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さくらしめじ「コカ・コーラSUMMER STATION音楽LIVE」に出演、10年の軌跡を織り交ぜたライブに

アーティスト

「コカ・コーラSUMMER STATION音楽LIVE」(撮影:米山三郎)

今年、結成10周年を迎えるギターデュオ・さくらしめじが、7月22日に「コカ・コーラSUMMER STATION音楽LIVE」に出演した。「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATION」の一環として行われ、多数の人気アーティストが日替わりでSUMMER STATION LIVEアリーナ(東京・六本木ヒルズアリーナ)に登場する毎年恒例のライブステージだが、彼らが参加するのは今年が初めて。東京都心で36.6度という今年の最高気温を記録した猛暑日に、アームの強いクレーンのように聞く者の胸を鷲掴む歌声と、互いに顔を見合わせてギターをかき鳴らすエモーショナルな空気感で、きのこりあん(さくらしめじファンの呼称)と真夏の夜のスペシャルな空間を笑顔で分かち合った。

サポートドラマー&ベーシストと共に颯爽とステージに登場し、髙田彪我がエレキギターを、田中雅功がアコースティックギターを抱えると、5月に配信リリースした「⼤好きだったあの子を嫌いになって」でライブは開幕。衝撃的なタイトルとは裏腹に、軽やかで躍動的なロックサウンドに乗せて、シニカルな味をにじませた密度の高いボーカルとハーモニーが、主人公の忘れられない恋心を綴っていく。髙田がステージ前方にせり出してギターソロを轟かせると、アグレッシブなアクションに客席から一気にざわめきが。その熱を引き継ぐように田中がザラついた歌声で、やりきれない想いをブチまけるのもグッと来る。

「SUMMER STATIONよろしくおねがいします! さくらしめじです!」と田中が声をあげて2曲目の「青春の唄」が鳴れば、すかさずきのこりあんたちのクラップが炸裂。タイトル通りの快活なロックチューンで、顔を見合わせて2人がギターをかき鳴らす様は、10年のキャリアを持ちながらも未だ22歳という青い春の中にいる彼らが辿ってきた年月が鮮やかに花開くようだ。その時間を初期からの代表曲である「ひだりむね」で少し巻き戻して、恋のときめきを左胸のビートで愛らしく歌い表せば、きのこりあんも楽しげに飛び跳ねて生音の快い響きを堪能していく。

「夏がようやく始まりましたね!」と田中が客席を見渡し「こまめに水分補給を」と促してからは、2人が作詞・曲を手掛けた今年配信の2曲を披露。まず、優しい3拍子で始まった「生きるよ」では、手数の多いドラムや指弾きベースと絡み合うように、髙田のエレキギターがメロディックに跳ね回って、華やかな音世界を展開していく。挫けそうな心を奮い立たせて己の信じる道を歩かんとする心情を、作曲者である髙田は懸命に歌い上げ、作詞を担当した田中と声を合わせての“生きるよ”のフレーズは、オーディエンスの胸に深く沁み込むほかない。そして湧き起こる拍手のなか、田中がアコギを爪弾いて奏で始めたのは自身が作詞・曲した「ただ君が」。ひたすらに“君”の幸せを祈るバラードを、アコースティックギターだけを伴奏に田中が熱唱し、素晴らしいロングトーンで“ただ 君を想う”と歌い上げたところでリズム隊が入る流れは、あまりにもドラマティック。アリーナを覆う屋根の隙間から覗く夜空の星々をも震わせる、そんなボーカルに呼応して髙田のエレキギターソロも熱く唸り、場内には拍手喝采が湧き上がった。

そのまま間髪いれずに「simple」をつなげれば、初々しい恋心をピュアに歌うリズミカルなギタープレイとボーカルで観る者の心と身体を揺らし、髙田が「夏祭り、楽しいね! 汗で前が何も見えない!」とコカ・コーラを一気に呷る場面も。飲み干せずにあふれさせ、自ら床を拭いて客席笑わせてからは、「楽しんでいきますよ!」とテンションを上げて「エンディング」でクラップの渦を巻き起こす。思うようにいかない日々の中でも自分らしさを握りしめたまま進んでいこうというと、髙田自身がリアルな想いを乗せて作詞・曲した本作では、きのこりあんとの合唱も。ランニングベースに乗ってアコースティックに贈られた「あやまリズム」でも、場内に湧くクラップが夜風と心地よくシンクロしてハッピーなムードな振りまきながら、最後に客席もろとも“ごめーん!!!!!!”と声をあげて締めくくる、こんな喜怒哀楽をないまぜにしたかのようなギャップ感も彼らの魅力だろう。

そうして高まっていく一体感をダメ押しするように、アッパーに翔ける「なるため」でもオーディエンスと共に歌い、自分だけの道を進もうという心強いメッセージを“今日が僕たちのスタート”と訴えていく。万雷の拍手を受けて「皆さん一人ひとりを見て、野外で歌えるのは最高ですね」と田中が告げ、今年の11月24日から東名阪+福岡を回るライブハウスツアーを開催することと、初日の東京公演はソールドアウトしたこと。今年迎えた10周年の一発目として、8月23日に新曲「明日を」を配信リリースし、それに伴うフリーライブツアーも行うことを告知して「詳細もうすぐ出ますので、遊びに来てくれれば」と笑いを誘った。

そして「最後に一生懸命、明日に向かって、この曲をお届けしたいと思います」とプレイしたのは、もちろん最新曲の「明日を」。“走り続けたい”という田中の決意のこもったボーカルから幕開けると、リリース前の新曲にもかかわらず、場内はクラップの音で満ちる。今の彼ら自身の想いを偽りなく落とし込み、まさしく2人の“全身全霊”を込めたエモーショナルな疾走チューンは、10周年のアニバーサリーにふさわしいもの。2人のボーカルもかき鳴らされるギターの音色も一段と熱を帯びて、オーディエンスの胸にひしひしと迫り、“明日”を輝かせる見事なエンディングへと昇華していった。

夏の夜風に似合う軽快なポップソングから絶唱バラードまで惜しみなく繰り広げ、10年の軌跡を織り交ぜたライブの最後に、田中は「サマステ最高!」と叫んで、髙田と共にステージを去った。「明日を」のリリースをもって、アーティスト表記がアルファベットのSakurashimejiに変更されることも決定しており、世界を見据えての2人の活動は、より大きく広がっていくこととなるだろう。MCでは「10周年、楽しいことをやっていきますので、今日が最後にならないように、楽しい夏を、秋を、冬を、作っていきましょう」と田中から嬉しい言葉も。過去の曲をリテイクする“Sakurashimeji Classics”など10周年の企画も目白押しで、過去をなぞりながらも2人の道は未来へと続いていく。

文:清水素子

セットリスト

M1. 大好きだったあの子を嫌いになって
M2. 青春の唄
M3. ひだりむね
M4. 生きるよ
M5. ただ君が
M6. simple
M7. エンディング
M8. あやまリズム
M9. なるため
M10. 明日を

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