ka-yu 純度を高めるライブへの情熱、ソロアーティストとしての確かな歩みを見せつけた『ka-yu THE LIVE -July 2024-』レポート

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ka-yu THE LIVE -July 2024-
2024.7.14 新宿ReNY 

純度の高さを感じさせる歌とベースプレイで、今宵ka-yuはソロアーティストとしての確かな歩みを我々に感じさせてくれたと言えよう。

Janne Da Arcの一員であっただけでなく、これまでにはソロプロジェクト・DAMIJAWと、松本和之のソロ名義でも音楽活動を行ってきたka-yuが、今年1月にSpotify O-WESTでの『ka-yu BACK TO THE LIVE -January 2024-』をもってステージへと本格復帰してから約半年。4月に渋谷REXでの『ka-yu THE LIVE -April 2024-』を行ったあと、5月には大阪・南堀江knaveでの『ka-yu THE LIVE -May 2024-』も経て、このたび新宿ReNYにて開催された『ka-yu THE LIVE -July 2024-』は、ka-yuにとって“いよいよ油が乗ってきたところ”をおおいに発揮できた場だったのではないかと思う。 

というのも、いきなりアグレッシブな「JAW」(DAMIJAW)から始められたこのライブでは、それに続いた「BREAK OUT」(松本和之)、 「ダーミー城の吸血悪魔が愛したマリア(泣)」(DAMIJAW)、「ドランケンシュタイン」(DAMIJAW)とまずはアゲ曲ばかりを一気にたたみかけ、それらを機動力のある4弦ベースで弾きこなしながらパワフルに歌い倒す、というパフォーマンスが冒頭から展開されたのだ。 

おまけに、そんなka-yuの脇を固めるのは、ka-yuとは松本和之時代からの仲でありギターだけでなくコーラスの歌まで上手い原田喧太(Gt)、元NoGoDの技巧派にして個性も強いプレイヤー・Kyrie(Gt)、Omega Drippをはじめとする各バンド活動と並行してZIGGYや長渕剛まで多彩なライブ現場でも活躍しているCHARGEEEEEE…(Dr)という、華と技と経験値を見事に併せ持った超強力布陣。ka-yuを含めたこの4人がステージに乗っている以上、出てくる音はどうやってもカッコいいに決まっているではないか。 

当然、観衆たちもそのカッコいい音に煽られるかたちで派手にヘッドバンギングに興じたり、ダイナミックに拳を突き上げたりと楽しそうで、復活後3回目となる東京でのライブともなると、もはや良い意味で遠慮や躊躇の類いはまったく感じられない。誰もが聴覚だけにとどまらず、全身で“ka-yu THE LIVE”の空間を味わっていることが、湧きあがる大きな歓声などからもひしひしと伝わってきた。 

それでいて、本編中盤では松本和之の名義で2007年にリリースされた音源『Solid Beat』に収録されていた「Wherever」、1月のライブで初披露されていた「紫陽花」といった、じっくり聴き惚れることができるような曲たちも演奏されることになり、このあたりについてはJanne Da Arc時代からずっと変わらない、ka-yuのコンポーザーとしての才覚をあらためて感じとることができる場面になっていた。やんちゃなロック兄ちゃんとしての存在感も我々にとっては馴染み深いものの、繊細な音楽表現が得意でもあるka-yuのアーティストとしての側面もまた、大きな魅力のひとつなのである。  

ちなみに、前述の「Wherever」以降はベースを4弦から5弦タイプへと持ち替えたka-yuは、本編ラストの「ダーミー城の吸血悪魔を愛したダリア(哀)」(DAMIJAW)まで、より低音域を活かしたエモーショナルなフレーズを多々聴かせてくれることになり、1月の復帰ライブの時と比べると、ka-yu自身も完全なるフルスロットル状態でこのライブに臨めていたように推察される。いくらキャリアを積んでいるとはいっても、やはりライブに関してはコンスタントに場数をこなしていた方が実戦力が上がるのは自然なことだろう。 

「みなさん、今日は雨ということでお足下の悪い中で新宿までお越しいただきありがとうございます。(中略)アンコールをいただきまして、これからやる曲はですね。僕が音楽活動を始めてからずっとやっている曲でもあるんですが、今回は来てくれた皆さんにデモCDをお渡ししますので、ぜひ持って帰ってもらたいたいと思います。これは完全にデモなんで、全ての楽器を僕が弾いてドラムは自分で打ち込んでます。ただ、今ってみんなCDプレイヤー持ってるのかな? 持ってない人、どのくらいいる?」(ka-yu) 

アンコール前のMCにて、突然ka-yuから投げ掛けられたこの質問に対して手を上げたのは観客のうち3割くらいだったろうか。 
「えっ。やっぱそうかー。その人たちはどうやって聴くん?」(ka-yu) 
すると、フロアからは「パソコン!」「車!」といった声があがることに。 
「でも、最近のパソコンってCD入らなくないですか??」(ka-yu) 
これに対しては「外付け!」との声が方々から発せられた。 
「あぁ、外付けね。それはすんませんでした(笑)」(ka-yu)  

思えば、こうした受け手側とのくだけたやりとりも1月の復帰ライブでは見られなかった場面であり、ka-yuとファンとの間柄がますます密なものになってきたことがこのくだりからはうかがえた。これも良き傾向であることは間違いない。  

かくして、デモCDに収録されている「I LOVE YOU」と名付けられた真摯なるロックバラードと、ライブ映えするアッパーな新曲「Motto」、そして真夏の雰囲気を先取りした「INAZUMA SUMMER × KAMINARI SUMMER」(DAMIJAW)をアンコールにて聴けたうえ、サプライズ的に追加されたダブルアンコールでは「最後はみんなと暴れて終わりたいと思います!!」(ka-yu)という言葉のあとに、場内が何度目かのヘドバン大会と化した「Angel, you’re not a devil」(DAMIJAW)で、ステージ上もフロアも思い切りブチあがることになったのだった。  

来る10月に名古屋Red Dragonでの『ka-yu THE LIVE -October 2024-』、12月にも渋谷クアトロでの『ka-yu THE LIVE -December 2024-』が決定したそうだが、 ka-yuのライブに対する情熱はきっとここからも純度を高め続けていくことになるだろう。わずか半年でここまでの進化をしたka-yuならば、必ずやいっそうの躍進をみせてくれるはずだ。

取材・文=杉江由紀 撮影=TOSHIO KAWABATA

 

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