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『涙 滲むのは心の本音です.』Release Tour 「僕らで時代を作ります。 〜これ”わや”じゃん〜」2024.09.29(sun) 渋谷Spotify O-EAST
『涙 滲むのは心の本音です.』リリースツアーの追加公演として9月29日(日)・渋谷Spotify O-EASTで開催されたワンマンライブ『僕らで時代を作ります。 〜これ“わや”じゃん〜』。精力的にライブを重ねている日々の中でますますパワーアップしたbokula.を感じることができた公演だった。その模様をレポートする。
えい(Gt&Vo) 、かじ(Gt)、さとぴー(Ba)、ふじいしゅんすけ(Dr)がステージに登場した時点で、既に演奏がスタートしているかのような手拍子、歓声、叫びで満たされたO-EAST。そしてオープニングを「2001」が飾ったことによって、熱気の限界突破がスタートした。掲げられた拳が激しく揺れるフロアの風景が美しい。続いて 「不完ロマンス」と「足りない二人」も連発されて、汗だくになった人々の身体から湯気が立ち上る。ライブを心待ちにしていたファンがたくさん集っていることを、序盤の3曲の時点で実感させられた。
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「最初に言っておく。どうもありがとう! ここはマジで憧れてた場所だったんです。ここに立つのを夢に見て……本当に夢に出てきたし。そのくらい大事な場所。今日はいろんな意味で誰も悲しまない、不幸にならない最高の1日。“bokula.は最高じゃん! bokula.が好きな人たちは最高じゃん!”って思える1日を作りに来ました」――えいのMCを挟みつつ、熱い曲がさらに届けられた。飛び跳ねながら頭上で激しくクラップする人が続発した「涙ばっかのヒロインさん」によって火がついた興奮状態が、「溢れる、溢れる」と 「ブルースカイ」によって一層の熱量を帯びていく。そんなタイミングで短い尺を一気に駆け抜ける必殺チューン「満月じゃん。」へと雪崩れ込んだら、フロアは沸騰した鍋のようになるしかない。小休止を迎えた時、「これがライブで、あるべきフロアだと思います」とえいが言っていた。本当にその通り。ライブの楽しさを理想的な形で具現化した空間が広がっていた。
アッパーな曲が続いた前半で会場内のムードを瑞々しいものに転じたのが、穏やかなビート、哀愁が滲むメロディが響き渡った「最愛のゆくえ.」。えいのギターと歌から始まり、かじ、さとぴー、しゅんすけの演奏が合流した瞬間に美しいアンサンブルが構築された「ルーツ&ワープ」。透明感に満ちたサウンドを、観客がじっくりと受け止めていた「マリーユース」……bokula.の音楽の多彩さを示す歌と演奏が続いた。
えい
かじ
「俺、緊張しとると毎回さとぴーに心臓に手を当ててもらう」――かじの可愛らしい発言が、「カップルか!」という総ツッコミを受けていたMCタイム。演奏中は圧倒的にかっこいいが、トークを始めると親しみやすいお兄ちゃんに戻る4人であることを再確認したひと時を経て、ライブは後半へと突入していった。大合唱を巻き起こした「夏の迷惑」。酩酊感を誘う妖しいエネルギーの塊「怪火」。シャープなビートが刻まれまくった「青くね」、「若者が全て.」「アブノーマル」「いつ失ってもいいように.」「バイマイフレンド」が届けられてから迎えたMCタイム。楽しんでくれている観客に対する感謝を「ありがとう」以外で言い表すにはどうしたらいいのか、えいは一生懸命に言葉を探していた。「本当に君たちはすごいね。かっこいいと思います。いろんな音楽の文化がある中で、毒を吐いて戦う文化が大嫌いです。だから俺たちはこのスタイルを変えるつもりはありません。俺たちはもともとこういう音楽をやりたかった。こういうフロアを作りたかった。こういうライブハウスを作りたかった。今日君たちと俺たちが証明しました!」と語った後、年明けの1月から全国9ヶ所を巡る全国ツアーが開催される旨が発表された。そしてライブ本編は、いよいよクライマックスへ突入。フロアから届けられた大合唱をメンバーたちが心底嬉しそうに浴びていた「愛してやまない一生を.」。激しい手拍子とクラウドサーフの続発が凄まじいことになっていた「群青謳歌」。4人のユニゾンの歌、えい、かじによるギターソロも交えながら怒涛の展開を重ねた「こんな僕ですが、何卒」……燃え上がるかのように本編は締め括られた。
さとぴー
ふじいしゅんすけ
「バイマイフレンド」を元気いっぱいに歌い続ける観客の声と手拍子に応えたアンコール。さとぴー、しゅんすけによるグッズ紹介の後、「楽しかったじゃん? みんなには申し訳ないけど」と言い、缶ビールを開けて飲み干したえいは、先ほどの全国ツアーの発表に続く新たな告知をしてくれた。「ツアーがあるということは、リリースもありまして。今日の24時に新曲が出ます! とてもハッピーな曲です。サビが覚えやすいよ」。そして早速披露された「ハートにハグしよう」。穏やかな手拍子を誘うこの曲は、今後のライブでも楽しくなりそうだ。そして、アンコールの2曲目「愛すべきミュージック」は、強烈だった。フロア最前の柵とステージの間の空間に降り立ったえいは、激しく動き回りながら全力で熱唱。観客の昂る心にさらに火を点けていた。
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爆音が轟きまくった「高鳴り」が本来はラストの曲だったようだが、「まだお前ら、何か足りないという顔してる。これがないと締め括れないでしょ?」という言葉を合図に投下されたのは、本編でもとんでもない盛り上がりを生んでいた「満月じゃん。」。演奏が幕切れた後も、まだ嵐が続いているかのようなゾワゾワとした余韻が場内に漂っていた。
終演後、「このスマホ、誰の?」「靴脱げたの誰?」というような感じで、何人もの観客がフロアで見つけた落とし物を掲げていたのが思い出される。ライブが終わってからも助け合う姿は、心温まるものがあった。告知があった通り、年明けの1月から2月にかけて全国9ヶ所を巡る『RE:セイテンノヘキレキツアー』が開催される。対バンを迎える2マン公演を経て、ファイナルのZepp Shinjukuはワンマンライブ。えいは「あるべきフロア」とMCで言っていたが、理想的な空間は着々と広がっている。演奏の熱量を高めつつ、自由で伸び伸びとした雰囲気にも満ちている最近のbokula.は頼もしい。今後も新しいファンとの出会いを重ねていくだろう。
取材・文=田中大 撮影=タカギユウスケ
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