Roseliaが作り上げた薔薇色の景色、その正体は”愛”――『Roselia LIVE TOUR「Rosenchor」東京公演 -Final-』DAY2 レポート

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写真:ハタサトシ

■2024.6.30『Roselia LIVE TOUR「Rosenchor」東京公演 -Final-』@東京ガーデンシアター DAY2

(C)BanG Dream! Project

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活動8年目にして悲願の全国ツアーを、2月の大阪を皮切りに北海道・愛知・福岡、そして今回の東京と約5ヶ月間にも渡り、5都市8公演を駆け抜けてきたRoselia。少しずつ、一歩一歩、着実に。Roseliaがこれまでに歩んできた足跡を例えるならば、きっとそんな言葉がピッタリなのだと思う。
だからこそ、彼女たちにとって全国ツアーが初の試みだったことには驚きを隠せない。それでも、ようやく8年目にして辿り着いた夢の舞台。夢のような5ヶ月間も、いよいよ幕を閉じる時がやってきてしまった。ツアーを経て、またひとつ輝きを増したRoseliaと共に目撃した最後の光景を、きっと私は忘れないだろう。そんな2024年6月30日(日)に東京ガーデンシアターにて開催された、Roselia LIVE TOUR「Rosenchor」東京公演 -Final- DAY2の模様をレポートする。

前日のDAY1に引き続き、この日もオープニングアクトは「夢ノ結唱 ROSE」が務めた。「夢ノ結唱 ROSE」とは、湊友希那の歌声をAIに学習させ、その歌い方などを再現可能な人工歌唱ソフトだ。DAY2は「魂のルフラン」そしてオリジナル曲の「マルカリアンチェイン」の2曲を披露した。「魂のルフラン」もただのカヴァーではなく、ラスサビにタメを作ったりして「そういう歌わせ方も出来るのか」という驚きと共に、まるで本人が歌ってるかのような再現度の高さにも驚かされたが、本番はここから。

写真:ハタサトシ

写真:ハタサトシ

背景としてメインモニターには見覚えのある、どこかの大聖堂のような映像が映し出された。今井リサ役の中島由貴、氷川紗夜役の工藤晴香が登場し、抱き合う。白金燐子役の志崎樺音と宇田川あこ役の櫻川めぐも抱き合う。そして最後に我らが湊友希那役の相羽あいなが登場し、「全てをかける覚悟、今ここに」の号令で「ROZEN HORIZON」そして「ONENESS」から、ライブの火蓋は切られた。「ROZEN HORIZON」で私が特にお気に入りのフレーズが2Aの「一振りの力すら 絞れずにいた」という歌詞なのだが、前日に腰を痛めてしまった相羽が歌う姿に、まだ1曲目ながらジーンと来てしまった。

2曲続けた所で「こんばんは、Roseliaです。東京公演に来てくれてありがとう」といつもの挨拶が入り、メンバー紹介へ。
リサが「東京公演2日目、みんな盛り上がってる~?」と煽ると、「最終公演ということで、1番大きな声を出してほしいわ」と友希那が続き、「早速いろいろ聞いてみよう!」とあこが提案。

「今日Roseliaのライブ初めての人?」「配信も盛り上がる準備は出来てる?」と客席やモニター越しにレスポンスを求める。「せっかくなら配信のみんなにも……5人が映るカメラ、あるかしら?」と友希那がカメラのスイッチングを求めるも、湊さんアップのカメラに切り替わり「あれ、これ私じゃない?」という、ある意味スタッフさんとの息もぴったりのボケが3回も繰り返されたのには笑ってしまった。
「止まらずに進むわたしたちに最後まで必ず着いてきて!」と宣言した「PASSIONATE ANTHEM」では「東京Final、かかってきなさい!」と発破をかけ、「覚悟のLiberation」を披露した。

写真:ハタサトシ

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燐子にスポットライトが当たり、ピアノソロで流れが一気に変わる。
3~4分はあっただろうか。それ程までに時間を使いたっぷりと、静かに、段々と熱を帯びて激しい演奏になっていく。そして「“UNIONS” Road」へ。
この曲はRoseliaにとっても大切な曲だ。恒例の「私たちと、ひとつになりましょう」からの拳を突き立て大合唱。燐子の演奏がいつもより一層エモーショナルな気持ちを引き立ててくれた。

写真:ハタサトシ

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ここでライブは前半戦が終了し、一度メンバーがハケる。ということは、お待ちかねの幕間映像のお時間。お馴染みの“キャラくず”も今回のツアーで、もう10回目となる。今回はツアーにちなんで日本列島陣取り合戦編。前回までで決着は着いたと思われていたが、まさかまさかの下克上チャンス、最下位から勝ち上がりトーナメント方式のクライマックスシリーズに突入した。
まずはビリのあこvs4位の燐子がじゃんけん対決で勝負。8公演分の映像収録ということで、長時間に渡る撮影は12時間を優に超え、キャストのテンションもおかしくなってきた。もはや空元気状態のあこが第一試合を制し、第二試合は紗夜とあこのひも対決。結局は運ゲーなのだが、「ここで負けたくない!!!」とあこがまたもや気合いで当たりくじを引き当て、友希那が待つ第三試合“47都道府県パズル”へと駒を進める。「正直、宇田川さんの方が地理は強そう」という紗夜に「カッチーン」と怒れる友希那。しかも結局はあこが勝利し、リサとの決勝戦!……はアンコール前に残して、ライブは後半戦へ。

写真:ハタサトシ

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紗夜が登場し、ギターソロを披露すると、一気に会場はターコイズブルーに染まる。今回のツアーの衣装に着替えたメンバーも姿を現し、「THE HISTORIC…」へ。
続いてはあこのドラムソロパートだ。2回タムを叩き「ドン!ドン!あーこ!」とコール&レスポンスを促す。そこにベースが乗っかり、あことリサのリズム隊によるセッションが始まる。そのままの流れで聞こえてきた「R」のイントロに客席も興奮が隠せない。腰を痛めた関係で、一部パフォーマンスに制限があるとアナウンスがあったが、正直そんなことを感じさせないパフォーマンスだったことは付け加えておきたい。湊友希那の歌唱力が圧倒的すぎて、存在感が大きすぎて、そんな事は忘れてしまうほどに堂々とした、いつも通りの湊友希那とRoseliaがそこにはあった。

再び2曲を披露し終えた所で「私たちが着替えてる間に、なんか映像流れてましたよね」と燐子。友希那は「前の2人は“運”だったのに、どうして私だけ“知識”なの? 私はこれまで、赤点取らなければ良いと思って生きてきた!」とご立腹な様子。すかさずリサが「それがダメなんじゃない? あんだけ言ったじゃん。宿題やった? 勉強やった? って」と追い込む。

写真:ハタサトシ

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紗夜が「せっかくだから、今回のキャラくず、どっちが勝つかみんなに予想してもらいましょうよ」とナイスカバーで話題を逸らし、ペンライトで投票すると少しリサが多いかな? という様子。その流れでペンライトで「星空を作ってほしい」と一面を真っ青に染め上げてから「6月生まれの人だけ黄色にして」と星々を作り上げてみんなで「おめでとう~!」と6月生まれの人をお祝いする温かい時間が流れた。

「次の曲はこのまま、星空のままで聞いてくれると嬉しいわ」と「軌跡」を披露。
1番は紗夜とリサは腰掛けながら演奏し、2番になるとリズム隊も加わり、広がりをみせる。「廻る地球 貴方と私は進む目指す場所違っても 変わらない景色がある」という歌詞が身体に染み渡る。みんなで作り上げたこの星空を、きっと忘れない。
そして「Sprechchor」とバラードナンバーで続き、最後にはみんなで大合唱。

「ありがとう。あっという間に今日も残すところ後少し。私たちも終わりたくないけど、始まりがあれば終わりもある。限られた時間の中でたくさん楽しんでいって頂戴」と友希那が語りかけ、各々が思いの丈を語っていく。
目を少し潤ませながら「終わっちゃうのが寂しい!」と叫ぶのがあこらしいし、ツアーを通して培ってきたものを感じる。「でも、最後まで全力で行くからね!みんなも全力で!」と笑顔で約束。
最後に友希那から「Roseliaに、そして今日のライブに全てを賭ける覚悟はある? 感謝を込めてDear Gleam」と「Dear Gleam」を披露。

「今に全てを懸けろまた一つ 高みへと往く為に私達の未来は堂々と輝きを放つわ」という歌詞が、まさにこの日の為に用意された言葉のようだ。
「必ずまた、逢いに行くわ」と約束を交わし、「一逢のFull Glory」へ。

「咲き誇れ一期一会の歌今日限りの絶景を貴方といつまでも歌い続けていたいの」

ここからは言葉だけではなくて、楽曲で、パフォーマンスで僕らに語り掛けてくれるようだった。そんなRoseliaに応えるようにラスサビで会場の皆が、思い思いの色にペンライトを咲かせる光景に感動してしまった。

そして最後の曲は「Floral Haven」。これまでのRoseliaは、いつも強さや気高さを歌っていたと思う。そんな彼女たちが仲間との絆を育み、深めたことで近年は“愛”について歌うことが多くなった気がしている。この「Floral Haven」もまさにそんな楽曲だ。強さの先にRoseliaが見つけたものは愛なんだと、私は確信した。そんな事を考えていると、5本の青い薔薇がそれぞれのメンバーカラーに染まっていき、辺り一面に咲き乱れていった。互いの個性を認め、それでも5人が結束することの強さ。これが薔薇色の景色の正体かと合点がいった。

写真:ハタサトシ

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そんな感動に浸りながら、アンコールを待ちわびていると、再びキャラくずが始まる。
あこを筆頭に、深夜の変なテンションになってるメンバー。決勝に向けて「えいっ!!!」と気合いを入れなおすリサとあこに「会場のみんなも一緒に」と促され「えい!!」と叫ぶと、後に「(裏にいて)皆のえいっ! って聞こえてきた時、めっちゃおもしろかったよ」と友希那(相羽)が言及するほどには声が揃っていて笑ってしまった。

最終問題は大阪・北海道・愛知・福岡・東京の5都市にちなんだ2択×5問だったが、最後の一問まで勝負の決まらない接戦を制したのはリサ。そして8公演分の全てのポイントを加算した、キャラくずもリサが制し、見事ダブルクラウン!勝敗はあっても、結局は5人仲良しなのがRoseliaの良いところだ。映像の最後はいつもの「Roselia、ファイティーン!」で、暗転からツアーTシャツにお着換えしたメンバーが登場し、最後の挨拶へ。

まずは志崎から「ついに本当のファイナル。全国を巡って、こんなに沢山の方々にRoseliaが愛されてると実感しました。」とRoseliaへの愛を語り、「8年目にして念願の全国ツアー。いつもよりRoseliaのみんなといる時間が増えて嬉しかった。これからもバンドリ!の事を好きでいてね!」と櫻川。
中島は「各地の美味しいもの食べたり、本当に楽しいツアーでした。そして、次は上海!海外のみんなも待っててね!」と世界へ飛び出すRoseliaに、期待に胸を躍らせていた。
「少しずつ夢を叶えてきて、8年目にして念願の全国ツアー。みんなの応援があってこそ。これからも叶えたい夢があるので、全力で応援よろしく!」と工藤が叫び、最後は相羽から「2月に始まった時は長い戦いだと思ったけど、もう6月30日だって。早くない?最後にギックリ腰をやってしまい…それでも魂を歌声に乗せて届けました!プライベートでも仲良い5人が集まれたのは奇跡だし、みんなと出会えたのも奇跡。このツアーを最後にしたくない!またツアーをやりたい!」とトラブルに見舞われつつも更にパワーアップしたRoseliaを見せると宣言。

そして、この日のアンコールは「FIREBIRD」と「VIOLETLINE」。
「FIRE BIRD」では、客席からの全力の大合唱の声量に本気で武者震いをしたし、「VIOLET LINE」でも相羽のアカペラから入り、「さぁ、歌声を聴かせて」と皆でシンガロングした。このツアーを噛み締めるように客席を見渡す相羽の姿が印象的だった。最後に「もう一度、貴方たちの歌声を聴かせて」とラスサビも全員で合唱。リズムを取るハイハットの音だけが鳴り響いた。ツアーを通して紡いだみんなの声が一つになっていたし、ツアーの中で新たに生まれるお約束もあったりする。これこそがツアーを通う醍醐味だ。最後の最後までドラマがあった。本当の意味でみんなで完成させたツアーだったと思う。

ピンチをチャンスに変えるだけの実力がある。これが8年目のRoseliaの実力だ!とまざまざ感じさせられたし、メンバーはもちろん、ファンとの絆の深さも改めて痛感した。それはもはや”愛”と呼べるものだろう。Roseliaが更なる高みへと登り詰めていく中で”愛”を知った。それはよくよく考えれば必然であった。皆さんは薔薇の花束は、本数によって花言葉が変わるというのを聞いたことはないだろうか?
1本では「一目惚れ」の薔薇も、5本になると「あなたに出会えて本当によかった」となる。メンバーと出会えて、そしてバンドリーマーのみんなと出会えてよかったと、このツアーを通してRoseliaは語ってくれた。きっとこれは偶然ではないはずなのだ。

写真:ハタサトシ

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取材・文:前田勇介 写真:ハタサトシ

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