(C)Animelo Summer Live 2024
■2024.9.1『Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-』DAY3@さいたまスーパーアリーナ
2024年8月30日(金)から9月1日(日)の3日間に渡り、『Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-』が開催された。今年は台風の影響で一時は開催も危惧されたが、今回レポートするDAY3ではそんな台風も消滅し、熱帯低気圧へと姿を変えた。そんな台風を弾きとばすくらいの熱気の渦の中心は、もちろんさいたまスーパーアリーナだ。今年のテーマである「Stargazer」とは“星を見る者”の意味だが、約6時間にも渡り、ステージへ熱視線を送りつづけた我々も、さながら“アニサマの観測者”と言えよう。次元や世代を超えて愛され続けるアニソンと、それらを紡いでいくことで生まれるドラマがここにはある。刮目せよ、これがアニサマに刻まれた、新たな歴史の1ページである。
今年もアニサマの季節がやってきた。開演前の場内は恒例の「We Will Rock You」(QUEEN)に乗せて、観客たちの高まるボルテージを映し出していた。「台風に勝ったぞ! アニサマ!」や「友からの魂、預かった!」など、各々がフリップに思いの丈を乗せてカメラにアピールする。計画運休の影響で東海道新幹線は一部区間で運行を取りやめていたし、きっと断腸の思いで来ることを諦めた友人がいたのだろう。台風は消え去ったが、その影響が全くなかったというわけではない。その分アツい思いを持って集った客席の熱量が、例年以上にむき出しになっているように感じた。
B小町 (C)Animelo Summer Live 2024 (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
3日目のトップバッターを務めたのは、第2期が好評放送中のTVアニメ『【推しの子】』より、B小町の3人(星野ルビー役の伊駒ゆりえ、有馬かな役の潘めぐみ、MEMちょ役の大久保瑠美)。期待やプレッシャーを引き受ける役目になったと思うが、結果的にB小町以外は考えられない最高のトップバッターを演じてくれた。1期11話挿入歌の「STAR☆T☆RAIN -New Arrange Ver.-」、そして「サインはB -New Arrange Ver.-」を披露し、アニメのライブパートさながらのステージが繰り広げられた。1組目から早速、特効の火花が飛び散るアツいライブとなったが、客席も負けじと1曲目からコール&レスポンスも完璧で、誇張抜きにさいたまスーパーアリーナが揺れていた。「完璧で究極なアイドル」とはまさにこのこと。圧巻のパフォーマンスに引っ張られる形でDAY3は加速していく。
アイドルマスター シャイニーカラーズ (C)Animelo Summer Live 2024
続いては10月から2期のTV放送も開始する『アイドルマスター シャイニーカラーズ』より、イルミネーションスターズ、アルストロメリア、ノクチルの3ユニットが登場。まずはイルミネーションスターズの「ヒカリのdestination」とアルストロメリアの「アルストロメリア」の2曲をメドレー形式で披露すると、ノクチルが「いつだって僕らは」で続いた。「ツバサグラビティ」では、イルミネーションスターズとアルストロメリアの2組がトロッコでアリーナへ飛び出し、ステージでノクチルも合流。櫻木真乃役の関根瞳の「皆様のおかげでアニサマに来ることができました!」を皮切りに、各ユニットのキャストからひと言ずつ挨拶が交わされる。最後に「これからも283プロのみんなで頑張ります!」とシャイニーカラーズ全員で歌う「Spread the Wings!!」を披露し、10月へ向けて、その翼を大きく広げた。
邪神★ガールズ 生贄SUMMER with 邪神ちゃんインパクト (C)Animelo Summer Live 2024
続いてはTVアニメ『邪神ちゃんドロップキック』より、邪神★ガールズ 生贄SUMMERとして、ペルセポネ2世(CV.飯田里穂)の出演は叶わなかったが、邪神ちゃん(CV.鈴木愛奈)、花園ゆりね(CV.大森日雅)、メデューサ(CV.久保田未夢)、ミノス(CV.小見川千明)、ぺこら(CV.小坂井祐莉絵)、ぽぽろん(CV.佐々木李子)、リエール(CV.花井美春)ら7名が参戦。浴衣姿で登場すると、早速「あの娘にドロップキック」で激しい“ですのコール”が沸き起こる。「オッスメッス! 邪神ちゃんがアニサマに降臨したですの~」と早速ハイテンションな挨拶をしている最中も、ずっと誰かしらが喋っているし、邪神ちゃんのしっぽは落ちてるし、どこへ目を向ければ良いのか、カオスな邪神ちゃんワールドが繰り広げられる。これまた急にイントロが流れ出すと「千歳が産んだ民謡姉妹」の前口上とともに「CHI☆TO☆SE愛歌」を歌い出し、他のメンバーは後ろでパンの耳をかじったり、スマホを取り出し自撮りしたり、ワンカップで酒盛り(中身は水)を始めながらも、鈴木・花井姉妹は流石の歌唱力だし、本当に情報が処理しきれない。最後は邪神コラボということで、 TVアニメ『這いよれ!ニャル子さん』からニャル子が登場するサプライズから「太陽曰く燃えよカオス」をカヴァーし、嵐のように去っていったのだった。
蒼井翔太 (C)Animelo Summer Live 2024
蒼井翔太は「絶世スターゲイト」、「EVOLVE」の2曲を披露。ジャケットがはだけるくらいの激しいパフォーマンスを見せてくれたが、「皆さんの熱気がすごすぎて、前半にも関わらず、吸う空気がないです!」とMCでも盛り上げてくれる。「自分の初アニサマが2015年ということで、来年また出られたら個人的にはアニサマ10周年! ってことで皆にお祝いしてもらえるのかな……?」と匂わせ発言に「また勝手なこと言ったらあとで怒られる!」とセルフツッコミ。また今年のテーマにちなみ「僕らが見上げる夜空の星の輝きは、星が砕けた時に発する光なんですって。僕たちも、毎日を悔しい想いやツラい想いして砕けながらも乗り越えてきた分、最高に輝けると思います。進化した明日へ歩き出しましょう。」とアニサマに向けたアツい想いを語ってくれた。
亜咲花 (C)Animelo Summer Live 2024
続いては亜咲花が、焚き火台の前に椅子を出して、引き連れたTRUEとバンドメンバーら焚き火を囲むように「Sp Precious」を歌い出す。TRUEがルミカ大閃光を熾火に見立てて折っては放り投げる様子が印象的だった。「アニサマに咲く花、亜咲花です! 2年ぶりに帰ってきました~!」と会釈をし、「憧れだったアニサマに今はこうして出演して、アニサマをキッカケにたくさんの夢を叶えてきました。これからは夢をもらうだけではなく、夢を与えるアーティストにならねば!アニソン歌手の魂がこもったステージをお見せしたい!」と意気込み、そしてStargazerにちなんで「本来、出演するはずだったアニサマ2020で歌う予定だったこの曲を歌いたいと思います。」と TVアニメ『ISLAND』EDテーマ「Eternal Star」を披露。最後はポンチョを脱ぐと、この日の為に10kg減量したというへそ出し衣装で「わやわやわー!」を歌い上げ、アニサマへの愛を声を大にして叫んだ。
内田雄馬 (C)Animelo Summer Live 2024
続く内田雄馬は「Hope」、「Over」の2曲を披露した。彼の魅力は歌声もさることながら、やはり大振りのダンスやボディランゲージだろう。大きなステージをもろともせず、乗りこなしてく。壮大なレーザーの激しい点滅も味方につけて、広い会場を包み込み、鮮やかに塗り替えていく。内田雄馬はアリーナクラスのアーティストなんだと改めて身に染みて感じる。
鈴木愛奈 (C)Animelo Summer Live 2024
続いては鈴木愛奈がソロで登場し、 TVアニメ『邪神ちゃんドロップキック【世紀末編】』OPテーマの「Apocalypse Day」を披露。「先ほどは邪神ちゃんでお世話になりましたけど、今度はただの鈴木愛奈です(笑)。次は真逆な曲になるので、寒暖差で風邪引かないでくださいね!」と、TVアニメ『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』OP主題歌「果てのない旅」でアーティスト・鈴木愛奈の懐の深さを感じさせた。
ZAQ (C)Animelo Summer Live 2024
前半戦も折り返しを過ぎ、メインステージ中央にはいつの間にかピアノが鎮座し、ZAQが「カーストルーム」を弾き語る。「どうですか?実力至上主義、感じました?」と、直前に4期の制作決定も発表された、 TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』の世界観をなぞらえたパフォーマンスを展開。「アニサマ仕様の最終特別授業を開始します」と紹介した「マイナーピース」では、スペシャルコラボで東山奈央とSHIN(MADKID) をバックダンサーに従えての超豪華なパフォーマンス。SHINによる振り付けはタットやロッキンなど、複雑で激しい。東山はこの日の為のダンスの振り入れは2ヶ月にも及んだという。この2人を歌わせないという贅沢すぎるコラボレーション。
ZAQ feat. 東山奈央&SHIN(MADKID) (C)Animelo Summer Live 2024
北宇治カルテット (C)Animelo Summer Live 2024
そして前半戦ラストを担当したのは北宇治カルテット。北宇治高校の制服を着た4人が姿を表すと1期ED主題歌「トゥッティ!」を披露。久美子と麗奈がずっと手を握り合っている姿が印象的だったし、緑輝と葉月は跳ねるように歌っている姿は、まさにEDそのまま。彼女らの楽曲は1期から3期まで3曲とも全て、先ほど出演していたZAQが作詞作曲を手がけていることを挙げ「(ZAQは)北宇治カルテットのママだよね。」と紹介し、そんなZAQも続く「音色の彼方」では、ピアノで参加。ここでバックバンドの皆さんの譜面台に、北宇治が使ってる譜面隠しが使われている事に気付く。芸の細かさが嬉しい。
「アニサマってなんだか不思議ですよね。たった3日間のために、たくさんのスタッフや、アーティストがたくさんの時間をかけて準備をして。これってなんだか吹奏楽に似てる!私は吹奏楽が好きで、北宇治が好きで、アニサマが大好きです!」とコメントする久美子は、まるで部員たちの前で激励する部長みたいでなんだか頼もしい。
TRUE×北宇治カルテット (C)Animelo Summer Live 2024
さらにここでTRUEが加わり「DREAM SOLISTER」と「ReCoda」をコラボで披露した。最後に「私が「北宇治ファイトー」と言ったらオー!でお願いします!」と久美子の号令に合わせて声を出す。
またTRUEからも「『響け!ユーフォニアム』と歩んできて10年間。私が初めてアニサマに出させて頂いた時に歌ったのもDREAM SOLISTERでした。そして今日歌ったReCodaは私にとってひととせの詩です。めぐる春夏秋冬のように、私達の青春は、音楽は、決して鳴り止まない。これからも『響け!ユーフォニアム』の音楽を愛してください。」とアツいメッセージを共に、前半戦を締めくくった。
ブレイバーン(CV.鈴村健一) (C)Animelo Summer Live 2024
イサミ・アオ(CV.鈴木崚汰)&ルイス・スミス(CV.阿座上洋平) (C)Animelo Summer Live 2024
アニサマ後半戦は「待たせたなアニサマ! 私の中に早く乗るんだ!」のセリフと共に、鈴村健一とブレイバーンが登場し「ババーンと推参! バーンブレイバーン」を歌い上げた。ブレイバーンの口が動くことを紹介すると、後ろに隠れて「一緒に必殺技を叫んでくれてありがとう!」と即興のアテレコが始まる。そして「みんなで一緒に叫ぼう! イサミー! アンド、スミスー!」と、イサミ・アオ(CV.鈴木崚汰)とルイス・スミス(CV.阿座上洋平)を呼び込み「双炎の肖像」を披露。EDの映像ではイサミとスミスは上裸でアツく歌い上げている訳だが、そこは今を時めく若手声優の2人。さすがに服は着てたけど、何故かだんだん上裸に見えてきたぞ。それくらいアツいデュエット……と思っていたら本当に脱いだ!。この日のために2人とも身体を鍛えて絞ってきたとのこと。いやはや、後半戦も波乱の幕開けに場内は大興奮。
花澤香菜 (C)Animelo Summer Live 2024
桐崎千棘(CV.東山奈央)&小野寺小咲(CV.花澤香菜) (C)Animelo Summer Live 2024
続いては花澤香菜がTVアニメ『久保さんは僕を許さない』OPテーマ「ドラマチックじゃなくても」を披露。「裸の男性声優2人の後に登場ですが、このセットリスト最高ですね! 私も水着着てくればよかったかな(笑)」とコメント。「舞台裏で鈴村さんに「ウチの若いのが迷惑かけるけど、ゴメンね」と声をかけられたんですけど、私もブレイバーンに負けてられないので、コラボします!」と東山奈央を呼び込む。「この2人の並び、なんだかわかりますか……? せーの『ニセコイ』!」と、アニメ化から10周年のTVアニメ『ニセコイ』から「本命アンサー」をデュエット。2人でトロッコに乗って、最後に2人で大きなハートを作ると割れんばかりの拍手に包まれた。また今年のテーマにちなんだ楽曲ということで彼女のデビューシングルでもある「星空☆ディスティネーション」を披露した。彼女のライブは最後、アンコールでこの曲を歌う事が多いが、その際にはペンライトで星空を作るのがお決まりとなっている。国内でこの人数でディスティネーションしたのは初めてかもしれない。ライブの定番楽曲も、アニサマだから見れる新たな光景に出会えた事が嬉しい。
東山奈央 (C)Animelo Summer Live 2024
東山奈央 feat. うたごえはミルフィーユ (C)Animelo Summer Live 2024
ここまでZAQと花澤香菜と、コラボで大忙しだった東山奈央が、今度は青いドレスに着替えて登場し「イマココ」を披露した。「みんなの楽しそうな声が裏まで聞こえてきて、早く会いたかったです! もう9月だけどアニサマが終わらないと夏が終われないですよね!」とコメントし「初めてアニサマに立った時もこの曲で、この青い海があったのを思い出して、あの時の想いがブワーッと蘇ってきました。」と振り返る。
「続いては最新曲、地球上……いや宇宙でも誰も聞いたことない曲を初披露します!」と10月より放送予定のTVアニメ『星降る王国のニナ』でEDテーマを務める「星の伝言」を宇宙最速公開。来季のアニメだがガッツリ映像も出ていて、どんなアニメなのか? 気になるステージを作ってくれるのもアニサマならでは。また生バンドによる演奏もアニサマの特徴のひとつだが、ここでステージ上からアニサマバンドの面々が姿を消す。「ここからは東山奈央、アニサマ史上初の試みを任されました!」とアカペラユニット「うたごえはミルフィーユ」とのサプライズコラボで、カードキャプターさくらの「プラチナ」を披露した。前日のけやきひろばステージからの大躍進に驚かされつつも、最後は会場のみんなも巻き込んで合唱。アカペラならではのパフォーマンスで場内がひとつになった。
fripSide (C)Animelo Summer Live 2024
fripSide feat. Yoshino Nanjo (C)Animelo Summer Live 2024
「dawn of infinity」でfripSideが登場すると、八木沼から「全力で行くぞ! みんな聞いてくれ!!」と檄が飛ぶ。「Red Liberation」では、そんなfripSideの3人に応えるように声を上げてコール&レスポンスの応酬が繰り広げられた。かなりの声量だったと思ったが、このタイミングで南條愛乃も加わって披露した「Secret Operation」では「アニサマ! まだまだいけますか!」と彼女に言われたら、どこから出てるんだってぐらいに、更に声出ていて、ライブも終盤に差し掛かろうとしているのに、まだまだエネルギッシュな会場に驚かされる。
南條愛乃 (C)Animelo Summer Live 2024
ここでfripSideの3人がハケ、続けて南條愛乃ソロの流れになるのだが、ステージを後にする八木沼に「あ、どうもお久しぶりです。お気をつけて……。」と声をかける南條のゆる~い感じに、実家のような安心感を覚える。「アニサマ、もう何年ぶりかわからない! 最後に出演したのはfripSideとして出た2017年ぶりです。ソロは2015年ぶりだから、もう9年越しです! そんな私も御年40になりました。演奏は引き続きfripバンドの皆さんで……あ、どうも久しぶり!」と、自由すぎるトークの後にはグリザイアメドレーとして「サヨナラの惑星」「涙流るるまま」の2曲をしっとりと歌い上げた。
「もう一曲やりたいんですけど、盛り上がる曲やらないとみんな怒るでしょ? でもonly my railgunはやりません! だって卒業しちゃったもん……。」と最後は「閃 -Sen-」で締めくくった。「(fripSide)3期の子たちもカッコよかったでしょ?キレイなハモりとか、私には出来ないことをやってて……。ツアーも頑張ってるし、私の妹分みたいな感じなのでみんな応援してあげてね!よろしくね。」と、後輩たちのアシストもしっかり付け加えて、ステージを後にした。
TRUE (C)Animelo Summer Live 2024
続いてはステージ上のモニターにTVアニメ『杖と剣のウィストリア』の映像が映し出される。アコースティックギターをもったTRUEが登場し「フローズン」へ突入する演出には鳥肌が立ったし、「ブルーデイズ」への流れも非の打ち所がない。
「私にとって歌は生き様です。人生をかけて、作品に寄り添い、歌う。そして作品に恥じない自分でいること。それが私のアニソンシンガーとしての誇りです。みんな私の生き様、歌で盛り上がってくれましたか!」
常に第一線級で活躍をしている彼女だが、“アニソン”を舞台に選び、その最前線で戦い続ける理由と矜持がこのコメントに詰まっている。”歌で生きる”ってこんなにカッコいいんだと、痺れた。
茅原実里 (C)Animelo Summer Live 2024
青にワンポイント純白が入ったドレスを身にまとった茅原実里が登場し、聞こえてきた「純白サンクチュアリィ(Reincarnation ver.) 」イントロに驚嘆の声があちこちから上がる。そのままの流れで「境界の彼方」を歌い出すと、さすがに歓声が上がるが、その声もすぐに彼女の歌唱力の前に静まり、思わず聞き入ってしまう。
「アニサマ、5年ぶりに帰ってきましたー!」のひと言に「おかえりー!」と返すやりとりが温かい。「JAM Projectさん、水樹奈々さん、栗林みな実さん……偉大な先輩越しに見たアニサマの景色がとってもキレイなのを覚えてます。あの日私が見た光が絶えずに今日もあるから、アニサマの景色って唯一無二なんだなって思います! このステージを紡いでくれた人がいる。守り続けてくれた人がいるから、またこうやって茅原実里がステージに立つことができます。ありがとうございます!」と感謝を述べ「次の曲で最後になります」と、彼女のファンのとってはお馴染みの、例のマイクスタンドを取り出して「Paradise Lost」に突入。「一緒に燃え尽きようぜ!」の宣言通り、ラスサビはみんなで合唱し、5年ぶりのアニサマを全力で駆け抜けた。
ReoNa (C)Animelo Summer Live 2024
アニサマ2024、大トリを務めたのはReoNaだった。
スポットライトに照らし出されるは、アコースティックギターを携え、ひとり佇む彼女の姿。幾ばくかの静寂を破り「ピルグリム」そして「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」を披露した。
「毎年毎年みんなが待ってるこのアニサマを守ってくれてる人がいます。続けてくれている人がいます。そして何よりアニメが好きでアニソンが好きな貴方がいるから、私たちが今日ここにいます。」と、大トリとして、やはりアニサマへの想いを語らずにはいられない。
「アッツアツのバトンを受け取っちゃったので、ありったけの魂を……。貴方の魂を燃やして!」と、TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールOPテーマの「ANIMA」を披露。「魂の色は何色ですか…」アカペラから入り、楽曲終盤に向けてのラストスパート、バックバンドの演奏にも熱が入る。チョップするように鍵盤を叩き、魂を削るように身を捩りながら悲鳴にも似たギターの音色を響かせる。
「私の大好きな作品が10周年を迎えた時、この物語が終わらないでほしい、続いてほしい。そう願って作ったお歌を歌いたいと思います。終わりまで、果てまで、いつまでもこのアニサマが続きますように。」願いを込めて『ソードアート・オンライン』原作小説刊行10周年テーマソングの「Till the End」を披露する。
ReoNa (C)Animelo Summer Live 2024
絶望を歌うことを標榜とする彼女だが、果たして絶望の先には何があるのだろうか。
終わりの先に、何が見えるのだろうか。
2024年のアニサマをReoNaがトリを務めた。
いつまでもアニサマが続くようにと願いを込めた。
きっと人はどんな暗闇の中でも、今にも消えそうな星の光でも、たった一筋の希望があるのなら、それを欲してしまう生き物なのだろう。
最後にはコーラス隊も加わった大合唱は、まるでオーケストラのように重厚で荘厳で、堂々としたステージだったし、そんな“果ての先”を感じた。
最後は恒例のテーマソング「Stargazer」をアニサマ2024 DAY3の出演アーティスト全員で歌い上げて、ここまで実に約6時間、3日間で総勢60組170名のアーティストたちによる真夏のアニソンの祭典は幕を閉じた。
宇宙の果てなど、僕らには分からないけど、果ての先に何があるかなんて分からないけど、それでもアニソンの世界もこの宇宙のように膨張し続け、止まることを知らないことだけはわかる。アニソンはものすごい勢いで進化し続けている。初回から実に19年の歴史を持つアニサマを振り返るだけでも、その事実は明らかだ。2025年、20年目の節目を迎えるアニサマは、きっともっと進化したステージを見せてくれるはずだ。だから僕らはアニサマを観測する、Stargazerであり続けよう。
レポート・文:前田勇介