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そらるが原点回帰のボカロ曲カバーライブを初開催 バースデーライブ「前編 宵神楽」&「後編 明神楽」をレポート

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そらる

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SORARU Birthday 2024 VOCALOID Cover Live -空祭り- 「前編 宵神楽」「後編 明神楽」
2024.11.2-3 幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

忘れられないこと。忘れたくないこと。忘れてはいけないこと。ここまで歌とともに生きてきた自身にとっての原点がそもそも一体どこにあるのか?ということを、今そらるはこの機にしっかりと確かめておきたかったのかもしれない。

このたび、千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて11月2日に『SORARU Birthday 2024 VOCALOID Cover Live -空祭り-「前編 宵神楽」』、そして11月3日には『SORARU Birthday 2024 VOCALOID Cover Live -空祭り-「後編 明神楽」』と題されて行われたのは、まさにこのタイトルどおりな“そらるの誕生日”を祝うライブにして、ボカロ曲カバーをコンセプトとしたライブだった。

「今回のライブは珍しくというか、そらるとして初のボカロ曲カバーライブということでね。1日目に関してはここまで歌ってきた曲たちの中でも、わりと古い方の10年前とか10数年前の曲もいろいろセトリに入れてるんですが、けっこう歌としては難しい曲が多かったりするんですよ。さっき歌った「カゲロウデイズ」(by じん/2011年10月投稿)も、かなりキーが高いし歌詞の文字数も詰まってるから、あれは投稿する時にも歌うのがほんと大変でした(苦笑)。だから、当時はどうしてもライブでたくさんやるぞ!という感じにはなれなかったんです。でも、自分にとってはひとつの分岐点になったような曲でもあったし、今回はボカロ曲カバーライブとした以上そこは避けて通れぬなと思い、歌うことにしました。ほかにも今日はライブで初めて歌うような曲もありますが、みなさん最後まで楽しんでいってください」

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2008年からニコニコ動画で投稿活動を始めたそらるは、今や16年ものキャリアを持つボーカリストだ。今回のライブでは彼がこれまでに歌ってきたボカロ曲たちを時系列に沿い前期と後期に分け、2日分のセットリストを構成したそうだ。ちなみに、第1夜の1曲目に選ばれていたのは「愛迷エレジー」(by DECO*27/2011年2月投稿)で、時期的にはかなり初期の曲となる「from Y to Y」(by ジミーサムP/2009年6月投稿)などもまじえつつ、そらるは多彩な楽曲たちをこの場で歌っていくことになった。

また、この日の本編後半では「いーあるふぁんくらぶ」(by みきとP/2012年9月投稿)と「メランコリック」(by Junky/2012年3月投稿)で、高いところが苦手であるはずのそらるが、トロッコに乗って幕張メッセ国際展示場9-11ホール内をぐるりと1周するファンサも実現。場内がここで沸きに沸いたのは言うまでもない。

「今日の曲たちは10年以上歌っていなかったものもあるんだけど、そのぶん歌っていると当時の思い出が甦ってきたりとかしますね。どの曲も当時の自分が好きで歌ってたものだし、歌わされた曲なんて1曲もないです。振り返ってみると、昔は今みたいにCDを出してライブをやるということがあたりまえの時代じゃありませんでした。だから、動画投稿とか好きなことをして生計を立てていくなんていう風には全然考えてなくて。まぁ、いろいろ大変だったし不安も多かったけど、今日はそういう時代を振り返りながら新鮮な気持ちでそれぞれの曲を歌うことができています」

そらる

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このように語ったそらるが、当夜の本編ラストで歌いあげたのは「敗北の少年」(by kemu /2013年5月投稿)。また、アンコールでは最新シングル曲「ツギハギの翼」(アニメ『2.5次元の誘惑』OP)と、かねてからそらるがリスペクトしていた堀江晶太が作曲、そらるが作詞をしたオリジナル楽曲「オーロラ」で『SORARU Birthday 2024 VOCALOID Cover Live -空祭り-「前編 宵神楽」』は無事完結。

いよいよそらるが誕生日の当日を迎えた11月3日の『SORARU Birthday 2024 VOCALOID Cover Live -空祭り-「後編 明神楽」』は、アッパーなダンスチューン「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」(by すりぃ/2020年1月投稿)から幕開けし、幕張メッセの場内は冒頭から熱を帯びていくことに。

「ようこそ空祭りへ! みなさんのおかげで、無事また年を取ることができました。ありがとうございます! 昨日は疲れてたのか、ホテルに着いて特に発信もせず普通に速攻で寝ちゃったんですが(笑)、そのぶん元気はためてきました。今日もみんなと一緒に楽しみながら、最高の日に出来たらと思います!」

「ゴーストルール」(by DECO*27/2016年1月投稿)のようなダイナミックな曲も歌いこなしてみせる反面、じっくりと繊細に聴かせる「いかないで」(by 想太/2015年2月投稿)などでは説得力のあるボーカリゼイションも展開していったそらる。そこには、この16年ずっと第一線で活躍してきた表現者としての貫録が漂っていたように思う。

そらる

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「今回のライブはちょっと珍しいコンセプトというか、僕にとって初めてのボカロ曲だけのカバーライブです。最近はオリジナルの曲もいっぱい出したり、ユニットの方もあったりで、ボカロ曲を歌う機会が減っていたと思うんですよ。ただ、もともと自分はボカロ曲のカバーから活動を始めたわけなので、今回は敢えてこういうライブをやることにしました。あと、実は5年前にもここでワンマンライブをやったんですけどね。何か5年前と変わったことあるのかな? まぁ、みんなも僕と一緒に5年分の年は取ってきてると思いますが(笑)、わりと男の子が増えたかもしれないね。あと、年齢層がちっちゃい子から年配の方まで前より拡がった気がします」

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確かに、この日も前日も幕張メッセの場内には幅広いユーザー層が詰めかけていた印象で、そらるはその全ての人々を目一杯に楽しませるようなパフォーマンスをこころがけていたようだ。よって、第2夜も彼は「前よりは苦手じゃなくなった」というトロッコに乗り込み「ベノム」(by かいりきベア/2020年9月投稿)と「幽霊東京」(by Ayase/2020年3月投稿)を歌いながら、場内すみずみにまでその歌と笑顔を届けていった場面がなんとも頼もしかった。

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「もっとやりたかった曲、やれてない曲が実はまだたくさんあるんですよね。だから、またいつか機会があればこういうボカロカバーライブのVol.2をやれたらいいなと思ってるんで、その時はみなさん良かったらまた来てください」

そう述べてから「サマータイムレコード」(by じん/2015年8月投稿)と「玲瓏流星群」(by YASIHIRO/2017年5月投稿)を歌って第2夜の本編を締めくくったそらるだが、なんとこのあとのアンコールでは2025年2月12日に2年ぶりの6thソロアルバム『ユメトキ』がリリースされるとの情報が告知解禁され、5月にはレコ発ツアーが東名阪で開催されることも発表。観衆が一斉に喜びの声をあげたのは当然のことだったろう。

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「どんな内容のアルバムになっているのか、『ユメトキ』というタイトルにはどんな意味があるのか、来年2月の発売日をぜひ楽しみに待っていてください。ちなみに、プロデュースは全曲とも堀江晶太さんにしていただいてます。ほんと全部いい曲だから、まじで早く聴かせたい! あと、詞は全曲僕が書いてるんですよ。つまり、ここから先はまたライブでもしばらくオリジナルが中心になっていくっていうことなので、昔の曲をやることはどうしても減っていくと思うんです。それもあって、今回こういうカバーライブをやったっていうのもあります。と同時に、こうして来年に向けた発表をここでした以上もう退くに退けないので(笑)、あとは自分を追い込んでいけたらなと思ってます!」

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なお、この宣言のあとの記念撮影タイミングではサプライズ的にバースデーケーキがステージ上に登場し、場内からは「ハッピーバースデートゥーユー♪」の大きな歌声が湧きあがる一幕も勃発。そらるはフォークも使わずダイレクトでケーキにかじりつき、意外なわんぱくぶりを見せていたこともここに付記しておこう(笑)。

「今年もみなさまのおかげで素晴らしい誕生日を迎えることが出来ました。ありがとうございます! これでもう思い残すことはないので、最後にもう1曲「オーロラ」を歌ってお別れしたいと思います。でも、今日は次の予定もいろいろと伝えられたのでそんなに寂しくはないよね。アルバムの発売まで、みんなが退屈しないように動画を発表したりとかも考えているので、それも楽しみにしていてください!」

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歌とともに生きてきたそらるにとっての忘れられないこと、忘れたくないこと、忘れてはいけないことたち。それをこの機にあらためて踏まえることができたという事実は、これからの彼にとって必ずやプラスにはたらいていくものと確信する。ゆるがぬ原点から生まれていく未来は、さぞかし輝かしいものとなっていくに違いない。

文=杉江由紀
撮影=笠原 千聖、加藤 千絵

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