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渋谷すばる、2024年ツアー最終公演で語った想い「僕にはあなたが必要です。あなただけの居場所を俺に作らせてください。」

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渋谷すばる

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渋谷すばる LIVE TOUR 2024「Lov U」2024.12.24(tue)三郷市文化会館 大ホール

10月16日にリリースされたニューアルバム『Lov U』を引っ提げて、全国各地を巡った『渋谷すばる LIVE TOUR 2024「Lov U」』。最新作の収録曲の他、懐かしい曲、レアな曲も披露された12月24日・埼玉・三郷市文化会館 大ホールの模様をレポートする。

ステージを覆っている紗幕に投影されたオープニングムービーを経てスタートしたバンド演奏。ギターをつま弾き、ペンを走らせる様子を捉えた映像が紗幕の表面で揺らめき、その向こう側にいる渋谷すばるの姿がライトを浴びて浮かび上がった。最初に歌ったのは「First Song」。様々なクリエイターが楽曲提供をした最新アルバム『Lov U』の中で唯一、彼が作詞作曲を手掛けたこの曲は、様々な体験と葛藤を経て迎えた第三章への想いを伝えてくれる。音楽を愛してやまない彼がステージで活き活きと歌っているのが、とても嬉しく感じられるオープニングだった。

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紗幕が上がり、眩しいライトで照らされたステージ。そして観客が一斉に点灯したペンライト。鮮やかな光で包まれた客席に向かって「君らしくね」と「Lov U」も届けられた後、最初の小休止を迎えた。「10月にニューアルバム『Lov U』がリリースされまして、今日は『Lov U』の曲はもちろんですが、いろんな曲をお届けします。今日はすごいですよ。最高のクリスマスイブにしましょうね」と渋谷が呼びかけると、明るい歓声が応えた。ハンドマイクで歌いながらステージ上を巡り、時折観客に向かって手を振っていた「ライム」。2人のダンサーのパフォーマンスが加わり、舞台作品の一場面のような空間を作り上げていた「アオ」と「ロマンス横丁」……穏やかな3曲を経て、バンド演奏と歌声は一気に熱量を高めた。ブルースハープを吹き鳴らし、骨太なビートを乗りこなしながら歌った「トラブルトラベラ」。観客の激しい手拍子を誘った「ベルトコンベアー」。吼えるかのように歌う姿が鮮烈な印象を残してくれた「爆音」……メドレーとして構成された3曲の連発を導火線とするかのように雪崩れ込んだ「ないしょダンス」は、爆発的な盛り上がりとなった。ステージの最前線に躍り出たバンドメンバーの大宮啓之(Gt)、安達貴史(Ba)と並びながらブルースハープを奏で、挑発的なトーンで放った歌声。演奏が幕切れた時、渋谷は寝そべって息を整えていた。

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「人との出会い、目には見えない繋がりによって宝物のようなアルバムができたと思っています。どの曲も最高やろ? 自分ひとりでは絶対に辿り着けないところに行けたし、いろいろな刺激、景色を見させていただいた制作期間でした」――最新アルバム『Lov U』の制作を振り返ったMCの直後、突然どこからか聞こえてきた“天の声の天さん”の声。「2024年の活動」「今回のツアーの開催地の1つである上海の思い出」「ファンコミュニケーションアプリ『bubble』への想い」が天さんとのやり取りを通じて語られたひと時を挟み、さらに届けられた2曲はファンを大いに沸かせていた。「20年くらい前に歌ってた曲だと思います。」と言いつつ歌い始めたのは「琉我」。ジャズ歌謡テイストのサウンドを乗りこなしながら歌い、妖艶な色香を漂わせていた。そして、その直後に届けられた「LOVE」は超レア曲。2019年にリリースされた1stアルバム『二歳』のオフィシャルファンクラブ「Shubabu」会員限定購入特典『全部一人でやってみたCD』に収録されていたこの曲がライブで披露されたことは今までに一度もない。作詞作曲編曲、レコーディング、ミックス、マスタリング、納品、ジャケットデザインまでを自身で行った完全手作り作品の曲をステージで歌うならば、今日しかないと思ったのだという。鈴の音を含む温かなサウンドアレンジは、観客への素敵なクリスマスプレゼントだった。

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バンドによるエネルギッシュなインストナンバーを経てスタートした「一眼レフノ君」。ソファに座りながら歌い始め、途中から立ち上がって響かせた声が、切ない恋愛模様をじっくりと浮き彫りにしていた。続いて、エレキギターの瑞々しいアルペジオに彩られながら爽やかに疾走した「渚と台風」。そして「赤い花」は、とても素敵な空間を作り上げていた。“ライブでしかやらないみんなで踊れる曲”として振り付け動画が事前に公開されていたこの曲が始まると、公式グッズの赤い花“あなたが赤い花を持つ世界はどんな宝石よりも美しいーココ・スバル”を観客が手に持って掲げた。鮮やかな色彩が優雅に揺らぐ風景が美しい。渋谷は心底嬉しそうな表情を浮かべながら歌っていた。

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「ルピナス」を皮切りに突入したライブの後半。観客が回転させたタオルが爽やかな風を巻き起こした「ストライクゾーン」を経て、「ココロオドレバ」がスタートすると、飛び跳ねながら手拍子をする観客のエネルギーが会場内を一気に満たした。2015年にリリースされたソロデビューシングルのタイトルチューンの1つであり、主演した映画『味園ユニバース』の主題歌でもあるこの曲は、集まったファンの1人1人の胸に大切な思い出を刻んでいるのだろう。続いて、全力のエネルギーを歌声に託していた「池」。渋谷の歌とブルースハープに応えて、バンドメンバーたちもエモーショナルなプレイを連発した「ワレワレハニンゲンダ」……パワフルなロックチューンの連発の直後、彼は抱えている想いをじっくりと伝えてくれた。「難しいことはあんま言われへんけど、ええ感じ。生きてて良かったなあという感じです。また来てください。またすぐ来てください。ずっとやっていくから来てください。僕にはあなたが必要です。あなたたちが必要なんです。あなただけの居場所を俺に作らせてください。まだ迷ってるやつ、いっぱいおると思うし、迷ってるやつらに言ったって。来てほしいねん。必要やねん、そういうやつらが。絶対に幸せにしますので。何やったって自信はあるので。来年はすごいと思います。これからもよろしくお願いします」……少しずつ言葉を見つけて語っていた彼に対して、声援が何度も客席から届けられていた。男性の声も度々上がっていたのが思い出される。一生懸命に道を切り拓きながら積み重ねている彼の活動は、幅広い層の心を鼓舞しているのだと思う。そして「人間讃歌」がライブ本編を締めくくった。本間ドミノ(Key)のピアノ伴奏と歌から始まり、大宮啓之(Gt)、安達貴史(Ba)、茂木左(Dr)の演奏が合流。高鳴り続けたサウンドが、とても温かくて力強かった。

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アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた渋谷は、「2025年3月に『渋谷すばる FAN MEETING 2025』を開催」「今回のライブの模様を収録したBlu-rayをリリース」という2つのお知らせをしてから「もう1曲いいでしょうか?」と観客に問いかけた。そして届けられたのは「僕と君はネコ」。発射された金銀テープを手に握り締めながら観客も踊り、明るい声を上げていた。バンドメンバー、ダンサー各々のソロも交えながら生み出された熱気が心地よい。演奏が幕切れた時、清々しい余韻が会場内に広がっていた。

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バンドメンバー、ダンサーと並んでお辞儀をしてから記念撮影。そして渋谷は再び深くお辞儀をしてから感謝の言葉を届けた。「バンドメンバー、ダンサーのみなさんに大きな拍手を! 最高のツアースタッフにも大きな拍手をお願いします。三郷市文化会館にも大きな拍手を! 集まってくれたみなさん1人1人に大きな拍手を! 渋谷すばるでした。ありがとうございました!」――手を振りながらステージを後にした彼を観客の拍手と歓声が見送った。終演を告げるアナウンスが流れ、出口へと向かう1人1人の表情が輝いている。渋谷すばるの歌がファンの活力となっているのを感じたライブだった。

取材・文=田中大 撮影=umihayato

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