YOSHIKI、“社会的つながりの促進とメンタルヘルスの支援”をテーマに米国公衆衛生局長官と対談 「Forever Love」のピアノ演奏も
8月7日、YOSHIKIが米国公衆衛生局長官であるビベック・マーシー医師との対談を行った。対談テーマは、「社会的つながりの促進とメンタルヘルスの支援」。
マーシー医師は、第21代米国公衆衛生局の長官(Surgeon General)を務める米国のトップドクター。「孤独感と孤立感に起因するメンタルヘルスの支援」を最優先課題として、様々な公衆衛生問題に取り組んでいる。近年では、SNSの影響もあり、若者が疎外感や孤独感を感じる状態が増え、世界的な社会問題となっていることにも警鐘を鳴らしている。
一方で、YOSHIKIも、2021年には音楽関係者のメンタルケア支援に10万ドルの寄付を実施するなどの活動を行ってきた。今回は、YOSHIKIが事前に受けた対談の特別オファーを快諾し、マーシー医師が初来日して実施されることとなった。
対談では、メンタルヘルスに対して両名が長年向き合っている理由を皮切りに、心の痛みを共有することの重要性や、若者が現在抱えている問題についての意見交換など、様々な話題が展開された。救いの手を必要としている子どもたちの支援を目的とした基金を立ち上げているYOSHIKIは、父親が自ら命を絶ってしまったことなど、自身の子ども時代にも触れながら「他人を助けることが、自分自身の助けにもなる。そう思って支援活動を続けています。また、支援や寄付を行った際には、しっかりと公言することも大切にしています。そうすることで、自分のファンをはじめとして、より多くの人に、助けを必要としている人がいることを知ってもらえて、支援の輪が広がるきっかけになるんです」と語った。
他にも、ソーシャルメディアやAIなどのテクノロジーとの上手な付き合い方については、YOSHIKIも先日発表した革新的ファンコミュニティ「YOSHIKI+」でのAI開発について言及するなど、日頃から注視している部分であり、活発な議論が展開された。YOSHIKIは、「若いファンの方から、SNSやファンレターを通じて、大変な経験をしているというメッセージが来ることもあります。時には、僕自身もソーシャルメディアによって心がズタズタになってしまうこともあり、思わず共感してしまう時があります」と語った。
マーシー医師は、現在の若者の状況を「若い子はネガティブニュースにおぼれていて、未来に希望はないと思うようになってしまっています。アメリカでも若者の自殺率は急増していて、孤立感やネガティブなニュースも大きく影響しているとされています。これからは、テクノロジーに触れない時間を増やし、直接人と顔を合わせて関わることの大事さを改めて理解しないといけません。1日15分だけでも自分にとって大事と感じる人と話す、そういう機会を作っていくべきだと私は考えています」と説明した。
それに合わせ、YOSHIKIもソーシャルメディアに関する自身の経験からの考えを明かした。「僕もSNSで誹謗中傷を受け、ひどく傷ついたことがあります。全体からすれば、誹謗中傷は数%だと思いますが、それを無視することはできません。そこが、まさにソーシャルメディアの闇の面で、数は少なくともそちらの部分を見てしまうと、自分が闇に支配されるような感覚になります。ただ、SNSには明るい部分もあることも実感しています。以前母を亡くした時に、SNS上で何百万ものメッセージをもらいました。驚きも大きかったですが、愛に溢れていて、それが支えになってくれたことは忘れられません」
さらに、対談の終盤には、人間関係や愛の話へ。「自分は末期の患者さんを担当したことがありますが、人生の終わりが近い人ほど、お金やモノの話ではなく、人間関係の話をします。人生で最も大事なことは愛なのです」とマーシー医師が話すと、YOSHIKIは永遠の愛をテーマにした楽曲「Forever Love」のピアノ演奏を披露。マーシー医師は「メロディから真の愛を感じました。電話で大丈夫かと声をかけるのと、美しい音楽を作ることは同じヒーリング効果があると思っています。まさにYOSHIKIさんは“ヒーラー”です」と、感極まった様子で、YOSHIKIへ賛辞を贈った。
最後にマーシー医師よりYOSHIKIへ「“希望”について話したい。YOSHIKIに希望を与えるものは?」と質問が飛んだ。それに対しYOSHIKIは、「とにかくあらゆる瞬間に感謝しています。今この世界に生きているというだけで、すでに恵まれている。何度も言いますが、愛こそが大事だなと感じています。AIの話題が多い中でも、人間の凄さ、愛の凄さを証明していきたい。義務ではないですが、自分の行動がなんらかの影響を与えることができるのなら、可能な限り力を使おうと思います。世界がより良い場所になればと」と答え、「不可能はない、なんだって可能だと思う。それこそが僕の座右の銘で、その姿勢が人を助けることにつながると思っています」と対談を締め括った。