bokula.、「イヤホンから流れるものじゃない熱気を届けられたらなと思っています」満員のLIQUIDROOMで見せた時代を作る力

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『僕らで時代を作ります。ワンマンツアー 〜”じゃけぇ”ってすぐ言う編〜』
2024.06.19(wed)恵比寿LIQUIDROOM

メジャー1st EP『涙 滲むのは心の本音です.』のリリースツアー『僕らで時代を作ります。ワンマンツアー 〜”じゃけぇ”ってすぐ言う編〜』のファイナル公演が、6/19(水)・東京・恵比寿LIQUIDROOMで行われた。愛知、大阪、広島を経て迎えたこの日の公演のチケットは、ソールドアウト。広島出身のbokula.だが、もはや東京もホームグラウンドであることが示されたライブの模様をレポートする。

えい(Gt.Vo)がギターを弾きながら歌い始めた後、かじ(Gt)、さとぴー(Ba)、ふじいしゅんすけ(Dr)の演奏がダイナミックに合流。「愛すべきミュージック」の熱いサウンドが、瞬く間にフロア全体を沸き立たせていた。「肩組んでみようぜ!」――えいの呼びかけに応えて、肩を組みながら飛び跳ねた観客たち。早くもライブがクライマックスに差し掛かったかのような風景が作り上げられていた。続いて「足りない二人」と 「ハグルマ」 も披露され、会場内の気温の上昇が止まらない。序盤のこの時点で既に凄まじい熱気が生まれていた。

「とうとうやってきました、ツアーファイナル。『僕らで時代を作ります。』っていう大袈裟なタイトルを引っ提げて、なんだか時代を作れてるような気がしてます。ありがたいことにチケットが完売しました。しっかりと価値があるものにするために一緒に作っていきたいです。よろしくお願いします!」――えいのMCを経て、「涙ばっかのヒロインさん」「ブルースカイ」 「不完ロマンス」も届けられたが、ステージ上の4人はもちろん、観客たちの熱量もものすごい。えいがギターをスタンドに置いて身軽になり、ハンドマイクで歌った「怪火」 と「グッドラック」は、フロアで歌って踊る人々のエネルギーによって魅力が一際浮き彫りにされていた。 「歌を作ってライブをして、俺の気持ちがこれだけの人たちに伝わってると感じると、めちゃくちゃ嬉しいです。見返りを求めるわけじゃないんですけど、“届いてる”とアクションしてくれたら嬉しいし、お互いに相乗効果を作っていけたら、俺たちは最強になれると思うので、これからもかっこよくあってください。よろしくお願いします!」というMCは、非常に納得させられるものがあった。音楽を介した心の交わし合いが、bokula.のライブを作り上げる大切な要素なのだと思う。

演奏する機会を重ねたことによって、表現力を増しているのを感じたメジャーデビュー曲「最愛のゆくえ.」。転調を含む起伏に富んだ展開、ツインギターの華やかなコンビネーションが新境地を示すこの曲を経て、「夢を見てた.」と 「いつ失ってもいいように. 」も披露された。耳を傾けながら曲の世界にじっくりと浸っていた観客たち。そして「美談にしないで.」によって、フロアは再び激しく沸き立った。激しい手拍子で彩られたバンドサウンドが心地よい。ステージ上の4人と観客による素敵な合奏となっていた。

「愛してます!」(さとぴー)。「ほんとにありがたい! まじで。ほんとにありがたいから……まじでほんとにありがたい(笑)」(かじ)。「こっちからの熱気とそっちからの熱気がぶつかり合ってる感じが好きです。ツアーを回ってよかったなと感じています」(ふじいしゅんすけ)――3人が感謝の気持ちを言葉にした後、えいも想いを語った。「広島のバンドが東京の大きいステージで歌わせてもらえる、ライブができるっていうのは、すごいことだと思ってます。あなたの生活の一部にしてくれてありがとうございます。イヤホンから流れるものじゃない熱気を届けられたらなと思っています」――そしてライブは後半へ突入。飛び跳ねながら歓声を上げる人々が続発した「夏の迷惑」。クラウドサーフがステージに向かって絶え間なく押し寄せていた「ラストティーンエイジ」。観客の大合唱を受け止めながら、メンバーたちが心底嬉しそうにしていた「バイマイフレンド」。「こういう日を一緒に作れたというのが誇らしい。俺に関わってくれる1人残らず幸せになってほしい。だから歌う、届ける。それができるバンドがbokula.だと思ってます」というMCを経て、本編を締め括ったのは、強力なナンバーの3連発「愛してやまない一生を. 」「群青謳歌」 「高鳴り」。観客たちの興奮は最高潮に達していた。

9月29日(日)に東京・渋谷Spotify O-EASTでワンマンライブを行う旨の発表の後、「このツアーを通してまじで思った。みんなが激しいも楽しいも全部共有できるライブ。それがbokula.にはできると思ってるし、今日、再確認できました。本当に誇らしいです」と、えいが改めて想いを言葉にした。その直後に披露された「若者が全て. 」は、観客から受け取った想いへのアンサーソング的な意味を込めて作ったのだという。会場限定盤CDにのみ収録されていて、配信などでは聴くことができないこの曲は、やはりライブハウスがとても良く似合った。そして「今日のライブ、“もしかしたらお前らに負けてるかもしれない”って思った。だからやんなきゃ駄目なんだよ。アンコールで全部取り戻す!」と、えいが力強く宣言。「満月じゃん。」がラストを飾った。激しいスネアの連打、ギターの爆音、ベースの重低音、吠えるかのような歌声が、とにかく強烈極まりない。生き急ぐかのように駆け抜けて一旦は幕切れたが、二度目の演奏にすぐに突入。心拍数を限界まで上昇させるかのような演奏が壮絶だった。

終演後、会場内に流れていたbokula.の曲で盛り上がっている観客がたくさんいた。会場を後にしてからも、楽しかった風景を何度も思い返しながら家路についたのだと思う。インディーズの頃からライブを精力的に重ねてきたbokula.だが、ますます磨きがかかってきている。過去最大規模の会場での開催となる9月の渋谷Spotify O-EAST公演に至る頃には、さらにパワーアップした姿を示してくれるに違いない。

取材・文=田中大 撮影=タカギユウスケ(LiveYou)

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