東京サンシャインボーイズがついに“復活”! 三谷幸喜が「演劇史に残る芝居を」と意気込む新作舞台『蒙古が襲来』2025年2月より上演へ

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[後列左より]吉田羊 西田薫 野仲イサオ 甲本雅裕 阿南健治 小原雅人 近藤芳正 谷川清美  [前列左より]福島三郎 宮地雅子 相島一之 三谷幸喜 梶原善 西村まさ彦 小林隆

[後列左より]吉田羊 西田薫 野仲イサオ 甲本雅裕 阿南健治 小原雅人 近藤芳正 谷川清美 [前列左より]福島三郎 宮地雅子 相島一之 三谷幸喜 梶原善 西村まさ彦 小林隆 (撮影:荒川潤)

1983年に三谷幸喜を中心に旗揚げされた東京サンシャインボーイズ。それまでの小劇場演劇とは一線を画した、独自の作風による良質な喜劇を中心に『12人の優しい日本人』『ショー・マスト・ゴー・オン』『彦馬がゆく』といった話題作を上演し、公演ごとに動員を伸ばして“最もチケットのとれない劇団”と言われるほどの人気劇団に急成長した。しかし、1994年『東京サンシャインボーイズの「罠」』を最後に“30年の充電”を発表。2009年、ホームグラウンドだった劇場、シアタートップスの閉館イベントで『returns』を12日間だけ上演した後、再び長い沈黙を続けていた。

そんな東京サンシャインボーイズが、三谷幸喜書き下ろしの完全新作公演を2025年2月から東京・PARCO劇場を皮切りに岡山・京都・松本・仙台・札幌・大阪・豊橋・福岡・那覇の全国10会場で上演することが発表された。タイトルは『蒙古が襲来 Mongolia is coming』。どんな舞台になるのか、どんな思いでいるのか。2024年7月11日(木)、三谷幸喜や出演者らが電撃的に製作発表会見を行った。

(左から)三谷幸喜、相島一之

(左から)三谷幸喜、相島一之

三谷は新作について「サンシャインボーイズといえば、群像劇、コメディは欠かせないと思いまして。劇団をやめた後、時代劇を書かせていただいたこともあり、今回は時代劇で行きたいなと思いまして」と話した。「モンゴルが攻めてくる、蒙古襲来。蒙古がやってくるその日の朝、まだ何も知らない九州のとある漁村が舞台。そこで繰り広げられるアットホームなコメディ。それ以上はまだ考えていないんですけど、なんとなく傑作になる予感があります!」と説明した。

(左から)三谷幸喜、相島一之

(左から)三谷幸喜、相島一之

この日、三谷と共に製作発表会見に登壇したのは、充電中の30年間、それぞれに舞台、テレビ、映画と活躍の場を広げてきた東京サンシャインボーイズのメンバーたち、相島一之(会見では司会進行役も務めた)、阿南健治、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、福島三郎、宮地雅子。それに加えて、2009年のトップス公演『returns』にゲストとして参加した吉田羊が劇団研究生(?)として今回も参加となった。以下、出演者たちのコメントを紹介する。
 

梶原善

梶原善

梶原善

30年ぶりです。お久しぶりです。僕が当時サンシャインボーイズで心に残っていることの一つは、公演中にお客様の笑い声、それも爆発的な笑い声。事あるごとにドッカンドッカンなっていたわけです。劇団の解散後、僕もいくつかの舞台に立っているけれど、あそこまでドッカンしてくれることはないですね。それだけサンシャインのメンバーと三谷さんの本をお客さんが笑ってくれたことがすごいことだなと思い出すんですけど、来年のPARCO劇場で体験できるのかなと思うとすごく楽しみにしています。

僕らとともにお客様も年をとっているので、元気に笑ってくれるのかわかりませんが……(笑)。来年のGWまでと長いので、体を壊さないように、真面目に役者をやって、最後の千秋楽を迎えたいと思います!
 

相島一之

相島一之

相島一之

感無量です。30年前に劇団をほぼ解散した後に、シャレだろうなみたいな形で、「30年後にまたやろうぜ」とみんなで言っていたのが、だんだんと年数が経って、15年前に1回復活させて、もしかしたら本当にできそうだなと思って、こうやってみんなと会えると本当に嬉しいです。いい芝居をやろうと思っています。ここにいるメンバーは三谷の書く世界が大好きで、集まった奴らです。そいつらがもう1回集まって、三谷の作品を上演できるのは本当にありがたいし、嬉しいことなので、ぜひ楽しみにしていてください。
 

西村まさ彦

西村まさ彦

西村まさ彦

東京サンシャインボーイズ3期生でございます。30年ぶりにみんなの顔を見れたことが嬉しくて。新たに研究生が入り、研究生をどうやっていじめていこうかと……冗談だから!(笑) 研究生と仲良く稽古をしていきたいと思います。精一杯務めていきたいと思います。何卒よろしくお願いします。
 

宮地雅子

宮地雅子

宮地雅子

本当に幸せだなと思っております。三谷さんの作品に関われる幸せ、この上なく喜んでおります。そして、壇上にいる皆さん、本当に信頼しかない、大好きなおっちゃんたち・おばちゃんたちで、共演できることも幸せだなと思っています。また、壇上にいないスタッフの皆さんもほとんど劇団のときのスタッフで、愛にあふれた、職人技を持ち合わせた方々と一緒にできるのも幸せだなと思っております。

「村人」役と言われたんですけど……若い頃に三谷さんに「宮地雅子は土臭い女優だ」と言われたんですね。村人にぴったりだなと思って! 自信を持って、頑張って稽古に臨んでいきたいと思います。よろしくお願いします!
 

小林隆

小林隆

小林隆

『returns』から15年。『東京サンシャインボーイズの「罠」』から30年経った今、三谷幸喜の最新作をこのメンバーで、東京サンシャインボーイズとして上演できること、嬉しいです。昔味わった、台本を開く瞬間、今度は何が飛び出すか。久々に大きなびっくり箱をみんなで開けられることが非常に嬉しいし、楽しみだし、ワクワクします。『蒙古が襲来 Mongolia is coming』。健康管理に気を配り、しっかり準備をして、怪我をしないよう、精一杯舞台を務めますので、どうかご声援のほど、よろしくお願いします。
 

福島三郎

福島三郎

福島三郎

最初僕は役者で参加したんですけど、三谷さんに才能ないと言われて、演出補をやるようになって。劇団解散以降、作・演出をやらせていただいているんですけど、今回は演出補として参加させていただきます。

ただ、三谷さんも演出でいらっしゃいますし、立派な演出助手の伊達(紀行)くんもいらっしゃいますし、何をするか分かっていない。誰かが怪我したりとか、そういうときのための準備をしなくてはいけないのかなと思っています。サンシャインボーイズでまたみんなと一緒に稽古できることが幸せですし、楽しみにしています。
 

阿南健治

阿南健治

阿南健治

30年です。30年、とっても長いと思います。大谷翔平が30歳になったと先月知ったとき、驚きました。あの人が生まれたときに解散して、そして今日です。その30年で私は何を学び、どう変化したのか、自分に問いたいと思います。今回時代劇ということで、40年前の大衆演劇時代を思い出しつつ、エンターテインメント喜劇を楽しみたいと思い、次の『リア玉』(※30年前の公演で、2024年公演としてチラシが掲載された架空の公演名)へとつなげたいと思います。何卒よろしくお願いします。

 

甲本雅裕

甲本雅裕

甲本雅裕

僕はワクワクしています。同時にめちゃくちゃ緊張しています。

もともと僕は20代半ばでサラリーマンを辞めて、東京に出てきて、劇団には全くの芝居未経験で、研究生という形で参加させてもらったのですが、研究生といっても、劇団員との差はほとんどなくて。ただ一個だけ、みんなで稽古場を借りていて、それを月謝みたいに劇団員が払っていたんですけど、研究生は払わなくていいということになっていて。ある日、制作の人が「来月から月謝払ってくれる? その代わり劇団員にするね」と言って、劇団員になれました(笑)。

僕は何も分からないまま劇団に入って、迷惑ばかりかけて、三十数年のときのなかで、ちょっとは成長もしたのかもしれないんですけども……劇団公演となると、一気に研究生のときの自分に戻ってしまって、自分が30年何をやってきたかなんか、どうでもよくて。今回何をするのか、それは三谷さんが書く本をしっかり読んで、ただ一生懸命がむしゃらに舞台上を駆けずり回りたいと思います。観に来てくださる方には「劇団はこんなに楽しいもんなんじゃ」と思ってもらえたら幸いです。
 

小原雅人

小原雅人

小原雅人

宣誓させていただきます。私は覚醒剤はやりません。大麻もやりません。あらゆる一切のスキャンダルを起こさないことを誓います。One for all、All for one。一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために。この精神でまいりたいと思います。
 

野仲イサオ

野仲イサオ

野仲イサオ

今年、前期高齢者に就任しました。これでシルバーシートに大っぴらに座れると思いましたが、なかなかね。『蒙古が襲来』。その心は、不安と期待で染まっている。
 

近藤芳正

近藤芳正

近藤芳正

皆さんから「近藤さんは劇団員じゃないの」とよく聞かれますが、実はずっと客演なんです。劇団七曜日という違う劇団に入っていたので、ずっと客演状態だったんですが、CMのオーディションで「所属は東京サンシャインボーイズ」と嘘をついて、三谷さんに叱られたことがあります(笑)。

ちょっと真面目な話ですけど、『99連隊』で初めて出させてもらっていて。そのときは芝居をやめようか迷っていた時期だったんです。やりたいことをやって、ダメだったら辞めようという意思を持って『99連隊』に参加したら、めっちゃ楽しくて。お芝居って楽しんじゃいけないと思っていたんですけど、楽しんでいいんだと心の底から分かって。これだったら売れなくてもいいや、三谷さんの本で年に2、3本やって、あとはバイトをする幸せもあるなと。そうしたら三谷さんが売れてしまって、自分にもいろいろ仕事が来るようになって、思いもよらぬ人生になったのですが。

僕は永遠の客演なのでちょっと冷めた目で見ているんですけど、皆さんがすごく面白くて、あてがきの面白さがあって。どこか変で、どこか真面目で、みんなが仲が良いわけではなく、普段はばらばらなんですが、三谷さんの芝居になると一致団結する。この結束力と力強さは正直、感動さえしていました。そのメンバーとまたやれるということで、僕はどこでどうなるのか分からないのですけど、毎回出演するたびに三谷さんが僕にいたずらを仕掛けてくれるので、今回はどんないたずらがあるのか、今から楽しみにしています。
 

西田薫

西田薫

西田薫

私は東京を離れまして、札幌に移り住んで9年目となるんですが、またこのメンバーに参加して、お芝居を作れることを嬉しく、ありがたく思っております。私は充電に入る1年前に参加させていただいて、そのとき劇団ショーマにおりまして、初めてサンシャインボーイズの稽古場に行ったときに、みんなの面白さと個性の強さと、その頃からそれぞれが俳優として自立して立っている姿に圧倒されたことを覚えています。

30年経って、より一層すごいことになっていると思います。私自身が成長できているのか、退化しているのか分かりませんが、精一杯頑張って、みんなと面白いお芝居を作っていきたいと思います。
 

谷川清美

谷川清美

谷川清美

演劇集団円に所属しておりまして、三谷さんの作品には解散公演の『東京サンシャインボーイズの「罠」』、シアタートップスの『returns』に参加させていただいて。いつも節目節目に参加させていただいているせいか、本当に毎回「祝祭」と言いますか、ものすごいエネルギーに溢れかえっているんですね。なので、今回はそのエネルギーも最高潮に達するんじゃないかと思っております。全国にいらっしゃる、ともに充電をしてきた東京サンシャインボーイズのファンの皆さま、お待たせいたしました。皆さんに存分に楽しんでいただけるように頑張ります。劇場でお待ちしております。
 

吉田羊

吉田羊

吉田羊

私は15年前の復活公演『returns』にただ1人の外部ゲストとして参加をさせていただきました。カーテンコールで相島さんから「僕たちの仲間になってくれる吉田羊です」と呼び込んでいただいて、私はまったく知らなかったものですから、本当に驚いて、嬉しかったのを今も昨日のことのように覚えています。

15年経って、こうして本当に復活公演にお声をかけていただいて、この15年間、仕事を辞めずに続けてきてよかったなとつくづく感じております。15年前は今より少し若かった私も歳を重ねて、老眼が進み、台詞覚えも悪くなりました。けれども、この皆さんのなかでは一番の若手でございます! 新人女優のつもりで頑張りたいと思います。

ちなみに、私の赤いリップは三谷さんに「研究生らしからぬ赤いリップで登壇してください」と言われまして。私が悪ふざけをしているわけではございません! 三谷さんのいたずらが早くも始まっているのだなと覚悟を新たにしました。どうぞよろしくお願いします。

 

三谷幸喜は「30年前に『30年後に会いましょう』と別れたんですけど、本当にこんな日がくるとは思ってもみなかったです。ここでみんなが並んでいるのを見たときに、感無量というか、おっさん・おばさんばかりじゃないですか。病院の待ち合い室みたいな感慨に浸りました、すみません」と笑いを取りつつ、「一つお伝えしておきたいことがあるんですけど、今回の公演は30年の充電が終わった記念公演で、これを機に劇団が再結成するわけではないんです。劇団はですね。この公演が終わり次第、再び充電期間に入ります。次は80年の充電です。次は、2105年になります。今世紀最後の東京サンシャインボーイズ、ぜひお見逃しなく!」とも。

(中央)三谷幸喜

(中央)三谷幸喜

そして最後は、「まとまりのないメンバーではありますけども、この人たちとまた芝居ができることを、心からありがたいと思っていますし、頑張っていいものをつくりたいと思っています。これを打ち上げ花火でいいとは思うんですけど、決してそれだけではなく、僕としては日本の演劇史に残るお芝居を作ってみようと。劇団関係なく、これだけいい俳優が集まっているんですから、それも可能かなと思っております。ぜひ劇場でご覧になってください」と締め括った。

なお、下の動画で会見全編をノーカットで閲覧できる。

東京サンシャインボーイズ 新作舞台 製作発表会見 2024/07/4

取材・文=五月女菜穂  撮影=荒川潤

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