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YUTORI-SEDAIが新たなフェーズへ、3rdワンマン『on your mark』で伝えた特別な想い

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3rd one man live 「on your mark」2024.11.8(FRI)Spotify O-WEST

YUTORI-SEDAIが『3rd one man live 「on your mark」』を11月8日(金)に東京・Spotify O-WESTで開催した。1stワンマンの会場は下北沢SHELTER、2ndワンマンの会場は渋谷WWW、今回はO-WESTと着実にステップアップしているYUTORI-SEDAI。3度のワンマンを重ねるうちにちょうど1年経ったが、金原遼希(Vo.Gt)、上原駿(Ba)、櫻井直道(Dr)は1年前よりも随分頼もしくなった。

SEが終わったと同時に3人でジャーンと音を鳴らすと、そのまま1曲目のイントロへ。「俺たちとあなたでYUTORI-SEDAIです。よろしくお願いします。掛け声ちょうだい!」。そんな金原の言葉とともに始まったのは「23×3」で、さらに「ぎゅっとして、」が続いた。エネルギッシュなバンドの演奏に、観客は拳を上げたり声を出したりして反応。曲中フロアに言葉を投げかけ、オーディエンスを引っ張っていこうとする金原の振る舞いからは、フロントマンとしての意識の変化が感じられた。例えば3曲目の「恋しちゃったんだ」では「100%じゃない、120%でお願いします!」と言いながら、コール&レスポンスを主導している。一方ギターソロでは、センターのお立ち台へと駆け出し、楽器好き少年としての笑顔を覗かせながら、思いっきりギターを掻き鳴らしていた。弾む足取りを連想させる軽快なベースライン。バンドの熱源として存在するドラム。そしてフロアからのレスポンス。全てが絡み合ってYUTORI-SEDAIの音楽を構成する要素だ。

「本日11月8日、イオントップバリュCMソングにもなっている新曲リリースしました!」と伝えるMCも、直後に披露されたその新曲「ずっとそばに」も熱量が高く、演奏からは3人の気合い、このライブに懸ける強い想いが伝わってくる。金原が「ガンガン行きます!」と告げれば、上原が重心低く刻むベースライン、そして金原のギターリフから「サマートリガー」へ。逸る気持ちを抑えきれずに溢れさせるバンド&オーディエンスの心そのもののようなアンサンブルが疾走する中、ステージ最後方から鋭いドラムフィルが飛んできてはキラッと輝く。ロックバンドとして汗をかくことを純粋に楽しむ3人の姿はどこまでも眩しかった。

一転、雨降りの空が思い浮かぶ新曲、「大切な人に向けて、愛を贈ります」という言葉が添えられたバラード「幸せにしたいんだ」によって場の空気が変わる。特に「幸せにしたいんだ」は、ボーカリストとして限界の先に行こうと声を張る金原のボーカルと、彼と心をともにする上原&櫻井が織り成すサウンドに胸打たれた。そしてこちらも新曲。連絡を待つ女性の心理を絶妙な表現で表したバラード「私だって」は、ライブで歌いたいとずっと思っていたのだという。直後のMCでは“キンちゃん(金原)の曲の大大大大ファン”を自称する上原がこの曲について、「今回の新曲は今まで以上に衝撃を受けた」と言っていた。個人的には超同意。いつかぜひ音源化してもらいたい。

1stワンマンでも2ndワンマンでも、YUTORI-SEDAIは新曲を欠かさずに披露してきた。なぜかというと、いつも支えてくれているファンの気持ちに音楽で応えたいと思っているからだ。金原はバンドの楽しさも難しさも経験したこの1年を振り返りながら、「常にポジティブな言葉を掛けてくれたり、こうしてライブに足を運んでくれたり、全てに支えられてます。だからできる限り返していきたいと、いつも思ってます」と語った。

ここからは先ほどとは真逆のアプローチ。「陽炎」や「憧れ」といった結成初期の曲を、今の3人の手で鳴らしていく。「憧れ」の曲中では金原が〈今日このO-WESTに来たあなたの何かを変えたい〉と歌詞を変え、10代の頃書いた曲にリアルタイムの想いを重ねていく。「いつもな“好きなものや人を思い浮かべて”って言うけど、今日はYUTORI-SEDAIのことだけを考えて歌ってほしい」「100でも120でもなく、150%で!」。そんな言葉とともに突入した「すき。」でフロアから特大の〈好き 好き〉が返ってくると、メンバーは満面の笑み。金原は「500万点!」と観客に伝えた。ライブ冒頭で言っていた「俺たちとあなたでYUTORI-SEDAI」というフレーズを地で行く盛り上がりの中、「アイラブユーベイビー」そして「足りないくらいがちょうどいい」によって本編は終了。4つ打ちのビートに乗せてタオル回しをしながら飛び跳ねていた観客は、興奮とともにアンコールの手拍子を始めた。

ファンに呼ばれて再登場したメンバーは、「この3人で活動を始めて約4年間、いろいろなことがあったね」「うん、めっちゃいろいろあったよ」と話し始める。金原は「この3人でやってこれたことがめちゃくちゃ嬉しい。それ以上にあなたがいてくれることに、きっとあなたが思っている以上に感謝しています。立ち上がらなきゃ、走り出そうと思う理由は、いつもあなたでした。応援してくれたり、僕たちの音楽を信じてくれたりする人が少しずつ増えてきて今があると思います」とファンへの感謝を言葉にしたあと、「今日ここに来てくれた特別なあなたに、伝えたいことがあります」と今後の活動にまつわる重大な発表を行ったのだった(詳細は後日バンドより正式にアナウンスされる)。この日のライブのタイトル『on your mark』(=位置について)からは“ここからがスタートだ”というニュアンスが感じられた。そう、YUTORI-SEDAIは今、次のフェーズに入ろうとしているのだ。

「この先も不安はたくさんあるけど、それ以上に応援してくれる人、信じてくれている人が声を掛けてもらえたら全力で応えたい。それが使命だと本気で思っているし、あなたの気持ちに応えるために音楽をやっていると言っても過言ではないです。(中略)自分たちが思っている音楽をひたむきに、ただただあなたに届けたいと思っているので、どうかこれからもYUTORI-SEDAIをよろしくお願いします」

新たな決意を語ったあとに披露されたのは、この3人で初めて作ったEPに収録されている曲「君と音楽」だ。楽曲の終盤では金原が声のボリュームを上げ、〈いつか大きな歓声の中/歌って叫んで笑っているだろう/その時は君も笑ってほしいな/遠くなっても 会えなくなっても〉という歌詞を強調する。バンドが大きくなっても、ずっとあなたを想っていると伝えたかったのだろう。

「ちょっと、もう1曲やっていいですか? 最後、笑って終わりたいなと思って」と急遽演奏された、この日2度目の「23×3」でライブは終了。愛をもらい、愛を渡し、“あなた”との絆を確かめたYUTORI-SEDAIは、ここからまた歩みを進めていく。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=白石達也

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