SMA50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演「恋するトンピクレンッ子たち」ライブレポート到着

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SMA50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演「恋するトンピクレンッ子たち」

ムーンライダーズの白井良明の古希(70歳)、ROLLYの還暦(60歳)、ふたりの所属事務所Sony Music Artists(SMA)の創立50周年を記念してSMA50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演「恋するトンピクレンッ子たち」が、7月25日に東京・渋谷DUOmusicexchange で開催された。

2人のサポートを務めたのはSMAの後輩ミュージシャンの中田俊哉(THEイナズマ戦隊)、岡本啓佑(ex.黒猫チェルシー)、渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)の3人だ。

オープニング

ROLLYが真っ赤なスーツ、白井良明が鮮やかなブルーのジャケットを着てステージに揃う。ふたりを支えるのは、SMAの後輩ミュージシャンの渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)、中田俊哉(THEイナズマ戦隊)、岡本啓佑(ex.黒猫チェルシー)の3人。鉄壁のサポートを従えて演奏したのは、ムーンライダーズが1977年に発表した「マスカット ココナツ バナナ メロン」!屈指の名曲として知られる同曲がオープニングとあって、まずはムーンライダーズ・ファンのハートをがっつり掴む。「ようこそ!みんなに介護されてる(笑)、白井良明です!」と自己紹介すると、ROLLYは「良明さんに出会って37年になります。こうして一緒にやらせてもらって嬉しいです!」と話し、3曲目は白井良明がプロデュースし、ベースの中田俊哉のTHE イナズマ戦隊の「孤独の王様」に。

ROLLYコーナー

ここで白井良明がステージをおり、ROLLYコーナーに。「自分で勝手に還暦を称える歌を作りました(笑)」と歌ったのは、昨年発表した「還暦ありがとう」。尾崎紀世彦の「また逢う日まで」を彷彿させるゴージャズな大昭和歌謡ナンバーで、サビはみんなで大合唱。「SMA勤続35年の古だぬき(笑)です」と自己紹介し、2曲目には白井良明がプロデュースを担ったすかんちの「恋するマリールー」を歌う。

白井良明とROLLYの出会い〜”R”(yomei+OLLY)コーナー

「我が恩師、白井良明さんです!」と良明を呼び込み、ここからは師弟のアコースティック・デュオ・コーナーに。さて、このふたり、どんな師弟関係にあるのか?そんなみんなが気になっていることを、ROLLYが話し始める。ここから、少々長くなります。ふたりの経緯を。かいつまんで箇条書きで書きますが、ご存知の方はスキップして下さい。

  1. 1984年、ROLLY(21歳、実家の美松電器でアルバイト中)、ラジオで松尾清憲の「愛しのロージー」を聴いて衝撃を受ける。ギターの音やテイストが大好きなブライアン・メイ(クイーン)そのものだったのだ。
  2. ROLLY、大阪バナナホールで行われた松尾清憲のライブに行く。「あのギターを弾いている松尾さんに会いたい!」の一心で、終演後、ホールのダストシュートから楽屋に不法侵入。首尾よく松尾に会えたものの、レコードであのギターを弾いているのはこの人と、白井良明を紹介される。ここでなんとROLLYの思い違いだったのが判明。初対面の良明に「私をプロデュースするのはあなたしかいない!」と自身のバンドのデモ・カセットを強引に渡して、楽屋を離れる。そのあと、良明からの連絡を待つも一向に音沙汰なし。
    〜ここから約3年の歳月が流れ
  3. 1988年12月、ソニーミュージック主宰のSDオーディションに、ROLLYのすかんちが晴れて合格!同期はTHE BOOMやカステラ!所属事務所もSMAに決まり、順風満帆なスタートを切るはずだったが、しばらくは放置状態。早くデビューしたい!と悶々とした日々を過ごす中、ある日、プロデューサーが決まった!と白井良明を紹介され、5年ぶりの再会を果たす。
  4. 白井良明の証言:初対面の頃を振り返り〜「いつの間にか、楽屋にいて。とっくりのセーターに分厚いジャケット着て、まるで浪人生のような風体だったことぐらいしか、覚えてないんだよね。再会したときも、ああ、あのときの子か…ぐらいで」「てっきりROLLYがボクを指名してくれたと思っていました」実際はレコード会社のディレクターが引き合わせた。ROLLYも5年前にプロデュースしてくれ!と頼んでおきながら、すっかり忘れていたそう。
  5. 神様が引き合わせてくれたこの再会から、ROLLYと白井良明の蜜月関係が始まる。良明はすかんちのデビュー作始め、5枚のアルバムをプロデュースする。ROLLYという怪獣(珍獣?)を世に解き放った張本人こそが、白井良明なのだ。

と、経緯説明にが長くなりましたが、R(yomei+OLLY)コーナーに戻ります。アコースティック・セットの1曲目はスタンダード・ナンバーの「ジャスト・ア・ジゴロ」。ROLLYはこのカバーを2016年に発表しており、日本語詞もROLLY。クイーンの「ドリーマーズ・ボール」を彷彿させる、オールド・ファッション・スタイルのヴォードビル調でじっくり演奏される。

ここでROLLYは、ムーンライダーズ・ファンでもあったことを話し出す。オープニングに演奏した曲は学生時代の愛聴曲。1991年に新宿POWER STATIONで行われたライダーズのトリビュート・ライブでも「マスカット ココナツ バナナ メロン」を演奏した。そんな希代の名曲にROLLYは、グラムロックの雄、ゲイリー・グリッター風のアレンジを施した。「ライダーズmeets グラム!」このアレンジを良明はROLLYらしいと絶賛。続いては「Mr.タンブリン・マン」。といってもボブ・ディランやザ・バーズのカバーではなく、1993年にリリースされたすかんちのオリジナル曲。ROLLYの60sフィーク&ロック愛に満ち溢れた作品だ。白井良明とROLLYのかけあい、ギターでは激しいプレイのぶつかり合いとなるが、トークでは実にまったり。白井良明の切れのイイ江戸っ子弁と、ROLLYのふんわりした関西弁の絡みは、上質な演芸をみているよう。師弟デュオコーナーが終わるとROLLYは一旦ステージをおりる。後述するが、この時ROLLYには重要なミッションが待っていた。

白井良明パート

続いてはバンド・メンバーと共に演奏する白井良明コーナー。10年前、自身の活動をギター・インストに移行したころ、リリースしたアルバム「FACE TO GUITARS」から、先ずキーボードの渡辺シュンスケとふたりで「愛の仕事 “musician”」を。続いては中田俊哉(B)、岡本啓佑(Ds)が加わり4人で“ギターと向き合うという意味の”「face to guitars」を。4つの楽器が激しくぶつかり合い、ジャズのインプロビゼーションを見ているようなスリリングな演奏を展開。続いては渡辺シュンスケのプロジェクト「Schroeder-Heads」の楽曲を2曲。新旧SMA所属アーティストが鮮やかな演奏を見せつける。ROLLYが「35年音楽生活やってますが、今日のこのバンドがいちばんイイ!」と大絶賛。確かに演奏技術にアンサンブルと最高の音を弾き出している。SMA後輩、おそるべしだ。

エンディング〜アンコール

そして再び、ステージにはROLLYがジョイン。良明と共に激しいギター・バトルを展開し客席を沸かせる。そのまま白井良明の「渚でニトロ」に移り、ギター・バリバリのサーフィン/ホットロッド・チューンを披露。続いてはROLLYと白井良明を結びつけるきっかけとなったクイーンのナンバー「ウィ・ウィル・ロック・ユー」をROLLY作の日本語詞で歌う。エンディングのブライアン・メイ・ギターパートはROLLYと良明のインプロビゼーション・スタイルで披露。ちなみにこの夜、ROLLYは自身のギターパートの随所にブライアン・メイ風のギター・フレーズをこっそり弾いていた。続いて、良明プロデュース/すかんち最大のヒット曲「恋のマジックポーション」が演奏されると客席は大爆発。ほぼ全員がシンガロング。ラストは良明が書いたムーンライダーズの「トンピクレンっ子」。場内の盛り上がりも最高潮に達したところで本編は終了。

アンコールでは中田俊哉のMCから始まる。この日のライブは中田にとって、大先輩方と一緒にやれた宝物のような時間になったそうで、「次の曲は、12年前に ROLLYさんと一緒に吉祥寺でライブを演らせてもらって、17年前ぐらい前に良明さんにプロデュースして頂いた曲です」とTHEイナズマ戦隊の「ワン・ツー・ストレート!!」を演奏。1コーラス目は中田がリードボーカルをとり、2コーラス目はROLLYが歌う。オーディエンス皆が右の拳を上げて“よっしゃカウンター一発/ワン・ツー・ストレート!!”の部分も一緒に歌う。アンコール・ラストはご存知「東京ブギウギ」。場内はお祭り騒ぎのような状態。本来はここで終わる予定だったが、あまりの盛り上がりに急遽アンコールのアンコールを。曲はロックンロールの名曲、「Johnny B. Goode」を、「Sony be goode」に替え歌!♩音楽事務所選ぶなら/僕なら迷わずSMAと始まり、♩Go Sony Go Go/Sony be goode!と締めるSMA愛に溢れた抱腹絶倒の替詞で場内大爆笑。なんと白井良明ソロ・パート演奏の間にROLLYが詞を書いたそうで、まさに出来立てホヤホヤ。古希・白井良明と還暦ROLLYが、まさかの曲でSMA創立50周年祭りを締めてしまった。

最後にお二人の最新情報。ムーンライダーズのAMATEUR ACADEMY40周年記念ライブは11月1日に東京国際フォーラム ホールCで開催。ROLLYの61歳(還暦でなくなる)生誕記念ツアーは、9月6日にここ渋谷duo MUSIC EXCHANGEで、9月15日に大阪・心斎橋JANUSで行われる。

TEXT:石角隆行
PHOTO:08

SMA50th Anniversary×白井良明古希×ROLLY還暦公演「恋するトンピクレンッ子たち」/セットリスト

2024年7月25日渋谷DUO musicexchange

01.マスカットココナツバナナメロン(ムーンライダーズ/1977)
02.sweet bitter candy(ムーンライダーズ/1988)
03.孤独の王様(THE イナズマ戦隊/2006)
04.還暦ありがとう(ROLLY/2023)
05.恋するマリールー(すかんち/1992)
06.ジャスト・ア・ジゴロ(米スタンダード曲のカバー)
07.Mr.タンブリン・マン(すかんち/1993)
08.愛の仕事 “musician”(白井良明/2014)
09.face to guitars(白井良明/2014)
10.Far Eastern Tale(Schroeder-Heads/2014)
11.Newdays(Schroeder-Heads/2010)
12.渚でニトロ(白井良明/1995)
13.ウィ・ウィル・ロック・ユー(クイーンのカバー)
14.恋のマジックポーション(すかんち/1991)
15.トンピクレンっ子(ムーンライダーズ/1982)
ENCORE
16.ワン・ツー・ストレート!!(THEイナズマ戦隊/2007)
17.東京ブギウギ(笠置シヅ子のカバー)
18.Sony be goode(原曲:ジョニー・B.グッド)

出演:白井良明、ROLLY
中田俊哉(B)、岡本啓佑(Ds)、渡辺シュンスケ(Key)

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