IL DIVOに始まり、日本でもLE VELVETSやTHE LEGENDなど多くのフォロワーを生んできたクラシカル・クロスオーヴァーの男性ヴォーカル・ユニット。メルビッシュ湖上音楽祭やドイツ44カ所のオペレッタツアーに参加するなど国際的なキャリアを歩むテノールの高島健一郎をリーダーとして、東京芸術大学を卒業した同門の声楽家たち4人が集まって結成されたのが、REAL TRAUM(リアル・トラウム)である。ドイツ語で「正夢・夢を実現する」といった意味のグループ名通りに、彼らは、次なる夢の舞台としてBunkamuraオーチャードホールでの公演を発表した。Bunkamuraオーチャードホールへの道程についてのインタビューシリーズの特別第6弾として、想定外のアーティストのインタビューが飛び込んできた。YouTuberピアニストとしてシーンを席捲している、Budoである。
先日BSフジでオンエアされたリアル・トラウムの特別番組『REAL TRAUM~オーチャードホールへの道』で、ナレーションを担当した彼が、なんとリアル・トラウムのオーチャードホールの公演に友情出演することが発表されたのだ。
――ナレーション起用からのオーチャードホール公演への友情出演発表となりましたが、リアル・トラウムの皆さんとはどんなご縁だったのでしょうか?
実はエージェントが同じ会社だということもあって、昨年夏の配信音楽フェス『のだめカンタービレDAY』で初めて杉浦さん以外の3人にお会いしてから、BS11の『貴公子たちの音楽会』をはじめいろんな現場でご一緒することがあり、高島さんや鳥尾さんに声をかけてもらって、ストリート・ピアノで共演してYouTubeチャンネルでお互いにコラボしたりもしてきたのです。特別番組のナレーションでも言いましたが、身近な音楽仲間を応援する気持ちでナレーションも喜んでお引き受けしましたし、仲間の晴れ舞台に参加させてもらえて嬉しいですね。
――先週には、丸の内で鳥尾さんとイベントでも共演されていましたね。
そうですね。昨年は鳥尾さんからのお声がけで、このイベントには参加させてもらって、「魔王」やショパンの「別れの曲」に歌がついたものなどを共演させていただきました。今年も実は同じ曲を共演させてもらいながらも、今年はソロでベートーヴェンの「運命」リスト編曲版を演奏したり、さらに、僕からのお願いでパシフィックフィルハーモニア東京さんとの共演へ向けて大事な曲として弾きこんでいる、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の冒頭を鳥尾さんにヴォカリーズでオケパートをお願いしての、無茶ぶりサプライズ企画もやってもらったのですが、これも思っていた以上にお互いに楽しかったので、いい形で発展させられたら面白いなあと思っています。
――2月16日に、その発展形が見れそうですか?
そうなったら楽しいですね。先週末の話なので、まだ相談中ですけど、そんなことが相談出来たりする、音楽上の仲間がいるということも本当にありがたいなあと感じますね。
――やはり共演は、シューベルトの「魔王」なのでしょうか?
そうですね。高島さんや鳥尾さんのソロでの共演はあるのですが、リアル・トラウムの皆さんとこの曲を一緒にやるのは初めてなので、とても楽しみです。語り手、父、子、魔王を4人で歌い分けて演じていくのを間近で見れるんですよね!この曲にこういうドラマティックなアプローチができるのはやはり4人いるからで、そのあたりも羨ましいなあと感じます。ただこの曲ご存じの通り、ピアノの連打が超絶大変な曲なので、ドラマティックな演出を楽しむ余裕はないかもしれませんが(笑)。この曲を弾いている間は、藤川さん(本公演のピアノ担当・藤川有樹)に続くリアル・トラウム第6のメンバーのつもりで精一杯にオーチャードホールの空間を盛り上げたいと思います。オーチャードホール自体は僕も演奏するのは初めてなので、とても楽しみです。
――ますますオーチャード・ガラが楽しみになりました。ところで、Budoさんの今後のご予定は、まずは1月25日の所沢での『のだめカンタービレ・ニューイヤー・ガラ』ですね。
はい。おかげざまで、マチネが完売しましたので、17時開演でソワレが発表となりました。ありがたいことです。昼のラフマニノフと夜のラフマニノフをお楽しみいただければと思います。本当にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」は特別なパワーをもらえる曲だと思っていますから。もちろん、石井琢磨さんの「ラプソディ・イン・ブルー」、そして、ミュンヘンで学ばれたマエストロ茂木の本場の薫りがするリヒャルト・シュトラウスの「薔薇の騎士」組曲も本当に華麗で美しい音楽なので、できるだけたくさんの人にお楽しみいただければと思います。
――そして、そのあとは和歌山で菊池亮太さんとジョイントコンサート、岡山でござさんとジョイントコンサートと続きますね。
そうですね。 この1年ご一緒させていただいた先輩たちの胸を借りて、Budoをさらに熟成させたいと思っています。各々違ったトライをしたいと思っています。
――そして、6月には念願叶って、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の全楽章をオーケストラとサントリーホールで共演。Budoさんの快進撃もリアル・トラウム以上ですね。
いやいやまだまだです。ひとつひとつリアル・トラウムさんと同様に夢が叶っていくのは、本当に有難いことだと感じています。ただ、リアトラには、最終兵器、鬼のパンツをはいたテノールがいますからねえ(笑)
力強いエールをBudoからもらった鳥尾匠海は先週のイベントでの、ピアニスト=モDとのドッキリ動画をアップし、来週にはディケンズ原作の『クリスマス・キャロル』の舞台に出演予定である。他のメンバーも同様に話題性の高い仕事の現場が続く。
杉浦奎介は、帝国劇場での『レ・ミゼラブル』公演がいよいよスタート。忙しい毎日を過ごしているようだ。バリトンの堺祐馬は、先日再びヤマカイ氏のバレエ・ショー『美女と野獣』に再び出演することをヤマカイ&ネレア夫妻とともにYouTubeチャンネルで発表した。
そして、高島健一郎は、連日ウィーンからの便りをXにて展開し、来週の27日を初日としてドイツ44都市でのオペレッタ『メリー・ウィドウ』の一大ツアーがスタートするのだ。各々の華々しい活躍がリアル・トラウムのオーチャードホール公演でより大きな実を結ぶことになるであろう。
文=神山薫
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