ブラジルの気鋭ジャズ音楽家 ダヴィ・フォンセカ、ニューアルバム配信開始&CDリリース

アーティスト

ミルトン・ナシメント、トニーニョ・オルタといった世界的な巨匠を筆頭に、近年ではアントニオ・ロウレイロやハファエル・マルチニといった、世界のジャズ・シーンと共振する才能を送り出してきたブラジル、ミナスジェライス州のジャズ/器楽音楽シーン。そのなかでネクスト・ブレイク必至と言われるのが、このダヴィ・フォンセカだ。

ロウレイロらも卒業したミナス連邦大学の作曲コースで学士号を取得すると、すぐに州都ベロオリゾンチのインディーシーンで特異な存在感を発揮。ハファエル・マルチニ、アレシャンドリ・アンドレス、ルイーザ・ブリーナといった地元ミナスのミュージシャンだけでなく、エルザ・ソアレス、レチエレス・レイチ、モニカ・サルマーゾ、ルエジ・ルナ、ペドロ・マルチンスといったブラジルを代表する新旧の音楽家達とも共演してきた。

2019年には1stアルバム「Piramba」をリリース。ミナスの新世代ミュージシャンらしい複雑なコンポジションと普遍的な歌が共存する内容で、ブラジル国内外で絶賛を浴びると、ここ日本でも輸入盤CDが異例のセールスを記録するなど、強烈にその名前を印象付けることに成功した。それ以来、約5年ぶりとなる新作が本作「Viseira」だ。

アルバムはベロオリゾンチで活躍する21名ものミュージシャンが参加、曲ごとに異なる編成で録音された。複雑なリズムやプロットが、普遍的なメロディーや音色と共存する楽曲は、歌と器楽、双方においてブラジル音楽の歴史と深いコネクションを持つフォンセカならでは。そこにシャンガイ、アルトゥール・パドゥア、イザー、ルイーザ・ブリーナといった、豊かな個性を持つゲストが彩を加えるという全8曲は、聴くものに新鮮な体験をもたらすことだろう。

なおアルバムの発売にあわせてインタビュー記事も公開。自身の音楽遍歴や本作収録曲の解説はもちろん、師であり友人でもあるハファエル・マルチニや、ゲスト参加したシャンガイ、そして本作制作において大きな示唆を与えたレチエレス・レイチやデコロナイゼーション(脱植民地化)といったテーマまで、アメリカやヨーロッパの最先端のジャズシーンとも共振するようなテーマを孕んだ、充実したインタビューとなっている。