『NEOLAND CASE.4』2024.12.28(SAT)@福岡市民会館
本物の音楽体験を通じて、音楽という文化、音楽に関わるすべての方を未来へとフックアップしていくことを目指している福岡の音楽イベント『NEOLAND』。2024年12月28日(土)に福岡市民会館で行われた『NEOLAND CASE.4』は、前回に続いての出演となったザ・クロマニヨンズ、メジャーデビュー10周年を迎えたgo!go!vanillasの2マン形式で開催されるロックンロールの競演となった。
go!go!vanillas
撮影=renzo
先攻を務めたのは、go!go!vanillas。2021年の「NEOLAND CASE.0」以来の出演、加えてザ・クロマニヨンズとの2マンライブということもあってか、最新アルバム『Lab.』収録の同名インストゥルメンタル曲に乗って、牧 達弥(Vo.G)、長谷川プリティ敬祐(B)、柳沢進太郎(Gt)、ジェットセイヤ(Dr)がサポートキーボーディストの井上惇志と共に気合いたっぷりに登場。集まった観客を思い思いに煽り、「騒いでいこうぜ!」(牧)と軽快で心地よいビートが盛り上がりを呼ぶ「マジック」を1曲目からかき鳴らし、ロックンロールの魔法をかけていく。
撮影=renzo
撮影=renzo
さらに、長谷川、牧、ジェットセイヤ、柳沢の順でボーカルリレーも楽しめる「デッドマンズチェイス」、柳沢のギターソロから始まった「クロスロオオオード」と序盤からアクセル全開で畳みかけ、会場の熱気はぐんぐんと上昇! メンバーもその熱量に負けることなくステージ上を自由に動き、ジェットセイヤは立ったままドラムを叩くなど、目を引くパフォーマンスからもこの時間を心底楽しんでいることが伝わってくる。
撮影=renzo
撮影=renzo
撮影=renzo
中盤では、「福岡、楽しんでいますか!? 言葉じゃなくて音楽でぶつけたいと思います。まだまだ混ざり合って行こうぜ!」(長谷川)と「SHAKE」でムーディーな歌声とオシャレなサウンドを聴かせたかと思えば、長谷川が初見の人でも楽しめるようE、M、A……とハンドジェスチャーをレクチャーして代表曲の「エマ」へ。これでより一層盛り上げたあとは、牧と柳沢のツインボーカルが楽しめる「クライベイビー」を披露し、惜しげもなくバニラズが持つ幅の広さ、魅力をこれでもか!と見せていく。それに対して観客も笑顔でクラップやジャンプ、コールなどで応え、雰囲気も最高に!
撮影=renzo
そして、「まだまだ心たぎらせますか? ロックンロール好きでしょ!? ぶつけあおうぜ!」と最新アルバムからソリッドなロックチューン「来来来」とサビのキャッチーさが癖になる中毒性の高い「平安」、「アイ ラブ ロックンロール!」とコール&レスポンスでロックンロールへの愛をぶつけ合った「カウンターアクション」と駆け抜け、最後はライブアンセム「平成ペイン」でフィニッシュ! 「愛しているぜ、ロックンロール!」と叫び、革ジャンの下のザ・クロマニヨンズTシャツを観客にお披露目したジェットセイヤが側転しながらステージをあとにするなど、バニラズからはやり切った充実、観客からは高揚を感じられる多幸感あふれるライブになった。
撮影=renzo
ザ・クロマニヨンズ
撮影=柴田恵理
幅広い年齢層が集まった2マンライブでバンドが持つエネルギーを勢いよくぶつけ、「バニラズ良かったな。最高!」(甲本ヒロト/Vo)という言葉を引き出したgo!go!vanillasのステージを受け、後攻のザ・クロマニヨンズはどんなライブを見せてくれるのか――。そんな期待感に満ちた大拍手で迎えられた中、SEに乗って桐田勝治(Dr)、小林勝(Ba)、真島昌利(G)、ヒロトがステージへ。「ロックンロール!」(ヒロト)と声を挙げ、「人間!人間!」コールでお馴染みの「クロマニヨン・ストンプ」で口火を切ると、瞬く間に会場は興奮の坩堝と化し、1曲目とは思えない盛り上がりを見せる。火が点いた観客をさらに燃え上がらせるように、大合唱も起きた名曲「タリホー」、ストレートなロックンロールナンバー「生きる」、冒頭からリズムに合わせクラップが起こった「どん底」をぶちかまし、ワンマンライブのような熱狂と興奮を生み出していく。
撮影=柴田恵理
これにはヒロトも、「すげーな。あれだけ盛り上がっていたのにまだみんな力がある」とMCで目をキラキラさせながら感嘆していたほど。曲名のコールだけで歓声が上がった「イノチノマーチ」ではエネルギーのやり取りを楽しむように<聞こえたか>のあとの<聞こえるよ>の歌唱を観客に委ね合唱を引き出すと、「ランラン」、「あいのロックンロール」でも大シンガロングが起こり、客席から熱のこもった歌声がステージに向かって降り注ぐ。
撮影=柴田恵理
音楽、ロックンロールを通して、会場全体が共鳴しながら互いに高めあう様はただただ圧巻の一言。そこに、「本日が今年(2024年)最後の演奏になります。最後の一息までここで出して帰るからみんな最後まで楽しんで。最高の1日になったなと思ってもらえたら最高です。どんどんやろう!」(ヒロト)と「炎」、イントロで桐田と小林が楽しそうに踊っていた「雷雨決行」、ヒロトのブルースハープに合わせマーシーがステップを踏んでいた「暴動チャイル(BO CHILE)」が放たれ、その熱狂ぶりは留まるところを知らない。
撮影=柴田恵理
撮影=柴田恵理
そんな冬の寒さを吹き飛ばすほどの熱気に当てられたのか、桐田のドラムロールをバックにヒロトがTシャツを脱ぎ上裸へ! これに観客は大盛り上がりだったが、「盛り上がることじゃないですよ(苦笑)。あいつ興奮しているんだな、って思ってください」(ヒロト)と照れ笑いを浮かべる一幕も。よりギアを上げたザ・クロマニヨンズと観客は終盤もパワーを落とすことなく、初期楽曲「エイトビート」、「ギリギリガガンガン」、「紙飛行機」、ラストの「ナンバーワン野郎!」までエネルギーを出し尽くし完全燃焼! シングル曲を中心に全身全霊のロックンロールを怒涛の勢いで浴びせ、「ありがとう、最高! また絶対にやりたい。ロックンロール!」(ヒロト) 、「バニラズありがとう。またね」(マーシー)とステージをあとにしたザ・クロマニヨンズのライブは誰もが大満足したに違いない。
撮影=柴田恵理
撮影=柴田恵理
キャリアが異なるgo!go!vanillasとザ・クロマニヨンズ、そして幅広い年齢層の観客が1つになった今回の『NEOLAND CASE.4』。この日、集まった人たちにとって、最高のライブ体験になっただろう。
取材・文=金子裕希 撮影=renzo、柴田恵理
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