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ナオト・インティライミ、20公演を巡った全国ホールツアー完走 LINE CUBE SHIBUYAで行われたツアーファイナルをレポート

アーティスト

LINE CUBE SHIBUYA公演 撮影:郡元 菜摘

ナオト・インティライミが、全国ホールツアー「ナオト・インティライミ LIVE TOUR 2024 SPRING」のファイナル公演を6月30日東京・LINE CUBE SHIBUYAにて行った。

今年4月、前アルバムから9ヶ月という驚異的なスピードでリリースした10thアルバム「ファンタジスタ」を持って、19ヶ所20公演を廻る全国ツアーを開催したナオト・インティライミ。ツアー最終日となったLINE CUBE SHIBUYA公演は早々とチケットがソールドアウトしたことを受け、インターネットでの生配信も実施。ライヴのエンディングでは、15周年を迎える2025年に全国ツアーを行なうことを発表し、客席から歓喜の声が上がっていた。

この日のライヴは「花」でスタート。瑞々しいバンドサウンドが場内に広がっていくと、ナオトはダンサー陣と踊りながら、ステージ最前線まで飛び出し、客席を盛り上げる。そこから立て続けに「Wonderful!」「いつかきっと」を披露。軽快ながらもパワフルなバンドサウンドを背中で受けながら、大音量のクラップとコール&レスポンスを巻き起こしながら歌を届けていた。

MCではアットホームな空気でオーディエンスに話しかけていく中、今年1月に起こった能登半島地震について触れる場面も。被災地へ足を運び、現状を目の当たりにしたナオトは「まだ“当たり前”を奪われている方がいることを忘れてはいけないと思います。今日のライヴが開催できることも、“当たり前”のことじゃないと思う。今日ここであなたに会える幸せを、特別な時間を深く噛み締めて、最後まで歌っていきたいと思っています」と話し、「しおり」と「まんげつの夜」を披露した。ナオトは柔らかなタッチでピアノを奏でながら歌うと、「ファンタジスタ」のリードトラック「にたものどうし」では、「大切な人を思い浮かべながら聴いてください」と、ギターを爪弾きながら、温かな歌声を響かせていた。

シンセベースの心地よい浮遊感と力強いダンスビートがフロアを弾ませた「ハイビスカス」に続けて演奏されたのは、「El Japonés」。現在、ナオトは日本での活動と並行しながら、“Naoto”という名前でラテンミュージックの中心地・マイアミにて音楽活動を行なっており、「El Japonés」は同名義でリリースされた楽曲だ。艶のあるレゲトンビートと和楽器が絡み合う中、ナオトがスペイン語の歌詞を色気たっぷりに歌い上げれば、ダンサー陣は能や歌舞伎の動きを取り入れた踊りを繰り広げ、ラストは会場全体で三三七拍子。日本文化とレゲトンを融合させた刺激的な楽曲/パフォーマンスで客席を魅了していた。

続く「Funky Music」では、トークボックスを使って客席を沸かせるナオト。その勢いのまま「1time! 2times!」と指揮を取ると、ナオトのコールに合わせて、バンドメンバー達がキレ味の鋭い音を鳴らす。そんなクールな一幕に客席から歓声が上がっていたが、「今日はみなさん何線の電車に乗ってきたの?」と、半ばその空気をぶち壊すように、とぼけた声で話し始めるナオト。「山手線?」と客席に訊ねると、そのワードに合わせてバンドメンバーが音を鳴らすという、息の合ったやり取りに客席は大爆笑。ナオトらしいエンターテイメント性の高いステージに、客席は笑顔と熱気で溢れかえっていた。

そして、椅子に腰をかけて、笑いを交えながら海外活動の報告をするナオト。“アーティストの海外活動”と聞くと、華やかなイメージを思い浮かべがちだが、ナオトの海外活動は、レーベルもマネージメントもいない中で現地へ乗り込み、たったひとりで行うという、華やかな世界とはかけ離れた状況にある。「世界が相手ですから、そんな簡単な話じゃなくてね。悔しい思いをすることもあるんだけど、何よりも大事なのは、やり続けること。たとえ相手にされなくても、うまくいかなくても、何しろ続ける。続けること以外に成功の道はない。そう思ってます。人生を賭けた一世一代の大勝負、頑張っていきたいと思います」と、客席に伝えていた。また、海外で活動すればするほど、「J-POPが恋しくなる」「J-POPのすごさを感じる」とも話していて、10thアルバム「ファンタジスタ」は、そんな自身のJ-POP愛が溢れた作品になったそう。なかでも、TikTokランキングで高順位をマークした「First Christmas」は、「ファンのみんなが生んだヒット曲だと思っている」と感謝を告げていた。

そんなナオトの胸中をそのままなぞるような楽曲達が、続けて披露された。感謝の気持ちを込めて「First Christmas」をドラマティックに歌い上げると、「You Make My Day」では、軽快なビートの上でガットギターを奏でながら、〈ハナレバナレでも いつも君を感じてる〉と思いを告げ、「タカラモノ〜この声がなくなるまで〜」では、J-POP然とした跳躍するメロディを、ハイトーンを使いながら伸びやかに届ける。そして「Brave」へ。未来へ向かって懸命に足を踏み出すエールナンバーを、まっすぐに客席へ投げかける。曲を終えた後、「負けるな、負けるな」と、客席だけでなく、自身に言いかけるようにつぶやいたナオトに、鳴り止まない大きな拍手が送られていた。

ライヴ終盤戦はカーニバルモードに突入。火付け役となった「ジャイアントキリング」では、客席の左右に分けて大合唱を巻き起こし、「Ballooooon!!」では銀テープが発射され、ステージもフロアも一緒になって踊りまくる。すると「まだ行きたいか!」と叫んでなだれ込んだ「Ole!」では、曲中で棒が花に変わるマジックを交えながら賑やかに届けると、本編のラストナンバーは「カーニバる?」。オーディエンスがタオルを振りまわし、場内の温度が上昇する中、ナオトは、客席はもちろんのこと、配信用カメラにもアピールして、誰ひとり置いていかないステージを繰り広げていた。アンコールでは、「一足先に夏やりますか!」と「サマータイム マジック」を披露。オーディエンスと最後の一瞬まで楽しみ合い、「明日また日常に戻って、つらいこともたくさんあると思うよ。でも、俺はずっとここにいるから。またやろうな!」と再会を誓い合った。なお、このライヴは7月3日23:59までアーカイヴ配信されている。

大盛況のツアーを締め括ったばかりのナオト・インティライミだが、7月10日にはLINE CUBE SHIBUYAにて「ナオトの日スペシャルLIVE 2024〜今年は渋谷で「アレ」やります!めざせ!世界のセンターGuy!!〜」を開催することになっている。毎年7月10日(=ナオトの日)に開催している「ナオトの日スペシャルLIVE」は、セットリストを事前に決めずにステージに立つ“ノープランライヴ”。これまで一度も映像化されていなかったのだが、今年はファンクラブ限定で生配信を実施することとなっているので、詳しくはウェブサイトをチェックしてほしい。さらにこの日、デビュー15周年を迎える2025年に全国ツアーを行なうことを発表。「とびっきりの、最高の“おまっとぅり”アニバーサリーイヤーにしたいと思います!」と宣言していたナオト。過去最高に賑やかな1年を、今から楽しみにしていたい。

ライター:山口哲生

セットリスト

M1「花」
M2「Wonderful!」
M3「いつかきっと」
M4「しおり」
M5「まんげつの夜」
M6「にたものどうし」
M7「ハイビスカス」
M8「El Japonés」
M9「Funky Music」
M10「First Christmas」
M11「You Make My Day」
M12「タカラモノ〜この声がなくなるまで〜」
M13「Brave」
M14「ジャイアントキリング」
M15「Ballooooon!!」
M16「Ole!」
M17「カーニバる?」
EN1 「サマータイム マジック」