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坂本冬美、ビルボードスペシャルライブレポートが到着

アーティスト

坂本冬美

今回のスペシャルライヴは、坂本冬美が2024年6月26日にリリースしたカバーアルバム「想いびと」の収録曲を中心にしたもの。

「NHK紅白歌合戦」出場歴36回を誇る日本を代表するシンガーのひとりでありながら、カバーも重視し、楽曲に真摯に向き合う坂本冬美という歌手の姿が鮮やかに浮き上がる一夜だった。

坂本冬美はゴージャスな白のドレスで登場。そして生バンドの演奏とともに、「また君に恋してる」で公演は幕を開けた。坂本冬美の代表曲のひとつである「また君に恋してる」も、2009年にリリースされ、その後カバーアルバム「Love Songs~また君に恋してる~」に収録されていたビリー・バンバンの楽曲で、坂本冬美が細やかな情感とともに歌い、大ヒットを記録したものだ。

「また君に恋してる」を歌い終えると、多くのファンからの「冬美ちゃん!」という声援が。それを聞いた坂本冬美は「なんだか市民会館にいるみたいですね。でも、みなさま忘れないでください、ここはBillboard!」とファンを笑わせた。また、8年ぶりのBillboard公演であることに触れ、観客との近さについて「鼻の穴まで見えそうですね」と言うと、ファンから「きれいだよ!」と声が飛ぶ一幕もあった。

2曲目の「ひまわりの約束」は秦基博のカバー。坂本冬美は力強く伸びやかに歌い上げる。

3曲目の「恋の予感」は安全地帯の大ヒット曲のカバー。恋愛を描くかのように、複雑なニュアンスに溢れた歌声を聴かせた。

4曲目の「月」は桑田佳祐のカバー。坂本冬美の柔和にして艶やかな歌声がひときわ輝く一曲だ。

坂本冬美は、2024年12月31日に出場した「第75回NHK紅白歌合戦」で能登・輪島を訪れたことについて触れた。そして、自身も母や弟との別れを経験していることを語ってから、5曲目の秋川雅史のカバー「千の風になって」へ。6曲目の「身も心も」はダウン・タウン・ブギウギ・バンドのカバー。坂本冬美は、しなやかにしてブルージーな歌声で染め上げた。

ギター、ベース、ドラム、ピアノ、バイオリン・二胡からなるバンドメンバーを紹介し、若き日の海での思い出を語ってから、7曲目のサザンオールスターズのカバー「Oh! クラウディア」へ。8曲目のオフコースのカバー「心 はなれて」では、ステージの椅子に腰かけ、過ぎ去りし日々を愛おしむかのように歌い上げ、それは9曲目の石崎ひゅーいのカバー「花瓶の花」でも同様だった。そして、「花瓶の花」のアウトロが演奏されるなか、坂本冬美はファンの拍手に包まれながらステージを去っていった。

会場を埋めるファンからのアンコールの拍手を受けて、坂本冬美は羽織をまとってステージに再登場。そして、10曲目として歌いだしたのは、GACKTのカバー「サクラ、散ル…」。和のテイストが坂本冬美の持ち味と実に相性の良い一曲だ。そして11曲目は、坂本冬美のオリジナル曲にして代表曲「夜桜お七」。イントロが奏でられた瞬間、ファンから歓声が上がった。ドラマチックな楽曲を、坂本冬美は自身の高音から低音までを駆使して見事に歌い上げた。

MCでは、前夜は緊張で1時間おきに起きてしまったと述べ、「これでゆっくり眠れます」とファンを笑わせた。

この夜の最後となる12曲目として歌われたのは「ほろ酔い満月」。2024年にリリースされた、80年代歌謡曲風のナンバーで、ギターもうなる楽曲だ。歌い終わると、坂本冬美はファンに手を振りながらステージから去っていった。

坂本冬美は、自身のオリジナル曲でも、他のアーティストのカバー曲でも、同じように魂を込める。カバーする楽曲は、必ずしも大ヒット曲とは限らず、しかも大物から若手までの幅広い楽曲を取り上げる。どんな楽曲であれ、坂本冬美が歌えば必ず彼女ならではの息吹が吹き込まれる。そこに坂本冬美という歌手の真骨頂を見た気がした夜だった。

音楽評論家:宗像明将

撮影:田中聖太郎写真事務所

セットリスト

M1 また君に恋してる
M2 ひまわりの約束
M3 恋の予感
M4月
M5千の風になって
M6 身も心も
M7 Oh! クラウディア
M8 心 はなれて
M9 花瓶の花
〈アンコール〉
M10 サクラ、散ル…
M11 夜桜お七
M12 ほろ酔い満月

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