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古川 慎が開けた「6年目の新しい引き出し」7th Single「カレイドスコープ」インタビュー

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古川慎

古川慎

声優として様々な作品で主役を演じながら、アーティストとして大人な楽曲を繰り出す古川 慎。そんな古川 慎の6月12日(水)に発売される7枚目のシングル「カレイドスコープ」は、爽やかなミドルテンポの大人な楽曲に仕上がっている。「カレイドスコープ」について、さらに5周年を超え、6周年目にやりたいこと、そしてレーベルメイトの仲村宗悟、畠中 祐との3マンライブ『Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024』について訊いてきた。

■「カレイドスコープ」の物語は最終的に晴れ模様でいて欲しい

――今回は7枚目のシングル「カレイドスコープ」についてインタビューさせていただくのですが、凄くコンセプチュアルな内容で、四季をテーマに楽曲が作られていますが、どのような経緯からコンセプトが決まったのでしょうか?

「フジテレビフラワーネットさんとコラボをしませんか?」とお話をいただいたのがきっかけでした。そこから、花をテーマにした楽曲をどういう風に作っていこうか、と考えた時に四季それぞれの花をテーマにして作ったら面白いんじゃないかという意見がでて、春夏秋冬で春を中心にそれぞれの季節の楽曲を入れていこうとなったんです。

――春が中心なのはやはり発売のタイミングからでしょうか?

発売タイミングも意識はしつつ、春は四季の中で始まりの季節というイメージがありますし、これまで春をテーマにした楽曲を作ったことがなかったので、今回中心に据えることになりました。そこからカップリングとして夏秋冬の季節を組み合わせていこうと。四季それぞれで楽曲の色が違いますので、ぜひ全曲聴いてみていただけたら嬉しいです。

――「カレイドスコープ」から今回の4曲を聴かせていただいたのですが、春が一番穏やかで、夏、秋、冬とテンポアップしていく、激しめになっていくのが面白いと思いました。

候補曲をたくさん聴かせていただいた中から、冬だけはディレクターの桑原聖さん(Arte Refact)がこれだ! と。疾走感のあるロック曲で格好良く、すぐに決まりました。春の曲を選ぶ話し合いの際、スタッフの方にも春のイメージを聞いてみたのですが、やっぱり人それぞれ違うんですよね。綺麗で穏やかで幸せな時間がずっと続いているような暖かいメロディーラインのものや、ちょっと跳ねるようなアップテンポのものなど、色々なイメージと楽曲が出てきて、その中で一番僕の琴線に引っかかった、綺麗さもありながら明るいだけじゃない雰囲気がいいなと思った曲に決めました。

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」初回限定盤 A

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」初回限定盤 A

――確かに「カレイドスコープ」はちょっと憂いがある楽曲ですよね。

春は出会いと別れというか、ちょっと切なさもあって、いいことばっかりじゃないよねというのが個人的なイメージなんです。そういう風にぼんやりと考えていたところと、楽曲のメロディーラインがちょうどぴったりハマったのかなと思っています。

――そんな「カレイドスコープ」は歌詞も担当されていますが、今お話を聞きしたように、歌詞にも憂いがありますよね。

自分が歌詞を書くにあたって、これからいい出会いが待ってるよ、だけとか、永遠の愛を誓いましょうとか、春=(イコール)希望の季節みたいなことは書けないなと。

――春という季節へのイメージが明るいだけじゃないと。

フィクションだったとしても、それは都合がいいだろうと思ってしまうし、自分で歌うのであまり都合のいいことばかりは書けない。新生活が始まる、卒業式で別れがある、とか春はそれまで自分がいた位置から別の位置に行く人が多いと思うんです。居心地のいい環境から離れていちから自分の足場を作っていかなくちゃいけない人もいれば、今までの環境があまりよくなくて、新しい場所で新しい一歩を踏み出したい、という人もいる。ひとりひとり、立ち位置の変化があると思ったんです。

――確かに春は変化が多い季節ですよね。希望もあれば不安も多い。

そういうものを綺麗に表現しようと思ったとき、最初にイメージしたのは桜でした。でも桜だと学校の色が強すぎるかなとか、状況が限定的過ぎるかなとか考えているなかで、ふと好きなゲームに出てきた言葉「カレイドスコープ」が浮かんで、これって確か万華鏡だったよなと。万華鏡は回すことで模様が変化していくのですが、それを人間の移ろいみたいなものに例えると面白いんじゃないか、と思い歌詞を書いていきました。

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」初回限定盤 B

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」初回限定盤 B

――前作「“Place your bets”」はちょっと危ない感じの男っぽい大人の楽曲でしたが、今回の「カレイドスコープ」になるわけですが、方向性は違いますがこちらもすごく大人な曲ですよね。

そうですね。「“Place your bets”」は、ライブで映えるキラーチューンでしたが、今回はそういう方向ではないですね。

――「カレイドスコープ」は色々な想いがあるよね、ということが含まれている。あと歌詞の最初で「ひらひら」「ばらばら」という言葉が出てくるのが面白いと思いました。

Aメロですよね。メロディーを聴いて、ここは「ひらひら」「ばらばら」にしようと思ったんです。

――このふたつの歌詞の部分が、春の揺蕩う感じだったりとか、別れだったりとかを感じさせるなと思いました。あともうひとつ、歌詞の一番最後の「からりからり」も、凄く感覚的ですよね。

最初はもっと大人な言葉をはめていたのですが、ブラッシュアップしていくなかで、万華鏡が回る音というか回る動作に対するオノマトペでひとつ変化を付けたかったのと、この物語の結末は晴れ模様がいいなと。最後は主人公が笑えるようになる方がいいし、僕はハッピーエンドが好きなので、新しい環境でもカラッと晴れた日が来て欲しいなと思ったんです。とはいえ、現実はうまくいかないことの方が多いですけどね。あくまで僕の希望として、そうだったらいいよねと。

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」通常盤

古川慎 7th Single「カレイドスコープ」通常盤

■この5年間の音楽活動は自分のペースでやってこれた

――なるほど。歌詞の最初と最後にちょっとした言葉遊び的なものが入ることで、凄く楽曲と歌詞がスッと入ってくるなと思いました。そしてそんな「カレイドスコープ」で、ソロデビュー5周年が過ぎ、6周年目に入るのですが、改めてこの5年がどのような感じだったのかをお聞きしたいです。とはいえ、今回インタビューさせていただくにあたって思ったのは、まだ5年なのか、なんですけど。

僕もまだ5年しか経ってないんだなと思いますね。自分に合ったペースで、健やかに活動させていただいています。

――古川さんのテンポに合わせてやっていくことができていると。

無理してアクセルを踏んで、自分でいいのかどうかも分からないことを増やしていくよりも、確実にいいなと思ったものを増やしていけた方が心地良いなと。

――このインタビューをさせていただく前に以前のライブ映像とかも見させていただいたんですけど、自分のペースでやることができてるから、凄く楽しそうと感じたんだと思いました。

楽しいですね。スタッフの皆さんも僕がやりたいことや要望をとても好意的に受け取って反映してくださいます。初めてのワンマンライブはコロナ禍に配信というかたちだったので、やりたくてもできなかったこともありましたし、ライブを経験して自分のパフォーマンスの課題もみえてきて、次は絶対にもっともっといいものにしてやるぞ!という思いで開催したのが先日の有観客ライブ(2023年11月12日に開催された「Furukawa Makoto 1st Re-Live “Call” in the BOX」)で。一緒に創り上げてくださるスタッフの皆さんと、僕のペースに付き合ってくださるファンの皆さんのおかげで、着実に一歩一歩踏みしめて前進できた、充実した5年だったと思います。

――コロナ過もプラスに変えることができたのは強いですね。あと先ほども言いましたが、「カレイドスコープ」もこれまでの楽曲とは方向性は違いますけど、やはり大人な空気を感じます。

楽曲が大人っぽくて、声質もアダルチックだと言われることがあるのですが、僕の中身は本当に子供なので(笑)、そういう風に見えているのであればお得ではりますけど、決して大人な人間ではないですね。

――では今度は6周年目に入ったわけですが、今後どんなことやっていきたいというのはあるのでしょうか?

フワッとしたものにはなりますが……CMのタイアップができたら凄いですし面白そうですよね。なかなかできることではないので。

――確かにないですね。でも今、声優がバラエティ番組に出たりすることも多くなってきたりしているので、可能性が全くないというわけではないですよね。今回の「カレイドスコープ」もアニメタイアップではないですし。

アニメーションを取り巻く環境も変わってきて、作品や声優を知らない層の方も好意的に見てくれているのを感じているので、これまで僕の歌を聴く機会のなかった人にも、そっとこんなのどうですか? とアピールできるといいなと思っています。

■『Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024』はお互いにリスペクトし合えるようなイベントにしたい

――声優が活躍するフィールドが年々広がっているので、また違うところへのアプローチというのは面白いと思います。では次にレーベルメイトの仲村宗悟さん、畠中 祐さんとの3マンライブ『Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024』が10月に開催されることが決まっていますが、そもそも3人でライブをする、同じ舞台に立つってもしかして初めてなのではないでしょうか?

3人で揃ってというのは記憶にないですね。

――今回3人が揃うのは初めてということで、まだ先なのでこれから色々と決まってくるとは思いますが、こんなことをやってみたい、というのはありますか?

そうですね…テーマソングとか作れたら楽しそうですね。

――いいですね!

あとは…3人でカバー曲などを披露させていただくのも面白そうだなと。

――それもいいですね。ちなみに3人の関係性というのはどういったものなのでしょう? 仲村さんは同年代なイメージで畠中さんはちょっと年齢が下な感じですが。

実は現場で会うことはあまりないんです。『アイドルマスターSideM』で(仲村)宗悟は一緒なのですが、『SideM』って49人もいる。ほぼ都道府県と同数の人が同じ空間にいると、話ができる機会って少ないんです(笑)。

――49人もいると確かに話をするのは難しそうですよね。

(畠中)祐君も、作品で一緒になることはあっても、ブース内の人数が多いと個別で話をすることが難しいんですよね…僕が積極的に声を掛けられる人間だったら違うんだろうけど…(笑)。

――昨年のインタビューで、畠中さんの話が出ていて、彼はR&Bやダンスミュージックが得意だ、と言われていたので交流があると思ったのですが…。

祐君は本当に魅力的なアーティストだと思いますし、話さないからといって仲が悪いわけではないです(笑)。彼はフェイクの入れ方や、音と音の中間を取りながら浮遊させるような歌い方がとても上手い。宗悟はアコースティックでギターの音色から広がっていくようなタイプの楽曲があるのですが、あのハスキーがかった声と合わさると更に格良くて。野外のフェスとかで聴いてみたいですね。それぞれが持っている強みと世界観があるし、リスペクトし合えるようなイベントにできたらいいなと思います。

――三者三様のライブが楽しめると。では最後に「カレイドスコープ」、そして『Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024』に向けて一言お願いいたします。

「カレイドスコープ」はとても綺麗なメロディーで、こういうミディアムテンポの表題曲をお届けするのは初めてじゃないかなと。歌詞の雰囲気はファーストシングルのカップリング曲「手紙」に近いかもしれません。「古川君がこんな綺麗な歌詞を書くなんて!」とスタッフさんに言われたくらい、新しい引き出しを開けて書いたので、発売は春というよりも初夏ですが、ぜひ春だと思って聴いて欲しいです。そしてカップリングも楽しく歌わせていただいた3曲なので、皆さんのお気に入りになってくれたら幸いです。そして10月13日にZepp Shinjukuにて開催される『Lantis MENS GIG “A・C・E” 2024』、徐々に肌寒くなる季節ですので皆さん風邪などひかぬようお気を付けください。我々3人で最高のステージにしたいと思っていますのでぜひご来場いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします!

取材・文:林信行

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