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音楽の未来が生まれる場所・SPACE ODDから新人アーティストにフォーカスしたイベント第二弾をレポート

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『ODD WAVE vol.2』

『ODD WAVE vol.2』

『ODD WAVE vol.2』2024.12.10(tue)代官山SPACE ODD

いつの時代にも、狭い地下のライブハウスから始まる夢がある。12月10日、代官山SPACE ODDで開催された『ODD WAVE vol.2』。サマーソニックを始め、国内の様々なフェスやライブを企画制作するクリエイティブマンが運営するライブハウス・SPACE ODD主催イベント、その第二弾。まだ世に知られぬ若いアーティストが大きな未来を目指す、ここがはじめの一歩。

RATSTATE

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RATSTATE

RATSTATE

RATSTATE

RATSTATE

RATSTATE

トップを飾るのはRATSTATE。メンバー全員2004年生まれ、東京エリアで活動するミクスチャーバンドだ。1曲目「damn」のパンキッシュで性急なドラム、ファンキーにうねるベース、ひきつって歪むギターは、90年代以降のミクスチャーというよりも70~80年代の、若く不敵なポストパンクバンドを彷彿させる。続く「Love」はぐっとテンポを落として骨太なグルーヴを響かせ、「sway」ではスローテンポにドリーミーなメロディ、ラウドなギターでシューゲイザー的世界を展開する。1曲の中の音楽的ミクスチャーというより、様々なタイプの曲を作る姿勢そのものにミクスチャーのスピリットを感じるバンド。

RATSTATE

RATSTATE

RATSTATE

RATSTATE

華麗なピアノソロから始まる、メランコリックなスローバラード「雨傘」。不機嫌な癖に人懐っこいファンクロック「哀写」、そして歌舞伎の掛け声をサンプリングした和風ラウドロック「写楽」。プレイヤーの技術は高く、ホワイトブロンドに黒サングラスのギタリストをはじめ、見た目のクールさも印象的だ。バンドの中心はなんたってボーカリストで、キーボードの腕が確かな上にメロディも歌えて激しいシャウトも決める。床にしゃがみこんで吠えてみたり、不機嫌そうに見えて突然満面笑顔を見せたりする。まだ二十歳、成長の行方が楽しみなバンドだ。

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

続いてステージ現れたのはTOKYO EAST TAPES CLUB。その名の通り東京で2年前に結成された、高校時代の同級生中心の4人組。「遊ぼうぜ、代官山」というボーカリストの第一声からエンジン全開、生演奏にシーケンスを加えた分厚いサウンドで突き進む。見た目は高校生みたいに初々しいが、音はふてぶてしく攻撃的。「parasite.」「104」「bite my tongue」と、スぺイシーでエレクトロな音色のダンスロックを志向しつつ、感情過多の生演奏が思わずはみ出してしまう、危ういバランスがかえって魅力に感じる。

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

TOKYO EAST TAPES CLUB

「自分たちにしかないものを見せに来ました」と謙虚に言いつつ、とにかく全力で弦をはじき、スティックを振り回し、マイクに向かう、ケレン味ないスタイル。後半の、ダンスビートを前面に打ち出す「SELFINTRODUCE.」「C4FUNé」「reaction.」など、踊らせる楽曲の破壊力はなかなかで、もっと多くの観客の前に出たらどうなるだろう?と想像がふくらむ。序盤の緊張感がほぐれて、メンバー同士が顔を見合わせて笑顔を見せ始めた頃に持ち時間終了。もう少し見ていたいと思わせる、溌剌としたパフォーマンス。

HINONABE

HINONABE

HINONABE

HINONABE

HINONABE

HINONABE

HINONABE

三番手は、千葉県発の4人組バンドHINONABE。キャッチーなアルペジオのギターリフと人なつっこいメロディを武器に、キラキラしたギターサウンドで突き進む。ボーカルの、太く迫力ある声質が印象的だ。「眠れない夜」「おさがり」「喰う、喰われる」「裸体」等、ゼロ年代ロックバンドを彷彿とさせる瞬間を時折見せつつ、重量級のロックバンドでありたいという芯の強さを感じる音。

HINONABE

HINONABE

HINONABE

HINONABE

また見に来たいと思うようないいライブをしますーー。ボーカリストの落ち着いた丁寧なMCは、バンド全体の人柄だろう。気持ちのこもったメロディアスで重厚なロックバラード「Blue album」はとてもいい曲。ラストは新曲から「Zaoriku」へ、猪突猛進で駆け抜けた30分弱。有無を言わせずねじ伏せるオルタナロック感を出しつつ、うまく言えないがどことなくユーモアや人なつっこさを楽曲に忍ばせたスタイルで、後味がいい。4人の足並みが揃ってる。

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

この日のラストを締めるALL I WANTは、長野県松本市出身。2年前から東京を拠点に活動開始、2024年夏には「出れんの!?サマソニ!?」オーディションを勝ち抜いてサマソニ東京公演のステージに立った逸材だ。「よろしくお願いします!」と第一声から元気ハツラツ、どんなステージでも全力でやるぜという意思がビンビンに伝わるスタートダッシュ。端正な顔立ちのボーカリストとニコニコ愛嬌たっぷりのギタリストを筆頭に、メンバー全員に目を惹く華がある。ケレン味のない青春パンク一直線の「Sky」「一生」「六等星」「FUTURE」と、爽やかに豪快にノンストップで駆け抜けていく。

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

ALL I WANT

基本は王道メロディックパンクスタイルだが、ボーカリストがピアノを弾いて歌うスローバラードの序章から、後半はスピードチューンへと発展する「One&Only」の説得力にはしびれた。まだまだ引き出しは多そうだ。ラストは2分に満たない「歌えば」を叩きつけ、ハイトーンのシャウトを決め、客席に向けてかめはめ波をぶちかましてジ・エンド。わかりやすい音楽性とメッセージ、華のあるキャラ、どんな舞台でも手抜きも慢心もしない真摯な姿勢が伝わるバンド。こういうバンドはきっと伸びる。

演奏環境も観客動員も最高とは言えないが、いつの時代にも、狭い地下のライブハウスから始まる夢がある。『ODD WAVE』が続くことで繋がる希望がある。次回も楽しみだ。

取材・文=宮本英夫 撮影=広瀬誠

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