”Be FUNKY!!”なグッドミュージックに酔いしれ、FM802のDJ陣とともに大いに盛り上がった祝宴の模様を紹介しよう。
内田絢子
加藤真樹子、板東さえか、中島ヒロト
イベントスタート前には、グラヴィティヨガインストラクターの資格を持つDJ内田絢子が観客と一緒にヨガで体をリフレッシュ。オープニングMCにはDJ中島ヒロト、加藤真樹子、板東さえかが登場し、「盛り上がる準備できてますかー!」、「ここから解放していきましょう!」と会場を盛り上げた。
●imase
imase
トップバッターのimaseは「気持ちよく踊っていきましょう!」と、1曲目に2023年6月のヘビロテ曲「Nagisa」をセレクト。夏先取りの真っ白なTシャツ×短パン姿でステージを右へ左へと駆け寄り、軽快なビートで観客を躍らせる。“ミザワビ”のコール&レスポンスで勢いをつけ、次曲「ユートピア」へ。
imase
ハイトーンなボーカルが心地よく駆け抜けると、観客の気分も自然と高揚し、手拍子が会場いっぱいに響きわたる。ダンサブルなビートを操り歌う「Shine Out」、チルな空気を作り上げる「Have a nice day」など、繰り出す曲のどれもが個性に満ち溢れていて目が離せない。デビュー以来、大阪での初ライブや大型フェスの出演など、FM802との繋がりが深い彼。「大切なアニバーサリーに一番手で出られてうれしい!」と、ソリッドなギターサウンドが印象的な「LIT」でさらにテンションを高めていく。
imase
真っ昼間の野外ステージに夜の匂いを漂わせたのは、全世界で累計100億回再生を突破、一躍その名を日本どころか世界にまで轟かせた「NIGHT DANCER」。歌い出しだけで観客は感嘆の声を漏らし、ラスト「Happy Order?」まで存分に彼の世界観に酔いしれていた。
●UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN
今年7月で結成20周年を迎える、FM802と同じくアニバーサリーイヤー真っ最中のUNISON SQUAREGARDENはMTWB初出演。ドラム、ベース、ギターの音色が次々と重なり、心地よい緊張感と期待が募るなか1曲目「Invisible Sensation」へと流れていく。斎藤宏介(Vo.Gt)の透明でいてソリッドなボーカル、エッジの効いたバンドアンサンブルであっという間に観客のテンションを手中に収めてしまう。
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN
「カオスが極まる」はタイトルまんまな田淵智也(Ba.Cho)のグルーヴ、鈴木貴雄(Dr.Cho)の緻密に作り上げられたビートに魅せられるけど、楽曲の表情もスピードも展開もクルクルと変化していくバンドサウンドはとにかくついていくのに必死で、観客は夢中になって拳を天高く掲げ音に応えている。
UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN
彼らのライブはMCがないことがほとんどで、この日もやっぱりストイックに攻め込んでいくのは変わらない。「蒙昧termination」で艶っぽく、「世界はファンシー」でスリリングに、限られた時間のなかでも満漢全席やフルコースを振る舞うような贅を尽くしたステージで観客を魅了していく3人。ラストはキラーチューン「シュガーソングとビターステップ」。老若男女問わず、グッドミュージックで酔わせ全8曲を駆け抜けた。
●Da-iCE
Da-iCE
Da-iCE
昨年に引き続き、2回目の出演となるDa-iCEはサウンドチェックから“心のリハーサル”で観客を巻き込んで「スターマイン」をともに歌唱。前回の出演時は花村想太の喉の不調で苦い思いをした彼ら。花村は「今日は僕にとってのリベンジ。ここにいるみんなと一緒に最高に連れていくぞ!!」と、「CITRUS」のアカペラではさっそく花村が透き通った美しい高音域を、大野雄大が太くしなやかな低音域を響かせ、瞬時に観客の視線を集める。「Clap and Clap」ではタイトルのままに、観客の手拍子をプラスワンモアにしたパフォーマンスで魅了。
Da-iCE
Da-iCE
バンドを引き連れた贅沢なサウンドも、「夏よりも熱い日にしようぜ!」とご機嫌な“ミザワビ”アレンジで唯一無二のステージへと替えてしまう。「I wonder」での工藤大輝、岩岡徹、和田颯のしなやかなパフォーマンスも感情豊かで、メンバーの姿を追う視線はずっと忙しいままだ。
Da-iCE
Da-iCE
ストーリー性のあるパフォーマンスで魅せる「ハイボールブギ」、芯のある歌声でじっくりと想いを届けた「ダンデライオン」など、5人の個性を打ち出したライブはあっという間に終わりを迎える。ラストのキラーチューン「スターマイン」、ツインボーカルの魅力はもちろんのこと、とことん観客を巻き込んだ“おかわり”しまくりのステージに誰もが終始破顔の表情を見せていた。
●TOMOO
TOMOO
ステージにさらりと姿を現したと思いきや、力強く鍵盤を叩き上げ「Ginger」へ。「絶対良い日にしましょうね」と言葉をかけると、クルクルと回ったりステップを刻んだり、誰よりもステージを満喫する彼女。次曲「HONEY BOY」の描かれる情景描写はとてもフレッシュで、伸びやかな歌声はより一層心の深層へと染みこんでいく。「ここから見えるみんなはキレイに見える」と初めて見るMTWBの光景にご満悦な表情を見せ、「こんな日に似合うだろう曲を」と、4月にリリースしたデジタルシングル「あわいに」へ。
TOMOO
柔らかな感情を繊細に表現したサウンドは彼女の言葉通り、心地よい風が吹く、新緑に囲まれた自然いっぱいの会場にぴったりで、心情が柔らかく解れていくのを感じる。かと思えば、「Grapefruit Moon」では歌声や言葉から感じる苦さや渇きに目が離せなくなるシーンも。「太陽燦々の時に夜の歌を…」と、弾き語りで選んだ曲は「17」。じわりと染み渡る唯一無二の歌声に太陽で灼けた熱が穏やかになっていく。
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ステージ後半は「みんなとモアハッピーになりたい!」と「Present」で再び会場の熱気を高めていく。ラストは「Super Ball」、矢継ぎ早に繰り出す、弾むような言葉の数々に鼓舞され、全7曲のステージはあっという間に終わりを迎えた。
イベントの転換中にはFM802 のDJ陣が続々と登場し、軽快なトークでリスナーを盛り上げる。ほかにも、会場では伊地知潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、金澤ダイスケ(フジファブリック)率いる“FM802料理部”が手掛けるポップコーンを販売。東京スカパラダイスオーケストラの10番目のメンバーになりきれるという顔ハメパネルも登場するなど、転換中も飽きることなくイベントを満喫することができた。
●フジファブリック
フジファブリック
フジファブリック
フジファブリックもまた、今年メジャーデビュー20周年を迎えるアニバーサリーイヤー真っ最中のアーティストだ。金澤ダイスケ(Key)の奏でるメロ、加藤慎一(Ba)の刻むリズムが気分を高める「徒然モノクローム」から始まったライブは早々にピークへ! 次曲「Green Bird」は臨場感たっぷりなストリングスのリフ、山内総一郎(Vo.Gt)の高らかに響く歌声に感情が一気に解放されていく。
フジファブリック
山内はMTWB初出演を喜びつつ、実は会場からすぐの茨木市出身(会場から実家が見えるほどの距離とか!)で、学生時代にはMTWBに何度も足を運んでいたという。「(MTWBに)人生変えられてんねん!」と語ったのは、2001年のMTWBでの小坂忠&フレンズのライブ。そこから“はっぴいえんど”にはまり、今の愛機である赤いギターを手にしたとか。「フジファブリックとして、メジャーデビュー20周年でようやくこのステージに立てた!長年の想いを込めてやっていきたい」とセレクトしたのは「LIFE」。「最高やで!素晴らしい人生を!」と歌詞もMTWB版にアレンジしつつ、渾身のライブを披露。
フジファブリック
フジファブリック
ハイな気分はそのままに「こっからお祭り騒ぎやで!」と「Feverman」へ。自然と体が動いてしまう祭囃子に乗せられ、観客はウチワを掲げて踊り歌う♪ ラストは「手紙」。東京へ移り住み、「太陽の塔」がある故郷を思い浮かべながら作ったという同曲も含め、すべてがこの日のために用意されたような最高の楽曲陣に観客は大きな賞賛の拍手を送った。
●SUPER BEAVER
SUPER BEAVER
「音楽をやりにきたんじゃなくて、あなたたちと音楽を作りに来たんです。一緒に最高の日にしませんか!」。いつもの“お手を拝借”で会場いっぱいに高く掲げられた手から繰り出される手拍子とともに作り上げるのは、2017年1月のヘビロテ曲「美しい日」。バンドとオーディエンスで共に作り上げるライブ。その光景、昂る感情は言葉にできないほど美しくて、誰もが一瞬々々を見過ごすまいとじっと前を見据えている。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVER
次曲「切望」、上杉研太(Ba)、藤原”35才”広明(Dr)、渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(Gt)の4人の音、歌声はいつだって感情を奮い立たせる。そして、どれだけたくさんの人がいても目の前の一人一人に訴えかけるロックンロールサウンドは唯一無二。「あなたの人生に、過去に、これからに響くように」と、「幸せのために生きているだけさ」や「アイラヴユー」でライブハウスの熱量をそのままぶつけていく。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVER
「オレたちがやってるのは現実逃避のための音楽ではなく、明日からの現実に立ち向かうための音楽。傍観者ではなく、当事者でいよう」と最後まで“対”を求め、ラスト「小さな革命」まで真摯なロックンロールサウンドを打ち鳴らし、MTWBに確かな軌跡を残していった。
●東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
イベントのトリを務めるのはFM802と同じく、今年で35周年を迎える東京スカパラダイスオーケストラ。MTWB初年度から出演する彼らは、2003年以来5度目の出演。この日は鮮やかなイエローのスーツで登場すると、「¡Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~」で祝砲を鳴らすように豪快なホーンを響かせる。
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
次曲「DOWN BEAT STOMP」ではメンバーがステージを右へ左へと駆け寄り観客を煽るが、そこはさすがの名曲! 言わずもがな、誰もがご機嫌に踊り明かす! 「戦うように楽しんでくれよ!」と谷中敦が叫び、「会いたいね。゜(゜ω`゜) ゜。」へ。“音楽の中で君は生きているの”の言葉の通り、スカパラサウンドにどっぷりと浸かって、誰もかれもが素敵な笑顔を見せている。
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
東京スカパラダイスオーケストラ
スリリングなギターサウンドが鳴る「火の玉ジャイヴ」、誰もが知る名曲「ルパン三世のテーマ’78」、甘酸っぱいメロに心躍る「Can’t Take My Eyes Off You ~君の瞳に恋してる~」など、次々に繰り出される楽曲はこれまでに何度もラジオで聴いてきたものばかり。ギターリフが、ホーンが、ビートが鳴り響くだけで会場からは歓声が沸き起こる。アーティストとFM802、そしてリスナーの親和性の高さに改めて驚かされる。
イベントは早くも後半。ライブイベントでのスカパラのステージといえば、やっぱりコラボも期待したいところ。この日は「美しく燃える森」で山内総一郎(フジファブリック)、「白と黒のモントゥーノ」で斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)を迎え、ともに饗宴を盛大に祝う。ラスト「Paradise Has No Border」ではメンバーそれぞれの音が主役級に響き渡るなか、観客はタオルやウチワを掲げメンバーにアピール! 最後の瞬間まで、極上のスカパラサウンドを堪能していた。
アンコールは毎年恒例、出演者とFM802 DJ’sがそろってのセッション。東京スカパラダイスオーケストラの演奏の下、「銀河と迷路」を観客も一緒にシンガロングし、この日一番の多幸感を作り上げ、7時間にわたって繰り広げられた祝宴の幕は閉じた。
なお、この日のイベントの模様は6月9日(日)、16日(日)の2日間にわたり、FM802の特別番組『FM802 35th ANNIVERSARY”Be FUNKY!!” MEET THE WORLD BEAT 2024 SPECIAL』にて生放送でのオンエアを予定。貴重なライブ音源のほか、コメントなども放送されるとのこと。ぜひチェックしよう。
写真提供=FM802、撮影=田浦ボン・渡邉一生・キョートタナカ、文=黒田奈保子