FRUITS ZIPPERと氣志團が「わたしの一番かわいいところ」をコラボ!異色の対バンでロックバンドとアイドルが見せた“ピリオドの向こう”『SOUND CONNECTION -レインボーカーニバル-』レポート

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『SOUND CONNECTION -レインボーカーニバル-』2024.7.6(SAT)大阪・大阪城音楽堂

アイドルグループのFRUITS ZIPPERとロックバンドの氣志團によるツーマンライブ『SOUND CONNECTION -レインボーカーニバル-』が7月6日(土)、大阪城音楽堂で開催され、両組ともにキュートかつアグレッシブなライブを繰り広げた。

『SOUND CONNECTION』は、MBSテレビと在阪のコンサートイベンター、そしてエンターテインメント業界が、関西からアーティスト、オーディエンスはもちろん、シーン全体をつなげることをコンセプトに2022年にスタート。今回は初の野外2日間公演として、DAY1は『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY-』と題して、キタニタツヤとgo!go!vanillasが出演した。(※DAY1のレポートはこちら:https://spice.eplus.jp/articles/330339

会場にはメンバーカラーで着飾ったふるっぱー(FRUITS ZIPPERのファンの愛称)から、リーゼントとサングラスでばっちりとキメこんだKISSES(きっしーず/氣志團のファンの愛称)まで、客席の装いだけでも、今回がいかに異色の対バンであるかがよく分かる。なかには、特攻服姿なので「氣志團のファン!?」と思いきや、背中にはFRUITS ZIPPERの推しメンの刺繍があったり。とにかく色とりどりだ。

ほかにも、会場内には両グループのメンバーをモデルにしたイベント書き下ろしイラスト(画:ナガミネショウコ)が描かれたのぼりが立っており、来場者は一緒に記念撮影。さらに同イラストのステッカー「まぶしい!氣羅氣羅ステッカー」、「暑さをぶっ飛ばせ!両面うちわ」、「アタリ付き!ランダム缶バッチ」、「汗も涙もこれ1枚!両面タオル」などが並び、この日限定のコラボフード「レインボーベーグルサンド」も販売されるなど、充実したグッズ&フードでファンを楽しませた。

開場してすぐに大きな賑わいをみせた『レインボーカーニバル』だが、ライブが始まるともちろんさらに白熱。

FRUITS ZIPPER

先攻のFRUITS ZIPPERは、1曲目「ぴゅあいんざわーるど」で<将来にさ 迎えにきたよっ>の歌詞を<迎えにきたで>と関西弁バージョンにアレンジするなどして関西の観客を喜ばせ、「完璧主義で☆」ではメンバーが「オイ! オイ!」と凛々しい声をあげてふるっぱーを煽る。チョコレートやたこ焼きを料理しているようなクッキング風振付が目を引く「ハピチョコ」の演奏後、この日最初のMC。全員が「せーの、押忍っ!」と気合いを入れた挨拶を披露。仲川瑠夏は「私たちは“かわいい”で氣志團のアニキをブチのめすためにここへ来ました」と大先輩に対して“打倒・氣志團”を宣言。そして全員で「ということで……夜露死苦(よろしく)」と啖呵(たんか)をきった。

4曲目のメンバーの自己紹介ソング「うぇるかむとぅ〜ざ♡ふるっぱー!」では、各メンバーが、自分のパートで「愛羅武勇(アイラブユー)」などとヤンキー口調でキメ台詞。その後「Going!」「RADIO GALAXY」という踊れるナンバーをぶつけ、あらためて「せーの、押忍っ!」と握り拳。この日は、30度を超える暑い日とあって、「みんなで乾杯しましょう」とここでいったん水分補給タイム。FRUITS ZIPPERもライブで訪れたことがあるタイの言葉で乾杯を意味する「チャイヨー!」の声で、メンバー、ふるっぱー、KISSESが一斉にドリンクカップを掲げた。

ここからは一気にラストスパート。「氣志團さんとの初のツーマンを祝して」と歌われた「超めでたいソング〜こんなに幸せでいいのかな〜」では、あちこちから推しメンコールと手拍子が巻き起こって、さらなる一体感が生まれた。TikTokなどで大バズりした代表曲「わたしの一番かわいいところ」では、誰もがメロメロになる呼びかけのパート<ねえ? ねえ? ねえ>に、ふるっぱーだけではなくKISSESの顔もほころぶ。また兵庫県出身の鎮西寿々歌は、〈わたし気付いちゃいました>を<うち気付いてもーた>と関西弁で言い換え会場を沸かせた。

本編最後は「NEW KAWAII」。前傾姿勢になって片手を斜め上にあげながら横へ大きく足踏みする独特の振付をふるっぱーも真似をするなどし、この日一番の活気が広がった。しかも驚異的なのが、強烈な暑さのなかでも、FRUITS ZIPPERのメンバーは全員、かわいさを一切失わないところ。むしろ、ライブスタート時よりもかわいくなっているのではないだろうか。FRUITS ZIPPER、おそるべし。「せーの、押忍っ! 楽しんでね、夜露死苦」の締め言葉すらも、やっぱりかわいかった。

氣志團

後攻は氣志團。バイク乗りにはおなじみの“エンジンコール”をモチーフにしたSEに合わせた、叶 亜樹良の激しいドラムソロで氣志團のGIGは幕開け。1曲目「俺達には土曜日しかない」では、フロントマンの綾小路 翔、ダンス&コーラスの早乙女 光、そしてバックダンサーのアイドルグループ・微熱DANJIが、息のあった振付でFRUITS ZIPPERに対抗。続く、哀愁をわき立たせる「房総魂」では、綾小路が<今灯そう 胸の炎>で特攻服の上着を少しはだけさせて胸元を叩くなど熱いアクションで見る者の心を惹きつけた。また綾小路は同曲の終盤で“両手投げキッス”の大サービスまで。「喧嘩上等」ではFRUITS ZIPPERに挑戦状を叩きつけるように<かかってこいや 喧嘩上等>と叫び、「我ら思う、故に我ら在り」ではスタンドマイクを持ち歩きながら歌う早乙女のステージングに思わず惚れぼれ。

「ウィー・アー・氣志團です」の挨拶には、客席から「かわいい!」の声が乱れ飛ぶ。そして、綾小路の「最高のGIGをかますから、ついて来れっかい? もっともっとやろうぜ」と勢いあふれるMCから、「スウィンギン・ニッポン」へ。正拳突きのポーズや片足を上げての横移動などキャッチーな振付の秀逸さもさることながら、キラキラにデコレーションされた台車が用意され、ギターの星グランマニエ、西園寺 瞳がそれに乗ってステージ上を動き回りながらプレイする様子も、まさにアイドルコンサート風。トラディショナルなロックンロールのリズムと両手ハートなどのポージングのアンバランスさがクセになる「萌え萌えROCK‘N’ROLL」、綾小路もギターを手にしてトリプルギター体制で奏でるインストナンバー「朝焼けBANZAI」では、氣志團の良い意味での多面性を実感。

そのあと綾小路が「今日はちびっ子も、大人ぶってる人もいるけど、氣志團のライブに来たらみんな俺の2コ下の後輩。綾小路 翔は永遠の16歳だ」とカッコよく言ったかと思えば、FRUITS ZIPPERを指して「あんなに若くて美しい子たちが年齢を公開しているのに、俺たちは……」と“年齢非公表”な自分たちのことをネタにして苦笑いしながら、「永遠の16って言い張るよ。な、怖いだろ?」と自虐で笑いを誘った。

「ということで、今夜はお前ら全員、氣志團がお持ち帰り。行こうぜ、ピリオドの向こうへ」と口にして、大ヒットナンバー「One Night Carnival」がスタート。客席の老いも若きも<Ah-hoo>と合いの手を入れ、<恋しているのさ この夜に恋してるのさ>と歌い上げる光景は、氣志團にしか作り出せないものである。

さらに綾小路が「「One Night Carnival」がオワコンなんて、お前らなんかに言われなくても知ってたよ」とリリースから23年も経ったことにヤサぐれ出し、さらに先ほどの同曲演奏途中、音を一旦止めて観客に歌わせたパートについても「ブレイクした瞬間、思ってたより声が小さかった、分かってたよ!」とイジける始末。それでも「俺たちもFRUITS ZIPPERちゃんみたいに真っ直ぐに、未来へ向かって走り続けます」と気持ちを立て直した綾小路は、「よし、じゃあ「One Night Carnival 2024~俺らの一番かわいいところ~」!」と曲紹介。そしてなんと「One Night Carnival」と「わたしの一番かわいいところ」のメロディと歌詞をミックスさせた特別曲を披露。<恋しているのさ この夜に恋してるのさ すごいすごいよすごすぎる><もうすぐ海が見える さみしがり屋達の伝説さ だから俺かわいい、俺かわいいなんて 言ってくれ 俺ら以外なんてやだ なんてOne Night Carnival>など熱唱。最後に「俺たち、生まれ変わりました。氣志團改め、ベジタブル……ファスナーです……」と“改名”を告げた。

その後、氣志團のGIGは「愛 羅 武 勇」で終了。ここで『レインボーカーニバル』は終幕……と思いきや、アンコールで再登場した氣志團のあとに続いて、FRUITS ZIPPERが1980年代風のスケバンの衣装で壇上へ。ほかではなかなか観られない、この対バンならではの衣装だ。

FRUITS ZIPPERの鎮西は、「(ドラマや映画の)『木更津キャッツアイ』で氣志團さんを観ていました」と共演の喜びを語ると、綾小路は「みんなのステージがすごすぎて、ライバル意識を燃やしちゃって」と気合が入ったことを明かした。

そしてFRUITS ZIPPERが「じゃあそろそろ、私たちの一番かわいいところと?」と前振りし、氣志團が「我々の一番かわいいところを同時に見せちゃう?」と意気投合して、氣志團がバックバンド、ボーカルがFRUITS ZIPPERのセットで「わたしの一番かわいいところ」をコラボレーション。キャッチーなメロディに、氣志團の演奏特有のソリッドなエッセンスが溶け込んで“カッコかわいい”曲へと進化した。

一方で、綾小路が<あれ気付いちゃいましたか?>の歌い出しを担当するも少しぎこちなく、2番ではFRUITS ZIPPERのフレッシュな勢いについていけずにフラフラになって倒れ込み、FRUITS ZIPPERに支えられて立ち上がるなど“満身創痍”。それでもなんとか最後まで歌い、踊り切ることができた。

アンコールのラストは、「One Night Carnival(別アレンジver)」。氣志團のマスコットキャラクターも登場し、まさにカーニバルを思わせる大騒ぎ。FRUITS ZIPPERは「ライブ最高、氣志團アニキ最高!」、氣志團も「大阪最高、FRUITS ZIPPER最高!」と拳を突き上げ、最後は「ここにいる全員、最高!」とファンに向けて拍手を送ってイベントは終了。大阪の地で、熱い師弟関係が結ばれた。

なお、この日の模様は後日、MBSテレビ『よんタメ』でダイジェストライブ映像を、MBSラジオ『Mラジ Music Treasures』でライブ音源を放送予定となっているので要チェック。

取材・文=田辺ユウキ 撮影=河上良

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