撮影:大塚正明
2024年8月7日(水)に岡咲美保の4枚目のシングルとなる「ハピメモ」がリリースされる。今作は「夏をめいっぱい感じられる曲」をテーマに表題曲の「ハピメモ」は、8月10日(土)に開催される2ndワンマンライブに向けて制作された、コール&レスポンス盛りだくさんのアップテンポなナンバーとなっている。カップリングの「夜ふかしダンス」は対照的にアンニュイな彼女の魅力にフォーカスした仕上がりとなっており、本人もその完成度には自信を覗かせている様子だ。もちろん2ndワンマンライブに向けた意気込みもたっぷりと語っているので、ライブ参戦前に必ずチェック欲しい。
■岡咲美保は好奇心の赴くままに!
――今回のシングルのお話を伺う前に、これまでのアーティスト活動についてお聞きしたいのですが、2021年9月の「ハピネス」でアーティストデビューをされてから、もうすぐ3年というタイミングです。改めてこれまでの活動を振り返ってみて、印象深い出来事はありますか?
そうですね。ライブとか、ビジュアル撮影とか、部門別でたくさん思い入れがあるんですけれど、いま一番に思い浮かぶのは、今年の1月にあった1stワンマンライブが“楽しい部門”で一番だったかなって。
――コロナ禍の影響もあり、このタイミングでようやくワンマンライブか!とファンの皆さんも待ち望んでいたと思います。
そうなんです。コロナ禍でのデビューだったので、フェスなどに出させていただく機会はあったものの声出しNGだったり、無観客だったりで、応援してくださっている皆さんが100%の力を出し切れない時期にアーティスト活動を開始したので、自分がどこか未知というか、分かっているようで分かってないんじゃないか?みたいな不安や緊張もありました。でも、いざステージに立った時にファンの方もすごく温かいし、自分自身もしっかりここまで歩んできたなっていうのが、パフォーマンス中も確認できて、すごくいい時間だったなって思っています。
――個人的には岡咲さんの楽曲って元気でポジティブでハッピー!なイメージが強いのですが、岡咲さん自身がアーティスト活動を通して表現したい事や、掲げているポリシーなどはありますか?
アーティストデビューを夢見ていた学生時代の話なんですけど、自分のコンセプトについて考えたり、カッコいい系かな?カワイイ系かな?イメージカラーはコレで……みたいに勝手に妄想していたんですけど、実際やってみると全部楽しいし、全部私になってくれるというか。それはもちろん、プロデューサーさんだったり、MVの監督さんとかが楽曲の世界観と私を繋いでくださったり、衣装の力だったり、色々あるんですけど、私としてもやっぱり役者をしているからなのか「いろんな世界に行きたい」という思いがすごくある事に気が付いて。
――やっていくなかで、全部楽しめている。
すごいワガママなんですけど、今自分が一番楽しいなって思うことが一番実力を発揮できるなって思うし、そういうパッションみたいなものを大切にしたいし、お客さんにもそういう気持ちを大切にしていただきたいので、ポリシーなどは決めずにいきたいなって思ってます。しばらくは柔軟に、その世界に飛び込むことで自分を確認するというか、初めてのことをやってみてドンドン”自分”という輪郭を知っていきたいって欲もありますし、色んな自分に挑戦してみたいと思っていますね。
――なるほど。あえて例えるなら“楽しい”を追い求めるというか、好奇心の赴くままに……みたいな事ですかね?
そうですね!逆に、ダークな曲とか、ネガティブな気持ちを歌っている楽曲とかにも寄り添いたいなって思いますし、普段どちらかというとそういう楽曲を聴くことの方が多くて、世間的には私の歌声とか声色のイメージは明るくポップでポジティブな……という感じだと思うんですけど、まだまだ秘めている部分が自分の中にあるなと思っているので、たくさん出していきたいなとは思っています!
岡咲美保 4th SINGLE「ハピメモ」CD+Blu-ray盤
■今日は絶対に楽しい日、確定!
――では今回のシングル「ハピメモ」のお話を伺いたいんですが、まずはどんな1枚に仕上がったのか?を岡咲さんからご説明頂けますでしょうか。
今作はテーマが“夏”という事で、季節にフォーカスしたシングルは初めてですね。。「スターフラワー」という曲で、雪原でMVを撮ったことはあるのですが、歌詞にここまで“夏”と入っていたり、コンセプトに合わせてMVで制服を着てみたりと、挑戦が多かったので、それこそ“役に入る”じゃないですけど、普段のお仕事の感覚にもちょっと似ていて楽しかったです。
――なんというか……言い方が難しいな。あの、全然制服似合っていました!
全然って何ですか!? ちょっと!言い方!!(笑)でも、不安だったんですよ。髪を染めているし、ネイルもしてたので「大丈夫ですか?」って感じだったんですけど、でも映像の力ってすごいなって思いましたし、エキストラの方も一緒にお芝居してくださって、リップがないお芝居は初めてだったので、ちょっとドキドキしていたんですけど、リードしてくださって、最後の方は普通にガールズトークしていました(笑)。
――撮影現場は和気藹々としてたんだろうな~というのが容易に想像できます(笑)。今作は夏がテーマということですけど、具体的にどういうシチュエーションとかタイミングで聞いてみて欲しいとか、ありますか?
「ハピメモ」でいうと、お出かけ前の準備中とか、私は運転できないんですけど、ドライブ中に助手席で聞くのもいいですよね。、友達とのお出かけでも、デート前でも、どんな時でも「今日は絶対に楽しい日、確定!」みたいな予定の前に聞いてもらうと、みなさんの気分もよりアガる曲になっていると思います。カップリングの「夜ふかしダンス」は、例えば「アレやらなきゃいけないって分かってまーす」って思いながら布団から出れない時とか、深夜の時間に「自分って怠惰だなー」とか思う事が私自身もあるけど、この曲ってそういう優柔不断さとか惰性みたいなものもどこかオシャレに包んでくれてると思うので、眠れない時とかでもいいんですけど、そういう曖昧な感情とかに答えを出さなくていいよ、っていうテーマを感じているので、ただ垂れ流すだけでもいいのかなって。岡咲美保の楽曲としては無かったポジションの曲かなと思います。
――ありがとうございます!今回のジャケットなんですけど、過去イチでビビッドでインパクトあるなと思ったのですが、岡咲さん的には通常盤とCD+Blu-ray版、どちらがお気に入りですか?
うわー難しい!もちろん、どちらも買って頂きたいのですが、でも今回の衣装がすごくお気に入りで。ポップだけどアーティスティックな感じとかを見てもらいたいから、通常盤かも……。あと部屋がやっぱりカラフルだし、この背景はデザイナーさんがAIで作ってくださった完全オリジナルで1枚のパネルになってるんです。
――そうなんですか!?
部屋に飾られてるこの絵とかも、全て唯一無二なので、現実感がありそうでないようなこのお部屋にも注目して頂きたいって意味では通常版がお気に入りかな。でも、どっちも買って頂いた上で!(笑)。
撮影:大塚正明
■ライブで歌ってようやく曲が完成する
――それでは楽曲の詳細について、まずは「ハピメモ」から伺いたいのですが、この曲で注目して欲しいポイントを挙げるとすると、どの辺でしょうか?
“笑顔”ってワードがたくさん出てくるのと、ライブで皆さんと歌いたいという思いで作った歌でもあるので、歌詞の(カッコ)内の部分の掛け合いのコール&レスポンスをたくさん入れて頂きました。レコーディングしてる時も、1stワンマンを思い出しながら歌っていて、ブース内は私ひとりなんですけど、きっとライブでもお客さんと掛け合いながら歌うし、その時のお客さんもきっと笑顔でいてくれて、ライブで歌って初めて完成する曲なのかなと思っています。
――そういうのありますからね!ライブで歌ってようやく“曲が完成する”みたいな。
そうなんですよね。まだお披露目していないので妄想の範囲内ではあるんですけど、ライブでステージに立つと無条件にそのモードにさせてもらえるので、きっと、ハッピーメモリーになると思います!
――ちょっと話は逸れるのですが、今作は夏がテーマという事で、岡咲さん史上最も“ハピメモ”だった夏の思い出とかって何かありますか?
う~ん……パッと出てくるのは、小6の夏休み。すごく楽しかったです(笑)。
――どんな夏休みだったんでしょうか?(笑)
なんでか覚えてないんですけど、小6の夏休みはすごく時間にゆとりがあって……、宿題ちゃんとやったのかな?わかんないんですけど(笑)。とにかく色々やろう!というバイタリティに溢れていて。でもどこかに家族旅行する流れにはならなくて、結局プールにたくさん通ったんですよ。そしてプールで泳ぎ疲れた後に、家に帰ってひたすら『ドラクエⅨ』をやるっていう夏休みでした(笑)。
――最高の夏休みだ(笑)。
私、それまでRPGというか、『ドラゴンクエスト』ってやったことなかったんですけど、すっごい楽しくて。ニンテンドーDSでずっと遊んでいた世代ではあるんですけど、携帯機の世界だけだといまいち発散できないエネルギーを、プールで身体を動かして発散して、なんかそのバランスがすごい楽しかったのを今思い出しました。『ドラクエⅨ』オススメです(笑)。
――先ほども少し話題に上がったMVなのですが、撮影の裏話的なエピソードがあればお聞きしたいです。
撮影の朝、すっごい豪雨で「これじゃハピメモにならない!絶望!」みたいな(笑)。本当にちょっと外歩くだけで、傘をさしてるのに服が濡れちゃうぐらい、風も強い日だったんですけど、移動して撮影場所に着いたら晴れたんです!私、自分で晴れ女だと思っているんですけど、最先がいいなっていうのもありましたし、あとはMVの起承転結の流れの中で「私、転校しちゃうの」みたいな、少し悲しいお芝居をするシーンに苦戦しました。目薬をさして、一応頑張って泣くっていうのをやってみたものの、そのカットは不採用だったのはなんで?監督!って聞きたい所なんですけど(笑)。でも改めてお芝居の難しさを感じましたね。自分が上手い下手とか関係なく、全身を使ってお芝居されている女優さんや舞台俳優さんはすごいなと尊敬しつつ、やっぱり私は声優のお仕事いちばん好きだなとが思いました。
岡咲美保 4th SINGLE「ハピメモ」通常盤
■暗い感情って言葉にすると重いけど、楽曲にする事で肯定してくれる
――それではカップリングの「夜ふかしダンス」についてのお話も伺いたいと思います。この曲の第一印象はいかがでしたか?
いや~初手から好きでした(笑)。先ほど「明るい曲じゃない曲も好き」という話をさせていただいたんですけど、暗い感情って言葉にすると重いけど、楽曲に落とし込むとオシャレに包んでくれたり、肯定してくれる距離感が凄く好きで、この曲もポップに歌いつつ「現実から逃げ出したくなる」とか、色々と吐き出してはいるんですけど、楽曲に乗せることでどこかの自分がリフレッシュしてるなっていう感覚を覚えて、sajiのヨシダタクミさんが作られる世界観に寄り添いつつも、自分でも共感できる部分が多い歌詞だなっていうのを感じました。
――これは結構人によるかもしれませんが、やっぱり声優さんですし、レコーディングの際はその楽曲の主人公じゃないけど、世界観に入り込んで、歌われる方が多いのかな?って思うんですが、実際にこの曲はどんな事を考えながら収録されたのでしょうか?
そうですね、そこにいる主人公を私が演じているので、私が実体験で思ったこととか、「夏服揺らして」という歌詞もあるので「女子高生なのかな?」とか考えながら、校舎の窓際の景色を眺めながら「チェッ」って思っていたりするのかな?とか、色々と想像は膨らんでましたね(笑)。
――こういうアンニュイな岡咲さんも良いな!って思いながら聞いていました。
これは持論なんですけど、自分の声って、歌声になるとフラットな響きが多くなるなと思っていて。声の引き出しを増やすことは普段、声優業でしているので、客観的に見て声色を明るくすることはできるんですけど、自分の声質が生きるのって、こういうちょっとアンニュイな所だったり、意外とバラード曲なのかなっていうのも最近の発見でした。明るい曲も好きなんですけど、どっちも好きだからこそ、こういう曲の要素が意外と新鮮だったので、もっと増やしていきたいなってのは感じました。
――ライブのことを考えてもコール&レスポンスで「ワー!」っていうのも必要ですけど、こういう1曲でビシッと締めてくれる曲も必要じゃないですか。
そうですね。みんなに当てはまるような、共感できる楽曲も好きなんですけど、物語を読んでいるような、世界観をビシッと定めてくれているものを聴いて、そこに浸るのも好きだから、両方とも大事にしていきたいなって思っています。
撮影:大塚正明
■みんなで一緒に夏のハピメモを作ろう!
――最後に8月10日(土)に控えている2ndワンマンライブ『Miho Okasaki 2nd LIVE 2024 ~ハッピーメモリー~ supported by animelo』についてもお伺いしたいです。どんなライブにしたいですか?
今年の1月にやった1stワンマンがものすごく楽しかったのですが、あの時は無我夢中で、ちょっと固くなっていた部分も正直あったのですが、今回はあの景色が思い出せるからこそみんなを信頼できるし、自分自身も信頼できるから、安心して臨めそうな気がしています真夏開催という事で、夏というテーマに乗っ取って、はっちゃけられる楽しいライブにしたいですし、私が一番楽しむぞ!っていう気合いで臨もうかなって思ってます。でも、皆さんにはそれを越えてきて欲しいなとも思っています!
――先ほどはアーティストとしてのポリシーをお聞きしましたが、ライブをする上で心がけている事など、何かありますか?
皆さんとたくさんコミュニケーション取りたいなと思っています。普段から絶対1人1回は見るぞ!とは思ってるんですけど、2回目という事もあって、より1人ひとりに向けて歌いたいし、でもそういうコミュニケーションがあるから、全員になった時により強くなると思っているので、1人ひとりとの繋がりも意識しつつ、みんなで盛り上がれるようなコミュニケーションチャンスを逃さないようにしたいなと思っています。あとは色々なことをやってみよう!ってやってきた結果、たくさんの世界観の楽曲が生まれて、新曲も含めて、テンションが高い曲もあれば、ダークな曲もあり、バラードもあるので、その世界で全然違った表情を見せたいなと思います。こたくさんコミュニケーションを取る曲もあれば、全然取らない曲があってもいいなって思っていますし、1stライブの時よりも、自分の中の課題として、より“幅”を見せてられたら良いなと。
――ネタバレにならない程度で、ライブの見どころを教えてください。
“ハピメモタイム”という企画で、スマホ撮影OKの時間を1曲分設けていて「ペタルズ」という楽曲なんですけど、フェスとかでワンマンする前から割と披露させて頂くことが多かった楽曲なので、ハピメモタイムになったらどうなるんだろう?自分でも楽しみです。普段は踊っているんですけど、私は踊るのだろうか?とか。みんなもどんな感じになるのかな?もちろん撮ってもいいし、撮らなくてもいいんですけど、そんな企画があったり、今回も現実的なものから非現実的なところまで一旦やりたいことを全部発言させていただいたので、どれが採用されるかなって、ドキドキで待っています!
――岡咲さん自身もやりたい事、どれだけ出来るかワクワクな部分があるんですね。
やっぱり一番はお客さんを退屈させたくないから、あまり真ん中でずっと立ったまま歌うっていう楽曲も多くなくて、なるべく上手や下手にもたくさん行きたいけど、もうちょっと何かしたいって思うので「こういうのがあったら私だったら面白いかもなー」って思いついた時点でチームに相談しますし、突拍子もないアイデアでもとりあえず笑って受け止めつつ、ちゃんとしっかり実現させてくれるチームなので、凄くありがたいなと思っています。
――次のライブでやる/やらないは一旦置いといて、岡咲さん的に、観に行ったライブで「こういうのやってくれたら嬉しい」みたいな演出ってありますか?
私の尊敬する水樹奈々さんのライブなんですけど、トロッコはやっぱり嬉しいですね。トロッコって確かにコミュニケーションが取れるとは思うんですけど、奈々さんはあまりにもコミュニケーションのレスが早くて、そのキャッチボールに感動しちゃって。しかも、ゆったりした楽曲とかじゃなかったんですよ。結構アップテンポな楽曲なのに完璧に歌いつつ、コミュニケーションもすごい速さで取られているのを見て「トロッコっていいな」って思いましたし、やっぱりある程度会場が広くないとできないことだと思うので、自分もアニメ作品のライブイベントとかでトロッコに乗った経験はありますけど、いつかトロッコをやれるくらい大きな会場でワンマンをやりたいですし、自分の海原というか、そこに飛び込んでいくような演出はやってみたいですね。
――ワイヤーで釣られたりとか?(笑)
一旦、せり上がりからやりたいです。もっと穏やかな所から(笑)。
――でもやっぱり歌唱だけじゃなく、そういうパフォーマンスも含めて、奈々様リスペクトなのですね。
そうですね。自分がファンだった時よりも、実際に同じステージに立ってみて、より「すごいことをされているんだな」と感じます。
――改めて最後になりますが、今回のシングル、そしてライブも含めて読者の皆さまへひと言メッセージを頂ければと思います!
2ndワンマンライブ、すごく楽しみなんですけど、ちょっとドキドキしている部分もあって、でも自分らしさを大切に、来てくださる皆さんに思う存分楽しんでいただきたいと思っているので、普段応援してくださっている方はもちろん、ちょっとでも興味を持ってくださった方にも来ていただきたいですし、「ハピメモ」でコール&レスポンスをしながら、夏の思い出になるハッピーメモリーを一緒に作りたいなと思っています!
インタビュー・文:前田勇介 撮影:大塚正明 Styling:細田真弓 Hair&Make up:楢林ミナコ(フリンジ) 衣装:MAJESTIC LEGON