撮影:MASA
■2024.05.25「angela 20th Anniversary☆THE『〆』」@かつしかシンフォニーヒルズ【Day2】
結成から30年、2003年のメジャーデビューからは昨年5月で20周年を迎えたアーティストユニット・angela。数多くの20周年プロジェクトのシメとして、2DAYSライヴ「angela 20th Anniversary☆THE『〆』」が5月24~25日にかつしかシンフォニーヒルズで開催された。20年間の活動で送り出してきた数多くの曲から選りすぐりのナンバーを披露して、ファンと共に熱く楽しく盛り上がった同ライヴの千秋楽・Day2の様子をレポートしよう。
■熱さと楽しさと一体感! みんなで作るのがangelaのライヴ
20年間で作品の世界観に寄り添った数多くのアニメソングを生み出し、『蒼穹のファフナー』関連歌曲で「Most songs sung by the same artist for an animation franchise/同じアーティストにより歌われたアニメーションフランチャイズの歌曲の最多数」記録をギネスブックにも認定されたアーティストユニット・angela。その軌跡を2003~2013年&2004~2024年の10年ごとにわけて、その時代の楽曲でファンと一緒に盛り上がろうというのが今回のライヴのコンセプト。Day1終了時間が50分も押すほどの盛り上がりとなっただけに、Day2はどんなパフォーマンスとトークが繰り広げられるのか? そんなファンの期待に満ちた熱い空気の中で、待望のライヴがスタート。
「ぢぇらっ子の騎士達よ、敬礼!」
勇壮なシンフォニーと共に真っ赤なライティングがステージを染める中、バンドメンバー&KATSUと共に登場したatsukoの号令に合わせて、場内のファン全員が真っ赤に輝くコンサートライトを手に敬礼を決める。そして力強いアカペラと共に始まったオープニングナンバーは、まさに今日と重なる2014年5月にリリースされた『シドニアの騎士』OPテーマ「シドニア」だ。重厚なマーチと激しいロックが交互に押し寄せる熱いナンバーを、サビではファンとのコール&レスポンスも交えて、スタートから激しく唄い上げていく。間奏ではメンバーのソロパフォーマンスと紹介が繰り広げられ、そこでKATSUがファンと共に「ジークジオン!」コールを繰り広げて「あえて言おう、KATSUであると!」とギレン・ザビの名セリフを文字ってキメたところを、atsukoに蹴りで突っこまれて場内が沸く一幕も。
撮影:MASA
続いては一転して静かなピアノソロとアカペラから始まり、激しいロックへとなだれ込んでいく「SEVEN STORIES」(映画『K SEVEN STORIES』イメージソング)。青と白のライティングでステージが染まる中、客席に向けてファンのコールを求めながら盛り上がり、ライヴは初っ端からフルスロットルでスタートした。
atsukoがライヴ名物の『笑っていいとも!』風クラップをファンと共に見事に決めて「みんな用意いいね!」と盛り上がりながら始まった最初のMCでは、Day1の終了時間が押した理由を昔の曲が長かったためと語り、Day2で歌う近年の曲は短くなったので「その分40分多くしゃべれます!」と宣言。「歌ってとか踊ってとか求める曲が多いけどがんばってください!」とのメッセージからライヴがリスタート。
可愛らしいメロディと共に始まったポップなナンバー「乙女のルートはひとつじゃない!」(『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』OPテーマ)から、「ここは葛飾でOK? でも次は岡山の歌なんだけどOK? 葛飾で岡山の歌唄ってもOK?」という前振りから、生まれ故郷・岡山県の魅力を熱唱した「OK!岡山」を披露。お笑い芸人・はなわの作詞/作曲によるコミカルなナンバーを楽しく唄い上げ、ラストはファンと共に腕を突き上げながらのウォークライを決めて「みんなOKでした!」とatsukoが喜びの声でファンの応援に応えた。
撮影:MASA
そんな明るい雰囲気から一変して、ステージが暗がりに染まり、グリーンのスポットライトがatsukoとKATSUを照らし出す。そして『K』シリーズのセプター4を模したKATSUの「総員抜刀!」のかけ声と共に「Different colors」(劇場版『K MISSING KINGS』主題歌)がスタート。タイトルの示すようにファンも思い思いの色でコンサートライトを輝かせ、場内は極彩色に染まっていく。大切な未来を切り開くために戦う気持ちをatsukoがパワフルに歌い、ファンも雄叫びのようなコールを上げて共に盛り上げていく。
その勢いのまま、痛々しくも力強いリリックが散りばめられた「DEAD OR ALIVE」(『蒼穹のファフナー EXODU』第2クールOPテーマ)へ。歌詞の重なり合う部分をファンが受け持つ形で共に歌い、ステージのangelaと客席のファンが一体となって作り上げるライヴパフォーマンスが繰り広げられた。
歌い終えたatsukoへのカワイイコールが飛び交う中で始まった二度目のMCタイムでは、angelaも多くの楽曲で関わった『蒼穹のファフナー』シリーズへの思いや、山手線内で今日のライヴに向かっていたファンがおばあちゃんに席を譲っていたのを知り合いから聞いて嬉しかった話、先日行われた「KING SUPERLIVE 2024」にまつわる裏話などで盛り上がる。
そして今日が初めてのライヴ参加というファンがいるのに絡め、「いつでもファンクラブにウェルカム!」という前振りから「Welcome!」(『でこぼこ魔女の親子事情』EDテーマ)で再びライヴパートへ。ベース・Buono&マニュピレーター兼キーボード・大場映岳-hana-も加わえてのダンスも披露して、コミカルポップな曲とステージが終わると、再び場内からカワイイコールが飛び交った。
撮影:MASA
さらに「Jump up!」ではatsukoのゲキに合わせてみんなでクラップ&ジャンプを決め、atsukoのタンバリンやベース・Buonoのソロパフォーマンスも交えながら、最後は全員でのジャンプで締めくくった。
撮影:MASA
そんな楽しいステージから一転して、和楽器の旋律と共に始まった「AYAKASHI」(『AYAKA -あやか-』OPテーマ)、そしてオリジナルはfripSideとのコラボ曲だった「僕は僕であって」(『亜人』第2クールOPテーマ)のangelaオンリーバージョンと、迫力満点のナンバー二連発。atsukoとKATSUの息の合ったパフォーマンスや、激しいドラムロール、そしてコールを煽るatsukoに応える様に、ファンもあらん限りの声援で応えて迫力のライヴステージが繰り広げられた。
■ファンそれぞれに忘れられないangelaの歌がある…
「このフレッシュな10年大変だと思わない? 私達はフレッシュじゃなくなるのに」
そんなatsukoの自虐トークで始まった三度目のMCタイムでは、来年開催されるファンクラブ限定ライヴの告知がスタート。来年1月のatsuko誕生日を記念した「OP/EDテーマ限定」ライヴに始まり、ファンクラブ10周年記念の『K』シリーズ縛りライヴツアーと、多種多彩な歌を生み出し歌い続けてきたangelaだからできるライヴの情報に大きな歓声が沸いた。
続いて始まったのは、事前にファンから「angela楽曲への思い入れメッセージ」を募集して、選ばれたメッセージのリクエスト曲を唄う「PRECIOUS MELODY」。182万通以上の応募(atsuko調べ)があった中から選ばれたのは、それぞれに大事な思い出がこもった三曲となった。
看護師を務めるみもさんからは、旦那さんが車の中でよく流していたという「道しるべ」。静かな曲調ながらも未来への希望を力強く唄い上げたこの曲には、医療現場での辛さを旦那さんが支えてくれた思い出がこもっているとのこと。新型コロナ禍のために結婚式を挙げられなかったというみもさんにファンも含めた全員からの「ご結婚おめでとうございます!」のコールが送られた。
続いてはるいっくまさんからのリクエストで、「乙女のルートはひとつじゃない!」のカップリング曲「Baby!! I’m lost!!」。このカワイイ曲をいつかライヴで聴きたいと思い続けているのに、なかなかセットリストに採用されないので忘れられてるのではということで、待望のライヴ初披露が実現。軽やかなポップメロディと共に唄い上げられるラブソングに、歌い終えたatsukoも「カワイイ私にピッタリでしたか? そうなんです!」とご満悦。
撮影:MASA
そして最後は『蒼穹のファフナーEXODUS』第17話のエンディングテーマ「愛すること」。リクエストをしたアネモネさんは、大好きな祖父を亡くし、新型コロナ禍で人との関わりが薄まり、生きることを諦めかけてた時に先に進む力をくれた曲だからとのこと。静かかつ壮大な旋律と共に白いライティングと共に、シルエットで浮かび上がるatsukoが生きる切なさを力強く唄い上げる。あるキャラクターに送る歌として生まれたこの曲にみんなが静かに聞き入り、大きな拍手と共にコーナーは締めくくられた。
再開したライヴパートの一曲目は、「愛すること」からの流れを受け継ぐように『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のOPテーマ「THE BEYOND」。重厚なイントロとatsukoの力強いアカペラから激しいメロディにへとなだれ込んでいく。ファンもコンサートライトをブルーに輝かせながらクラップやサビで「蒼穹」コール&レスポンスをバッチリ決めて、熱い盛り上がりとなった。
撮影:MASA
続く曲はイントロだけで場内がざわめき、atsukoの「みんなも一緒に唄っちゃおう!」のゲキと共に始まったのは、『新機動戦記ガンダムW』のOPテーマ「JUST COMMUNICATION」のカバーバージョン。場内全体でアバンやサビを合唱してファンも盛り上がり、atsukoもそれに応える様にお立ち台に飛び乗って絶唱。最後に「みんな素晴らしいコミュニケーションありがとう!」と共に盛り上がったファンに感謝を送った。
歌い終えてのMCでは、ネタで何度も「TWO-MIXです!」と名乗っていたため、ネットで検索すると自分達がTWO-MIXとして表示されったという裏話や、中国でのライヴでもカワイイコールがもらえると話すと、海外のファンに負けじとカワイイコールが飛び交う中、ライヴもいよいよ終盤戦に。
幕開けはライヴ初披露となる最新デジタルシングル「Fly Alive」(パチンコ機【Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3】搭載曲)。力強いアカペラからの激しいメロディと共に熱唱し、腕を振り上げながらファンからの熱いコールに応えていった。
そして「暑いなー、なんか暑いなー」と言いながら始まったのは、ライヴ定番の爆アゲ曲「全力☆Summer!」(『アホガール』OPテーマ)。会場全体で「うっ! はっ!」のコールで盛り上がる中、大きなドラムを携えたKATSUと共に1階席へと降りて、ファンの真っ只中でパフォーマンスを繰り広げた。早口言葉パートをファンに振って歌わせたり、物販で販売したホイッスル・ブブジェラを吹きながらのコール&レスポンスで、場内が甲高いブブジェラの音で埋めつくされる一幕も。
「本日最後の曲です…諸君の声を聞かせてほしい」
そしてKATSUが大型ドラムを叩くのに合わせてatsukoは指揮杖を高々と掲げ「集いしジェラッ子の騎士達よ!」のゲキと共に始まったラストナンバーは、オープニングナンバーと同じ『シドニアの騎士』から「騎士行進曲」(『シドニアの騎士 第九惑星戦役』OPテーマ)。力強いドラムの音に合わせての勇壮な行進曲をファンと共に拳を突き出しながら熱唱。
「あっという間に21年…やめようと思ったこともあったけど、みんなの顔を見る度にやっててよかったと思う。ありがとう!」
撮影:MASA
そんなatsukoからの感謝の言葉を合図に、ステージには白ハチマキ&手袋で応援団のような出で立ちのスタッフが全員集合! 曲に合わせて拳を繰り出す演舞でラストナンバーを盛り上げた。そしてラストはステージと客席全員でビシッと敬礼。
「すべてに感謝!angelaに栄光あれ! スタッフに大きな拍手を!」
満場の拍手が場内に響き渡る中、ライヴもこれにて終了…するわけもなく、間髪入れずにアンコールの声が巻き起こる。そこにブブジェラの音も加わって、とんでもない音量のアンコールで場内は凄い盛り上がりに。
そんなファンの熱気に応える様に、ライヴTシャツに着替えたangelaとバンドメンバーが再度ステージに登場。ブブジェラのうるささにツッコミを入れつつ、これまで作ってきたたくさんの曲への感慨に浸りながらセットリストを作ったこと、最後に登場したスタッフダンサーズのがんばり、すっかりangelaの持ちネタになった『笑っていいとも!』風クラップを海外でも布教していることなどを語り、今回のライヴが本当に幸せだとスタッフとファンに感謝を送った。
「みなさんのおかげでアニソン界で生き残ってまいりました! まだまだいくぞー」
撮影:MASA
そんなかけ声と共に始まったアンコールナンバーは、まさに生き残る意思の歌「SURVIVE」(劇場アニメ『K SEVEN STORYS』OPテーマ)。atsukoのパワフルなシャウトに合わせてファンもコール&レスポンスを送り、クライマックスでは「みんな声を一緒に重ねてほしい」と客席にマイクを向けてファンの声を受け止め、さらにバンドメンバーそれぞれにもマイクを向けてシャウトしてもらい、ラストは囁くような「ありがとう」で締めくくった。
そしていよいよライヴも正真正銘のラストナンバーに。20年間積み重ねてきた活動への感慨と共に、ファンへの想いを語った。
「応援し続けてくれるファンに感謝。今後ぢぇらっ子を裏切ることはありません」
「いい歌を作り続けます、歌い続けます」
「時々間違うことがあるけど許してね! みんなが大好きです」
angela Digital Single「僕等の歌」
そしてラストを締めくくるのは、今回のライヴのために作られた新曲「僕等の歌」。未来へとつづく思いと共に、スタッフやファンがこれからも一つになって先へと進むための曲だ。未来を信じて、打ちのめされても立ち上がればいい、みんなが一緒なら乗り越えていけると情感たっぷりにファンと一緒に唄い紡いでいく。
撮影:MASA
さらにステージ裏の幕が上がり、普段は見せないバックステージがさらけ出された。ファンにすべてを見せたいというangelaの思いがこもった演出だ。そしてステージにはスタッフも勢ぞろいして、angelaに関わるすべての人達のシャウトと共に、二日間に渡る20周年ライヴは大団円となった。
「angelaはファンやスタッフみんながいないと成立しない作品。お互いに拍手送り合いましょう! これからもangelaの看板を背負い続けていきます!」
その言葉と共に大きな拍手がこの場にいた全ての人達を包み込んでいく。そして最後は三本締めを決めてからの「atsukoにおまかせ!」コールが飛び出したり、ファンもスマホで撮影OKな記念写真コーナーを設けたり、デビュー曲「明日へのbrilliant road」になぞらえて「さらなるbrilliant roadを進みます」と宣言するなど、最後まで熱く楽しいライヴとなった。
最後にステージに残ったangelaの2人は、ファンへの感謝の挨拶をした後に2人で背握手とハイタッチを決める。そして、バックステージに掲げられたアーティストロゴに深々と一礼をし、これからもみんなのangelaであることを誓い、21年目のangelaへの期待を感じさせる締めくくりとなった。
ますます円熟味とパワーを増して、唯一無二のアニメソングを世に送り出していくangela。これからの活躍を楽しみにせざるを得ない最高の二日間となった。
取材・文:斉藤直樹 撮影:MASA